(第一話はこちら)
第二話 不足分はいくら?
猫次郎「父上、ともかく、今年はいくらいただけるのでしょう。」
猫吉「そうじゃな。わしの見たところこうじゃ。」 と王様は一枚の紙を出しました。
「山辺の町 : 年貢60 必要費用100。不足分100-60×3/4=55
川辺の町 : 年貢100 必要費用100。不足分100-100×3/4=25
海辺の町 : 年貢160 必要費用100。不足分100-160×3/4<0 ゆえに0」
「という具合じゃな」
猫三郎「実際に60集まらないかもしれない。」
「60は去年の実績じゃ。今年これより低いようであれば来年反映する。ただし年貢の徴収漏れとかは自己責任じゃ。」
「災害とかそういうので、思わぬ出費があったらどうしましょう。」
「それは、その事情を考慮して わしが決める。」
「それからじゃ。」と猫吉がいうと、執事が分厚い本を持って恭しく入ってきました。
「町の運営については、マニュアルにまとめておいた。よく読んでそれに基づき執り行うのじゃぞ。」
(解説)
地方交付税の考え方はおおよそ上の通りです。この物語では3人(匹?)のうち1人だけが不足分がないことになっていますが、今の日本では47都道府県中2のみ、市町村では約1781のうち179のみが不足分がないことになっています。
この不足分がない市町村など「不交付団体」といっています。
実は東京はこの不交付団体の占める割合が多くなっています。(30市町村のうち17市町:除く島嶼部)
さて、猫次郎が質問した「年の途中で思わぬことがあった場合などのための交付税」が特別交付税といわれるものです。
(説明はこちら http://www.town.takatori.nara.jp/soumu/zaiseijyoukyou/html/bottom/tihokohuzei.htm*1)
先日ニュースで取り上げた「地域手当上乗せで交付税減額」で出た特別交付税がそうです。
地方交付税の総額の6%がこの特別交付税に充てられることになっています。
特別交付税も交付の基準が定められているのですが、「特別の事情が存することにより過大であると認める場合においては」減額できることとなっており、ある程度恣意性があるものと思われます。
逆に合併した市には個別の配慮があるなど、地方をコントロールする道具としても使われているように思います。
普通交付税も基準があるのですが、基準が毎年変わる+算定が複雑、でつまるところ、市の財政担当者としてはいくらもらえるかは予測が困難で、国任せという面があります。
そこらへんを集約した言葉が「わしが決める」というところなのかなと思っています。
*1当初総務省のページとリンクしていましたが、リンク切れとなったので4月に高取町のHPへリンク換えしました。