2009年10月31日土曜日

土地開発公社について3 平成の日野市土地開発公社

前回は平成20年度の決算について説明しましたが、今日は平成の動き。

平成が始まったばかりの平成元年の3月末(昭和63年度末)は56.1億円分の土地を持っていました。
平成に入ってから土地開発公社は
 元年 23,634㎡
 2年 21,679㎡
 3年 43,422㎡
 4年 30,371㎡
  と大量に土地を取得する一方
 平成2年には15,854㎡、3年は17,998㎡
 と処分も進んだのですが、平成4年から地価が下落に転じたのに合わせるように
 平成4年は851㎡のみの処分となっています。

 大量取得により平成4年度末には土地開発公社の土地の残高は258億円とわずか4年で4.6倍、
 200億円も増えました。
 
 所有土地のピークはおそらく平成7年度末ごろで、119,070㎡、このころになると取得土地面積は5000㎡前後となり、処分する土地の方が徐々に増えていきます。
 また土地の残高に利子が加わっていたのですが、平成10年に切り離されています。
 地価が上がっていたころは、利子を含んでも土地を先に買った方が得だったため、土地開発公社が買った土地を市が買うときは利子の他経費も上乗せして買ってもよかったのですが、土地が下がってくると利子を上乗せした金額では現在の地価との乖離がひどくなってしまうためと思われます。
 それでは利子の分はどうするか?というと結局のところ「経費」として市から利子分の補てんを受けることとなります。
 これにより土地の残高は平成9年度末の307億円から翌年には242億円に減っています。土地売却分もありますが、そのほとんどは今まで支払った金利と思われます。

 平成11年度からは取得はさらにへり、処分が徐々にすすんだので、平成15年には85,333㎡、残高176億円まで減ります。
 平成13年度からは民間への売却もされています。
 平成13年度を見ると、市に対しては2.82億円で買った土地を2.84億円で売却、4.34億円で買った土地を4.38億円で売却となってなり、損が出ていないですが、民間に対しては6.67億円で買った土地を3.98億円で売却しています。 おそらく市に売却した土地も民間に売った場合はかなりの損が出ていたと見られ、結果として市が高い土地を買ってしまっているといえるかと思います。

 また平成9年度までは個別の土地の契約年月日がリスト化されていたのですが、平成10年度から「○○区画整理事業用地」とまとめられてしまったため、詳細がわからなくなっています。

 ちなみに平成9年度を見ると、一番古い土地として昭和49年度に取得した日野第21小学校用地があり、実はこれは平成20年度になっても市に取得されずに残っています。取得後5年以上経つ土地を全国オンブズマンは「塩漬け土地」と命名していますが、その問題を明らかにするためにも、土地取得時期がわかる明細を決算書にはつけてほしいものです。

 さて、土地の処分はさらに進み、平成16年度には7.2万㎡、平成17年度には5.7万㎡、平成20年度には4.7万㎡まで減少。残高も約100億円程度までに減っています。

ついに月間60更新

今月は60更新を突破しました。
先月気がついたらブログをはじめた2月が47更新で一番多く、あとは大体30更新代。
竜頭蛇尾じゃないぞ、ということで今月はたくさん更新してみました。
来月からはほぼこれまでどおりに戻る予定です。

2009年10月30日金曜日

益子町財政白書をいただきました。

先日の記事でも紹介した益子町の財政白書を送っていただきました。
 本体500円、送料200円です。(振り込み手数料に252円かかりましたが。)

 約30年の分析を通じ、「課題」として疑問点をあげているのが特徴。
 例えば「バブルが崩壊した後も歳入が伸びているのはなぜ?」など、ついそういうものなんだと見逃している疑問もあり、白書を作る立場から市民がどういう点に疑問を持つのかの参考にもなりました。

 益子町の疑問は全国の市町村に通じる部分もあるので、今後詳しく見ていって解明できるものはしていこうかと思っています。

2009年10月29日木曜日

武蔵野市財務報告書

平成20年度決算に基づく武蔵野市財務報告書の紹介です。

武蔵野市の特徴は「財務」というタイトルにもあるように、バランスシートや行政コスト計算書など、企業会計的指標を重視していること。なんと独自の方式で算出しています。

特徴は
○資産を長期計画の分野別に評価していること
○(減価償却費を元に)更新コストと財源の考察をしていること
○連結で財政援助団体も含めていること
○有価証券の時価評価をしていること

内容はかなり難しいですが、企業会計的手法に興味のある方にはお勧めです。

2009年10月28日水曜日

京都市営地下鉄、公営初の健全化団体に転落

日経新聞10月28日
「京都市の市営地下鉄事業が地方公共団体財政健全化法に基づく「経営健全化団体」となることが27日、決まった。建設費の膨脹や利用客数の低迷を要因に、 2008年度決算で本業の収入など事業規模に対する資金不足額の比率が国の基準値20%を大きく上回る133.5%に達した。市は来春をめどに、運賃値上 げや職員の削減などを軸にした経営健全化計画を国に提出する方針だ。」

ちなみに、地下鉄では唯一。公営企業の経営健全化団体は61団体。
宅地造成と観光施設が各々12団体、交通事業は病院事業と並んでそれぞれ10団体が健全化団体とのこと。

京都新聞によると国に補助を求めているようですが、厳しく値上げは不可避とか。
同じ京都新聞の記事で外郭団体への随意契約が99%などという記事も。
国に補助を求める前にまず見直しをということなのでしょうか。

資金不足額とは、(流動負債+赤字公債-流動資産-解消可能資金不足額)で表されるそうですが、この「解消可能資金不足額」というのが解説を読んでも頭に入ってきません。

多摩市の財政事情 平成20年度決算版

12月発行の多摩市の財政白書に先駆けて「決算状況の推移と他市との比較」をまとめたものが先行して公開されています。(リンク先はこちら 少し下のほうです。)

構成は昨年度とほぼ同じ。
昨年との主な変動要因があることぐらいが違い。

多摩市の白書は26市のデータとの比較があるので、他の市の人が見ても参考になります。
12月の全体版公表時にまた紹介予定です。

2009年10月27日火曜日

西東京市財政白書平成20年決算版が出ました。

9月議会で決算が承認され、行政が作る財政白書が徐々にでき始めているようです。
今日紹介するのは西東京市。(HPはこちら。)
今年もなぞのキャラクターが出没。


構成は昨年度とほぼ同じ。今年はカラーになって見やすくなっています。
各章のタイトルが簡単なサマリーになっています。(ほとんど去年と一緒ですが。)
西東京市は東京都で最近合併した数少ない市なので、合併の財政への影響が詳しくあります。また新しく加わったコラムとして、P36の債務負担行為のコラムがあります。

財政白書以外の特徴は
 ○決算書が財産の調書を含めすべて公開されています!
 ○予算書が補正予算も詳細が公開されています。
 ○市税白書が公開されています。(財政白書から見つけにくいところにありますが。)
かなり公開度が高い市ですね。

さらに市民も財政白書を発行しているようです。(紹介ブログ記事

2009年10月26日月曜日

青梅市財政白書 平成20年度決算版が出ました。

平成20年度の青梅市の財政白書がでました。
タイトルは「青梅市財政の現状」企画部財政課作成。
 ページはこちら
内容は昨年度とほぼ同じ(以前紹介した内容はこちら)。後期高齢者医療特別会計が加わっているぐらいです。
あと昨年度に比べ経常収支比率が一挙に10ポイント増えている理由も気になります。

財政白書ではないですが、かなり詳しい行政報告書があります。(こちら)金額情報と行政情報が近くに書いてあるので調べやすいです。

2009年10月25日日曜日

市民財政白書を作る(動画版) シナリオ大枠

本日動画版のシナリオについて打ち合わせ
大枠が固まりました。
一番難しいのは、最後のまとめ。財政が厳しい中、どうすべきかということについて何がいえるのか、ということ。
過去の財政白書では
 ・日野市内で買い物をしよう
 とか
 ・ごみを減らそう
 とか
 ・いらないサービスは断ろう
 とか
 ・税金はちゃんと払おう
 とか
 ・健康に気をつけようとか。
 ということを書いていたのですが、それぞれの効果の程度がどうかとか、買い物をしようと思っても実際日野では買いたいものがないとか、みんな健康になったら病院の経営はどうするんだとか、なかなか言い切れない。

 間違いなく言えるのは、財政に関心を持とう、ということなのですが、やはり心ある市民からは
「財政をよくするために、何をしたらよいのでしょうか」という質問が出てくるのではないかと思います。
 しかし、「こうすれば!」とはっきりいえることがないのも事実です。

 こういう面でも財政はCO2削減に似たところがあり、かつさらに難しい面があると思います。
 一人ひとりはCO2削減に大きく貢献することは難しい。でもその集積として環境問題がある。
 財政も多くの人は財政に大きく貢献することはできないけれども、その集積としての国や市の財政がある。
 直接的に財政支出をしているのは行政であり、それを決めているのは政治で、財政活動の結果は身近なところに生じますが、決定の過程は必ずしも身近ではない。市民から見ると財政は少しずつしかも間接的にしか変わっていかないという面で、非常に遠い道のりであることをつくづく感じます。

 でもわれわれから歩き始めないと決してたどり着けない。おそらくこのまま国や市が借金を重ねていけば、それが数年度か数十年後かわかりませんが、いつかは市場から情け容赦ない裁きを受けることでしょう。そのときに「愚かなる世代」として子どもの世代に名指しされないような、環境的にも財政的にもよい世の中を残していくことが私たちの世代の責任と思うのです。

東浩紀「SNS直接民主制」提案

J-CASTニュース 10月24日より

「ネットがあれば政治家要らない」のタイトルで発信。
批評家の東浩樹さんが、「朝まで生テレビ」で、「インターネットを使った直接民主制」の可能性について語った。
「今回、政権交代が起きて、『官から民へ』とか、『国民が政治をコントロールできるようになった』と言っているけれど、僕は、 ネットワークや情報技術の革命はすごく本質的だと思う。これまで政治家の仕事はいろんな人たちをつなぐことだったが、つなぐだけだったらインターネットで もできる。そうなると、これからの社会はもしかしたら、こんなに政治家っていらないのかもしれない」

と指摘。従来の選挙システムに代わる、ネット時代の新しい政治システムがありうるのではないかという考えを示した。

「国民が政策にじかに介入できるようにちゃんとシステムを作って、政策審議過程を全部透明化し、パブリックコメントのシステムを もっと洗練された形にすることによって、全然違う政策の作り方ができるかもしれない。たとえば基礎自治体(市町村)のいくつかなんて、SNS(ソーシャ ル・ネットワーキング・サービス)で運営すればいいと思う。ミクシイとかで」
と発言したことがニュースになりました。
ーーーー以下は私のコメント
ネットによる直接民主主義の可能性については、例えば法案の賛否等について、案件ごとにネットで投票する時代が一度くるかもしれないと考えたことはあります。政治家は何について賛否を問うのか、という課題設定と法案づくりが役割になるのではないかと。
ただ、実際年間に国会にかけられる案件は法案だけでも200件とかいうレベルであり、一度それが実現した暁には、市民は毎日のように送られてくる法案の説 明文書に悩まされるのではないかと。説明文書と各党からの趣旨の説明のお知らせと、いろいろな団体からの説明のお知らせと。

 一旦その状態を経てから、法案の種類ごとに専門家に任せる時代がきて、次にそれも批判が高まって・・・というように、専門家主導と広く意見を聞くとの間で、揺れ動きながら進んでいくのではないか(時間軸としては数十年スパン)と勝手な未来予想をしたりしています。

「財政白書 村」検索ランキング

「財政白書 町」をやったら「財政白書 村」もやらなきゃ。ということで検索。

Google
1 経済財政白書(高知新聞)
 要は経済財政白書と派遣村でヒットしているようです。
 ということで、これ関係がいっぱいかかっているので、これ以外のものを紹介。
3 東大和市市民財政白書
4 財政勉強会(個人ブログ)
5 松本市市民財政白書
6 市民が財政白書を作ったら(自治研究所)
  (9位も同様、出版社違い。)
11 地方財政白書(14位も)
12 当ブログ 二宮尊徳の記事
15 千代田区財政白書
17 新宿区財政白書
  (ここらへんは区民健康村 でヒットしているようだ)
18 羽村市財政白書
24 東村山市財政白書
27 旭川市財政白書
28 座間味村財政の研究(静岡県立大学)
29 西東京市財政白書
30 板橋区財政白書

一方Yahoo 上記と同じもの、あと市や町でこれまで紹介されているものは省略。
4位 鋸南町議がまとめた資料(6位も)
5位 相良村の財政(市民オンブズマン)(23位も)
7位 当ブログ(早期健全団体)(17位も当ブログ)
9位 当ブログ図書室(財政白書リンク)
22位 京都府市町村史目録

財政白書行脚 兵庫県2

今日は兵庫県の第2回目
○三木市の台所事情(http://www2.city.miki.lg.jp/miki.nsf/doc/885894A15A3A9CE74925723500320513?OpenDocument)。
  平成18年12月公表。全会計で一人当たり85万円という借金を抱えています。
  24ページとコンパクトですが、シナリオがしっかりして、表現もわかりやすいです。
 財政がなぜ苦しいのか、どれだけ苦しいのか、苦しいとどうなるかをわかりやすく説明するのが前半。
 改善策や市民との協働、街づくりビジョンの提案が後半となっています。
 構成や表現など、いろいろな市で参考になるのでは。

○淡路市の台所事情
 淡路市は合併で淡路島の北部の5町が合併してできた市です。震災で名前を聞いた北淡町も含まれます。震災の影響などがあり、人口5.1万人に1100億円もの借金を抱えています。
 台所事情は平成19年12月発表。
 親子が市役所を訪ねたというシチュエーションで、親子の会話など非常にわかりやすい。
 1ページ1ファイルになっていて見づらいのが玉に瑕。
 親子の会話でかなりはっきりものをいっているのが面白い。
 例えば、、
 子ども「美子の家も淡路市も、借金を返済しながらまた借りてるのね。どうして大人はこうなのかしら?節約する気は本当にあるのかしら?」
 子ども「何で入るお金以上にお金を使うの?だいたいローン返済で精一杯なのに、またお金を借りるのがおかしいわ!」
 (一人当たり213万の借金に)家族「何でこんなに借金したのよ~。」
 震災など災害関連で1100億円もの事業を行っているとのことで、夕張の次ぐらいに大変なところではないでしょうか。
 
○その他
 ・芦屋市 :財務統計や収支見込が詳しい。
 ・宝塚市 :財政見通しを毎年改定。家計簿で
   特別会計=配偶者、企業会計=子ども、公社・3セク=親戚
    と例えているのが面白い。

2009年10月24日土曜日

Google 「財政白書 町」検索ランキング

「財政白書」「財政白書 市」「財政白書 市民」での検索ランキングは、別館図書室にアップしていますが、(こちら)「財政白書 町」についても検索してみました。(Google)

1 築上町
2 同上
3 このブログの記事(益子町財政白書)
4 下野新聞  益子町財政白書
  ~下野新聞より上位!
5 東大和市財政白書
6 嵐山町 財政白書を作りましょう(個人のHP)
7 長与町財政白書の作成及び公表条例
8 横浜町(青森県) 上記と同様の条例
9 東村山 はてなのゆりさん
10 長泉町 財政白書
11 4の記事日経新聞
12 中央区施設白書
13 琉球新報 沖縄の財政白書
14 このブログの記事(双葉町)
15 ザイバクを紹介したブログ(春日部市議)
16 富浦町財政白書
17 H18 地方財政白書ビジュアル版
18 ふれっしゅ沼津
19 4に関するブログ 栃木県県議
20 宮崎大財政白書
21 八王子市財政白書
22 9のブログ
23 市民が財政白書を作ったら(アマゾン)
24 りそな銀行 経済財政白書
25 日テレ 取材ノート
26 時津町 財政白書条例
27 経済財政白書(個人ブログ)
28 松本財政白書の会
29 経済財政白書(九経調)
30 千代田区議会議員HP

 市の白書も少なからずあるようです。
Yahooで検索して、上記以外の話題は
 ・上三川町の財政(3位)
 ・成田市財政白書(6位、15位)
 ・このブログ:再生の町(8位)
 ・このブログ:芽室町(9位)
 ・鋸南町とその周辺の比較(千葉の町議)(11位、12位)
 ・多摩自治研究所(14位)
 ・西東京市(18位、25位)
 ・辰野町財政資料(21位)
 ・経済セミナーIn美瑛(経済財政白書)(24位)
 ・議員ブログ 財政講座(25位)
 ・宇土市財政白書(29位)
 ・佐世保市財政白書(30位)
他の検索では30位以内はかなりかぶるのですが、「町」だとあまりかぶらないようです。

東洋大ゼミの方とお会いしました

6月に東洋大でお話をさせていただいた際(記事はこちら)に、院生でいらっしゃった方と
先日情報交換をしました。

神奈川県の某市でアドバイザーとして、公共施設のマネジメントや公民連携について活動されているとのこと。
公共施設については小学校の建て替えとならんで、今後は下水道のリニューアルが大変な財政負担になってくるのではないかという話をされていました。日野はまだ作っているところですが、最初に作ったところはかなり年月も経っているので10年も経たないうちに問題になってくるのかもしれません。

今後メールマガジン等も発行するとのことで、機会があれば紹介しようかと思います。

日野市が出資している法人

現在紹介している土地開発公社は市が出資している法人ですが、日野市が出資している法人には他にどんなものがあるのでしょうか。(一部事務組合は別に紹介します。)

ちなみにこの情報は決算書の最後の方に書いてあります。(HPには残念ながら公開されておらず。)
 平成20年度末の情報なのでその後変わっているものもあります。
 金額は出資額
○日野市が全額出資している(と思われる)もの
 株式会社日野市企業公社(HP) 3千万円
 日野市土地開発公社 5百万円
 財団法人日野市環境緑化協会(HP) 3億円
 社団法人日野市福祉事業団(HP)300万円
○第三セクター
 多摩都市モノレール株式会社(HP) 0.7%出資 3億3060万円
  その他貸付金が15億円。
○財団法人
 暴力団追放運動推進都民センター(HP) 631.6万円
 東京都高齢者事業振興財団 450万円
 東京都農林水産振興財団(HP) 211万円
 東京都新都市建設公社(HP) 3.8%出資 50万円
○社団法人
 社団法人日野市社会福祉協議会(HP) 300万円
 東京都労働者共同保証協会(HP)200万円
○全国的組織
 地方公営企業等金融機構(HP) 880万円
  前身は公営企業金融公庫。現在は地方公共団体金融機構
○地方の組織
 中間法人多摩南部成年後見センター(HP)20%出資 100万円
 東京都農業信用基金協会 73万円
○民間企業
 日野ケーブルテレビ株式会社(HP) 1.3%出資 2千万円
 株式会社日本テレビフットボールクラブ(HP) 0.11%出資 10万円
  要は東京ベルディ なぜFC東京でなかったかは不明。
 なお日テレの撤退により「東京ヴェルディ1969フットボールクラブ」に会社名が変わります。

 いろいろありますね。今日はじめて知った団体もありました。
 市との関係が深いものについては、今後詳しく調べていくかも。 

土地開発公社について2 日野市平成20年度

前回は土地開発公社の制度の紹介でしたが、
今回は日野市の土地開発公社の平成20年度決算を紹介します。
土地開発公社の決算書は中央図書館の資料室か市政図書室で閲覧できます。

○どれぐらい土地を持っているのか。
平成20年度末現在、公社が所有している土地は47,199㎡。
簿価は約101.90億円です。㎡当たりにすると21.59万円、坪当たりでは71.37万円です。
 面積のトップ3は
 ①西平山区画整理用地(複数個所合計) 約19,300㎡
 ②日野市立第21小学校用地 約7,500㎡
 ③程久保緑地用地及び美術館用地 約7,100㎡

 簿価(要するに買った価格)のトップ3は
 ①西平山(上記①と同じ) 約54.3億円
 ②万願寺第二区画整理用地 約10.4億円
 ③程久保緑地(上記③と同じ)約7.3億円 です。

○どれぐらい売買したのか
土地開発公社の役割は公共用地を買収し、市に売却することです。
 買収した公共用地は 1485.19㎡、価格は約2,670万円。
  (約1.8万円/㎡、約5.9万円/坪)
  百草地区の緑地の用地とのこと。
 市に売却した土地は
 ①百草地区の緑地用地 約5,880㎡を2億6323万円
 ②身命上第6緑地用地 約667平米を2億5861万円

 民間に処分した土地(特定土地というらしい、法律用語かどうか不明)
 豊田南区画整理内用地 約80㎡を2073万円で。
  なおこの土地は5550万円で取得したものとのこと。

○経費は?
 管理経費が441万円。
 内訳は賃貸に出している土地がらみの税金が316万円。
     除草代96万円、駐車場管理費18万円。
 支払利息が1億4982万円で、これが経費のほとんどを占めています。
 この利息と同額の補助金が日野市から払われています。
 一般会計の決算書では、他の分類に入らない
   「諸支出金」の「公営企業費」に分類されています。

○収入はある?
 なお資材置き場や駐車場として貸しているため
  年間1100万円ほどの収入があります。

○借金は?
 短期で借入(毎年借り換え)で、残高が107.44億円。
 三菱UFJ銀行と さわやか信用金庫から。

○土地の時価は?
 残念ながらわかりません。

以上平成20年度の決算の状況です。
 とはいえ、これだけでは日野市の土地開発公社のことはほとんどわからないと思います。
 (自分で書いといてなんだといわれそうだが。。。。)

次回以降 これまでの土地開発公社の状況について紹介します。

地方自治体における政治主導2 

前回のコラムでは主に政治主導の意味について考察しました。
今回は「地方自治体における」場合について考察してみました。
○政治主導=議会主導?
 地方自治体は二元性で、議会は行政をチェックする役割であることを考えると議会主導で政策を決定し、行政を運営するというのは変。
○政治主導=市長指導?
 市長がリーダーシップをとることが政治主導なのでしょうか?市長は(副市長を外部から呼ぶことがあるかもしれないが)基本的に一人であり、内閣のような形での政治主導とするにはかなり無理がありそうな気がします。
○国と地方自治体の違い
 国政と比べて地方自治体は、一人ひとりの国民・市民と行政との距離が近い。
 国政の場合は直接的に国民の声を聞くというのは無理があるので、国民が直接選んだ議員から選ばれた内閣を主導とすることで、国民の声を政策に反映させるという考え方があったのではないか。
 市政で考えると、直接的な市民の声を聞くルートはいろいろ開発されつつあり、単に市民から選ばれた市長がトップダウンで方針を示していくということのほかに、直接市民の声や知恵を取り込む方法を考えていくことが、地方において政治主導が目指す実質を実現することになると思われます。
 もっともこれは市町村の規模によって具体的なあり方はそれぞれ異なると思いますが。
○国と地方との関係
 地方で政治主導という言葉があまり使われないのは、つまるところ国主導だったからではないか。
 市長は市民から選べているが、行政として何をやるか、どうやるか、お金はどうするかということについて、市民の声を反映しようにも国や都道府県にほとんどを決められてしまい、市として裁量を発揮する余地は限られていたように思われます。
 市民にとっては、政治家が決めたものであれ、中央官庁の完了が決めたものであれ、国の基準として上からドーンとくるのでは、どちらでも対して変わらない(悪さ加減という意味で)と思います。
 政治主導が国民・市民の声の反映を目指しているものであれば、地方分権というのは必然の流れになってくるのではないでしょうか。

2009年10月23日金曜日

土地開発公社について その制度

10月11日の公園についての記事で、土地開発公社から6.8億円分の土地を買ったという記事がありましたが、今日から何回かにわたり土地開発公社についての解説をしたいと思います。

土地開発公社については、平成18年度版の日野市の財政白書(第2編第1章)内容とも重なりますが、まずは土地開発公社そのものについて簡単に説明します。

土地開発公社は、昭和47年に公布された「公有地拡大の推進に関する法律」に基づき、市が出資して設立される法人です。
当時は土地の値段が上がり続けており、道路など公共施設を作ろうと思っても、土地が値上がりしてなかなか土地が確保できないという状況にありました。特に市が土地を取得するためには、原則として市がすぐに使うことが必要だったり、議会の議決が必要だったりするので、取得しようと時間をかけているうちにさらに土地が上がるなどということがあり、公共用地をどう確保するかが課題となっていました。
 そのような中、議会の議決を経ずに「機動的に」土地を買える土地開発公社が設立されていったとのことです。土地開発公社が買った土地は、後年市が開発公社が土地を買うために借入をした利子を含めた値段で買い上げるということになっていました。

 土地の値段が金利を超えて上昇しているときは問題が明らかにならなかったのですが、やがて地価は減少に転じました。地価が下がっているときは待てばよりやすく土地が取得できたのですが、地価の下支えや景気対策の意図があってか、「積極的に土地を買うように」との国からのお達しがあり、下がるとわかっている土地をあちこちの自治体で大量に抱え込むようになってしまったとのこと。
 これにより本来の目的をはずれた無計画な土地の先行取得が行われてしまったと指摘されています。
 (参考:自治体財政の会計学 新世社)

 結局土地はさらに下がり、無計画に取得した土地は何年も塩漬けになっています。2007年度末で60%(金額ベース)以上の土地が10年以上塩漬けになっています。(総務省資料)
 土地の取得は銀行からの借入で行っていますが、土地開発公社に対しては市が債務保証をしているため、市の隠れた借金になっています。また公共施設へ使うあてのない土地は民間売却することとになりますが、そうすると含み損が明らかになり、その分は市が補てんしなければならず、売るに売れなくなり、その間にさらに地価が下がるという悪循環に陥っています。

 90年代に唯一財政再建団体であった赤池町は土地開発公社の赤字を清算したことが、直接的な原因でした。

 いろいろと大変な土地開発公社。次回は日野市の決算から説明します。

2009年10月22日木曜日

千葉市が財政危機宣言

10月22日 読売
「財政難に直面する千葉市の熊谷俊人市長は二十一日、二〇一〇年度予算の編成で約二百七十億円の財源不足が見込 まれると定例記者会見で明らかにした。財政健全化に取り組む「脱・財政危機宣言」を発し、事業や人件費の見直しをさらに進めるほか、無料施設の有料化など で市民にも協力を求める。」
実際には「脱・財政危機宣言」となっていますが、実質的には財政危機を宣言したものとなっています。

市のホームページはこちら

記事では、市債発行に依存し続けると、収入に対する借金返済の割合を示す「実質公債費比率」が一二年度には25%を超え、「早期健全化団体」となる可能性があるとし、このため、「宣言」を発して取り組みを強化することにした。とのこと。
 対策としては、事務事業を総点検し、一部の事業を凍結するほか、無料駐車場の有料化などで市民に負担を求める。既に退職した幹部職員に寄付も求めているという。
さらに熊谷市長は、市が独自に実施している職員給与の削減幅を拡大する考えも示した。これらにより、一二年度の実質公債費比率25%の回避を目指すとしている。

2009年10月21日水曜日

地方自治体における政治主導

政権交代の前後から「政治主導」という言葉がよく使われています。このコラムでは地方自治体における政治主導のあり方について考えてみます。
○政治主導とは?
 ・官僚主導の対義語として使われているようです。政府の運営や政策の
  策定・決定において、霞ヶ関の各省庁の官僚が主導している状況を
  変えようという意味合いかと思われます。
○政治主導=政治家主導?
 ・国会は立法府ですが、現実には成立している法律のほとんどは、
  各省庁からあがってきたものが内閣提出法案として法律になっている
  ものです。その意味での国会の立法府の強化という用法もあるように
  思います。 しかし、現状を見てみると大臣や副大臣等が政策の
  基本を主導するという用法が多いようです。
 ・その意味では内閣主導という言い方が近いのかもしれません。
○アメリカを見てみると
 ・政治主導の典型としてどの国を目指しているのかわかりませんが、
  アメリカだと大統領が変わると各省庁のある程度以上の地位の人は
  全て変わることになります。その意味では大統領及びそれを支える
  多数のスタッフが主導ということになります。
  立法府の法案提案力もずいぶん違いますよね。
 ・政権交代の際に首になった人は民間で活躍することとなり、
  その意味で官民の人的な流動があるようです。
○政治の言葉のイメージって
 ・日本では政治というとどちらかというとネガティブな言葉として捉え
  られていたようなイメージがあります。
 ・一部の利害関係者で決めて、大騒ぎされないようにことを運ぶと
  いうのがうまい政治というような伝統的な価値観があったのでは?
 ・単に私が不勉強なだけかもしれませんが、八ツ場ダムの件を始め、
  政権交代がなければ知らないうちに粛々と進められていたものも
  多くありそうな気がします。
 ・ただ、今現在使われている政治主導の意味は上記の意味での
  政治主導ではなく、国民に開かれた議論の中での政治主導と
  感じます。 政治という言葉の使われ方、受け止められ方も今後
  変わっていくのでしょう。
○政治主導の意義とは
 ・行政の日常の仕事は官僚が行っています。政権が交代して何か
  変えようと思ったら、必然的に政治主導にならざるをえなくなります。
  ただ、それだけの理解では言葉遊びの範囲を出ません。
 ・国民に遠い・誰かわからない人でなく、国民の投票によって選んだ
  国会議員が。知らない間に決めていつの間にか実行するのではなく、
  開かれた中で議論したうえで実行すること。
  が政治主導といわれているところの根源なのではないかと思っています。
 ・その意味で、政治主導は国民主導であるともいえます。
 ・単に国民主導だからよくなったというのではなく、
  良い結果に結びつくためには高いリテラシーと
   一人ひとりの将来への責任感が求められるということでもあります。

地方自治体の話までいきませんでした・・・・。
次回は地方自治体における政治主導です。

2009年10月20日火曜日

益子町 市民(町民?)が作った財政白書

下野新聞 10/17より

「町民グループの「町財政分析研究会」は、町民の視点で町の財政を検証した「市民がつくる、益子町財政白書」を発行した。白書は「町の財政は本当に住民と直結している」と総括した上で、「単独の大型工事事業の連続があり、その財源を借金に頼っている」と問題点を指摘している。」

作成したのは、大沢の陶芸家ら3人、2006年11月に会を立ち上げ、月2回のペースで勉強会を続けてきた。とのこと。

 分析は1977年度から2006年度までの30年間の収支や推移をグラフや表を使って分かりやすく説明!20年を分析しているものはありますが、30年となるとかなり力作。

 45ページで500円とのことです。連絡先は「益子町財政白書」で検索しましょう。

決算書を読むシリーズ 地区センター

地区センターや交流センターの費用も自治会の補助と同じく民生費の社会福祉費のコミュニティ費に分類されています。

地区センターは63箇所、延べ298137人が利用しています。
 人口2700〜2800人に一つぐらい。面積的には半径350mに一箇所ぐらい。
 管理料が約2,200万円、整備費が540万円。

 交流センターは8箇所。延べ270,371人が利用しています。
 人口2万人に一つぐらい。ほぼ中学校区に一つぐらいのイメージでしょう。
 管理費用は3788万円。そのうち委託料が2961万円。整備費が693万円。

ところで、地区センターと交流センターの違いはなんでしょう。
○条例が別々に定めてある。
○条例を見ると事業内容が違う
 地区センター: 社会福祉活動の推進に関すること。文化、教養の向上等に関すること。その他
 交流センター:コミュニティの形成に関すること。 文化、スポーツ及びレクリエーションの振興に関すること。 生涯学習の情報の収集及び提供並びに相談に関すること。その他
○交流センターについては、「講座室等を設け、一般の使用に供する。」と定めてある。
○交流センターは利用団体登録が必要。
○実態として、地区センターは自治体や近隣の方でスペースのみ。交流センターは機材がある場合がある。

ぐらいでしょうか。
区分としてはあまり厳密ではなく、名前が入れ替わっていてもわからないものもありそうな気がしますが。

2009年10月19日月曜日

東京と大阪 守口市と日野市

守口市は財政がかなり大変で、財政健全化団体になるのではないかということがいわれおり、(平成20年度決算では該当せず)ブログの記事でも紹介しています。

日野市との比較でいえば(左 守口市、右 日野市。以下同じ)
経常収支比率 106.5 : 94.0
実質収支比率 -13.6 : +4.0
 と大変苦しいことがわかります。
 一方で、経常一般財源(用語の解説はこちら)を見ると
 総額       282.8億 : 308.55億
 人口一人当たり19.4万円 :17.9万円
   と一人あたりでは守口市の方が多くなっています。
 経常収支比率の内容を見ると
      守口  : 日野
  人件費 41.7 : 31.8
  公債費 17.0 : 9.9
  扶助費 12.6 :10.5
  合計  71.2 :52.1 といわゆる義務的経費の比率が際立って多い。特に人件費が多いことがわかります。
 人件費を市民一人当たりで見ると
  9.4万円 : 6.7万円 と1.5倍弱になっています。
  これは人口一人当たりの千人あたりの職員数が
  7.82人と6.07人 と1.3倍多く、かつ一人当たりの月給も38.1万:35.2万と多いことによります。
  (決算カードより)
 守口市の人件費は全国の一人当たり7.3万円と比較しても多いことがわかります。
 このような状況に対し、財政健全化計画で民間委託等を進めるとしていますが、
  一人当たりの委託費は1.6万円で、日野市の3.1万円、全国の2.4万円と比較してもまだ低いものとなっています。

 また扶助費については、守口市は保護率が31.1‰と大阪府の中でも高く、日野市の3倍以上に達しています。守口市の平成19年の生活保護には81億円にも達しており(日野市は28億円)、市の負担は1/4だけとはいえ、無視できないレベルになっています。
 
 日野市と守口市の比較により、同じぐらい経常一般財源があるものの「人件費が多い」「生活保護が多い」ことが財政を苦しくしている要因とみられました。
 これは東京と大阪の比較でもある程度いえそうです。
 (人口一人当たり人件費:多摩63千円、政令都市以外の大阪72千円)
 (生活保護率 大阪25.1‰、東京都15.8‰)

 これまでの東京・大阪の比較及び地方交付税の算定根拠から、大阪の財政が苦しい理由は
 ①東京に比較して税収が少ない分は交付税でカバーされているが、人口密度が高く、人口が多いため、全国に比較すると交付税の額は大阪は少ない。
 ②人件費が多い。(東京に比べると職員数が多い。全国に比べると給与水準が高い)
 ③生活保護費が多い。保護率が高いことは地方交付税の額に反映されない。
 ④財政が苦しいための借金により、公債費が多い。
    又は、公債費が多いため、財政を圧迫している。
 と分析することができます。
 もう一段踏み込めればよいですが、個人のブログではここまで。

 なお、箕面市と国分寺市を比較するとしていたのですが、分析の結果上記以上の発見ができなかったので、東京と大阪のコラムについては、この記事で終了とさせていただきます。

決算書を読むシリーズ 自治会への補助

自治体への補助は企画部地域協働課の管轄のようです。
決算書では民生費の社会福祉費のコミュニティ費に分類されています。
市によっては総務費に位置づけられているところもありそうです。

日野市には249自治会の自治会があって、41,588世帯が加入、54%程度の加入率のようです。
 補助は1世帯あたり年間240円だとか。自治会の区域があるところはその区域内で未加入の人がいても240円支払われるようです。その理由は不明ですが、市からお金をもらっているゆえに、未加入の人を無視できず、自治会の仕事が増えたり話がややこしくなったりすることもあるようで、
「いっそのこともらわなければいいのに」なんて話がでることもあったりします。
 ちなみに全体で年間1744万円が支払われています。計算すると72660世帯ぐらいなので95%の世帯が補助金の対象になっていることになります。

地方交付税の根拠4

今日は補正係数について
以前の回で、基準財政需要額=Σ(単位費用×測定単位×補正係数)と説明した補正係数です。
補正係数とは例えば同じ道路の管理費用でも、積雪が多い地域では管理費が高くなるとか、そういったことを補正するための係数です。
係数そのものは余りにも複雑なので、紹介しません(できません。)が、どういう補正があってどういう考え方なのかを簡単に説明します。

○種別補正
 ・道路や港湾の種別により補正。なぜか国道や県道は増加方向で補正。
○段階補正
 ・一般に人口が多くなるほど、スケールメリットがでることから、人口が多くなるほど単位費用が少なくなるように補正するもの。
○密度補正
 ・人口密度が低いほど、費用がかかることを補正するもの。
 ・保育園の入所人員が多いほど、基準需要額が増えるような補正係数もここに組み入れられているようです。
○態様補正
 ・生活費が高い地域(東京は都心に近いほど高い)が高くなるように補正(給与を高くしなければならない)
 ・都市化の度合い(ごみ処理などは高く補正。農林関係は低く補正)
 ・中核市や特例市、保健所設置市は高くなるよう補正(業務が県から移譲されている)
 ・投資的経費の必要度合い(道路の未整備延長などを考慮するらしいが・・・・)
○寒冷地補正
 ・寒かったり雪が積もった入りするところを増やす
○数値急増(急減)補正
 ・人口などが急増又は急減しているところを増やす
○合併補正
 ・合併したところを増やす
○財政力補正
 ・地方債の元利償還金の割合が多いところを増やす

それぞれについては、確かにそれなりに理屈があるのですが、具体的な数値は毎年変わり、計算式も複雑なので、市の財政担当者にとっては予見可能性が低くなっています。

例えば平成21年度日野市は予算の段階では交付税が6千万円もらえる予定でしたが、結局ふたを開けてみればもらえないということになっています。

この稿はこれで終了です。

2009年10月18日日曜日

日野市には条例がいくつあるか?

議会の話題が出たので、なんとなく数えてみた。
日野市例規集で数えてみたら条例が210ありました。規則の数は数えていませんが大体同じぐらいあると思われます。
 そのうち民生関係の58が一番多いようです。

ちなみに国の法令は今年の9月1日現在で法律が1799(日本国憲法含む)、政令が1923、省令が3630もあります。
太平洋戦争が終わって日本の法律が全て変わったかのようなイメージがありますが、戦前の法律も実はかなり残っており、勅令(天皇の命令)なんかも一応廃止されずにあるものがあります。
例えば砂防法施行規定は明治30年の勅令ですが廃止されず、ご丁寧にも平成14年にも改正されています。
面白いところでは、臘虎膃肭(ラッコオットセイと読むと思われる)獣捕獲取締法という明治45年の法律が残っていたりします。

東京都は条例・規則・告示等あわせて、2289件がデータベースに登録されています。

地方交付税の算定根拠3

基準財政需要額の算定式で、それぞれの行政需要の項目(道路だとか公園だとか)について計算したものが、事務報告書の財政課のページにあります。
 これを見ると、国の基準による需要と実際の費用とのギャップが確認できます。
 なお、地方交付税は一般財源なので、比較対象はそれぞれの費用にかかった一般財源と比較しなければなりません。決算書から拾うのは大変なので、財源が明示されている予算書と比較しました。
 差があるものを主に取り上げます。
  左側が基準で、右側が実際の費用単位は百万円。
消防費 2127→1791 (人口密度が高いので効率よくできるということ?)
道路橋梁 541→349
都市計画 225→784 (区画整理などがあるため?)
下水道  324→1952 (下水道事業への投資と借入返済が続いているため?)
小学校 862→1592 
中学校 366→811
その他教育 1106→2763
 (投資があるからか、サービス水準が高いからかは不明。)
生活保護 758→710(全国平均よりは低いといことか?)
社会福祉 2388→8689
 (サービス水準が高いため?全国基準の定め方がかなり大雑把なためというのもある。)
徴税費 441→258

個別の項目を見ていくとかなりずれがあることがわかる。
これをどう評価すべきかはよくわからない。基準の算定のぶれの問題か、全国基準を当てはめることが適切ではないのか、独自のサービスが多いからなのか。
中途半端な結論で申し訳なし。

決算書を読むシリーズ 議会費

議会費は総額約3億97百万円です。そのうち議員に係る人件費が2億75千万。
定員26名で割ると、一人当たりにすると1057万円です。
その他事務局職員の人件費が90百万円となっています。
その他映像データ作成に223万円、議事録作成で約500万円使っています。
(検索システムは25万円、使っても費用が増えるものではないと思うので、使ってみよう。)
 よく政務調査費のことが取りざたされますが、どこに含まれるかは不明。

(10/19追記:1345万円が別立てで計上されていました。一人当たり50万ぐらい。負担金・補助及び交付金に分類されていました。)
(2/19修正 一人当たり50万と書くべきところを500万としていました。本文はすでに修正済みです。お詫びをして訂正します。)

人口一人当たりの議会費はというと大体2400円ぐらい。
平成19年度で比較すると、人口規模の同じぐらいの市は一人当たりの議会費は同じぐらいのようです。(2300円~2500前後)。一般的に人口が多いほど一人当たりの費用は少なくなるようです。
八王子市は一人当たり1200円程度、逆に人口が5万人程度だと4000円台ぐらいになるようです。

ちなみに平成20年度の本会議時間は約100時間、委員会は84時間。議員からの条例案の提出は1件とのこと(事務報告書より)でした。

2009年10月17日土曜日

地方交付税の算定根拠2

前回の同名の記事では、基準財政基準額の積み上げの根拠となる要素を列挙しました。
今回はその要素の選定がどういう影響を及ぼしているかを見ます。

前回の記事でもわかるように、おおよそ人口に比例する指標が多くなっていますが、道路や港湾などについてはその施設の量に比例するものもあります。特に道路の延長は人口というよりもその市の面積に比例するので、一人当たりにすると面積が大きく、人口密度の低い市の方が財政需要が大きいと計算されることになります。
 道路については、実際に道路の量が多ければそれだけ行政需要が多くなるのは間違いがないですが、必要な道路については必要なだけお金が入るということになれば、本当に役立つのかとかいったことを考えなくなりがち、というマイナス面も考えられます。

 人口一人当たりの道路の延長は東京の1.86m、大阪の2.1mに対し、全国平均は9.3m、最大は島根県の24mと大きな差があります。

 また生活保護や社会福祉費(日野市では児童福祉と生活保護以外の福祉ですが、交付税の上では老人福祉と生活保護以外の福祉のようです。)は人口に単純に比例しており、実際の福祉の需要やサービスレベルとは関係なく定められているようです。
 特に生活保護の割合(平成18年度)は、大阪府の25.1‰(千人あたりの割合)から富山県の2.3‰まで10倍もの差があり、例えば同じ大阪でも大阪市は40‰を越すなど差があります。
 市の負担は全体の1/4とはいえ、保護率の高い市では基準財政需要額にカウントされない行政需要が多額に発生することとなります。

ブックレビュー 自治を担う議会改革

イマジン出版 自治を担う議会改革 江藤俊昭著

地方自治体(主に市町村レベル)の議会の今後についての本。
まず最初に地方分権により積極的な役割が求められているとしながらも、一方で市民参画や首長のマニフェストにより議会が蚊帳の外に置かれている現実を指摘しています。
三鷹市の事例として、基本構想策定のために「みたか市民プラン21会議」を設置し、公募住民375人により、分科会を含め300回以上の会議によって「みたか市民プラン21」が提案され、「市民が出した結論をその市民によって選ばれた議員が覆してよいのか」という命題が重くのりかかり、議会では反対できなかったという。議員は議会で議論できるゆえに市民参加に参加できず、市民参加の結果を受け入れるしかないというのである。しかも会議の主要メンバーには直前の市議会議員選挙で落選した候補者が並んでおり、「市長は選挙で当選したわれわれより落選した連中の意見を重視するのか」と不満続出だとか。

日野市も市民参画を盛んに進めているなか、他人事ではありません。

著者はこれに対し、今後の議会のあり方として、協働型議会を提案しています。
協働型議会は、行政の監視機能・政策立案機能(本中では監視型議会と書いてあるのですが、そういう形の議会が別にあるように読めてしまうので、あえて機能ということにしました)議会への住民参加を促し、市民社会の醸成を図る機能を持つことで、分権社会にふさわしい議会に改革すべしと提言しています。

具体的には、議会事務局の機能強化(議員との信頼関係構築など)、議会そのものへの住民参加の促進、議員同士が討議をする仕組み(市長への質疑だけではなく)などを提案しています。

その他、住民投票について、議員の在り方について、議員のマニフェストについても論を展開しています。
 特にP101の協働型議会の議員を考えるフローチャートは考え方が非常に整理されており、参考になります。議会に求められている役割の一つとして、公開の討論による政策や優先順位の決定があるものの、現実としては議論があまりないという現状があります。今後議員同士の討議を活発にしようと思った場合、討議可能な人数として、本会議を中心とするならば10人程度、委員会を中心とするならば6~10名×常任委員会の数が議員の定数として適当なのではないかという提言がなされています。

財政白書行脚 兵庫県1

久しぶりのほかの市の財政白書の紹介
 関西地方編の今日は兵庫県です。

○神戸市 決算パンフレット:神戸市の財政事情があります。
 市民向けにグラフを多く使うなど表現を工夫しています。
 平成19年度の決算と、経年的な状況、他の政令指定都市との比較がされています。
 全般的に大震災で受けたダメージ回復のために負った借金を必死で返している様子がうかがえます。
 (横浜市とならんで最もネットで借金を返している市です。)

○西宮市 財政の現状 平成20年度決算まで反映。
 財政課作成のおそらく庁内向け資料なのであまり噛み砕かれてはいませんが、平成5年からの経年のデータがあります。
 西宮市も神戸市と同様大きな震災による被害を受け、震災関連で1700億円もの(人口は48万人ぐらい)借金をしています。
 特に震災関係の影響について詳しい分析があります。

○豊岡市 
 財政白書ではないですが、経済産業白書があります。
 これがすごい!! なんと市の産業連関表があります。人口が10万人以下の市ではたぶんここぐらいでは・・・。正直驚きです。      

2009年10月16日金曜日

決算書を読むシリーズ 図書館

市のサービスの中でも身近な図書館。まあこれは住んでいる場所にもよるでしょうが。
図書館の費用は約6億円で社会教育費の半分以上を占めています。
一般職42名、その他嘱託職員などの人件費で合計4億円と約2/3を占めています。
購入図書は約5千万円分。約4万冊を購入し、2万2千冊が除籍されています。
その他雑誌が511冊。
個人の貸し出し点数が約160万。人口一人当たり10冊弱ぐらい。1点あたり費用は375円。
(図書館の業務は貸し出しだけではないので、これはかなり乱暴な計算であるとご理解ください。)
ちなみに図書館のための補助金というのは、国にも都にもないようです。

あと日野市の特徴といわれているのが、市政図書館。行政活動に関する詳細な資料があります。
予算書や決算書は各図書館や中央図書館の資料室にもありますが、例えば補正予算や土地区画整理事業の事業計画書などは市政図書館にいかないとありません。私も時々利用しています。
他の市での扱いは不明ですが、おそらく行政資料コーナーにあるのではないかと思います。
市政図書館は土曜開庁にあわせて土曜日もあいています。

2009年10月15日木曜日

地方財政データブックはでないらしい

以前のブックレビューで紹介した学陽書房の地方財政ハンドブック、そろそろ出る時期だと思ったのですが、あまり部数がでないらしく、昨年度分を最後にしばらくでなくなるとのこと。
内容が非常によくまとまっていてよかったのに、残念です。
 今回はブックレビュー・・・・ではないですね。

東京と大阪 泉佐野市と東久留米市

大阪の自治体はなぜ苦しいかの仮説を個別の市で詳しく見てみます。
最初は財政健全化団体となる泉佐野市と同程度の財政規模を持つ東久留米市。

左側が泉佐野市、右側が東久留米市です。
 財政力指数0.97 VS 0.87
 市税収入 190億 VS 165億
 地方交付税 2.8億 VS 18億 
 経常収支比率 101.1 VS 99.8

 財政力としては、空港関係の固定資産税があるため、泉佐野市の方がむしろ強く、経常収支としてはあまり差がないことがわかります。(東久留米は都内では2~3番目に経常収支比率がよくないが。)

 この2市の間では、財政の苦しさの差の原因は比較的わかりやすい。その原因は泉佐野の負債の多さです。
 地方債(普通会計) 750億 VS 279億
 事業会計の借入・債務保証 680億VS 189億
 このため
 経常収支比率の中の公債費の比率
  27.6 VS 15.8
 元利払いの額でいうと 72億 VS 32億 となり、この差額だけで両市の歳出の10%ほどになります。
 泉佐野市が財政健全化団体になった理由も、連結赤字比率(特別会計や事業会計の赤字を含めた赤字の比率)が早期健全化基準を上回ったためです。
 市の財政健全化計画でも財政悪化の要因を
 ・関空の開業に合わせ、都市基盤整備や空港関連地域整備をはじめ、総合文化センター、健康増進センター、市立泉佐野病院など多くの施設整備を短期間に進め、その財源として地方債(つまり借金)にたよったため
 と分析しています。

 ということで、泉佐野市の苦しい原因はわかったけど、大阪の市に一般化するのは無理があるような。

 ちなみに、一人当たりの地方債(普通会計)残高でみると、東京の市が20万~30万に2/3の市が集中し、2市を除き30万以下(最大でも31.1万円)なのに対し、大阪では30万以下の市は半分にとどまり、40万以上の下6市(約2割)あります。 中でも泉佐野市は73.7万と群を抜いていますが。
 全般的に大阪の方が借金が多く、財政を圧迫していることが予想されますが、「借金が多い」から「財政が苦しい」のか「財政が苦しい」から「借金が多い」のかの判定は難しいところです。

2009年10月14日水曜日

決算書を読むシリーズ 他の市の様子も知りたい

自分で書いておいてなんだが、一人当たり何円とか、一部あたり何円とするとわかりやすいと思ったのですが、まだまだぴんとこないように思います。
やっぱり過去の推移とか、他の市ではどのぐらいだとかが欲しくなるところです。
とはいえ、他の市の決算書やまして事務報告書はなかなか手に入るものではありません。

本当はいろいろな市のいろいろなデータを、いろいろな人が分析してそれをアップできるところがあるとよいのですが。

決算書を読むシリーズ 市のHP

広報に続いてHPです。これも広報広聴費の中に入っています。
費用は127万円。データ維持管理47万円、システム保守で80万円。
HPのコンテンツ自体は各部署で作っているのでその費用は別でしょうが、思ったより安上がりなような気も。

HPの広告料は177.6万円だそうです。

2009年10月13日火曜日

なぜ財政悪化、原発マネーの福島・双葉町

朝日新聞10/13

以前の記事でもお伝えしたように早期健全化団体に21団体が指定されるとのことでしたが、その中の双葉町(決算が認定されなかったことで話題)の記事です。

「財政悪化を警告するイエローカードといえる「早期健全化団体」に、双葉町が今月認定された。全国で21市町村あるが、原子力発電所のある自治体は双葉町だけ。原発マネーと呼ばれる豊かな税収と交付金に恵まれたはずの町が、なぜこうなったのか。」

悪化の原因として、この記事では
 ・ 90年代に下水道や保健福祉施設のために多額の借金をしたこと。
 ・ 巨大な施設を作ったため、維持管理費が財政を圧迫していること。
 ・ 原発が所在している町の中で原子炉の数が少ない
 ・ 事務所が町にないため、他の原発所在町に比べ法人町民税が少ない
 と指摘しています。

 また以前固定資産税の記事でも紹介したように、原子炉からの固定資産税は多額であるものの、年の経過に伴い税収が減少していくという現象が起こります。突然多額の税収があれば、市民や議会からの「あれもこれも」という要望に応えないことは難しいと思いますが、それが年々減っていった際に昔に戻れるかというとなかなか難しいし、箱物を作ると維持管理費がかかる。
 個人でも同じですが、急にお金持ちになることが必ずしもよいこととはいえないようです。

 双葉町では原子炉の増設を東電に求めているとのことで、「原発の次も原発頼み」という状況。財政は豊かになったけれども地域振興・産業振興には結びついていないようです。

決算書を読むシリーズ 市の広報

市民に身近なものである広報。
 決算書の中では、総務費の総務管理費の中の広報広聴費に分類されています。
 広報広聴費は平成20年度で約5千万円、このうち広報ひの関係としては、
 ・ 臨時職員:約1百万円
 ・ 広報配布委託料:77万円
 ・ 広報折込委託料:1384万円
 ・ 点字広報発行委託料:450万円
 ・ テープ広報朗読:40万円
 ・ 広報ひの作成委託:1520万円(あかつき印刷さん受託)
 と約3500万円弱。
 そのほか日野ケーブルテレビ番組の放送や制作費が約440万円あります。

 ちなみに印刷部数は68500部×24回で164.4万部。
 一部あたり21円ぐらいなので意外と安い?(他の市と比べないとわかりませんが。)

 広報に広告が載っていますが、広告料収入は211.5万円(54件)とのことです。
 

2009年10月12日月曜日

地方交付税の算定根拠1

東京と大阪と全国の市を比べたときに

「大阪は東京に比べて低い(全国平均)が、全国平均で見るとその分地方交付税で埋め合わせられているが、大阪では埋め合わせられていない。」ことがわかりました。どうも一人当たりの財政基準需要額が、全国的に見て少ないようです。

なぜ東京や大阪の財政基準需要額が全国に比べて少ないのか、今回から何回かにわけて見ていこうとおもいます。

1.基準財政需要額は誰が決めているか。
 ・総務省です。
2.決めたものは何に書かれているのか。
 ・概要はこちらに(総務省HP)。
 ・法令としては地方交付税法及び普通交付税に関する省令
  に書いてあります。
3.何によって決まるのか。
 基準財政需要額の算定式を数式で表すと
 Σ{(単位費用)×(測定単位)×(補正係数)}となります。
 例えば、道路ならば
  (道路の長さあたりの費用)×(道路の長さ)×(補正係数)
  で道路に関わる金額がでます。
 同様に、消防、公園 等々を算出し合計したものが基準財政需要額になります。

 まずはどういう項目があり、何に比例するのかあげてみましょう。

 ・消防費 : 人口に比例
 ・道路  : 道路の面積と延長に比例
   (面積比例費用)×(面積)+(延長比例費用)×(延長)
    という計算です。○○に比例とあったら同様の計算です。
 ・港湾 : 施設の延長に比例
 ・都市計画: 人口(都市計画区域内)に比例
 ・公園  :人口と公園面積に比例
 ・下水道 :人口に比例
 ・その他土木費:人口に比例
 ・小学校 :生徒数、学級数、学校数に比例
 ・中学校 :同上
 ・高校 :(市立の)教員数、生徒数に比例
 ・その他教育:人口、幼稚園児数に比例
 ・生活保護:人口に比例
 ・社会福祉:同上
 ・保健衛生:同上
 ・高齢者福祉:65歳以上、75歳以上人口に比例
 ・清掃費:人口に比例
 ・農業費:農家数に比例
 ・林業水産業:従業者数に比例
 ・商工費:人口に比例
 ・徴税費:世帯数に比例
 ・住民基本台帳:世帯数、戸籍数に比例
 ・地域振興費 : 人口に比例
 ・地方再生費 :人口、耕地と林野面積に比例
 ・地域雇用費 :人口
 ・公債費 : 一定の公債費の残高に比例
   一定の公債費:減税補てん債・臨時財政対策債。合併特例債など。

 今日はここまで。
 これがどう影響するのかは次回以降。

2009年10月11日日曜日

市民財政白書を作る(動画版) 書くと読むとは大違い

財政を考える会でシナリオを読み合わせ。
 文字を黙読している分には違和感がなくても、声に出して読むと意外とつながりがわかりにくいことも。
 目で読むのと聞くのは大違いですね。。。
 時間がかかって、全部読み通すことができませんでした・・・。また次回。

決算書を読むシリーズ 公園

公園の費用は、土木費の中の都市計画費に含まれます。
平成20年度は公園管理費が1.3億円、公園整備費が6.9億円です。
公園整備費のうちほとんど(6.8億円)が土地の購入費。
平成20年度は浅川スポーツ公園と日野緑地、百草緑地を買ってます。このうち日野緑地と百草緑地は土地開発公社から買ったものです。

公園・地区広場・遊び場をあわせた面積は708,715㎡。100㎡あたりの管理費は年間約18,300円です。
1.3億円の費用のうち8千9百万円は、公園内の樹木の管理や除草・清掃などの委託費。その他大きいものは修繕費の1400万円、水光熱費の1300万円。
委託業務の主なものは、清掃等管理費を日野市環境緑化協会に1570万円、清掃作業委託をシルバー人材センターに約2300万円となっています。(事務報告書より)

これに対する財源はほとんど一般財源となっています。
関連する歳入としては、公園使用料の約4百万円(電柱等の占用料)、都からは緑地整備費の補助に3450万円となっています。
 

2009年10月10日土曜日

東京と大阪の比較 比較する市を選ぶ

前回及び前前回で大阪の市と東京の市と全国の市を平均で比較しました。
今回から、大阪の財政が苦しい市と東京の類似市を比較・分析することとします。
 (更新間隔は長くなると思いますが。)

財政が苦しい市として、財政健全化団体に該当する泉佐野市、実質赤字比率が最も大きい守口市、財政力が1.0を超えるのに経常収支比率が100を超える箕面市を取り上げることにしました。

これに対して東京都で、人口規模と基準財政需要額が類似する市と比較することとします。
 泉佐野市(人口10.1万人、財政需要152億円)には、東久留米市(人口11.4万人、財政需要152億円)
 守口市(人口14.5万人、財政需要222億円)には日野市(人口17.3万人、財政需要219億円)
  ~小平市の方が近いのですが、比較しやすい日野市にしました。
 箕面市(人口12.5万人、財政需要167億円)には国分寺市(人口11.5万人、財政需要156億円)
  基準財政収入額も173億と170億であり、近い。

台風去り、水草悪臭残った 県・大津市 財政難から動き鈍く

京都新聞10/8より
「台風18号で8日、大津市のなぎさ公園に打ち寄せた琵琶湖の水草に、滋賀県と大津市が頭を悩ませている。管理範囲の関係で湖面に浮かぶ水草は県、湖岸に上 がった水草は市が回収する決まりだが、共に財政難にあえぐだけに、回収に向けた動きは鈍い。湖面と湖岸の境も判別しないほどの大量の水草が悪臭を放ってお り、行政が線引きした回収区分に首をかしげる住民もいる。」

記事によると、
 県いわく、湖面の水草には対応するが湖岸に上がったものは市の対応。
 台風による漂着物回収を目的にした基金があるそうですが、活用に向けた話はでていないとか。
県庁内でも担当課がいろいろあり調整に時間がかかりそう。
 重さによって回収費用が変わるので費用削減のため、まず乾かすのだそうだが、そのために臭いが出るのだそう。

2009年10月9日金曜日

小平市市民財政白書を入手しました。

以前の記事でも紹介した小平市の市民財政白書を入手しました。
こだいら市民財政白書を作る会の代表の方から購入。
いろいろとお話をうかがいました。
特徴は歳出について目的別歳出に基づき詳しく分析していること、個々の項目について統計などを交えながら分析しており、かなりの力作です。
小平市と日野市は人口も近く、決算書の項目の立て方の違いなど、あらためてへ~と思うことがいろいろあります。

また、会の中で意見が合わない場合の進め方なども伺い、非常に参考になりました。
こちらのページに取り扱い書店が書いてありますので、興味のある方は是非。

2009年10月8日木曜日

決算書を読むシリーズ 固定資産税2

決算書では固定資産税は現年分と滞納分という区別しかありませんが、
予算書を見ると、土地、家屋、償却資産ごとに分類されています。
 平成21年予算書によるとその割合は土地45.6%、建物37.6%、償却資産16.8%となっています。

償却資産というのは、事業者が持っている構築物、機械・装置、車両・運搬具(自動車税などがかかるものを除く)、工具器具及び備品です。工場などがあるとこれらにも固定資産税がかかるので、市の財政に貢献することになります。
ただし、償却資産は減価償却とともに課税対象となる価格が年々減っていく(建物も減っていきますが、減り方は遅い)ため、新しい設備投資がないと、固定資産税は減っていくことになります。

例えば原子力発電所がある市である柏崎市を見ると、固定資産税は平成10年の162億円から平成19年の99億円まで60億円も減っています。推測ですが、原子力発電所の償却資産による固定資産税が、施設の経年に伴い減少していると思われます。(減ったとはいえ大変な金額なので、柏崎市は新潟県で一番財政力の高い自治体となっていますが。)ある程度予測できるとはいえ、税収がこれだけ変動すると財政運営にもいろいろ苦労があろうと思われます。

2009年10月7日水曜日

ウィルスを99.9999%不活性化するマスク販売

サーチナニュース 10/7付
日野市の(株)NBCメッシュテックが「新たな抗ウイルス技術「Cufitec」を活用した高性能マスクを2009年11月初旬より販売開始する。法人向けに備蓄用として展開し、将来的には市販化も視野に入れる。」とのこと。近所のあまり目立たない会社ですが、実はすごい会社だったのですね。
10月1日にNBC㈱から社名を変更したようです。その前は「エヌビーシー㈱」と最近結構な頻度で名前を変えています。
 もともとは製粉用の篩(ふるい)絹をつくる会社として75年前に創立、その後メッシュテクノロジーの会社として現在東証にも上場されています。HPはこちら
 ウィルスを99.9999%不活性化とあって、1枚200円とかなり高価なマスクのようです。

決算書を読むシリーズ 固定資産税1

固定資産税は市税収入の柱の一つです。
また景気に左右されにくいという特徴があります。
ここ10年間で最も少なくても105億円、最も多くても110億円と非常に安定しています。
課税対象は土地や建物、償却資産(機械など)ですが、日野市の場合は8割以上が土地と建物に対するものです。
地価が下がったことがニュースになっていますが、バブル期に地価が急騰した際に、固定資産税の負担が急増しないように調整したため、地価が下がってもそれほど固定資産税は下がらないようになっています。
しかし、長期的には地価水準に徐々に連動するので、地価の下落は徐々に税収に響くことになります。

ちなみに、固定資産税の中には「国有資産等所在市町村交付金」が約2億円含まれています。
地方税法では国や都道府県など他の地方自治体に固定資産税をかけることはできませんが、一部の財産については、もしその資産を民間企業が持っていたら課されるであろう程度の固定資産税相当額を、上記の交付金として支払うこととなっています。

ちなみに自衛隊や米軍の施設がある市にはこれと似たもので「国有提供施設等所在市町村助成交付金」が交付されます。(福生市などが該当します。)

2009年10月6日火曜日

決算書を読むシリーズ ごみ処理費用

身近なところから財政をみてみようということで、たぶん市民で関係がない人がないといえるのが、ごみではないかと。
 ということで、ごみ処理関係です。
 ごみ処理の費用は衛生費の中の清掃費になります。
  清掃費の総額は28.4億円。市民一人当たりにすると約16000円となります。
  (し尿処理費が2.2億円なので、いわゆるごみ処理は26.2億円)
 財源のうち、手数料として6.46億円が徴収されています。このうちゴミ袋の売上が約4.17億円。
 ゴミ袋中袋400円(10枚組み)なので、中袋換算で約1042万枚分の売上となります。
  ちなみにゴミ袋の製造・販売等にかかる費用は約1億円です。
 資源物の売り払い代金で約7000万円。
 広域支援ごみ受入手数料で1億円(小金井市のごみか?)の収入があります。

 清掃費の内訳を見ると以下のようになっています。
  ごみの収集
   可燃物3.89億円。収集量22,350t
     →17.4円/kg。
   不燃物2.02億円。収集量5669t
     →35.6円/kg
   粗大ごみ0.74億円。収集量1,138t
     →65.0円/kg
  クリーンセンター6.88億円。処理量37,718t
     →18.2円/kg
  資源物回収
   市の回収 4.25億円。収集量11,386t
     →37.3円/kg (資源物によりkgあたりの大変さが違うと思うが・・。)
   自治体等の回収 1300万円。収集量1,627t
     →8.0円/kg
  資源物のリサイクル(容器等)
   約6千万円。

  焼却灰の処分
   4.16億円 3,846t
     →108円/kg
   東京たま広域資源循環組合(あきる野市)への負担金。

  全体に共通する経費
   3.62億円。 うち人件費が3.29億円(38人分)



  

2009年10月5日月曜日

2008年の民間給与 10年前より35万円も減る

JCASTより
国税庁がこのほどまとめた実態調査結果によると、平均給与は10年前の1998年は、464万8000円から429万6000円に減少しているとのこと。
市の個人市民税は税源移譲(関連記事こちら)もありここ2年増えているのですが、課税のベースとなる給与は95年ごろから減り続けているようです。(アメリカでは1980年ごろから減っている(「資本主義の未来」より))
 国税庁調査資料はこちら
 長期的にいえば、平均の落ち込み(中国と同程度になるまで続くのでは)と働く人自体の減少(高齢者や女性の働く機会が増えれば別ですが)により今後とも市民税は増えないという前提で財政運営をしていかなければならない、という厳しい状況が続きそうです。

東京と大阪 全国との比較

前回は東京と大阪を比較しましたが、東京も特殊なところなので、大阪と全国平均を比較しました。
 ただし、便宜上(というか手間の問題)で、全国平均(市のみ)からは政令指定都市を除いていません。

○基準財政需要額及び基準財政収入額の比較(なお金額は人口一人当たり)
 大阪:需要14.3万円、収入12.0万円
 全国:需要15.2万円、収入12.2万円
  基準財政収入が、大阪は全国平均よりやや少ないがほぼ同じといえます。
   前回の結果とあわせると、東京が全国より多いということになります。
○歳入
 歳入全体:大阪30.5万円、全国37.5万円
 市税:大阪15.2万円、全国15.6万円
 地方交付税:大阪2.6万円、全国4.4万円
 市債 :大阪2.2万円、全国3.0万円
  国や県の支出金はほぼ同じ。

 市税収入が全国平均よりもやや低いにも関わらず、基準財政需要が低いため交付税が少なくなっています。 なぜ需要額が少ないかは別途調べてみる必要がありそうです。

○歳出:目的別
 全体:大阪31.4万円、全国36.7万円
 総務費:大阪3.6万円、全国4.3万円
 民生費:大阪11.3万円、全国10.8万円
  うち生活保護費 大阪3.1万円、全国2.3万円
 農水費:大阪0.1万円、全国0.8万円
 土木費;大阪4.0万円、全国5.6万円
 教育費:大阪3.1万円、全国4.0万円
 公債費:大阪3.3万円、全国4.7万円
 
 大阪は全国平均より5万円歳出が少ないですが、そのうち3割が公債費、3割が土木費です。

○歳出:性質別
 人件費:大阪4.7万円、全国5.0万円
 扶助費:大阪6.6万円、全国6.1万円
 公債費:大阪3.3万円、全国4.7万円
  義務的経費は全国の方が多い。
 建設費:大阪2.3万円、全国4.9万円
  ~ 全国の方は市債でファイナンスしているのではないか。

○財政指標
 経常収支比率 100を超えるのは全国で52市。
  大阪14、奈良6、福岡・鹿児島4、新潟3、北海道・群馬・京都・和歌山各2、
 青森・山形・茨城・東京・石川・兵庫・山口・徳島・高知・長崎・熊本・大分・宮崎各1
  と圧倒的に大阪府の比率が高くなっています。(近畿地方で約半分を占める)

 さて、東京と比較した際のコメントとしては、
 ①市税収入と都又は府からの支出金が少なく、交付金や国庫支出金である程度埋め合わせがされているが、なお収入は少ない。。
 ②人件費と公債費、扶助費のうち生活保護の割合が多いため、財政の硬直度の度合いが高い。
 ③児童福祉と教育費を減らすことで対応している。
 と分析しましたが、全国とあわせてみると。。
 ①歳入面では東京がむしろ特殊。基準財政需要額が全国に比較して少なく、税収が(東京と比較して)少ない分を地方交付税で取り戻せていない。
 (逆に全国は地方交付税により、税収+交付税では東京大阪を上回る。)
 ②硬直化の度合いは全国的に見ても高い。
  (人件費と公債費は一人当たりで見ると東京が低い。)
 ③児童福祉費は全国並み(東京が充実)、教育費は全国以下。

 ということがわかりました。

 全国平均は、夕張から東京23区まで含んでいるので、読み方が難しい面もあります。
 今後の調査課題として、大阪の苦しい市と東京の類似市を選び、細かに見てみる。
 財政需要額がなぜ大阪で(東京も含めだが、東京は税収があるので問題があまり顕在化していない)カウントが低いかをあげて、本日はここまでとします。

決算書を読むシリーズ この施設は何費

ちょっとクイズ的に。
 次のものは決算書では何費に分類されているでしょう。
 選択肢 総務費、民生費、土木費、衛生費、労働費、商工費、教育費
 ①浅川スポーツ公園
 ②学童クラブ
 ③火葬場
 ④勤労青年会館
 ⑤市営住宅
 ⑥児童館
 ⑦市民会館
 ⑧東部会館
 ⑨市民病院
 ⑩新選組のふるさと歴史館
 ⑪大成荘
 ⑫多摩平の森ふれあい館
 ⑬乗鞍高原日野山荘
 ⑭南平体育館
 ⑮生活保健センター

 答えはこちら(カーソルを当ててドラッグしてみてね)
 ①土木費:公園だから
 ②教育費:平成17年までは民生費でした。
 ③衛生費
 ④労働費
 ⑤土木費 ~ 民生費ではないのですね・・・
 ⑥民生費:市役所の業務上は児童館の管轄に学童クラブが入っています。
 ⑦教育費
 ⑧民生費:⑦とどうして違うかは不明。
 ⑨衛生費
 ⑩商工費:ちなみに郷土博物館は教育費
 ⑪教育費:林間学校費に分類されています。
 ⑫総務費:ふれあい館の中での保育サービスは民生費
 ⑬民生費:余暇活動費に分類されています。
 ⑭教育費:体育費に分類
 ⑮民生費:保健とありますが、衛生費ではない。

 いかがでしたでしょうか。合っていても自慢になりませんし、間違っていても落ち込むことはないですが、「なんでこうなっているの?」という感じを持っていただければと思います。 

2009年10月4日日曜日

社会保障関係特別会計のまとめ

何回かにわたってまとめてきた特別会計の仕組みへのリンクをまとめました。

1.国民健康保険の仕組み (基本
2.  同上   (退職・前期高齢
3.  同上   (国保からの負担
4.介護保険の仕組み
5.後期高齢者医療保険の仕組み
6.老人保健の仕組み
7.(番外)健保組合の負担

大阪と東京

以前より大阪の自治体の財政が厳しいことはこのブログでも何度か記事に取り上げました。
東京と大阪は大都市の郊外で状況が似ていると思われるのに、なぜ違いが出ているのかと疑問に思っていたので、調べてみました。
 データ元は総務省の平成19年度市町村別決算状況調より。
 比較対象は、東京都下の26市と、大阪府下の政令指定都市を除く市です。
 まず全体を人口で割った人口一人当たりの数字で比較して、仮説を立ててみます。

 まずは一人当たりの基準財政需要額と基準財政収入額(今後は特に断らない限りは人口一人当たりとします。)
 東京:需要12.9万円、収入14.3万円。
 大阪:需要14.2万円、収入12.0万円。
  ちょうど需要と収入の数字が逆になっている感じです。
 市税収入は
 東京:18万円、大阪15.2万円と 市税収入の差が、そのまま収入の差に反映されているようです。
 一方、地方交付税が東京は5千円、大阪は2.6万円なので、この時点で収入面での差はかなりの部分が解消されています。
 さらに、国庫支出金が東京3.4万円、大阪4.0万円なので、国庫支出金を合わせればまったく差がなくなります。 一方都道府県支出金は、東京が3.4万円、大阪は1.7万円で、東京都と大阪府の財政力の差が反映されていると見られます。
 また公債費は東京1.2万円、大阪2.2万円で大阪の方が多くなっています。

 歳出面では総額は東京31.6万円、大阪31.4万円とほぼ同じです。
 しかし公債費が大阪は3.3万円、東京が2.6万円なので実質的な市民サービスや投資にかけているお金は東京の方が1万円程度多くなっている計算です。
 目的別で主なものを見てみると
  民生費 東京11.8万円、大阪11.3万円。
   うち児童福祉 東京4.5万円、大阪3.8万円
     生活保護 東京2.4万円、大阪3.1万円
  教育費 東京4.1万円、大阪3.1万円
  総務費 東京4.4万円、大阪3.6万円

 性質別で見ると
  人件費 東京6.3万円、大阪7.2万円
  扶助費はほぼ同じ。
  物件費 東京4.9万円、大阪3.5万円(うち委託費おのおの3.1万円、2.1万円)
  補助費 東京3.4万円、大阪9千円
  建設費 東京3.4万円、大阪2.3万円
    (ちなみに土木費という切り口だと大阪の方が若干多い)
 
 経常収支比率(臨時財政対策債含む)は東京は86.3~102.1、大阪は93.2~106.5に分布。
  100を超える市が東京は一つですが、大阪は14も(31市中)あります。

 上記から予想されることとしては、(大阪の方から見て)
 ①市税収入と都又は府からの支出金が少なく、交付金や国庫支出金である程度埋め合わせがされているが、なお収入は少ない。。
 ②人件費と公債費、扶助費のうち生活保護の割合が多いため、財政の硬直度の度合いが高い。
 ③児童福祉と教育費を減らすことで対応している。
 と思われます。

 さてここで。東京と大阪を比べたのですが、東京そのものが全国から見れば特殊かもしれません。
 次回は大阪と全国を比較してみます。
 

決算を読むシリーズ 軽自動車税

市税の中でマイナーですが、軽自動車税というものがあります。
軽自動車以外の自動車の保有台数は10年前と比較すると約5万4千台から約5万2千台と減少していますが、一時期のガソリンの高騰などもあり、軽自動車はむしろ増えています。
 軽自動車税は平成20年度は9千7百万円と前年の9千4百万円から増加。10年前と比較すると3千万円近くも増えています。(細かく見ると原付が減って、軽自動車が増えているようです。)

 じゃあ、市にとっては軽自動車を買ったほうがいいんじゃないということになりますが。。
 自動車については自動車取得税(都税)の一部からそれぞれの市に道路の長さや面積に応じて配分される「自動車取得税交付金」というものがあります。
 こちらの方は平成20年度で約3.7億円と軽自動車税の3倍以上のお金になっています。
 ちなみに10年前は4.3億円ですから、軽自動車税とトータルすると減っていることになります。
 交付金の方は、自動車の台数ではなく道路の面積に比例するので、日野市の自動車が減っても交付金は減りませんが、同じことを全ての市がやると、結果的に交付金全体が減るのでみんなの収入が減るということになります。 

市民財政白書を作る(番外) 健保組合のお金

さて前回まで国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療とその前身である老人保健の特別会計に関わるお金の流れを紐解きました。
 そのたびに出てくる、健保等というサラリーマンや公務員が入る健康保険に関わるお金の流れを説明します。
 前回までは国民健康保険を主体としていたので、まとめて「健保等」となっていますが、大きくは3つのまとまりがあります。健康保険の適用事務所で働く社員が入る「健康保険組合」。社会保険庁が運営していた政府管掌健康保険から変わった「全国健康保険協会」(いわゆる協会けんぽ)、これは中小企業等の従業員や家族が入るもの。そして国家公務員や地方公務員、私学の教職員などの「各種共済」です。これらの対象者はあわせて約7650万人(家族を含めて)となります。
 下の図は全国レベルでのお金の出入り。単位は兆円(!)です。

 国から約6000億円の負担がありますが、これは健康保険協会に対するものです。

 さて、日野市民のうちこれらの制度の対象となっている人数は、国民健康保険の対象者を除いて約13万人となります。仮に全国の健保等の加入者数と単純に比例すると考えると、下記の緑色の数字が日野市民負担と計算される数字になります。単位は億円。
 日野市の個人市民税が約130億円ですが、その2.5倍の保険料を支払っている計算になります。確かに実感としても合っている気がします。
 そのうち、約53%が本人と家族の医療費。1/6弱が後期高齢者分の負担(日野市の高齢者ではなく、全国にある基準で分けられる)、1/8強が前期高齢者分の負担(これも全国へ)、後は介護保険料の分が支払基金を通じて介護保険の、退職医療の分が国民健康保険の(この2つは日野市の特別会計に?)ために負担されています。


この仕組みをどう評価するかは人それぞれと思いますが、まずこれを把握している人はあまりいないのではと思いました。知らなければ評価も何もできないので。
 自分で言うのはなんですが、なかなか画期的だと思うのですが。精度は悪いですが。

2009年10月3日土曜日

総務省地方財政関係資料公表

昨日総務省より平成20年度の決算に関する報道発表がありました。

1.市町村の普通会計の概要
  資料はこちら(PDF注意) 
  国民一人当たりの歳出総額は約37万円です。(ちなみに日野市は30万円ちょっと)。
2.健全化法関係の各種指標の概要
  資料はこちら
  エクセルの資料の方に、健全化指標を上回った団体が記載されています。

決算書を読むシリーズ 道路と街路

道路の費用は土木費に含まれます。
 土木費は決算書では
 1土木管理費
 2道路橋梁費
 3河川費
 4都市計画費
 5住宅費
 に分けられています。
 このうち道路橋梁費は4.6億円なのですが、実はここで終わりではありません。
 実は都市計画費の内訳は
  1都市計画総務費 2区画整理費 3街路事業費 4町名地番整理費 5下水道費
  6公園管理費 7公園整備費 8緑化費
 があり、街路事業費2.8億円も道路の関係の費用になります。

 じゃあ、道路と街路の違いって何か。ここからが今日の話のメインです。
 端的にいうと、道路事業は国土交通省の「道路局」の所管、街路事業は国土交通省の「都市・地域整備局」所管という違い。 原則としては既成市街地の都市計画道路を整備するのが街路事業となっていますが、具体的には「協議」のうえ決まるようです。
 (参考HP 香川県都市計画課
 こんなところまで、中央官庁の縦割りが下りてきている典型的な事例かと思います。
 ちなみに、どちらも道路に関わることなので、市の中での役割分担は基本的には両方とも「道路課」の管轄となっています。
 都市計画課は、”道路の計画そのもの”と”交通安全推進活動”が役割となっていますが、後者についてはややこしいことに、「道路橋梁費」に分類されています。
 
 ちなみに道路の維持費は年間約6千万円。
 延長は447.7km、面積は235万㎡なので単純計算すると、1mあたり年間134円、1平米あたり25円かかる計算になります。

市民財政白書を作る 老人保健特別会計の仕組み

平成20年度から後期高齢者医療特別会計がスタートしていますが、平成19年度までは老人保健特別会計でした。清算の関係で平成20年度にも項目は入っていますが。
基本的な構造は、後期高齢者の仕組みと似ています。
老人保健特別会計を広域連合に置き換えると、
 ・国や都から補助をもらっていること
 ・国保やその他の健保組合から基金を通して補助をもらっていること
 は同じ。
 違うのは、市の補助が直接ではなく一旦市の特別会計を通して広域連合にお金が出ていること、また市民からも市の特別会計に保険料が支払われていること。
 ちなみに市からの負担は、後期高齢医療特別会計に対して10.6億円なので、結果として負担が増えています。本来は市民からの負担もあるし、制度的に±0ぐらいのはずだったのですが。
 ここらへんの仕組みは複雑でよく理解しきっていません。
 財政白書の各論編で紹介できるかもしれませんが。

2009年10月2日金曜日

日野市の平成20年度決算 HPに公開

日野市のホームページに20年度の決算が公開されました。
http://www.city.hino.lg.jp/index.cfm/6,62977,157,1629,html

 一般会計と特別会計です。
 財産に関する調書があれば、決算書の内容そのままです。
 
 いろいろな市を見ていますが、決算書を全部載せているところは決して多くありません。
 是非活用しましょう。

環境首都コンテスト関東地域交流会に参加します。

5月に表彰を受けた環境首都コンテストの関東地域交流会が11/12に東松山市で行われます。
 日野市健全財政を考える会も参加予定です。
 プログラムはこちらのページ

 表彰についてはこちら
  ・ブログ記事5/17
  ・日野ケーブルテレビ
  ・環境首都コンテスト

 さて、財政がどうして環境なの?という疑問があろうかと思いますが、5月に表彰に来てくれた山田さんによると、サステナビリティのベースラインというのがあるそうで、それは
 ①環境面のサステナビリティ
 ②社会面のサステナビリティ
 ③経済面のサステナビリティ なのだそうだ。
  そのうちの経済面のサステナビリティに関するものということで、財政を考える会が表彰を受けたということのようです。

 よくわからない言葉がいろいろ出てきましたが。
 サステナビリティというのは最近よく使われる言葉ですが、持続可能性という意味。
  例えば、借金を返すために借金を重ねて残高が累増していくのは、長期間続けられるかもしれないけれどもいつかは破綻する。例えば資源を自然が再生するスピード以上に浪費すれば、いつかはなくなってしまう。 そういう、いつかは続けられなくなるときがきてしまうようなものは「サステナビリティでない」というような使い方をします。

 ボトムラインというのは、利益や損失を表す最終行が語源。
 語源からもわかるように企業の環境会計とか、CSRからの言葉で、トリプルボトムラインというのは企業活動の評価に経済面だけでなく、環境面、社会面も含もうという意味がこめられているようです。 

決算を読むシリーズ 個人住民税

市の歳入の大きな柱が市税です。
平成20年度の歳入540億円のうち、約302億円を占めています。
そのうち最も多いのが個人の市民税で132.1億円。これは前年度の130.1億円よりやや増えています。
昨年度は後半から景気の落ち込みが激しかったのですが、住民税は1年課税が遅れるため、その影響は出ていません。

つまり平成19年度の所得に基づく所得税(国の税金)は翌年の3月15日(平成19年度中)までに支払いますが、住民税はその申告書に基づき平成20年度に徴収されるため、平成20年度の景気の落ち込みは平成20年度の個人の住民税の税収には影響しないということになります。
それが影響するのは今年度(平成21年度)なので、今年度の決算が心配です。

ちなみに平成20年度の課税標準(つまり住民税の課税の対象となる所得)は約2270億円とのこと(事務報告書より)。
人口一人当たりに直すと、130万円ぐらいということになります。

2009年10月1日木曜日

市民財政白書を作る 後期高齢者医療の仕組み

介護保険に続いて後期高齢者医療です。

後期高齢者医療は東京都後期高齢者医療広域連合により運営されています。
各市町村の特別会計から広域連合へ負担金が支払われます。③
特別会計の歳入としては、保険料12.2億円(①)、市の一般会計からの繰入10.6億円(②)があります。
 市の決算書からはここまでしかわからないので、ここからは広域連合のHPから分析。
 
 昨年度の広域連合から医療機関への支払は7,687億円(⑥)。
 その原資としては、各市区町村の特別会計から総計1645億円、国と都からあわせて2624億円(④)、基金から3559億円(⑤)となっています。その基金の元をたどっていくと国民健康保険とその他の健保等から拠出された資金となります。
 ちなみに、日野市の負担は21.8億円、仮に1645億円に対する日野市の負担の割合が、日野市民に関わるところと想定した金額が青文字の金額です。
 日野市民分の後期高齢者の医療費101.9億円、それに対する国や都の補助が34.8億円、他の国民健康保険や健保等からの負担が47.2億円。と推計されます。
 なお、平成19年度の老人保健特別会計からの医療費支払が99.7億円なので、上記の医療費の金額はほぼ日野市民の医療費にリンクしていると思われます。

決算書を読むシリーズ 事務報告書

日野市の決算書は一般会計と特別会計が合冊なので全部で750ページ以上あり、「おおっ」と思うほどのボリュームですが、実は決算書だけではどうしても欠けてしまう情報がある。
決算書はお金をいくら使ったかはわかるが、それで何ができたかというのは直接には知ることはできない。
そこで出てくるのが事務報告書。市によっては違う名称がついているかもしれませんが。
図書館にいけばそろそろ平成20年度の分も出ているかもしれません。
あと統計書もあると便利。市によっては統計書の内容がほぼHPに載っているところもありますが、日野市は有料の配布をメインとしているためか、HP上での統計データはあまり充実していないようです。一部3000円と高いためか平成20年刊は4部しか売れていない(これも事務報告書に書いてある。)ので、HP上で公開してしまっても一緒のような気もしますが。

決算書の数字にあわせ、報告書などのデータもあわせながら見ていきたいと思います。