2009年4月30日木曜日

沖縄自治研究会 財政白書

沖縄タイムス 4/30

「沖縄自治研究会は、県内自治体の財政事情を市民らが分析した『財政白書~大丈夫?あなたのまちの台所事情』をまとめ、琉球大学で29日、報告会を開いた。県と8市町の財政分析を担当した9氏が見解を述べ、フロアと意見交換。難解とされる財政を市民が主体的に読み解き、自治体経営に生かす意義を確認し合った。 市民レベルで自治体の財政運営について公開で議論する取り組みは、県内では初めてだという。」

 記事によれば本土復帰(約40年前!)から2007年までの財政運営について、沖縄県、那覇、沖縄、浦添、糸満、宜野湾、うるまの6市、西原、与那原の2町を分析したとのこと。
 研究会の琉球大学島袋教授は 「右肩上がりの時代から、自治体経営は質の充実が求められる時代に変わってきた。住民が財政を深く知ることで、まちづくりの一歩が踏み出せる。他の市町村でも分析したいという声があれば協力したい」とのこと。

こちらが沖縄自治研究会のブログ。
http://plaza.rakuten.co.jp/jichiken/
琉球大学教育学部島袋教授の研究室を中心に地域の市民を交えて2002年以来さまざまな活動をしている団体です。
 自治講座などは沖縄県や市長会、町村会も後援する本格的なもの。かなり力のある研究会と思われます。
 財政白書も8市町を一度に分析するというかなりの力作と思われますが、HP上でわからないのが残念。
今後の研究成果にも注目です。

2009年4月29日水曜日

財政健全化法を勉強する その4

今回は新しい財政健全化法(正式名称 地方公共団体の財政の健全化に関する法律)についてです。

 前回は、古い財政再建法が抱えていた課題の反省に基づき、次の点を定めたことを説明しました。

 ・公営企業を含めた財政情報の開示

 ・フロー(実質収支)以外にストック(借金の負担など)を含めた評価指標の開示

 ・イエローカードの基準を定めることで早期発見、早期健全化を図る

 今回は、新しい法律による評価指標について説明します。

 評価指標自体の算定方法は、実務上はかなり細かいので厳密に知りたい方は次のHPの「健全化法関係資料」の「基本資料」から「財政指標(pdf)」を見ていただければと思います。

http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/kenzenka/index.html

 このページではそれぞれの指標の趣旨とイメージ、そのほかコメントを記しました。

   財政指標は4つ+α。①実質赤字比率 ②連結実質赤字比率 ③実質公債費比率 ④将来負担比率
  と公営事業の資金不足比率。です。

 ①実質赤字比率
  ・第2回の終わりのほうで説明した実質収支比率と同じもの。
  ・家計でいえばその年の赤字のその年の給与対する割合と考えればよいでしょう。

 ②連結実質赤字比率
  ・特別会計を含めた実質赤字比率。
  ・家計でいえば、自分の事業を会社としている場合の会社の赤字を含んだものというイメージでしょうか。
  ・「連結」というと関係するところが全て含まれるというイメージがありますが、含まれるのは各種特別会計と公営企業までで、一部事務組合や第三セクターなどは含まれません。
  ・日野市でいうと、一般会計と特別会計(国民健康保険、区画整理、下水道、介護保険、後期高齢者医療、受託水道)及び公益企業である日野市立病院が含まれます。
  ・含まれないのは、土地開発公社、企業公社、一部事務組合*1です。

 ③実質公債費比率
  ・普通会計が負担する借金の返済(利子と元本)の標準財政規模に対する割合。
  ・家計で言えばローンの支払額(主宰する会社の借金等含む)の、その年の給与に対する割合と考えればよいでしょう。
  ・実質公債費比率の算定では、②で計算の対象となった特別会計と公営企業に加え、一部事務組合分も対象となっています。

 ④将来負担比率
  ・一般会計が将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模に対する割合。
   将来負担すべき実質的な債務には、③で計算の対象となった特別会計や公営企業、一部事務組合の借り入れに加え、債務負担行為*2による支出予定額、第三セクターの損失補償額なども含まれます。
  ・家計で言えば、ローンの残高の年収に対する割合といえるでしょう。(貯金がある場合には相殺)
   ただし主宰する会社の借金や友人との共同事業による借金負担分、連帯保証の保証債務なども含むようなかんじです。
  ・①~③がフロー指標であったのに対し、この指標だけが唯一ストック指標です。
  ・そもそも公会計についてはフローの情報しかなく、ストック情報の整備がなされていないこと(企業でいえばバランスシートを作る基準があやふやな状態)、将来負担の中には確実に払うべきものと、未確定のもの、債務保証のような偶発的なものが混じっていること。  などから、課題が多い指標といわれているようです。

+α 資金不足比率
 ・地方公営企業(下水道や病院など)の実質赤字比率(①と基本的には同じ)。
  これは、個別の公営企業ごとに求める(合計しない)もののようです。

 今日は説明が長くなってしまったのでここまで。
 第5回はこちら

*1一部事務組合
複数の市町村がまとまって一部の行政サービス(例えば病院や火葬場、ゴミ処理場)を行うために組織する組合。日野市の場合は競輪、競艇、斎場、後期高齢者医療など7つの一部事務組合に加盟しています。
 一部事務組合で建物を建てる場合、事務組合で借金をしますが、利用者負担でまかなえない分は基本的には組合に加盟する市からの繰入金などでまかなうことになるため、将来の市の負担として上記③④の指標に反映されることとなります。

*2債務負担行為
債務負担行為とは、区画整理など事業に長期間を要するものの事業費の確保に備える等のために、翌年以降の支出の予定額と期間をあらかじめ定めておくものです。これは将来とはいえお金が出て行くことを予告するものになるので、議会の承認が必要です。家計でいえば、自動車の買換や住宅の購入、子どもの将来の学費を予定しておくようなものでしょうか。
一言で債務負担行為といっても、割賦払いのようなもの(クレジットカードの30回払いのようなもの)や債務保証(子供の借金の保証のようなもの)、単に将来の事業の予定(子供の学費の予定)などいろいろな性質のものがあります。

(なお本稿の作成に当たっては「自治体財政健全化のしくみ(ぎょうせい)」「総務省HP」をベースとしました。)

2009年4月28日火曜日

日野自、国内販社人員2割減 前期の最終損益618億円

日経産業新聞 4/28より

 「日野自動車は27日、2015年までに8700人(08年7月末時点)いる販売会社の人員を2割削減する方針を明らかにした。自然減のほか整備部門などへの配置転換で販売人員を減らす。国内に42社、250拠点ある販社についても1割前後を減
らす方向だ。国内トラック需要の低迷が続くとみてリストラ策を急ぐ。

 同日発表した09年3月期(2008年度のこと筆者注)の連結業績は、売上高が1兆694億円(前の期比21.9%減)、最終損益が618億円の赤字となった。今期についても国内、海外、トヨタ自動車からの受託生産とも販売台数が減少するとみており、売上高は9000億円に減少。最終損益は240億円の赤字となる見通し。 」

決算短信によれば、単独決算は税引き前で424億円の赤字とのこと。法人税法では赤字は最大7年間繰り越すことができることになっているので、仮に来年度(2010年度)以降黒字になったとしても、2~3年は日野自動車からの法人住民税は、均等割の300万円以外は入らないことになります。(ちなみに2007年度は約120、2006年度は約250億円の黒字(税引き前)でした。)

2009年4月27日月曜日

立川・日野ロケ地 都がマップを配布

4/27 読売新聞より

都は立川、日野両市で撮影された映画やテレビドラマのロケ地を紹介する「東京ロケ地マップ~立川・日野~」を作り、東京観光情報センター都庁本部や立川と日野の両市役所などで配布している。
 両市には撮影場所に使われるスポットが多く、行政が市民と協力し、ロケが行われた場所のPR活動にも取り組んでいる。マップは観光ガイドに掲載されていない魅力的な場所を市民にも再発見してもらおうと、日本語版2000部、外国人向けの英語版1000部を作成した。  女優の仲間由紀恵さんが熱血教師役を演じたテレビドラマ「ごくせん」のロケ地となった錦第二公園(通称・オニ公園、立川市)や、松浦亜弥さんが主演した映画「スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ」が撮影された実践女子大学(日野市)など15作品で使われた7か所が、地図や写真付きで紹介されている。  都観光部は「マップを持って地域を散策してもらえれば」と話している。

 実は多摩地域はロケの誘致に各市とも積極的です。日野市はフィルムコミッション連絡協議会加盟の日野映像支援隊
  http://hino-film.hp.infoseek.co.jp/
 が活躍しています。この記事で紹介されているほかにもキムタクが出ていた「エンジン」や今話題の草彅剛が出演した「日本沈没」のロケも行われました。

ブックレビュー 自治体財政健全化法のしくみ

ブックレビュー スラスラわかる! 自治体財政健全化法のしくみ 月刊「地方財務」編集局編 ぎょうせい
 2007年12月発行
 図書館で借りてきました。 コラムを書くにはやっぱり本を参照するのがよいかなということで、借りたものです。

 基本は自治体の職員(財政関係以外)向けと思われます。

 健全化法ができた経緯がわかりやすく書いてありますので、「財政健全化法ってなんだろう?」と思っている人にお勧め。
 中盤以降は、各指標の具体的な計算や健全化計画などの手続きの説明になっていくので、行政職員や財政をある程度知っている人でないと読みにくいかも。

 この本の初版の出版段階では、財政健全化の4つの指標は示されているものの、どこまでいったらイエローカードでどこまでいったらレッドカードかの具体的な数値が決まっていませんでした。それだけに、その数値がどのへんに設定されるのかという推察がされており、非常に興味深い。
 イエローカード状態になると「各自治体が策定した財政健全化計画を監視」する必要が生じるため、あまりに多くの市町村がこれに該当すると監視するのは大変になるため、ある程度の数に収まるように設定されるであろうことが書かれています。
 ということなので、財政健全化の基準というのは絶対的なものではなく、あくまで相対的なものであり、総務省や県が監視しできる範囲で財政の悪いほうからある程度の自治体が指定される。 というような性質を持つものであることが推察されます。
 つまり財政健全化の指標が基準を超えないということは、必ずしも財政が健全であることを意味しないということであり、(超えると健全ではないとはいえる。)それについては市民が常に注視していなければならないということだと思います。

2009年4月26日日曜日

コラム 財政健全化法を勉強する その3

 前回は「再建法(正式名称 地方財政再建促進特別措置法)」について説明をしました。
 今回は再建法が見直されるようになった理由について説明します。(第二回はこちら。)

第三回 再建法の問題点
  再建法は夕張市の財政破綻により見直され、財政健全化法が制定されたわけですが、実はそれ以前から問題点は指摘されていました。
 ひとつは、普通会計以外の第三セクターや土地開発公社などの赤字が見えないこと。
 夕張の前に財政再建団体*1であった赤池町は土地開発公社の赤字を取り込んだため、財政再建団体となりました。逆にそのようなものの膿(うみ)を出す決意をしなければ、膿がたまったままどんどん財政が悪化することとなります。
 例の大金持ちの息子の例えを使えば、「自分が設立している会社の連帯保証」を含めず、家計の状況を評価しているようなものでしょうか。
 
 もうひとつは、財政再建団体となるかどうかの判断の指標となる「実質収支比率」が操作可能なこと。
 第三セクターや土地開発公社の赤字を処理するかしないかの判断もありますが、例えば「借金をすると実質収支がよくなる」ので、財政再建団体となることをさけるために借金をするというわけのわからないことがおこります。
 夕張の場合には一時借入金を他の会計と行ったり来たりさせることで、この数値をごまかしていたようです。
 例えば、総務省の決算カードをみると平成13年から16年まで実質収支比率は0.0%でした。
 ところが、平成17年には突如37.8%の赤字、平成18年は791.1%(!)、平成19年は730%の巨額の赤字を計上しています。これは既に財政破綻していたものをごまかしていたものを平成17年度以降に一気に吐き出したことにより生じたとみられます。
 大金持ちの息子でいえば、銀行の残高を保つためにサラ金から借金をして、家計が赤字でないように見せかけていたようなものです。平成16年は夕張市の歳入の約半分(100億円弱)が”諸収入*2”というものでした。収入500万の家計に例えれば、一年に1000万円サラ金を借りて収支を均衡させていたようなものです。
 後からみれば誰の目にも破綻しているといえそうですが、実質収支上は財政は破綻していないとされていたのです。
  
 また再建法では、早期に是正を促していく機能がないことが指摘されました。再建法により現在財政再建団体に指定されているのは夕張市ただひとつです。ということは1800以上ある自治体で最も財政が悪化した自治体にしか適用されていないということでもあり、そこに至るまでなんら是正がなされないということになります。
 そのため事態が非常に深刻化してからの再建となり、市民生活に与える影響も甚大なものになってしまうというのです。
このような問題に対し、新しい法律「地方財政の健全化に関する法律」では
①公営企業を含めた財政情報の開示
②フロー(実質収支)以外にストック(借金の負担など)を含めた評価指標の開示
③イエローカードの基準を定めることで早期発見、早期健全化を図る
 ことを定めました。
 (参考URL http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/kenzenka/index.html
 次回は、新しい法律による指標について紹介します。

 第4回はこちら


*1正確には「準用財政再建団体」、再建法は本来「昭和29年のみ」の臨時の法律であり、この規定を昭和29年以外に準用(似たような場合に適用するという意味)するため、”準用”財政再建団体という名称になりますが、簡便のため「財政再建団体」といっておきます。
*2諸収入は、「それ以外の収入」として、延滞金、預金や貸付の利子、受託料収入など雑多なものです。一時借入金も含まれるようです。

2009年4月25日土曜日

平塚市 市民が作る財政白書

以前から財政白書を作る動きがあった平塚市ですが、最近完成したようです。
http://www3.plala.or.jp/beebee/machi/juuminryoku/h-jichitaizaiseiken.html

 ひらつか自治体財政研究会 が 
 「平塚市民手作りの財政白書目指して 気になるところ、調べました私たちの税金は何にどうつかわれているの」
 です。 目次が上記ページにアップされています。
 市の財政の総論よりも市民の関心の高い話題と思われる、下水道・公営事業・ごみ焼却炉などを中心に編集しています。
 全部で135ページの力作です。

 平塚市は 市民活動ファンド があり、審査を通れば助成金がいただけるようです。(助成総額300万円の狭き門ですが。)そのこの研究会は、市民活動ファンドを活用しているとのこと。

2009年4月24日金曜日

コラム 地方交付税と地方債 別館図書室にアップ

3月に連載していたコラム「地方交付税と地方債」を別館図書室にアップしました。

 どうしてもブログでは通しで読みにくいかと思いますので、興味のある方はこちらを。
  http://sites.google.com/site/siminzaiseihakusho/Home/fairu-no-okiba

2009年4月23日木曜日

コラム 財政健全化法を勉強する その2

第二回です。第一回はこちら

第二回 財政健全化法前の法律 ~ 市が財政破綻したらどうなるか
 新しい財政健全化法以前は「地方財政再建促進特別措置法」(以下「再建法」と略します。)という法律がありました。

 「民事再生法に基づく再生手続開始の申立て」することを一般的に「倒産する」というように、
 「再建法に基づく財政再建団体の申請」をすることを、「市が財政破綻する」といっています。
 夕張市も2006年に申請することで、財政再建団体となっています。

 財政再建団体になるとどうなるのか。前回の大金持ちの息子の話の話と対比しながらごく簡単にまとめてみました。
  わかりやすさのため、たとえ話の方は青色の文字で記載しています。また市町村の場合ということでまとめています。
 (以下黒字の部分についてはWikipediaの記事を参考として書かせて頂きました。)
○どういうときに財政再建団体になるか?
 実質収支比率*1(その年の赤字の標準財政規模*2に対する割合)の赤字が20%を超えた場合。このような状態になると借金が自由にできなくなるため、財政再建団体の申請をせざるを得なくなります。
 たとえて言えば、大金持ちの息子の家計が非常に悪化した状態。親が定期的に銀行の残高などをチェックしているので、ある程度悪化すると銀行に手を回してお金を息子が借りられないようにするので、息子は親に泣きつかざるをえなくなるというようなものです。
○どうやって財政再建をするのか
 財政再建団体に指定されたら、県の指導に基づき「財政再建計画」を作成します。それにより借金ができるようになります。
 親に泣きついた息子は、「今後はこのようにすることで家計を立て直します」ということを親に約束することを条件に、お金を借りられることになります。
○財政再建団体になるとどうなるか
 財政再建団体になると、予算の策定をはじめとした財政運営を県の管理の下、進めていくことになります。実質的に自治権を取り上げられたような状態になります。財政の再建が優先されるため、税率や手数料などの負担は最大に、市民サービスは法の許す限り最小になり、市民生活への影響は多大なものになります。財政破綻をした夕張市が大変な状態になっていることはニュースなどでみなさんもお聞きだろうと思います。
 金持ちの息子の例でいえば、お金の使途についていちいち親の目が入ることになり「外食禁止」「11時消灯」「自動車売却」「残業推奨」など非常に厳しい条件をつけられたなかで生活をすることとなります。

このような「再建法」による財政再建の仕組みですが、夕張市の財政破綻をきっかけに見直されることとなりました。
次回は、なぜ再建法が見直されるようになったか、その理由について説明します。
第3回はこちら

*1実質収支比率:実質収支の標準財政規模に対する割合のこと。
  実質収支とはその年度の歳入と歳出の差から翌年に繰り越すべき財源を差し引いた額のこと。
 個人にたとえるならば、その年の赤字の基本給に対する割合とでもいいましょうか。「翌年に繰り越すべき財源」とは例えば、子どもの学費に充てるために親からお金をもらったけど学費は翌年に払った場合の「学費に充てるためのお金」のようなもの。  
  
*2標準財政規模:
  自治体が通常水準の行政活動を行ううえで必要な一般財源の量。
  (通常の状態で収入されるであろう一般財源という説明もあり。)
 個人に例えるならば、家族手当や住宅手当などを含んだ正社員の経常的な給与にあたるでしょう。

2009年4月22日水曜日

なごやしの台所事情

4/13日投稿の「なごやしの台所事情」がHPにアップされたので紹介します。
 http://www.city.nagoya.jp/shisei/zei/yosan_zaisei/daidokoro/nagoya00065700.html
 平成19年度からアップされているようです。
 予算額を自主財源の額=500万円/年になるように圧縮して、収入・支出・ローンなどの残高をしめしています。 ま、それだけなんですが。
 
 同じ名古屋市のHPで注目したのが「公の施設に係る受益者負担のあり方に関する報告書」
 http://www.city.nagoya.jp/shisei/zei/yosan_zaisei/nagoya00009182.html
 財政健全化の中で受益者負担がよく言われますが、「どれぐらい受益者負担とすべきか、どういう根拠をもってかんがえるべきか」ということについて、かなり根本に立ち戻って議論されているので、興味深いです。
 利用料金を前年のコストにリンクするようにすると、無駄のある運営はすぐに利用料金に反映されるので市民の目によるチェックが行き届きやすくなるのではないか、などと個人的には考えたりするのですが。

2009年4月21日火曜日

Yahoo「財政白書 市」ランキング

今度はYahooで調べてみました。
 出てくる市は大体Googleと一緒。順位は結構違います。
1 八王子
2 日進
3 西東京
4 稲城
5 (西東京)
6 箕面
7 (八王子)
8 栃木
9 旭川
10 (稲城)
11 我孫子市
12と13 小平市
14 長岡京
15 袋井
16 東村山
17 成田
18(長岡京)
19 福生
20 あきる野
21 人吉
22(東村山)
23 佐倉
24と25 市原
26(旭川)
27(あきる野)
28 大村
29 羽村
30(福生)
 ちなみに日野市は34位 

2009年4月20日月曜日

Google「財政白書 市」ランキング

4/20現在「財政白書 市」で検索したランキングです。
1東村山 
2松本(市民版紹介) 
3我孫子
4八王子 
5稲城 
6国立
7立川 
8昭島 
9小平 
10栃木
11西東京 
12東大和(市民版の感想)
13長岡京 
14旭川 
15袋井(静岡)
16大村 
17栃木(再び) 
18福生
19上田(市民の動き) 
20日野
21箕面 
22佐倉 
23市原 
24国立(市民版の感想) 
25日進
26総務省 日野市の紹介 
27上田市(市民の動き) 
28宇都宮
29と30羽村

 東京都と首都圏が多いようです。
 ところで「市 財政白書」と順番を変えると、順位が少し変わります。不思議です。

2009年4月19日日曜日

我孫子市:旧市民会館の売却計画、宙に

毎日新聞 4/19
 
我孫子市で、旧市民会館の土地・建物の売却計画が宙に浮いている。新しい市民ホールの建設資金に充てようと昨年春から買い手を探してきたが、建物の解体費などがネックとなり、候補が次々辞退したためだ。市は売却方法などの見直しを余儀なくされている。【武田良敬】

 この旧市民会館は市役所の北側にあったボーリング場を昭和53年に買い取って改修し活用していたもの。
 その後耐震診断で基準を満たさないことと、アスベストを使用していたため、2年前に閉鎖したとのこと。
 現地建て替えは難しいので、民間に売却して新しい市民ホールを建てるという予定だったのですが、売却候補の病院などが相次ぎ断念してしまったとのこと。

 建築基準法は昭和53年の宮城県沖地震を受けて、新しい耐震基準が昭和56年にできました。そのため、それ以前にできている建物はいわゆる新耐震基準前のものとして、現在の基準に合わないものが多くあります。また昭和50年以前は吹き付けのアスベスト(空気中に飛散しやすい)が使われています。
 ということで昭和50年以前の公共施設を、人口が減っていく中でどうお金をかけずに、安全にしていくかというのはどの市でも重要な課題となります。
 我孫子市のアイデアは非常によいと思うのですが、、、アスベスト付だとリスクが大きいので民間としては取り組みにくいのでしょう。 アスベストについてはきっちり調査すれば、時期さえ合えば調査費を上回るメリットが出るとは思うのですが。

2009年4月18日土曜日

市原市財政白書

市原市の財政白書 平成19年度版(平成18年度決算)が最新です。
 http://www.city.ichihara.chiba.jp/030zaisei/zaisei/siryou/hakusyo/h19.htm

工業地帯があるためか、市税収入が多く、財政力は強いです。
構成は、市の現況、予算、決算、財務諸表、財政計画の順で、予算の説明に重点が置かれています。
 特徴としては
  ・市の現況をよく解説していること
  ・予算の項目で、国の財政についても簡単に触れていること
  ・中期的な財政計画では、市税は将来的な減を見込んでいるなど比較的堅実な計画を立てていること
  ・京葉八市との比較がされていること  など

 説明として参考になる部分としては、
  ・財務諸表 行政コスト分析の課題について、キャッシュフロー計算書について がわかりやすい。

 また財政読本「いちはらの財政」
 http://www.city.ichihara.chiba.jp/030zaisei/zaisei/siryou/documents/zaisei.pdf
 は、財政の基本(予算の決まり方など)や施設別の建設費用が説明されているほか、
  全般に見やすく構成されており、お勧めです。

 法人税収が多いため、平成21年度は「実施計画の事業を実施した場合」36億円超の財源不足が生じるとのこと、法人税収が多いのは財政運営上魅力ですが、経済変動時にどう対応するかというのが課題ですね。
 

2009年4月17日金曜日

お勧め財政白書 その5

お勧め財政白書 その5
 今回は歳入・歳出項目の説明でお勧め

○譲与税や交付税の説明
 ・立川市P61~

○公債費関係
 ・国立市P25~29
  地方交付税制度の実質的破綻と、公債費の繰上げ返済の問題をズバッと解説しています。
 ・小平市 平成14年版 P38
  減税補てん債と臨時財政対策債の解説

○地方交付税関係
 ・東村山市 P12 基本的な仕組み
 ・狛江市 P8 臨時財政対策債との関係

○市税
 ・福生市 主な市税の特徴を簡潔に説明しています。P11
  また福生市の特徴である基地交付金の内容の説明があります。P17

○歳出項目
 ・小平市 P19 目的別歳出、性質別歳出の各項目の説明
 

2009年4月16日木曜日

コラム 財政健全化法を勉強する その1

はじめに
夕張市の財政破綻を契機に、財政健全化法(正式名称 地方公共団体の財政の健全化に関する法律)が平成19年6月に制定され、平成19年度決算から新しい指標による財政状況の公表が義務付けられました。
各市の決算状況を報告する広報などで指標が発表されているのを目にしているかと思います。
その一方でこの指標の公表について唐突な印象を持ったり、よくわからないという印象を持っている人も多いかと思います。

このコラムは「日本一わかりやすい財政健全化法の指標の説明」を目指し、連載をしていこうかと思います。
書いている本人も勉強中なので、時間がかかったり、わき道にそれたりするかと思いますが、ご容赦ください。

第一回 市の財政破綻とは ~ 民間と違う考え方
 財政健全化法が制定されたきっかけは夕張市の財政破綻といわれています。
 ところで市が財政破綻するとはどういうことでしょう。実は調べてみると、市の財政破綻と言っているものは、民間企業や個人の財政破綻(倒産や破産など)とはかなり異なるものであることがわかりました。

 民間企業や個人の財政破綻についてごく簡単にまとめると
 ○どういうときに財政破綻というか
  ・支払いができないとき
   例えば会社の場合、手形が2回決済できない(支払期日に銀行の残高が足りない)と銀行取引停止になり、倒産します。
   個人でも払いきれない借金がある場合は破産の手続をすることがあります。
  ・債務(借金など)が多すぎるとき(会社の場合)
   資産(財産)よりも債務(借金)が多いとき ~債務超過といいます。
 ○それでどうするか
  ・財産を換金して借金を返す。
   → その上で返せない部分は免除。(破産の場合)
   又は
  ・債務を圧縮 → 計画に従って経済再建を図る(民事再生などの場合)
 
 となります。
 それでは、市や町の場合はどうかというと、例えば借金の支払いができないという状況になった市や町はいまのところありません。(海外では国や地方自治体が借金を払えなくなったことはありますが。)
 それは「最終的には国が面倒を見てくれる」という思いから、銀行などから貸し渋りにあうこともなく、資金が供給されるからと考えられます。
 日本の市や町の場合には、財政の悪化度合いを示す数値がある程度以上悪くなったら、国が支援することになりますが、その条件として、県や国が承認できる財政再建のための計画を作成し、県や国の監視の下財政再建を図ることになります。
 個人の場合でいえば、大金持ちの放蕩息子が借金を背負った場合(金貸しは親が金持ちなのでいくらでも貸す)、息子に自由に金を使わせる権限を奪い(カードを取り上げて小遣い制にするとか)、監視をつけて働かせるなど、自分の管理下におくことにより、借金を返済させるようなものと考えてもらえればよいかと思います。
 (財政破綻した市が放蕩息子だといっているわけではありませんので念のため)

 夕張市の財政破綻により地方自治体の財政健全化に関する法律が変わったのですが、「借金を免除してもらうのではなく、財政再建のための計画を立てて健全化を図る」という基本的な考え方は変わっていません。
 それでは新しい法律により、どう変わったのでしょうか。次回はその点を解説しようと思います。
 第2回はこちら

2009年4月15日水曜日

旭川市財政白書

旭川市の財政白書 平成16年から5年分がHPにアップされています。
 http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/zaisei/hakusyo/hakusyo.htm

 構成はスタンダード 全19ページ。
 他の財政白書と違い、予算を中心に経年的な比較しています。

 財政悪化の分析は地方の中核都市共通かも。交付税の減少が大きく効いているようです。
 また生活保護の割合が高い。35万人の人口(日野市の2倍)に対し、保護対象は11739人と日野市の7倍以上。北海道は保護率が高いようですが(約2%)、そのほかに何か要因があるのでしょうか。

財政の仕組み
 http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/zaisei/sikumi/shikumi.htm
 基礎的な用語の解説(予算、決算、補正予算、一般会計。歳入、歳出項目の用語)

2009年4月14日火曜日

杉並区財政白書

杉並区は1999年から財政白書を発行しています。
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/library/library.asp?genre=203010
いままで調べた中では一番最初に発行しているかも。平成20年で10回目です。
○構成
 ・財政状況の分析(普通会計決算)
 ・財務諸表による分析
 ・事業別コスト計算
 ・ABC分析
 ・新しい財政健全化指標

 財政状況の分析はスタンダード。 事業別コスト計算以下が特徴。
 新しい財政健全化指標については今年は言及している市が多いです。

○参考になる説明
 ・歳入の内容と一般財源をひとつのグラフに統合。(折れ線の色が同じで見づらいところが残念)
 ・健全化指標の経緯について丁寧に説明がされています。

○分析の視点の特徴
 ・区債の残高の圧縮を大きなテーマとしています。
 ・事業ごとのコスト計算については、6つほどの事業を選択しています。(毎年いくつかのテーマを入れ替えているよう。) ごみ処理のコストについてはどの市町村でも課題となるので、いろいろな市で作って相互に比較できるようにできればよいですね。

○興味深く思ったこと
 ・平成18、19と区債の発行をしていない! 経常収支比率70%台の財政力だからできるのでしょうかねぇ。 比較的財政状況がよいときに借金を減らしておけば、今のような情勢では役に立つでしょうね。
 ・有料駐輪場事業 収入でコストのほとんどを回収!(6.9億の費用6.6億の収入)
  しかも放置自転車が9千台から2.6千台に減少!
 ・ABC分析とはActivity-Based Costingの略。
  ABC分析をGoogleで引くとパレート図による要因分析が紹介されていますが、それとは別。
  活動基準原価計算で調べると出てきます。 ~私も説明できるほど理解してません。。。。
  徴税コストの分析で滞納のないものは一万円あたりのコストが143円なのに滞納分は1100円にもなるというあたりが参考になって興味深い。

2009年4月13日月曜日

名古屋市長選 市民税10%減税で白熱

名古屋市シリーズ もう一本

4月10日 中日新聞
 12日に告示された名古屋市長選、民主の推薦する河村たかし氏(60)が掲げる「市民税の10%減 税」に関する議論が白熱しているとのニュース。

 「先に減税ありきで税収を減らすことで役所の無駄をあぶり出し、消費促進などの経済効果もあるとアピールするが、ほかの出馬予定者は実現性に疑問符を付ける。 河村氏の構想では、個人・法人市民税(09年度見込み2355億円)の10%を減税する。個人は1人年間1万5000円、法人は1社10万円程度、負担が軽くなる計算だ。 」

反対論としては「▽もともと納税していない低所得者層に恩恵がない▽財政に余裕ありと見なされ国や県の補助金を削られる▽起債も制限される▽財源はどうする−など。」

衆院総務調査室によると、「減税しても、起債制限や補助金を削られる法的な根拠はない。起債は以前は制限されたが、3年前の法改正で、減税しても総務相の許可があれば可能になった。」

市職員が懸念するのは補助金の方だ。補助金は市幹部が中央官庁に陳情して付けてもらう政治的な側面がある。減税したら「そんな余裕があるのなら補助金は要らないでしょ」と門前払いされるのではないかと。

ニュースに関してランダムにコメント

地方分権といいつつ、歳入については(法令上はともかく)ほとんど自治体の裁量の余地がないというのが、日本の現状であり、問題点といわれています。国の方針によって突然住民税が減税される一方で、自分が変えるのはたった10%でも大変というのはまさにこの点を象徴しているようにも思うのですが。

企業誘致のための一定期間固定資産税を減免したりというようなことはよくあるのですが、市民を誘致(?)するために住民税を安くするという話は聞いたことがないのですが。なぜでしょうねぇ。まあ個人の場合住民税の安さで住むところを決めるわけではないからでしょうかね。  逆に「高い住民税を払っても住みたい。」と思われる町を作ることが重要なのかも。

名古屋市さんの台所事情 家計に例えまとめる

読売新聞 4月9日より
「名古屋市は、市の厳しい財政状況と財政健全化への取り組みについて市民に理解してもらおうと、財政状況を一般家計に例えた「なごやの台所事情」にまとめた。市の2009年度一般会計当初予算額を、年収500万円(月収41万6700円)の1か月の家計に当てはめた。
 支出は月収(税収など)だけではまかなえず、親からの支援11万2000円(国や県からの支出金1883億円)に加え、ローン6万1000円(市債 による借入金1025億円)に頼らざるを得ない状態だという。09年度のローン残高は1292万円(市債残高1兆8088億円)で、年収の2・6倍に上る。」

  今月20日以後HPにあげるとのことなので、公開しだい別館図書室でリンクを張ろうと思います。

2009年4月12日日曜日

09年度一般会計:国債が税収上回る

毎日jp 4/10 より
「政府・与党が10日に決定する過去最大規模の追加経済対策により、09年 度の一般会計の総額は100兆円を超え、国の借金に当たる国債の発行額が戦 後初めて税収を上回る見通しとなった。」

補正予算による財政支出15・4 兆円、このうち積立金の取り崩しで3兆円、残る10兆〜11兆円を建 設国債と赤字国債の発行でまかなうとのこと。 これにより国債発行額は43兆〜 44兆円程度、一方、09年度の一般会計税収見通しは景気の落ち込みによる企業業績の悪化などで、国債発行額を下回る見通しとなったとのこと。
 一般家庭でいえば、給料以上の金額を借金でまかなっていることになり、まさに異常事態といえるでしょう。

 国の借金は借金時計によると800兆円弱。少しぐらい増えたところでもういいやという感じなのでしょうか・・・??
 ところで財務省「国債等所有者別残高の各国比較」によると国債の所有者の42.5%が政府等が保有しているらしい。
  政府等って国のこと? なぞが深いです。どういうことかうまく説明できる人はおりますでしょうか。ちょっと頭がこんがらがっています。

2009年4月11日土曜日

おすすめ財政白書 その4

第4回は財政と関係の深い行政改革に関する用語などについて

○行政と市民の関係について
 ・行政が何を行うべきかということに関する基本的な考え方について
  東久留米市の市政構造改革の記事 : 行政の役割について丁寧に説明されています。

 ・受益者負担
  同じく東久留米市の市政構造改革の記事から。:多くの市の財政白書でも考え方が書かれていますが、おそらく一番丁寧な解説では。
  ちなみに下の公共施設の4象限の図は立川や多摩など多くの自治体で使われています。このブログでも紹介した「都市政府のマネジメント」でも紹介されています。原典は吉田民雄著の「都市行政の新しい設計」1995 のようです。

 ・財政錯覚
  財政錯覚そのものの説明としては白書ではありませんが、こちら
   以前紹介した「よくわかる自治体財政の仕組み」の著者の肥沼位昌さんのページです。
  日野市財政白書のH15年版 P8~9にかけて、財政錯覚という言葉は使っていませんが、わかりやすく説明しています。
  市の財政白書で財政錯覚を正面から取り上げている例はあまりないようです。上記の白書を作ったときも市民が反発するのではないかという心配があり、この表現についてはかなり議論になったくらいですから。

○最近話題の言葉
 ・指定管理者制度
  東久留米ばっかりになってますが、こちらの市政構造改革のページ。
  ウィキペディアの解説 ~ 問題点も指摘されており、単に導入して満足するのでも、民営化だからといって排除するのでもなく、よりよいガバナンスを実現するひとつの手法として磨きをかけることが重要と思います。

2009年4月10日金曜日

ブックレビュー 希望の構想

希望の構想 神野直彦井手英策 岩波書店 2006年

この本は、地方分権や財政改革の今後のあり方を考えたい人向け
 ある程度基礎知識が必要。基本的には現在の政策に対して「地方切捨て」「福祉切捨て」と批判的。(神野先生は民主党の主要なイデオローグとのこと)
 世の中の悪いことをセンセーショナルに書き連ねて、何でも格差社会に原因を求めて、元総理を批判しておしまいという書も多い中、この本の特徴は地方分権のあり方、社会保障制度、税制、国債について具体的な提案をしているところ。
 特に地方分権のあり方については納得度合いが高かった。

 以下本書の構成に従って簡単に
序章  現在の小さな政府への政策に対する批判
第一章 地方が自分で自分のことを決められるための地方分権の制度設計について
  行政任務の適切な割り当てとそれに見合った財源の確保が重要という、こう書いてしまうと当たり前なのだが。地方が自分の財政の命運を自分で決められないという指摘はまさにその通りと思います。

第二章 年金・医療について 基本的なところは税方式にしようということなのですが、それでうまくいかないから保険になっているのであって、本当にそれでうまくいくのかな?という疑問は残る。元が難しい話だけにあまりよく理解できてなかったのかも。第一章のような定量的な提案を今後是非研究していただくことを希望。

第三章 税制について 資産税強化と消費税改革の提案。趣旨はよくわかる。でも現在そうなっていないのは何か理由があるはず。そのハードルとは何か?どう越えるかを示してあるとよかった。

第四章 国債の管理について 金融についてはあまり知らないのでよく理解できなかった・・・。
 国債残高もすごいけど資産もあるからあまり心配いらない。財政再建を口実に小さい政府を目指すのが問題だ。ということなのですが。安心したい気持ちもあるけれども、なかなかそういう気持ちにはなれないようです。

制服ワッペン2万枚作り直し、3400万どぶ…都下水道局

読売新聞 4/10
「東京都下水道局が昨年、制服に付ける都のシンボルマークを添えたワッペンを2万枚作製したところ、シンボルマーク使用に関する内規に反したとしてこれを使わず、新たに約3400万円をかけて、ワッペンを作り直していたことがわかった。」

 内規に違反したというワッペンですが、デザイン的にみるとよっぽどよいと思うのだが。 しかもわざわざそんなお金をかけて作り直すなんて。
 やり直さないと ①今後ふさわしくないデザインが出る可能性がある ②華美なデザインになってお金がかかるものが出てくる
 という心配があるのかもしれませんが、役所の人が集まって考えればそれほどふさわしくないものが選定されるとは思えないし、お金については予算を決めてしまってその中での裁量ということにすれば、職員の創造性も高まると思うのですがねぇ。

 と思ったら新しいニュースが、石原知事が怒っているとか。無理もないか。

昭島市民手作りの財政読本

以前紹介した昭島市の市民の財政白書
 財政白書を作っている「あきしま財政研究会」のHPがオープンしました。

 http://www12.ocn.ne.jp/~akizai/
 ・本の表紙 ・新聞等への紹介 ・内容 ・売っているお店
 などが紹介されています。
 今後の充実に期待しましょう。

 ページ右の関連リンクからもジャンプできます。

2009年4月9日木曜日

なぜ市町村の決算発表は遅いのか

財政分析を行っていて悩ましいのが、市の決算発表が遅いこと。
平成20年の決算は平成21年の早くても9月にならないと出ません。
 いったいなぜなの?ということで調べてみました。

年度は3月31日で終わりますが、実はその後に出納整理期間が2ヶ月あります。これは地方自治法(235条の5)で定められています。
これは3月末までに入るべきお金と出るべきお金が、必ずしも3月31日までに出金や入金があるわけではないので、2ヶ月間の受け入れ期間を設けて、ここまでに入ったお金は前年度に入ったお金とするということのようです。

その後決算書類を3ヶ月以内に作成して、それを市長に提出、市長は監査委員の審査にかけて、その結果をもって議会の認定を得る必要があります。仮に3ヶ月かかると書類ができるのが8月末、その後の審査などを考えると9月議会ぐらいに認定がされることになるわけです。

 ところで、民間企業も決算書類を取締役に提出、取締役は監査役の監査を受けて、株主総会(3月決算の場合は大体6月下旬)の決議を経て決算が確定します。市の手続きと似ていますね。でも民間企業の場合は決算報告が5月ぐらい、早ければ4月に新聞などで発表されます。
 決算が確定しないのになぜ?と思われるかもしれませんが、理由のひとつは株主に会社の経営状態をタイムリーに伝えるため、もうひとつは経営陣や社員が会社の経営状態をタイムリーに知り、企業の舵取りに役立てるためといえます。
 財政状態をタイムリーに知ることは企業でも公共的な団体でも同じ。市の決算ももう少し早くわかれば市政の向上に役立つと思うのですがどうでしょう。

 地方自治法の壁はありますが、決算は3月31日で閉めて入金すべきお金は未収金、出金すべきお金は未払金とし、一定期間内に収支できなかったものは翌年度の歳入・歳出に含めるという方法で処理できれば、書類作成のスタートが早くなり、6月議会での承認も夢ではないと思うのですが。 またある程度まとまった段階で発表するのもひとつ。そういう情報を先に手に入れるのが議員の特権と思う向きもあるので、議員さんの反対にあいそうですが。

行政改革.com

行政改革に関係するニュースやホームページ、資料へのリンク集です。

 アドレスはこちら http://homepage3.nifty.com/npm/link/

 全国の自治体の取り組みや行政評価、政策評価、事業評価、市民参加などなど分野別の分類など、”行政改革”という言葉がさすところの広さと深さを感じるページです。

 特にトップページ下のお勧めリンクや国の機関へのリンクは参考になりそう。(膨大なのでほとんど目を通せてないですが)

 財政白書作りも広い意味で行政改革の一分野ですので、このページは注目です。

2009年4月8日水曜日

多摩市財政白書

財政白書のページが見つからなくて紹介しそこねていた多摩市の財政白書です。
 こちらのページの上のほうに 『多摩市の財政状況 普通会計決算より』 が
   かなり下のほうに『多摩市の財政白書』がありますが財政白書のほうの第3部が上のほうのものをかねていますので、こちらのほうを見ればよいかと思います。

 第一部は広報の写し。
 第二部は前半は決算の概要、後半は主要施策の概要と成果。
 前半はひたすら数字の資料編、詳しい分析をしたい人向け。施策の成果については定量的な評価が多いですが、通常財政の話とまったく別個につくられていることを思えばよい構成といえるかと思います。
 第三部がいわゆる財政白書向け、ややわかっている人向け、噛み砕いた説明ではないが詳しい。
 税源移譲と三位一体の説明P45が詳しいが、H18年版の方が用語の解説が豊富。
 P69以下の財政指標の説明やP75の26市の経常収支比率の分析は興味深い。
 第四部は多摩市の財政諸表。公共団体の財務諸表はなかなかわかりづらく、どちらかというと中級者以上向けですが、新しいモデルや指標の説明など、より詳しく知りたい人向けにも参考になります。 

2009年4月7日火曜日

道内の土地開発公社保有地 8割、10年以上塩漬け

北海道新聞 4/7 より

 「道内六十八市町村の土地開発公社が保有する土地のうち、八割が十年以上売却されず塩漬け状態となっていることが、道などの調べで分かった。公共施設の建設、住宅や工場団地造成などのために購入したものだが、地価下落で市町村が将来肩代わりする可能性のある損失は総額約六百二十億円に上っている。 取得金額に金利などを加えた簿価(帳簿上の価格)は約九百九十五億円に上る。

 このうち全体の78%の土地が十年以 上、売却先が決まらない状態になっている。五年以上売れない土地も、六十二 公社の約八百九十一億円と、全体の90%に上った。各公社は土地購入の際、通常は各市町村の債務保証を後ろ盾に、金融機関か ら資金を借りている。このため、売却金額が取得金額より低い場合は、その損失を市町村が肩代わりすることになる。」

元となった北海道庁の資料はこちら(pdfファイル)

日野市も土地開発公社があり、一時期240億円ほどの借り入れがありました。土地開発公社については平成18年度の日野市の財政白書(pdfファイルP35参照)に解説があります。一部を抜粋して紹介します。

市子「ところで土地開発公社って何?」
市太郎「市が必要とする土地を前もって買っておくための会社さ。・・・(中略)・・・
市子「土地開発公社が買った土地はどうなるの?」
市太郎「市が使うときに、土地開発公社から買い取るのさ。買った値段に手数料と利子を乗せた金額でね。・・・(中略)・・・土地開発公社に関する法律ができた昭和47 年ごろは土地がどんどん値上がりしていたから、多少利子がかかっても土地は先に買っておいた方が結果的にはよかったことが多かったのさ。」 
市子「でも最近土地は下がってるわよ。」
市太郎「・・・・普通に買ったほうが安いのに土地開発公社に買わせたばっかりに、市としては高い土地を買う羽目になってしまっているのさ。」

 

2009年4月6日月曜日

四日市市市政白書

読売地方版より「四日市市の取り組みをまとめた市政白書 」

 四日市市は、市の取り組みや統計資料をまとめた「市政白書08」(A4判、41ページ)を2000部作成した。市政情報センターや地区市民センター、 楠総合支所などで無料配布している。
 白書では、財政状況について市民1人当たりの収入と支出に換算して分かりやすく紹介しているほか、財政プランを詳しく載せている。
 市の取り組みは、土地開発公社の経営健全化や新しく導入されることになる事業所税、市税のコンビニ納税、地球温暖化対策、ごみ処理、市立病院の救急医療体制、保健所の役割など22項目について写真やイラスト、グラフを使っ
てQ&A形式で解説している。
 統計資料は、単年度だけでなく過去3年間や5年前、10年前と比較ができるように工夫した。市の基本情報として面積(205・53平方キロ・メート ル)や市の木(くすのき)、市の花(サルビア)、市の鳥(ユリカモメ)なども知ることができる。

以上引用
HPには2007年まであります。
http://www.city.yokkaichi.mie.jp/home/shisei-hakusho/index.html

 1999年から発行していたのですね!財政については8ページ程度でコンパクトにまとまっています。
 残りは各課1~2ページぐらいでそれぞれ説明。市民に市政を総合的に知ってもらうにはよい取り組みかと思います。それぞれお金の裏づけがあるとよりよいかと思いました。
 2008年度版のアップが待ち望まれます。

2009年4月5日日曜日

上田市 市民による財政白書作成の動き

Google財政白書検索ランクで49位に上田市の財政白書を作る会のページがランクインしています。
 http://blog.goo.ne.jp/dragonfly_nagano/e/9ab79c6c449e913fdb166d825f5dc117

 松本では昨年11月に市民による財政白書が出ており、そのメンバーも協力しているようです。

 なお上田市の財政関連の資料はこちら
 http://www.city.ueda.nagano.jp/hp/ht/zaisei/20060906173007208.html

 注目すべき動きとして平成19年の7月に事業仕分けを実施しているようです。 
 http://www.city.ueda.nagano.jp/hp/ht/gyokaku/20080611102527645.html
 構想日本が行っている事業仕分けなのかどうかは不明ですが。

ブックレビュー ファウスト

ファウスト(第一部 第二部) ゲーテ作 岩波文庫 1958年発行

 財政とあまり関係ないといわれるかもしれませんが、第二部第一幕で面白いと思った部分があったので、
  ファウスト自体のあらすじはこちらでね。
 それは、警察も軍隊も大蔵省も宮廷もみんなお金がないと言っているところに悪魔のメフィストフェレスが現れて、あの大洪水の際に地中深くうずもれた財産を担保にして(昔のドイツでは地中深く埋まっているものは皇帝のものとされたらしい。)紙幣を発行することで財政難を救い、王に取り入るという場面。

 ファウストが完成したのは1832年ですから、そのころから実体のないものに信用を与えてマネーを増やすという発想があったのかと非常に興味をそそられます。
 もっともドルが金という実物を信用のバックにしなくなったのは1971年のニクソンショックになってからですから、ファウストにおいても実体がないとはいえ地下にある財宝を担保とするという設定にはなっていますが。

 物語は王に取り入ったところから別な方向へと展開していくので、その後国の財政がどうなったか記されていないのが気になるところです。国が豊かになりました、めでたしめでたしなのか、ハイパーインフレになったのか。。。

2009年4月4日土曜日

お勧め財政白書 その3(財政用語)

第3回も財政についての基本的なことを知りたい人向け
 ~今回は財政の基本 + 財政の新しい用語~

○基本的な用語
 ・一般会計と普通会計
 ・一般財源と特定財源
 ・依存財源と自主財源
   → 前回紹介した狛江市の資料にもありますが、より簡単な解説としては、八王子市の財政白書を参照。一般会計と腹痛会計はP5、財源の種類についてはP20を参照。
  
  市民が作っている白書は残念ながらHP上にはないですが、よりやさしく説明してあります。

 ・土地開発公社
  多くの市で設立されている土地開発公社ですが、あまり解説されていません。
  日野市は土地開発公社が問題になったこともあり、平成18年度の白書で詳しく説明されています。
  第2編第1章P35参照。 P34では特別会計についても解説しています。

○財政健全化指標について
 夕張市の財政破綻を背景として平成19年度から公表が義務付けられた財政健全化指標。新しい話題なのですが、かなりわかりにくい。各市の財政白書でも公表が義務付けられたので、なんとか解説しようとしています。
 三鷹市 自治体経営白書 第5章11 P180 の解説がお勧め。(ファイルはこちら
 
○財務諸表について
 上記ほどではありませんが、毎年のお金の出入りだけではなく、資産などのストック情報を含めた財務諸表の概念は比較的新しい(ここ10年ぐらいで広まった)ものです。

 財務諸表同士の関係などがわかりやすいのは羽村市
  P23(財務諸表の概念) P32(指標の説明)
  P41(決算書、行政コスト計算書、バランスシートの連関図)
  P47(キャッシュフローの説明) 
 
 また稲城市財政白書その2のP16からの解説は簡明で各指標の意味づけについても簡単に説明がされています。

 次回は歳入と歳出の基本用語についてを予定しています。

2009年4月3日金曜日

国分寺市 予算説明

国分寺市の記事をあげた後、HPのリニューアルがあり、財政計画のページがわからなくなってしまいました。残念。
 予算について、「わかりやすい!こくぶんじのよさん」が平成20年度、19年度がアップされているので、紹介します。
http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/zaisei/6703/index.html

 これによると「国分寺市財政概要 財政資料集」というのもあるのですが、残念ながらHP上にはないようです。
 コラム「財政白書の未来」でも書いたように、単に予算を説明したものは白書ではないことになりますが、1つめのファイルは市の予算の作り方など、財政についての基礎知識をわかりやすくまとめているので、その部分はお勧め。
 2つめ以降のファイルは重点施策ごとに予算の内容を説明、「なににいくら使う」に加えて「どれぐらいのサービスを提供するか」という量的な指標を入れてくれればすばらしかったと思うのですが。

2009年4月2日木曜日

東村山市平成19年度財政白書

前回の投稿から新しい情報がアップされたのでレポートします。

平成19年度決算版の財政白書が平成21年3月に出ました。
http://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/~kakukaweb/010000/hakusyo/19hakusyo.pdf

 また「東村山市財政の現状と課題」が平成21年2月に財政白書とは別に出ました。
http://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/~kakukaweb/010000/hakusyo/19hakusyo_digest.pdf

 今回は白書は財政課の名前で出ています。構成は平成18年度とほぼ同じ。
 平成19年から義務付けられた財政健全化法による健全化判断比率が主な追加事項。

 決算収支の指標(実質収支、単年度収支、実質単年度収支)の内容が詳しく解説されています。
 また経常収支比率についても解説を詳しくするとともに、事業のスクラップアンドビルドが必要と訴えています。
 また財政健全化の取り組みの社会経済情勢の変化の解説が詳しくなり、行う取り組みの項目が増えています。

 「財政の現状と課題」の方は財政白書に先駆けて主な指標をまとめたものと思われます。内容的には3月に出された白書のほうを見ればよいでしょう。

2009年4月1日水曜日

市民財政白書ナビ 別館図書室オープン!

市民財政白書ナビの別館図書室がオープンしました。
 こちら → http://sites.google.com/site/siminzaiseihakusho/

 ブログだとみづらい連載コラムや、リンク集のまとめを載せています。
 徐々に充実していきますので、よろしくお願いします。