2009年5月14日木曜日

ブックレビュー シチズン・リテラシー

シチズン・リテラシー 教育出版 鈴木崇弘他編著

 この本は「『市民が市民であるために』必要とされる素養やスキルを習得するための教育の材料となるテキストを作りたい」という思いで作られた本です。

 全体的にわかりやすく非常に読みやすくなっています。
 が一市民として自分の胸に聞きながら読んで見ると、その責任の重さとよい市民となることの難しさを感じ、厳しく重い内容ともなっています。

 具体的な内容としては  
  ・日本におけるパブリックについて(市民になることの大切さ)
  ・民主主義とは  ・世界・国・コミュニティとその成り立ち
  ・経済、財政、政治、司法、コミュニティ、国際機関 について
  ・自ら考え、発言し、行動を起こすことについて  となっています。

 内容としては財政に関する説明も含んでいます。中高生から社会人までみんなにお勧めの本です。
 日野市の財政白書では、財政のイメージとして鍋のたとえを使ったのですが、この本では「みんなで共通の朝ごはんの献立を考える」ことにたとえていてなるほど!と思いました。

 ところでリテラシーとは、英語ではliteracy、原義では識字能力のこと。
 転じて、情報リテラシーやメディアリテラシーなど、○○を使う能力・読み解く能力のような意味で使われています。

 限られた財源を有効につかい、かつ子孫につけを残さないようにするためには、市民一人一人の財政を読む力、すなわち財政リテラシーが今後ますます重要になっていきます。何よりも市のお金の使い方を決めるのは最後は市民なのですから。
 財政リテラシーはシチズンリテラシーの一部をなすものですが、残念ながら財政リテラシーについては高いとはいえないと思います。  それでも(それだから?)市民による財政白書が各所で発行されるなど、財政リテラシーを高めようという動きが出てきています。このブログおよび別館図書室が少しでも、財政リテラシーを高める、あるいは高めようとする方々の活動に役立てればと願っています。