2009年12月20日日曜日

名古屋市、市民税10%減税へ 審議やり直し市長案可決

12月22朝日新聞


これまでも注目していた名古屋市の動き。このブログの記事(12月10日5月15日4月13日)でも取り上げていました。
「名古屋市の河村たかし市長の公約「市民税10%減税」を実施するための議案が22日の名古屋市議会臨時会で可決された。現行の税制下では恒久的な市民税減税の実現は、全国初になる。11月市議会では市議会側が独自の減税案を可決したため、河村市長は拒否権を発動、異例の審議やり直しとなっていた。」
なんと、減税は現行の税制下では初めてだそうです。

ブックレビュー 民主主義の未来

久々のブックレビュー 「民主主義の未来」ファリード・ザカリア著 阪急コミュニケーションズ
図書館で借りました。市民参画の本って分類は何になるんでしょうかねぇ。
 政治?行政?社会学? 図書館でも本屋でもなかなか探すのに苦労します。

 ということで直接市民参画に関係するわけではないですが、面白そうなので借りてみた。
 内容は大きく2つ、全体の3/4ぐらいを使って主に歴史的なこと。
 我々はつい自由と民主主義とセットで考えがちですが、自由主義なしで民主主義(の制度)だけを持ち込むと多数による専制になる危険性があること、自由主義に基づく民主主義となるためには豊かさが必要であることを指摘しています。
 最後の章で1970年代以降のアメリカの政治が国民から信頼を失っていることをあげ、その原因が民主的な制度から来ていることを指摘し、民衆からの圧力から独立したエリートの必要性を唱えています。

いろいろと面白く勉強になり、かつ読みやすかったのでお勧め。
前半と後半からなるほどと思った部分を引用します。
「(資源国が豊かでありながら自由にならないことについて) 安易に金を得る国は政治的には未成熟である。あぶく銭が手に入るなら、政府は国民から税金を徴収する必要がない。政府が課税するときには公共サービス、アカウンタビリティ、立派なガバナンス、さまざまな市民権や代表権などの見返りを与えなければならない。現代社会では課税権と代表権との折り合いをつけることで政府は合法性を認められる。」
日本は資源がないからだめという人もいますが、資源がないから自由になれるという面もあるということ。

「(アメリカでロビイストや利益団体の力が大きくなった理由として) アメリカ人の多くは議会を日常的に監視する時間も関心も趣味もない。しかしロビイストや政治活動家は議会の監視を怠らず、彼らの代弁するグループが連邦予算と法律の面で厚遇されるように働きかける。」
 アメリカ人のところを日本人に書き換えても最初の一文は当てはまりそう。また軍服に使われていた羊毛が戦略的軍需品であるとして1993年まで農家に1億ドルの補助を出し続けていた例を挙げ、
アメリカ政府は「白骨化した事業を大量に冷凍した巨大な塊」との指摘を紹介しています。

またカリフォルニア州の住民投票の例を挙げ、住民投票によりこれまで立法の過程で反対派を含めた議論をしていたものが、YesNOの投票になってしまったため、立法化のプロセスがすさんでしまったと解説。
「君主が専断的な命令が支配したら政治は機能しなくなるように、民衆も君主と同じようにふるまったら政治は機能しない。」
というのにはなるほど。ちなみにカリフォルニア州では財政に関するいろいろなことが住民投票で決められて制約条件が生じ、現在の財政難につながっているようです。

(今回から文字のサイズを大きくしてみます。 これまでのも必要に応じて大きくします。)