10月11日の公園についての記事で、土地開発公社から6.8億円分の土地を買ったという記事がありましたが、今日から何回かにわたり土地開発公社についての解説をしたいと思います。
土地開発公社については、平成18年度版の日野市の財政白書(第2編第1章)内容とも重なりますが、まずは土地開発公社そのものについて簡単に説明します。
土地開発公社は、昭和47年に公布された「公有地拡大の推進に関する法律」に基づき、市が出資して設立される法人です。
当時は土地の値段が上がり続けており、道路など公共施設を作ろうと思っても、土地が値上がりしてなかなか土地が確保できないという状況にありました。特に市が土地を取得するためには、原則として市がすぐに使うことが必要だったり、議会の議決が必要だったりするので、取得しようと時間をかけているうちにさらに土地が上がるなどということがあり、公共用地をどう確保するかが課題となっていました。
そのような中、議会の議決を経ずに「機動的に」土地を買える土地開発公社が設立されていったとのことです。土地開発公社が買った土地は、後年市が開発公社が土地を買うために借入をした利子を含めた値段で買い上げるということになっていました。
土地の値段が金利を超えて上昇しているときは問題が明らかにならなかったのですが、やがて地価は減少に転じました。地価が下がっているときは待てばよりやすく土地が取得できたのですが、地価の下支えや景気対策の意図があってか、「積極的に土地を買うように」との国からのお達しがあり、下がるとわかっている土地をあちこちの自治体で大量に抱え込むようになってしまったとのこと。
これにより本来の目的をはずれた無計画な土地の先行取得が行われてしまったと指摘されています。
(参考:自治体財政の会計学 新世社)
結局土地はさらに下がり、無計画に取得した土地は何年も塩漬けになっています。2007年度末で60%(金額ベース)以上の土地が10年以上塩漬けになっています。(総務省資料)
土地の取得は銀行からの借入で行っていますが、土地開発公社に対しては市が債務保証をしているため、市の隠れた借金になっています。また公共施設へ使うあてのない土地は民間売却することとになりますが、そうすると含み損が明らかになり、その分は市が補てんしなければならず、売るに売れなくなり、その間にさらに地価が下がるという悪循環に陥っています。
90年代に唯一財政再建団体であった赤池町は土地開発公社の赤字を清算したことが、直接的な原因でした。
いろいろと大変な土地開発公社。次回は日野市の決算から説明します。
2009年10月23日金曜日
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