2009年2月28日土曜日

長野県下條村

日経ビジネスオンラインより

長野県下條村、出生率「2.04」の必然』

 日経ビジネスオンラインで非常に興味深い記事があったので、概要を紹介します。
 http://business.nikkeibp.co.jp/
 登録制なのですが、無料です。別に宣伝ではないですが、興味がわきましたら登録して読まれるとよいと思います。

○概要:長野県南部の下條村は出生率を向上させたことで全国的に知られる村。合計特殊出生率が2.04(全国1.34)
   その村の20年を紹介した記事。面白いと思った部分を取り上げてみます。

 「子供の声を聞くと、年寄りの背中がピシっと伸びる。子供を増やすのが最大の高齢化対策だな」。下條村の村長、伊藤喜平氏はそう言って相好を崩した。 」 ~ 少子化対策は高齢化対策

 「村民増」の第一歩は行財政改革。として、国や県が推進する農業集落排水処理施設の建設をあえてしなかった。
  試算するとコストは約45億円、補助金が出るし地方債も発行できる、その元利払いは交付税で面倒をみてもらえる。だけどもその後30年間、借金の返済と運営で1.7億円必要になる。人件費も1.6億円かかる。
 →全戸に合併処理浄化槽を設置すれば約6億3000万円しかかからない。村の負担金は2億2000万円で済み、単年度で処理できる。
  ~ 国や県のいうことを無批判に聞かず、よく検討した結果3億円もの資金が。

「生活道路は住民が作る!簡単に言うと、砂利やコンクリートなどの材料費は村で負担するから自分たちで道路を造ってくれ、という制度。この事業で造られた道路や水路は今や1000カ所以上。下條村を車で走ると、手書きの「年月日」が刻印された白い道が至る所で目に入る。  この道路造りは別の効果をもたらした。地域のコミュニティーが活性化したのだ。「共同でやる作業はだんだんと減っていたが、皆が共通の目標を持つことで、集落の活動が盛んになったね」

「既に子供を持つ、もしくは今後、子供をつくる気がある若い夫婦に定住してもらおうと、村が賃貸マンションを建てた。が最初に国の補助金を入れたら大失敗。いろいろな縛りがあって入居者を抽選で決めたが、抽選で入居したある家族は地域活動に一切参加せず、住民と摩擦を起こした。さらに、家賃まで滞納するようになった。2棟目以降、すべて村の自主財源で建てることに決めた。カネはかかるが、村が望む人々を選ぶことができると考えた。
 ~ 国の制度のゆえによいものができないという事例。

地方自立政策研究所役割分担明確化研究会が著した『地方自治 自立へのシナリオ』(東洋経済新報社)には興味深い例が出ている。「特殊教育設備整備費補助金」という国の補助金。実際の補助金額は13万6000円だが、事務コストを試算してみると、15万9000円がかかっていた。実際の補助金よりも事務コストの方が高いとはどういうことなのか。これは極端としても、補助金のかなりの部分が事務コストに消えているのは間違いない。

霞が関の政策よりも、人口4000人の村が財布をやりくりして打った政策の方が出生率の向上に寄与している。
 地域のニーズを知っているのは住民に身近な市町村だ。出生率を上げた下條村を見ても分かるように、住民の生活に直結したサービスに関して言えば、少なくとも市町村の方がカネをうまく使う。これは子育てだけの話ではない。
 
~ 下條村が国の制度に縛られずできたのも、合理的な投資で財政がよくなったから。そういう意味でも健全財政の重要さを感じた記事でした。

2009年2月27日金曜日

町田市レンタル方式で保育園整備

読売新聞 2/23日

「町田市レンタル方式で保育園整備」

 町田市は新年度から、保育所に入れない待機児童を減らすため、土地所有者に保育所を建ててもらい、運営は社会福祉法人に委託するというユニークな事業を実施する。原則的に契約は20年間とし、終了後は所有者に返還する。この方式は介護施設の建設促進策として採用されているが、「保育所建設では、全国初のケース」(石阪丈一市長)という。
 市によると、土地所有者に建設費の一部として3000万円を助成するとともに、法人に年間1100万円(上限)の土地・建物賃料を20年間補助する。これで、土地所有者は市の補助金と賃料で建設費をまかなう一方、少子化社会の中で法人は低リスクで保育所を運営できることになる。
 昨年4月現在、市内に待機児童は234人いる。既存の国庫補助制度では開設までに時間がかかるため、レンタル方式とした。新年度に定員100人の保育所3棟の建設を予定し、2010年4月の開所を目指す。

 参考になるケースですが、いままでなかったというのが逆に驚きですね。
 このケースだと国庫補助がないからでしょうか。

2009年2月26日木曜日

連載:財政白書の未来 第8回

今回は第8回 財政分析の担い手についてお送りします。(前回はこちら) (目次はこちら

第八回 財政分析の担い手
  ~組織化と担い手の課題~

 これまで、市民がデータに基づき分析をし・・・云々と書いてきましたが、実際にはその市民は誰なのでしょうか。
 担い手となる市民の条件としては①市の財政に興味を持っていること ②データを収集し、分析し、評価する気力があること ③時間がある程度自由になること の3つが上げられるでしょう。そして実際に財政分析に携わるのは、上の条件に当てはまる人の中で他のことに優先して取り組むだけの動機付けと始めるきっかけがあった場合に限られると思われます。

 上記の条件を満たす市民の存在密度は低く、人口の0.01%~0.1%程度と見ています。(特に根拠のない筆者の勘です)したがって、単に個々人が興味を持っている・能力も時間もあるというところを超えて、市民が集まって実際に白書をまとめるというようなアクションに至るまでには、これらの人の組織化ということが必要になります。
 
 組織化のためには人が集まる必要がありますが、そのきっかけとしては下記のパターンがあるようです。
 (なお下記のパターン類型は筆者が新聞やネット情報から推測したものです。)

 1.公民館などの財政講座の受講生が自主的に組織を作った場合
  ・多摩の多くの市がこのパターンを取っていることが多いようです。特に何回か連続した講座の場合に効果が大きいようです。単発の講座の場合には、議員さんなどが興味を示す例が多いですが、なかなかその後が続かないことも多いようです。
 2.行政が総合計画策定などのため市民を集めた中から、組織化された場合
  ・日野市の健全財政を考える会はこのパターンでできた会を源流に持ちます
 3.特定の団体の後押しにより白書が作られた場合
  ・職員組合が支援するNPO法人が財政を含む自治体白書をかなり早い時期に作成していました。
 4.一定の事業に反対するあるいは疑問を持つ市民によるもの
  ・松本市の例がそのようです。単に疑問を持つ市民がいるだけではだめで、市民をまとめる核となるリーダーの存在が不可欠です。
 5.もともとの地縁・人のつながりをベースとしたもの
  ・鎌ヶ谷市の学生のプロジェクト「ザイバク」がそれに当たるでしょう。これは同じ地域出身というつながりからスタートしているものです。

 今後出てくる可能性のあるパターンとしては
 6.議員や政党の支援によるもの
  ・不思議と議員の勉強会などから出てくるものは少ないようです。現状は無党派層が多いので、政治色を嫌う人も少なからずいるので、わからないようにしているだけなのかもしれません。個人的には党や会派や幹部の意向だけではなく、自分で研究・分析して情報発信をする議員が増えることを期待するのですが。
 7.ネット上での呼びかけによるもの
  ・最初に書いた①~③の条件に合う人をネット上で同じ自治体の中で組織するのは実際的には非常に困難でしょう。ただし、日本国レベルや東京都大阪府など巨大自治体レベルであれば、可能なのかもしれません。とりまとめとリーダーシップが大変そうですが。

 財政白書の担い手の面での大きな課題は、現状では担い手がどうしても高齢者に偏りがちという点ではないでしょうか。時間があるという面では、学生もその中に入るのでしょうが私が知る限り他に事例はないようです。鎌ヶ谷が大きく取り上げられているのはそれだけレアなケースであることもまた確かだからでしょう。
 担い手の裾野を広げるにはまず働き盛り世代が忙しすぎるというワークライフバランスの問題がありますが、そういう人たちが参加しやすい環境を整えることが必要であると思います。

 財政白書の進化に伴い、モジュール化、ネットワーク化した場合の担い手像については、正直なところまだイメージが十分に浮かんでいません。 これについて考察が進みましたら別途コラムで紹介したいと思います。

 次回は財政白書とコミュニケーションをお送りします。

2009年2月25日水曜日

連載:財政白書の未来 第7回

第7回は、情報発信の未来の続きです。(前回はこちら)(目次はこちら

第七回 情報発信の未来 その2 ~白書の動画化~

 市民からの情報発信の今後の一つの形として、動画による情報発信がされる可能性があります。
 近年はYouTubeやニコニコ動画など、自分がとったムービーをネット上で公開できる仕組みができ、財政分析をした結果や意見を発表する方法として、手軽なものになりつつあります。
 動画のメリットとしては
 ①(少なくとも当面は)話題性がある
 ②(通常のIT環境さえあれば)ハードルが低い
 ③(映像の作り方によっては)訴求力が高い
 ④(ビデオを撮るだけならば)コストが低い
 ということがあげられます。
 特に③の訴求力を活かし個別の施策に係わる提言をする際には、動画が大きなインパクトを与えられる可能性があります。
 上記のようなメリットがあるとはいえ、ニコニコ動画で200万以上(2009年2月現在)、YOUTUBEは4000万以上(2007年1月現在)の数の動画があり、ホームページ上の白書と同様埋もれてしまう可能性は高く、見てもらうためにはなんらかの戦略が必要となります。

 一方、個々の施策について、特にゴミ処理場など多くの市民の耳目を集め、議論を巻き起こすようなものに関しては、市民に対して理解を得るために、行政の側が動画によるアピールを試みることが今後考えられます。
 ただしこれは市長のキャラクターによるところが大きく、議論の矢面に立たず、穏便に済ませることを望む市長であれば動画に出るようなことはないでしょう。逆に市長の記者会見を動画で流している市ではこのようなメディアを積極的に使うことも考えられます。
 
 このように動画化は市民側からは手軽でインパクトのあるPR手法として、行政側からは住民理解を求める手法として利用が進んでいくことが考えられます。
 ネットワーク上の動画は地域を限定しないので、場合によっては地域の課題が全国のニュースで取り上げられるきっかけになるかもしれません。(99%以上はメジャーなメディアに載ることはないでしょうが)

 動画化に関して注意点を挙げるとすれば、
 ①見えやすい問題にばかり目がいくこと
  ・動画の特徴として映像になりやすい建物とか困っている人は取り上げられやすいものの、財政赤字とか粛々とがんばって数字をあげている状況のような、映像になりにくいものには光が当たりにくいという欠点があります。財政分析の初期の段階ではわかりにくい、見えにくい財政を見やすくしよう。ということだったのですが、映像化によって見えにくいものをみることから離れていってしまう傾向にあることは心においておかなければなりません。
 ②分析がおろそかになりがちなこと
 ・財政白書は、同じデータを市民と行政が共に分析評価するところをベースとして議論することが重要ということを以前書きました。一方動画においては地道な分析よりも、自らの主張に重点を置いてしまいがちです。それ自体は特に悪いことではないのですが、ややもすると分析抜きに過激な物言いをする動画ばかりが注目を集めることになりかねず、同じデータをベースに議論をするはずが、声高な主張と罵り合いの応酬になってしまい、かえって市民を分裂させてしまうという結果になりかねない危険性も持っていると考えられます。
 上記2点は動画化がもつ根源的な特徴ですが、だからといって動画化の動きを止めることはできないですし、逆に進めていくべきと考えています。したがって、その動画を見る側、分析する側がその特徴を充分に心に入れた上で、もともとの財政白書・分析の主旨を忘れないように活動することが重要となるでしょう。

 次回はそれではこのような分析や情報発信を誰が行うのか、「財政分析の担い手」というタイトルでお送りします。

2009年2月24日火曜日

多摩地域のごみ処理が大変

ここ何日間で多摩地域のごみの関係のニュースが続いたので。

まずは読売新聞2/23から
”立川分 住民理解得られず”
「立川市が日野市の焼却施設でごみの共同処理を模索している問題で、日野市の馬場弘融市長は22日、同市内で焼却施設の地元住民に対し、共同処理の交渉を進める考えはないと説明した。」
とのこと、地元住民への説明会にて。立川市は老朽化した市の清掃工場の移転を迫られており、施設の建て替えを計画している日野市との共同処理を望んでいるとのこと。

朝日新聞2/20から 小金井市の ごみ処理問題について
”ごみ処理施設協議 関連自治体は困惑・反発”
「住民説明会が開かれた18日夜になって急展開を見せた小金井市の新ごみ処理施設問題。建設場所の正式決定期日としていた2月末を目前にして、同市は話し合いに都が関与することになったと発表、決定期日を09年度末までと繰り延べた。」
 ごみ処理場がなくなり、他の市への処理の委託をしている小金井市。これまで焼却場で使っていた土地を使うという案は、これまでそこで共同処理をしていた調布市の反対にあって暗礁。ついに都に関与をお願いした(?)ようです。

関連続報  ”小金井のごみ拒否 西多摩衛生組合も”
 読売新聞2月24日
「小金井市の可燃ごみを受け入れている「西多摩衛生組合」の管理者である並木心・羽村市長は、23日開かれた同組合議会の全員協議会で、今月末までに小金井市が新ごみ処理施設の建設場所を決定しなければ、新年度のごみ受け入れを中断すると明言した。」
 今月末まで=今週なので実質的に無理を承知での発言ですが、どうするのでしょう。

 近年はダイオキシンなどを出さないために炉が大型化しており、本当に各市が持つことが効率的などうかわからない部分もありますが、市民感情とすれば「なぜ他の市のごみを」と思うところもあり、非常に難しい問題です。

連載:財政白書の未来 第6回

第6回です。今回と次回 情報発信の未来形をお送りします。(前回はこちら) (目次はこちら

第六回 情報発信の未来 その1
 ~市民からの情報発信の課題~
 
 財政白書は行政が発行するものと市民が発行するものがありますが、それぞれがおかれた立場・状況はかなり違ったものとなっています。
 行政は財政白書を公式に発表できる立場にあり、広報やホームページで広く市民に伝えることができるます。一方市民の方は公式に情報発信をできる場を持たないため、行政の情報発信力とは大きな差があります。
 現在のところ、市民が作った財政白書を発信する方法のひとつとして確立されている方法は
 ①財政白書を作成し印刷する(1000部ぐらい)
 ②マスコミを招いて完成発表する。(読売、朝日の地域版に取り上げられる)
 ③本屋においてもらう(発行した市及び隣接市ぐらい)
    おおよそ一冊500~1000円。多いのは1000円。
   今のところペイしている例が多いとのこと。
 であり、大和田先生の指導を受けて財政白書を作っている団体はほぼこのような方法をとっている。
 最初の印刷費(少なくとも30万はかかっているだろう)をどうするかという切実な問題はあるものの、出版するという大きな目標ができるというメリットがあります。多摩地域で財政白書が多く刊行されているのは大和田先生によりこの方式が広められているという要因もあると考えられ、大和田先生の功績は大きいといえるでしょう。

 一方この方法を続けていくには、将来大きな壁が立ちはだかってくると予測されます。
 ひとつはニュースバリューの低下です。最初は市民が財政白書を作るということ自体がひとつのニュースになりましたが、多くの市で作られるようになると、後発になるほど目新しい何かがないとニュースとしての価値がなく、新聞等に取り上げられなくなります。
 これは本の売れ残りのリスクにもつながるので、後発の市ほど不利になる傾向にあります。
 また既に財政白書を出している市でも、同じものでは話題性がない(毎年出すこと自体にも意味があるのですが・・・・)ので、目先を変える必要に迫られます。(これが各論指向につながる)

 ホームページなどのインターネット上での発信は、売れ残りリスクはないが、マスコミへの訴求力が弱く、市民一般に知られにくいという欠点があります。
 一方でインターネットは見られる環境さえあれば、紙の白書に比べ地域的にも部数的にも範囲が限定されないこと、ホームページへのコメントの受信など双方向性を持ちやすいこと、からうまくいけば市民に広めるという点から効果が高くなる可能性もあります。
 このような可能性のあるネット上の白書ですが、残念ながらネット上での効果的な情報発信について将来の方向性を現在のところ示すことはできません。いずれにせよ紙ベースとは何か異なる戦略を持たなければならないことは確かなようです。
 紙とホームページのハイブリッドというのもあるようですが(ニセコ町の予算説明書)、これが成立しているのはニセコ町がトップランナーであるからという点が大きく、同じことをしても成功できるのは非常に限られることでしょう。

 次回は情報発信に関するひとつの発展形として、動画の活用についてお話をします。 

2009年2月23日月曜日

連載:財政白書の未来 第5回

第5回です。(前回はこちら)(目次はこちら



第五回 市民による財政分析の未来 その2

  ~モジュール化とネットワーク化~
 各論について市民が分析をする際のもう一つのハードルは分析手法が確立しないことです。
 もちろん情報と時間さえあればできますが、時間が自由に使える人しか参加できないというのでは財政分析の動きが広まっていきません。

 各市の抱える問題は個別性が高いものです。その市の財政に影響を及ぼす主な論点のバリエーションは市の数と同じ数だけあるかもしれません。例えば福祉一つとってみても、各市によりその様相は様々であると予想されます。
 一方、多くの市で共通する問題もあるでしょう。例えば福祉の中でも、国民健康保険に関する問題はほぼ全ての市で共通と考えられます。
 このように、福祉という大きな区切りではバリエーションが豊富でも、ある程度細かい問題に区切ればその内容は共通点が多くなると予想されます。仮に10%の自治体しか同じ問題を抱えていないとしても、全国約1800の市町村があることを考えれば約180の自治体で共通する問題となるのです。

 細かい問題に区切って分析をした場合、その分析をした手法や表は他の自治体でも活用可能です。これを市境、県境を越えて広く共有できれば、分析の手間が軽くなると共に、既にあるものをベースに考えることにより、よりよい分析が可能になるものと考えます。
 
 このように、問題を細分化して広く共有化できるものにすること(モジュール化)とそれを多くの人で共有し情報を交換しながら内容をよくしていくこと(ネットワーク化)が、今後各論の分析を市民側で進める大きな助けとなるでしょう。
 そのイメージは下図



 ここで出てくる一つの課題は、「そのネットワークはどこにあるのか?」「どのように形成されるのか?」ということであろうかと思います。いずれにせよこのネットワークが機能するためには、多数の市で分析が行われ、多数の分析モジュールがネットワーク上にアップされていることが必要です。
 したがってある段階までは広がる速度は遅く、ある時点から急速に広がるのではないかと予測されます。おそらく公的な形ではなく、私的な自然発生的な形で提供されるでしょう。
 基本的にはGoogleのドキュメント公開機能などをベースとしたものになると思いますが、IT環境・技術は日進月歩であり、新しい技術・サービスを活用したネットワークが今後生まれてくる可能性もあります。
 今後具体的にどのような道筋をたどるのか、今後とも考察を重ねるとともに、まとまったら別の機会にまた書いていきたいと思います。
 日野市財政を考える会では上記のようなネットワークづくり、分析モジュールづくりについても取り組んでいきたいと考えています。

 次回は第6回として、「情報発信の未来形」をお送りします。

2009年2月22日日曜日

ブックレビュー:市民のための地方自治入門

しばらくぶりにブックレビューです。
今日は市民のための地方自治入門[改訂版]
 行政主導型から住民参加型へ 佐藤竺監修 今川晃馬場健 編 実務教育出版2005年4月発行

 ・ この本は財政を知るうちに地方自治全般について興味を持った方にお勧め
 ・ 内容としては基礎的な知識があったほうがよいところもあるが、特に難しくはありません。

 ・ 本の目的として、「『行政資源が限られるなかで、地方自治体が市民の間の利害対立の中心に位置し、優先順位を定めて調整の責任を果たさなければならない』という困難な状況下、自治体を運営していくためには、住民自らが主人公として住民主体の行政や政治の展開をする必要がある。
 そのような中で一人ひとりが主体的にまちづくりを進めるための知識面での一助となる」ことを目指している。
 としています。

 大まかな内容は・・・・
 ・明治以来の地方自治制度の歩み
 ・地方自治の構成要素としての住民・組織・財政
 ・地方自治の中での政策過程・情報共有・行政評価の一般論
 ・近年の話題として合併・住民参画・NPM・今後の自治体職員のあり方
 ・その他イギリス・アメリカの地方自治の事例
  を取り上げています。

 全体的に丁寧に説明されており、特に地方自治の歴史は詳しく説明されています。
 明治維新当時の中央集権の考え方 ~たとえば知事は国からの役人だった!など~
  から地方分権へと理念は進みながらも、その都度ゆり戻しと後退を重ねてきた様子がわかりますので、地方分権に興味のある人のための基礎知識としても役立ちます。
 論調も特定の考え方に基づくものではないのでおすすめです。

連載:財政白書の未来 第4回

第4回です。(前回はこちら) (目次はこちら

 本日は市民による財政分析の未来ということですが、やっぱり長くなってしまったので2回に分けます。

第四回 市民による財政分析の未来 その1
  ~越えるべきハードル~
○各論の分析を行ううえでのハードル
 前回・前々回と財政白書が各論指向、計画指向となっていくことを説明しました。
 今後、市民と行政がともに共通のデータに基づき分析して議論するようになると書きましたが、実際には市民が個別の課題について分析を行うには、現状では相当なハードルが控えています。
 総論としての財政白書の作成においては、現在では総務省によるデータの公開や市役所によるデータの公開などがあり、全般的に基本的な財政データは集めやすい状況になっています。また市民による財政分析に関する本も市販されており、大和田先生によれば「時間さえあれば誰でもできる」という状況にまでなってきています。
 このような状況が、市民による財政白書作りが盛んになっているひとつの要因であると思います。
 それでも財政分析を財政白書の形にまでまとめるには、分析そのものと同じぐらいのマンパワーとリーダーシップ、動機付けが必要となります。

市民が各論の分析を行ううえでのインセンティブとハードルを下にまとめてみます。
インセンティブ
 ・興味の高い話題に取り組むことができる
 ・身近な話題であれば、実感に基づいた分析ができる
  (実感に流されてしまうというリスクもある)
ハードル
 ・財政データのみならず、行政データ・統計データを集めなければならない
  ~ 行政内部の資料は開示されていないことが多いですし、情報公開をするにしても手続きは慣れない人にはわからないことが多く、勤め人は請求する時間そのものがない
 ・それぞれの市によって各論となるべきものが違う。したがって分析の手法に一定の方法がない
  ~ そのため分析の方法を考えるところからのスタートとなり時間がかかる。

 一般的に、市民(特に会社に勤めにいっている人)にはあまり時間がなく、情報収集力も行政に比べれば劣り、業務ではなく内発的な興味と動機付けによって動いているという面があり、各論にかかわる分析を行っていくうえで、行政とのハンデは大きいものがあります。
 このような状況に対し単に市民側の”がんばり”だけに期待するにはおのずと限界があるといえるでしょう。
 行政としてもよりよい市政運営を目指すのであれば、そのハンデに安住するのではなくそれを埋めるようにするべきでしょう。

○ハードルを越える方向性
 最初に示したハードルについては、ともかくも行政として情報を開かれたものとしていくことが必要です。法的な手続きを経なければ情報公開がなされないというのではなく、基本的な行政情報については誰でもアクセスできる形、なおかつアクセス及び分析しやすい形で公開すべきです。
 昼間は市役所にいけない人、市役所から遠かったり移動が困難な人がいるので、ホームページ上のたどり着きやすいところに、できれば表計算ソフトで読める形式でアップ望ましい。
 急に全部を電子化というのも大変ですので、まずは事務報告書や統計書に記載されている情報からアップしていくのがよいでしょう。
 
 もう一方のハードルを越える方向性としては、分析単位の細分化(モジュール化)と細分化したもののネットワーク化があげられます。これについては次回説明しますが、これにより、より力をかけずに、よりよい分析ができるようになる環境ができてくるものと期待をこめて、予測します。
 実際にこれができるようになる前提は、先に示した情報収集上のハードルが多くの市町村である程度以上低くなっていること。財政白書作りが広まり、相当数の市町村で各論の分析を行おうとする動きが出てくること。であり、そのようになるためには、ある程度の時間を要するものと考えられます。

 今日はここまで、次回は、モジュール化とネットワーク化について詳しく述べるとともに、これを支える情報インフラ面について、お話をしていきたいと思います。

2009年2月21日土曜日

連載:財政白書の未来 第3回

今回は前回の続きです。 (前回はこちら)(目次はこちら



財政白書の未来
第3回 財政白書の未来形
      ~ 財政白書は計画指向へ~

 前回は白書の内容が総論から各論に重心を移していくというお話をしましたが、各論の分析を進めていくと、市民側の財政白書は分析から提言へ、行政側の財政白書は市民の参画による施策の策定を見据えるものへと進んでいくものと考えられます。
 ところで、近年は施策の策定の段階から市民参画を行う市が多くなってきました。総合計画をはじめとして個別の○○プランというようなものの策定においても、市民を委員とするなど、計画段階から市民の声をいれようという取り組みが広がっています。
 このような取り組みと各論を分析した財政白書作りが合わさることで、財政的なバックグランドについて共通のベースを持つ市民と行政が議論をし、財政的な裏づけを持った計画となることが期待されます。
 財政的な裏づけのない計画はWishリストに過ぎません。各市町村で多くのプランが作られてきましたが、その中でどれぐらい財政的な裏づけを考慮していたでしょう。これまではプランを作っても
「いろいろとやりたいことはわかりました。計画にも載せました。でもお金がないからできませんごめんなさい。」で済ませているものも多かったのではないでしょうか。
 やる可能性のあることを全て掲げておいて、将来なんでもできるようにしておこうという意図が場合によってはあるのかもしれません。
 逆に財政の裏づけがあると、それは単なるWishリストからやるべき責任を持った市民に対する約束となります。行政にとっても市民にとってもこれまでのプランとは比較にならない重いものとなります。
 もちろん歳入をはじめとして将来を見通しにくいものもあります。しかし計画と変わった場合に単に「お金がないので、ごめんなさい」ではなく「こういう理由で変化したので、このようにします」という説明がなされる方があるべき姿ではないでしょうか。

 このような方向で進んでいくと、分析や検討が施策単位で行われることになり、財政白書という名前はふさわしくなくなっていくのかもしれません。今後そのようなものに何らか他の名称をつけていくことも考えるべきでしょう。
 しかしながら、総論の分析である財政白書も個別の施策策定のための分析も
 「市民と行政が」
 「共通のデータに基づき」
 「財政的な裏づけを持ちながら」
 「議論を行うための基盤」
     であることには変わりがありません。

 今後は財政白書は、各論指向・計画指向を強めるなかで
  ”行政と市民が協働で施策を評価・計画するプラットフォームになる。” 
  と考えられます。 下にそのイメージを示してみました。

 
 また参考までに、財政白書総論編からの進化の過程を次にまとめてみました。



 現在は財政白書の総論作りがいろいろな市町村に広まっている段階ですが、既に(特に市民により)財政白書の発行が行われている市では、各論化が進んでいくでしょう。そしてそれを受けるような形で過去および現在の分析評価から、将来の計画作りへと広がっていくと考えられます。
 当面は総論づくりの広がりと各論への深化が進むと考えられますが、次回以降述べることにより、ある程度総論づくりが広がった段階で各論の深化が加速度的に広さと深さをもってくると考えています。

 とはいえ、このようなことが実現していくには実際には相当の時間を要するものと思われます。
 これは将来のひとつの理想形ですが、実現にはいくつものハードルがあります。 
 次回以降そのハードルのうち 市民による財政分析に係わる課題、コミュニケーションに係わる課題につき、そのハードルを乗り越える動きについての展望を述べていきます。

 次回は第4回「市民による財政分析の未来」をお送りします。
  このペースでいくと何回かにわけることになるかな。今回も長かったし。

2009年2月20日金曜日

連載:財政白書の未来 第2回

今回は第二回として「財政白書の未来形」をお送りします。

      (前回はこちら) (目次はこちら)長くなったので2回に分けます。

財政白書の未来
第2回 財政白書の未来形(その1)
      ~ 財政白書は各論指向へ~

○なぜ各論指向になるのか
 今後財政白書は市民が作るものも、行政が作るものも各論指向が進むものと考えられます。
 まず、市民が作る財政白書についていえば、総論編のみを継続して出していくのは実際のところ難しく、各論に移っていかざるを得ないという面があります。
 その理由としては
  • 初回は財政資料の分析そのものが新しいものの発見につながる部分があるが、二回目以降は新しい発見はあまりなく、仮にあっても初回ほどではない。
  • 第二回目以降はデータの更新のみであるとはいえ、相当なマンパワーを必要とするが、発表しても初回ほどの話題性およびインパクトはなく、作るモチベーションが下がりがち。
  • 市民が財政白書を作るきっかけとして、特定の事業の実施又は廃止に疑問を感じた市民が動き出した、というようなこともあり、そもそも興味は各論にある。

 があげられます。市民としては財政全体の認識の仕方というよりも、個別の議論のほうが議論しやすく、実際に市民が既に作っている財政白書では各論が充実しているものもあります。

 一方行政の作っている財政白書は業務として作れるということもあり、各論編を作る動機付けは市民の場合ほど強くはないと考えられます。とはいえ今後は以下の理由により、各論化が進んでいくものと想定されます。

 財政白書は市民に財政状況を伝え、理解してもらうことがことを意図していますが、そもそも市民に財政状況を伝え、理解してもらおうとする理由はなんでしょうか?

 1:やろうとする施策又はやめようとする施策、市民に負担を求めることに関して、市民の理解を求めること。
 実際には行政としては財政白書の中ではっきりはいいにくい面があり、これを主目的とする行政の財政白書はまだないのではないかと思います。

 2:市の財政状況の状況を訴えることで、市民に気づきを与え何らかのアクションをしてもらうこと、具体的には市政への参画を促すこと
例えば日野市の場合は、「わかりやすい財政資料を作る」→「市民参画による健全財政を検討する」ことが総合計画に位置づけられています。他の市における位置づけは未調査ですが、おそらくこちらの目的が主であると考えられます。

 仮に財政白書の発行により2番目の目的達成に一定の効果が現れたとすると、必然的に「財政状況を十分に理解した市民の参画の下」「市の計画、施策や事業について議論を交わす」ということが起こってくると考えられます。
 そのような段階になれば、そこで行われる議論はそれぞれの計画・施策・事業といった各論になることは自然であるといえます。「財政状況を十分に理解した市民の参画の下」に行われる議論を有効にするには、各論に関する財政分析に基づく議論でなければなりません。その議論のベースとして各論の財政白書が必要となってくるでしょう。

 このように、市民側、行政側ともに各論化の流れであろうと思われますが、当面は市民の財政白書が先行する形で各論化が進んでいくものと思われます。

 次回は、上記のような各論の分析とともに起こると予想される計画指向についてお話します。
 第三回「財政白書の未来形 ~ 財政白書は計画指向へ~ 」

2009年2月19日木曜日

公立病院 自治体直営転換 半数以上が検討

2009年2月16日 東京新聞より
”関東1都6県 公立病院 自治体直営転換 半数以上が検討”

「関東一都六県の公立病院の半数以上が自治体による直営方式の見直しを検討していることが、東京新聞のアンケートで分かった。公立病院の大部分は経営難に直面しており、総務省は来月までに改革プランの提出を求めている。具体的には非公務員型の独立行政法人化や民間病院への運営委託が多かったが、プラン策定の効果については、効率化に偏重する国の姿勢に反発する意見が目立った。」

 記事によると、関東の121の病院にアンケート調査をした結果、
  直営方式の転換を検討している:49病院
    非公務員型の地方独立行政法人:32
    民間医療法人への運営委託   :11
    公務員型の地方独立行政法人 :5
    民間譲渡              :3
  他病院との再編や統合を検討している :24
 とのこと。
 ちなみに自由記述では「医師の確保が不透明で先行きが読めない」「自治体レベルで解決できる問題ではなく、効果が期待できない」といった意見が目立った。
 
  日野市も市立病院があり、アンケートに答えたかどうかわかりませんが、こちらも今後の動きが注目されるところです。

連載:財政白書の未来 第1回

今回は「財政白書の未来」の第1回を連載します。

 (第0回はこちら)(目次はこちら

財政白書の未来
 第1回 財政白書は次のステージへ

 財政白書を発行する市が増えています。東京都下26市の中で18市が財政白書を既に発行し、市民による財政白書も11市で作られ、3月には12市になるといわれています。(*1)

 市の財政状況を表す財政情報は、現在のように財政白書が出る前にも広報その他で公表が行われてきました。このような財政情報の公表と財政白書の違いはそもそもなんでしょう。
 財政白書の未来を論じる前に、まずは財政白書の特徴を私なりに整理してみました。

○財政白書の特徴
 端的にいえば、これまでの財政情報の公表が総務省(旧自治省)が定めた仕事として、出さなければならない情報を発信することが主眼であったのに対し、財政白書は発信したものが市民一般に伝わる・理解してもらうという視点に立っているというのが違いだと思います。
 市民一般に伝わる・理解できるという視点に立つと表現される内容に次のような特徴が生じます。

その1:データを経年的に示す
 広報などによる財政状況の公表では一般的にその年分(又はこれに加えてその前年分)の情報しかないのが普通でした。しかし、財政白書ではここ10~20年程度の推移を掲載するケースが多くなっています。なぜならば、現在の市町村の財政状況はバブル以前からの経済状況と国の政策に翻弄されてきたという面が強く、現在の財政状況を市民に理解できるようにするためにはこれまでの経緯の説明を抜かすことはできないからです。

その2:財政状況の評価とその要素が分析されていること
 財政情報を並べるだけではなく、それが意味するところ、それがなぜ生じたかが分析されていること。そこにどれだけ評価や書き手の意見を入れるかは白書により違いが出ますが、一般に市民が作成した白書のほうが、評価や意見が入ることが多くなっています。

その3:財源や負担の議論が伴っていること
 絵やグラフで見やすくしている予算説明書を出している自治体もありますが、単に何をやってどれぐらい使っているかという業務報告を記載は財政白書とはいえないかと思います。

その4:ビジュアルになっていること
 表よりもグラフが用いられることが多く、またイラストなどを入れてやわらかい感じを出している白書も多くなっています。しかしこれは財政情報をビジュアルにすれば財政白書になるというものではなく、市民に理解してもらおうとする結果として生じるものと考えます。逆にビジュアルでもその1~3の特徴がないものは財政白書とはいえないでしょう。

○変化が必要な財政白書
 財政白書作成の目的として大きいのは、まず市民一人ひとりが財政に関心を持ち、市政への参画を促すことを通じて市民が意見と知恵を反映していくことを通じて、健全財政を推進することと考えられます。(*2)
 このような取り組みは継続性が求められるものなので、特に行政の財政白書は今後毎年継続して発行されるものと思います。
 一方市民が発行する財政白書は、「市民が市民の手で財政白書を作った」ということそのものに価値が見出される部分があり、同じようなものを二回目以降発行するインセンティブ(および話題性)はそれほど大きくないと考えられます。
 現在財政白書作りは多摩地域で盛んですが、全国的にはこれからという感じですので、まずは地域的に広がっていくと思います。しかし多摩地域についていえば、財政白書を作ることそのものについては既に一巡しつつあると考えられます。
 
 それでは今後財政白書はどのような展開を見せていくのか。次回以降考察を進めていきましょう。

 次回は第二回として「財政白書の未来形」をお送りします。

*1:日野市中央公民館「財政講座」資料より
*2:日野いいプラン2010(第四次日野市基本構想・基本計画)から、他市でも同様の目的を持つものと思います。

2009年2月18日水曜日

多摩市 財政白書追記

以前の記事で多摩市の行財政白書を紹介しましたが、財政白書(多摩市の財政状況)も出ていました。
紙ベースでは
「平成19年度多摩市の財政白書 ~わかりやすい多摩市の財政状況~」 20年11月に発行。
市役所で販売400円だとか。かなり厚い資料でほぼ印刷代の実費相当と思われます。
(財政を考える会メンバー提供情報)

さらに『多摩市の財政白書』 決算についての解説書も公表されているようです。

連載:財政白書の未来

今回から「財政白書の未来」としてコラムを何回か連載します。
 都下では多くの市が財政白書を発表し、発表していない市のほうが少数派になっています。
 それに加えて市民が財政白書を次々と発表しています。
 そのような中、財政白書の次なる展開はどうなるかということを、一部願望をこめつつ描いてみました。 今回は第0回ということで、サマリーを紹介します。 が連載中に内容が一部変わるかもしれません。

財政白書の未来
 第0回 サマリー
  • 行政および市民による財政白書づくりが広がっており、都下では財政白書を作ること自体は一巡しつつある。
  • 今後財政白書は、行政と市民が協働で施策を評価・計画するプラットフォームになる。
  • 財政白書は各論指向、計画指向となっていく。
  • 総論作成の広がりと各論の深化は同時に進行する。
  • 市民による財政分析面では、モジュール化、ネットワーク化が進行する。
  • 市民・行政それぞれ異なる動機から動画化への動きが出てくる。
  • 市民とのコミュニケーションの巧拙により、政策策定能力に格差が出る時代となる。
  • 行政は市民が財政の基礎データを元に分析・評価できる基盤を整えることが重要である。

 なんのこっちゃという言葉もあろうかと思いますが、次回以降で説明してまいります。

 次回は第一回として「財政白書は次のステージへ」をお送りします。

 注)このコラムは筆者個人の見解です。

 

2009年2月17日火曜日

岡山県・北海道「赤字隠し」

NIKKEIネット 2/15より
”岡山県・北海道「赤字隠し」 貸付金処理で不適正会計 ”
岡山県北海道が、住宅供給公社などに対する貸付金を適正に会計処理せず、2007年度に赤字決算を免れていたことが日本経済新聞の調査でわかった。実際には年度内の返済がなかった短期貸付金を、返済があったように装っていた。類似の会計処理は財政破綻した北海道夕張市も繰り返していた。総務省はこうした処理を問題視。改めるよう要請してきたが、岡山県と北海道は従っていない。 ”

夕張で大問題になった会計操作を県レベルでしていたということで、これが仮に上場企業だったら大変なことです。わざわざ従わない理由があるのでしょうか。

ブックレビュー 日本さん家の家計簿

日本さん家の家計簿 読売新聞経済部 祥伝社 2002年11月発行

 財政を考える会のメンバーからいただきました。

 この本は、日本の国の財政がどのようになぜ大変なのか、その基本を知りたい方向け。
 文字も少なく、物語風にわかりやすく書いてあります。
 2002年発行と、出版からやや時間は経っていますが、書いている内容は現在も当てはまる。というかさらに悪い状況になっています。(1/28投稿の借金時計参照)
 GoogleBook検索をするとこの本のサマリーが出ています。
 あっさりとすごいことを書いてあって面白いので、紹介します。
「日本の国家財政を一般家庭に置き換えると年収468万円。ローンの借り入れ300万円、年ごとの返済167万円、借金の累積は5000万円以上。普通の家ならとっくに破産

2009年2月16日月曜日

東大和市 市民財政白書

2月15日 読売新聞多摩版から
「市民版財政白書 東大和でも出版。歴史や産業も盛る」

「 東大和市の市民有志が、同市の財政状況についてまとめた白書「まちの財政を解りたい」を出版した。街の歴史や産業についても触れられており、関係者は「財政を通じて、自分たちの街に興味を持ってもらえれば」と話している。
 出版したのは「東大和まちの財政をまなぶ会」。「東大和ってどんなところ?」「市財政の全体像」など4部に分け、同市の財政状況について他市と比較しながら解説している。同様の白書作りは多摩地区で盛んだが、江戸末期から現在までの歴史に触れたのが特徴。表やグラフも多用し、難しい財政用語については巻末に解説を付けた。
 市財政の悪化を耳にした市民約10人が2000年、「市の財政を考える市民の会」を組織し、定期的に学習会を開いてきた。昨年3月には同会メンバーが、同市内で開かれた地方自治の勉強会「三多摩自治体学校」(多摩住民自治研究所主催)で発表。これを契機に、白書の出版を目指す「まなぶ会」を新たに結成した。
 白書によると、同市は基金残高が底をつき、厳しい財政状況に陥っているという。また、人口1人あたりの教育費は多摩地区26市中23位(06年度)、人口1人あたりの中学校費は同最下位(06年度)と、低迷している。まなぶ会世話人代表の尾松伸正さん(67)は「子どもは将来の希望。こんな状態で良いのかと疑問に感じる」と危機感を募らせている。」

 2000年から活動なので、日野市財政を考える会と同じぐらいに始まった感じですね。
 いろいろと苦労されたと思います。入手されたい方は読売新聞のサイトをご覧ください。

 

北多摩シリーズ

南多摩の各市に続き、北多摩の財政白書を紹介してきましたが、以下はネット上で財政白書が取れないところ。

府中市 財政資料はこちら
 予算については施策体系を含め詳しく説明しているが、決算については必要最小限。
 2001年12月に財政白書を出しています。白書を出したのはかなり早い時期でしたが、現在ネットで見ることはできません。
 内容は財政危機の原因と危機打開の方策を記載しています。
 ちなみに財政危機の根本的な原因として ①減少する市税と拡大する経常的経費
 ②地方交付税制度 ③過去の収益事業(平和島競艇)により市民サービスが拡大をあげています。
 現在でも状況は同じかも。

調布市 白書はネット上にはなし。財政資料はこちら
ただし18年8月には調布版財政白書ともとれる”市財政の現状と今後の課題”と題した冊子も作成し、配布している。
ちなみに、まちづくりデータブックは秀逸、180ページもあるのに容量はコンパクト。

小金井市 財政資料はこちら
2004年1月に 「小平市財政白書-いまと明日の小平のために-」が財政課から発行されていますが、残念ながらネットでは見れません。
ちなみに2006年12月議会で”財政白書を作らないのか”という質問に対し、
「財政白書の発行は、今後、市のホームページ上で決算公表の部分を充実させることで対応する」
とのことでしたが、あまり充実していないと思います。

東大和市 財政資料はこちら
 最近、「東大和まちの財政をまなぶ会」が「まちの財政を解りたい」を出版との報道。
 これについては別途紹介します。

清瀬市 財政資料はこちら

東久留米市 財政情報はこちら
 平成12年に財政白書を作っているようですが、ネットでは取れません。
 平成15~16年ごろ市の広報にシリーズで「東久留米市財政危機宣言~破たん回避のために」を掲載、ファイルがばらばらで見づらいですが。興味のあるかたはこちら。
 http://www.city.higashikurume.lg.jp/kensaku/tomorrow/asu/gyozaiseimenu.htm

 なお市議で作ろうという動きもあるようです。
 http://kajii-takuta.blog.ocn.ne.jp/blog/2008/09/post_6681.html

武蔵村山市 財政情報は こちら

これで北多摩シリーズ終了。
 ちょっと間をおいて西多摩の財政白書へのリンクを作っていきたいと思います。

2009年2月15日日曜日

豊田市の法人市民税96%減!

朝日新聞2月13日記事より
「愛知県豊田市は13日、09年度の当初予算案を発表し、08年度の当初予算で442億円あった法人市民税収入が16億円に落ち込むことを明らかにした。市内に本社を置くトヨタ自動車の業績悪化に直撃された形で、減収幅は96%。歳入の中核を占める法人市民税が1年で426億円も減るのは、石油ショックやバブル崩壊の時にも経験しなかった、同市では未曽有の事態となる。
 一般会計も1645億円と、前年度の当初予算より67億円(3.9%)も減った。一般会計の歳出には、業績が悪化した企業に取りすぎた市民税を返還する「還付金」が190億円分含まれる。これを除いた実質的な予算規模は1455億円となり、前年度当初比で15%もの減になる。また、16億円という法人市民税収入は、69年度当初の約15億円とほぼ同額で、税収規模が一気に40年前の水準にまで落ち込んだ格好だ。」

 426億とは。。。。日野市の財政規模が520億ぐらいなのでいかに莫大かわかります。
 ところで豊田市は人口42万ですが、似たような人口規模の市は富山市、横須賀市、町田市、岐阜市
 これらの市の予算規模は富山市が1700億と多いもののほかは1200~1400億ぐらい。トヨタなしの豊田市以下のお金でやりくりしていたわけですから、大丈夫なのでは?と思うのですが。
 むしろそれだけ多かった分を去年まで何に使っていたかが気になるところです。

2009年2月14日土曜日

日野中央公民館財政講座

本日 財政講座(注)をやらせていただきました。
 予定2時間のところを、いろいろと質問で盛り上がり(押してしまい)、1時間もオーバーしてしまいました。 進め方が慣れていなくて、大汗をかいてしまいました。

 今日の内容は 日野市健全財政を考える会の活動紹介
           平成20年度日野市財政白書による財政状況の説明
           将来の日野市の財政予測と財政運営の演習(前半)
  でした。最後は時間がなくてほとんど宿題にまわしてしまいました。

 次回は2週間後です。
 次回は将来の財政運営についてディスカッションということで、 今までにない企画なのでうまくいくかどうか心配ですが。
 また次回報告したいと思います。

 注) この講座は中央公民館主催の講座で11回シリーズ。
   1~8回までは、地方公共団体の財政分析で有名な大和田一紘先生による講義
   9~10回を財政を考える会による講座
  11回を日野市財政課の方に来ていただいてのまとめとなっています。
 

2009年2月13日金曜日

東京都の主要施設、改築・改修に9000億円!

日経新聞08/2/11より

「東京都は10日、都庁舎(東京・新宿)を含めた主要施設について、2009―18年度に約9000億円を投じて改築・改修する計画を発表した。空調設備などが老朽化する都庁舎の工事費は780億円を見込む。都は公共施設の整備向けの基金や都有地の売却などで財源を確保する考えだが、景気悪化で足元の都税収入は落ち込んでおり、大規模改修は財政運営の重荷となる。」

 ニュースの元となった東京都の発表はこちら
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2009/02/70j2a200.htm

特に本庁舎は「完成から17年が過ぎ、給排水設備や電気設備が劣化し、99―07年度には計約2万8000件の故障が発生。空調設備の修繕回数が年々増加傾向にあるなど、耐用年数の限界を迎えつつあった。」 シンボル性はある建物ですが、長期の維持を含めたコストバランスを含めどうだったんでしょうか。という検証が必要ではないでしょうか。

 年に900億円。。。約7500円/年人なり。都民としても心配なところですが、各市町村とも老朽化した公共施設は多くあり、将来の維持費などの検討・情報公開が必要と思われます。

西東京市財政白書

西東京市財政白書 平成19年度決算
http://www.city.nishitokyo.lg.jp/siseizyoho/zaisei/hakusyo/index.html
平成20年10月に作成。 4回目の発行です。

構成はスタンダード。西東京市の特徴として合併でできた市であるということ。
 合併したらお金をたくさんあげるよ!
 借金してもいいよ!
と国から言われていたのですが、気がついたらお金がもらえる期限が迫っており(13億円分)
借金してもよいと言われた100億円もそのうち返さなければなりません。
 今後大変そうです。

市民版財政白書が完成したそうです。「合併を市民が検証する 西東京市民白書」
 http://members.jcom.home.ne.jp/hakusho/index.html
 今後財政面を含めた検討をする ということで
 昨年11月に 「西東京市財政講座の集い」 から
 「クイズわが町のだいどころ事情」が発行されました。 定価500円とのこと。
  http://kajii-takuta.blog.ocn.ne.jp/blog/2008/11/post_2ebf.html
   (上記はその紹介のページ参照)
 市民一人あたりの金額を、他市との比較をしながら分析し、それをクイズ形式で編集して親しみやすくしているということで、非常に斬新かつ面白い試みだと思います。

2009年2月11日水曜日

財政白書の一般的な構成

これまで主に各市が出している財政白書を紹介してきましたが、だんだん構成は共通してきているように思われます。
ということで、下記に一般的な構成を紹介し、
「この財政白書の構成はスタンダード」といったらおおよそ下のことが書かれているのかな。
 と思っていただければと思います。

財政の概要
 ・決算規模(一般会計と特別会計。または普通会計のみ)
歳入
 ・歳入の構成
 ・市税 市税の内訳(税目ごと) 滞納についてコメントする市が多い。
 ・地方交付税
   ~ 三位一体改革と臨時財政対策債 = これに触れるのはいまやスタンダード。
 ・国や都の補助金
歳出
 ・性質別歳出 ~ この中で義務的経費を説明し、それを詳しく説明するパターンが多い。
 以下義務的経費
 ・人件費 職員給や職員数、退職金についてコメントする市も
 ・扶助費 内訳(社会福祉費、児童福祉費、生活保護費)を示す市も多い
 ・公債費 
 ・建設費
 ・目的別歳出
残高
 ・市債  特に近年赤字公債が増えている市が多い
 ・基金
各種指標 財政の概要の直後に置かれることも
 ・実質収支比率
 ・経常収支比率 ~ その内容を説明している市も多い。
 ・財政健全化指標 ~ 平成19年度決算から総務省に公表が義務付けられているもの
財務諸表
 ・バランスシート  連結バランスシートを示す市も
 ・行政コスト計算書

ブックレビュー よくわかる自治体財政のしくみ

”図解 よくわかる自治体財政のしくみ 肥沼位昌著 学陽書房 2002年2月発行”
 この本は・・・自治体の財政について基礎から知りたい人。
        財政資料のわからない言葉が気になる人 にお勧め
 著者は・・・初心者の方にも興味を持ちながら読み進んで、自治体財政の大枠がつかめるように考慮してかいてます。
  著者のHPがこちら  http://homepage1.nifty.com/hisui/tizai01.htm 
  本人としてはやや難しくなってしまったと思っているようです。

 おそらく、歳入歳出の項目についてもらさず紹介しようとしたため、マイナーなものや元々説明が難しいものを含めて説明しようと試みているためかと思います。そういう意味で、一応初心者向けとなっていますが、一部難しい部分もあり、その部分は気にしないで読み進めるのがよいかと思います。
またほとんどの項目について網羅しているので、財政資料のわからない言葉が出てきたときの参考にしてもよいでしょう。

狛江市財政白書

狛江市の財政白書です。
 http://www.city.komae.tokyo.jp/index.cfm/36,0,136,1059,html
 タイトルは「財政のあらまし」
 平成16年度決算から毎年出しており、最新は平成19年度決算(平成20年12月発行)

 説明している項目はスタンダードだが、説明を工夫している点、細かく説明している点として
 ・市債や基金との出入りを意識した財布への出入りの表現
 ・国民健康保険の歳入歳出の解説
 ・公債費の中身(元利を分けて説明)
 ぐらいがあげられる。

 実質収支のここ10年ぐらいの累計収支が赤字であり、財政の厳しさをうかがわせます。

 ちなみに平成18年に ”狛江手づくり財政白書をつくる会”が公民館との共催事業で
 「狛江市公民館共催事業 市民がつくった こまえの財政白書」を作成発表しています。
 ネット上にはあまり情報がないので残念。

大阪市事業仕分け

2月10日 毎日新聞より
”大阪市:事業仕分け、20事業中「現行通り」はゼロ 「不要」1件”

「公共サービスを民間に委ねる可能性を探るため、大阪市は8日、政策シンクタンク「構想日本」の協力を得て「事業仕分け」を試行実施した。検討対象になった20事業のうち1件が「不要」と判断されたほか「現行通り」は1件もないなど、厳しい判断を受けた。ただ市は、仕分け結果は「参考」にとどめる。」

こういうのがあるのですねぇ。ニュースで初めてしりました。
事業仕分けとは「国や自治体の行政サービスについて、予算事業一つひとつについて、そもそもその事業が必要かどうかを議論」「必要だとすると、その事業をどこがやるか(官か民か、国か地方か)を議論」するもののようです。
(詳しくは構想日本のHPhttp://www.kosonippon.org/project/list.php?m_category_cd=16を参照)
 都下では町田市が2008年7月に行いました。
http://www.city.machida.tokyo.jp/shisei/torikumi/gyousei/jigyoushiwake/080726jigyousiwake_gaiyou/index.html

2009年2月10日火曜日

国立市財政白書

国立市の財政白書
 http://www.city.kunitachi.tokyo.jp/kikaku/01kikaku/01306/01306.html

 市の出しているものとしては平成15年決算に基づくものを平成17年3月に出しているものが最新。
 普通会計に基づく分析で分析内容として大きな特徴はありませんが、国の政策などに対して、比較的はっきり物申しているのが特徴。
 「地方交付税制度は実質的に破綻している」とか「金利の安いものに借り替えようとするとその先の金利の補償まで求められるという民間ではまったく考えられない・・・」とか。

 近年市の財政白書は出ていないものの市民が作る財政白書として「まちの財政を学ぶ会」が
 平成18年12月に「知っておきたい国立市の台所」を刊行。下水道会計に拠出する繰出し金が財政をあ朴しているという問題意識から、平成20年には「見えにくい特別会計に迫る」を刊行しており、新聞等メディアにも取り上げられています。

企業城下町、自治体まとめ買い支援

2009年2月8日朝日新聞より
”企業城下町、自治体まとめ買い支援「税の無駄」批判も”
「苦境に立つ企業を支援しようと、自治体が地元企業の製品を「まとめ買い」するケースが目立っている。地域経済の担い手だけに、県や市は失職や工場の閉鎖を防ごうと知恵を絞るが、住民やライバル企業からは「税金の無駄遣い」「特別扱いは不公平」との声も。不況風が吹き荒れるなか、自治体の役割は――。」

として、倉敷市(三菱自動車の軽自動車)、 鳥取市(三洋電機のTV、パナソニック製品)、広島県(マツダの車)をまとめ買いするという話が紹介されています。ここではありませんが、多賀城市がソニーの電化製品を買うことも紹介されていましたね。

気持ちとしてはわかるのですが、本当に効果があるのか?市民の納得と検証が必要なところだと思います。最近は企業誘致のために補助金をつけたり、税制優遇したりするのですが、苦しくなったらまた支援するのでは本当に収支が合うのか心配になってしまいます。(伝統的にあるところはよいのでしょうけれども)

財政白書づくりの基本資料

財政白書づくりの基本はデータの収集
 最近は自治体の財政情報は総務省のページでかなりわかるようになっています。
 「地方財政状況調査関係資料」
 http://www.soumu.go.jp/iken/jokyo_chousa.html
 特に1.統計表一覧の ○財政比較分析表 ○財政状況等一覧表 ○決算カード は重要。

 類似団体や近隣市町村などのホームページはこちらが便利
 http://uub.jp/
 この中の公式ホームページに各市町村のホームページへのリンクがあります。
 その他市町村に関する面白い話題もいっぱいでお勧め。

2009年2月9日月曜日

国分寺市財政計画

国分寺市は財政白書はありませんが、平成28年度までの財政計画を立てています。

 http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/siryou/kouhyou/15sei/zaisei/zaisei.html
  →リンク切れになっています。(追記2参照。)

長期の財政計画は不確定要素もあり、出しにくいものですが、勇気を持って出しているところは評価したい。
今後の検証が必要と思うが、あたりはずれを問題にするのではなく、PDCAサイクルのひとつとして今度どうするか考える素材として使われることを望みます。
将来のそれぞれの歳出の根拠は個別事業の積み上げということだったのですが、資料編でもよいのでそこらへんの解説が詳しくあるとよいかと思いました。

 追記:平成10年の12月に財政白書を出しているようで、これは多摩地域でおそらく最初のもののようです。(大和田先生財政講座より)残念ながらネット上では見ることができません。

 追記2:3月末現在HPリニューアルに伴いリンク切れになっているようです。残念。

2009年2月8日日曜日

小平市財政白書

小平市の財政白書

 http://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/009/009732.html

 平成19年度版が平成20年12月に出ています。(5年ぶり2回目)

 内容としては普通計画を中心に説明をしています。

 この市でも三位一体改革の影響について分析をしています。また経常収支比率の内訳(財政の硬直化の原因を探る)を他市との比較で行っています。

 市の認識している課題は、使用料・手数料が少ない=受益者負担の見直しが必要
  区画整理事業・再開発事業など今後投資案件があること。
  施設の維持管理費による財政硬直化への対応
  ごみ処理組合への負担金 などなど。

 ちなみに、小平市でも市民財政白書を作ろうという動きがあります。
  http://kodairateigen.blog68.fc2.com/blog-entry-18.html
 市民提言書へのリンクもありますが、残念ながら後半がリンク切れ、
  2008年6月以降の更新もありません。サーバーを変えたのでしょうか?
 

沼津市のニュース

毎日新聞地方版から
「沼津市議会:市自治会連、定数13減を要望 /静岡」
「沼津市自治会連合会(高木孝会長)は7日までに、市議会の定数を34から21に減らす要望書を杉山功一議長に提出した。 要望書では、大胆な行財政改革のためには『市民の代表である市議会に率先して範を垂れていただくしかない』として、大幅な定数削減を求めている。静岡、浜松市の政令市の定数を参考に、人口1万人あたり議員1人が適切だとした。」

 なかなか大胆な提案です。
 市民が財政状況を分析を通じて(ここまで大胆かどうかは別として)市に対していろいろと提言ができるようになるとよいと思っています。
 議会のほうも、こういわれては存在感を示すべく、市政のチェックや改革に乗り出さないといけないでしょう。

 ところで沼津市では市民で財政白書を作ろうという動きがあるようです。
    http://www.f-numazu.jp/article/13239990.html(ふれっしゅ沼津のホームページから)

 市としては財政白書のようなものは作っていないようです。
  財政関係資料はこちら http://www.city.numazu.shizuoka.jp/sisei/jyoho/zaisei/zaisei-top.htm

2009年2月7日土曜日

昭島市財政白書 市民版

昭島市では”あきしま財政研究会”が
 昭島市民手作りの「財政読本」 そこが知りたい
 を平成20年10月末に発行しています。 日野市の図書館で発見、借りてきました。

 東村山や国立ほど新聞などには取り上げられていないようですが、内容はすばらしいと思います。
 ポイントとしては、まず全体に文字が大きく読みやすいこと
 次に市が財政白書を出しているというのもあるのでしょうが、全般的なところは軽く触れておいて、
  疑問のところ・課題のところを深く掘り下げているところ。
 そしてそれらの項目について。他市との比較やサービス量との見合いなど多面的な分析がされているところ。
 
 深く掘り下げているのは
  職員給:市としては自らは書きにくそうなところ。今まで見た白書で一番深く突っ込んでいるように思います。
  福祉 : 保育園児の数が多いようです。(他の市はあきらめている人も多いのでは・・・)
  ごみ処理 :有料化が早い割にはあまり減っていないようにも。
  国民健康保険 : 市としては徴収以外はいかんともしがたい部分が多いので、市の白書でここまで分析しているものはなかなか見当たりません。
  水道事業:昭島は独自の水道事業を持っています。しかも優良経営なのです!

 定価千円とのことですが、どこで売ってるのでしょうねぇ。 内容の充実度からするとお得感が高いです。

ブックレビュー 自治体財政を分析・再建する

「自治体財政を分析・再建する」 出井信夫・池谷忍 大村書店 2002年11月発行

 この本は・・・ 自治体財政の基本を知りたい人、財政分析をしてみたい人にお勧め
 難易度 ・・・ 普通
 本の目的・趣旨 ・・・「自治体の財政は急激に悪化しているが住民には知らされていない。議員も言わないし、住民も関心がないし、自治体職員も把握していない。」という問題意識のもと
 「一般の住民、学生職員、議員に自治体財政がわかるようにする。」
 ことを目的としている。
 そのために、「住民一人ひとりが賢くなり、責任を持って役所や役場に物申すことにより地域づくりを進めることが重要」
 であることから、予算を知るための基礎的な事項及び財政分析について説明しています。

 内容・感想など
 本書では
  第一部で 「予算を知るための基礎講座」 として、財政について説明
  第二部で 「もっと知りたい人への専門講座」 として財政分析について説明しています。

 自分の市の財政分析をしてみたいという方は第二部から読み進めてもよいかもしれません。
 分析の手法は決算カードのうち10の指標を経年的に調べることによるもの。
 決算カードを実際に示してこの部分というガイドがあるとなおよかった。

 第二部の後半は行政評価やバランスシート、財政健全化計画の作り方などその当時の先進的な話題でかつ行政の専門の方向けの内容になってきていますが、財政分析の先にはそのような行政改革のようなものも見えてくるので、読んでおくと参考になろうかと思います。

・・・・・といいつつ、オンラインの書店を見るとすでに入手できないところが多いようです。
    アマゾンは中古で買えるようですが。
  というか大村書店は倒産したようです。

 内容としては 同じ著者(出井氏)の 基礎からわかる自治体の財政分析 (単行本)  学陽書房
  が近いのではないかと思いますが。
   うーむ、無責任なレビューになってしまったなぁ。

2009年2月6日金曜日

昭島市の財政白書

昭島市は「昭島の財政」というタイトルで平成14年度決算から財政白書を出しています。
最新版は平成18年度決算版が平成19年12月に公表されています。

 http://www.city.akishima.lg.jp/1080yosankessan/108108hakusyo/

 普通会計決算に基づき各項目のここ15年間の推移を元に説明しています。
 分析の特徴としては、福祉関係(高齢者、生活保護、保育園など)について受益者一人当たりのサービス受給額と市の負担をまとめていること。 → 受益者負担の見直しが必要としている。
 財政上の課題としては、財源不足を基金の取崩しと赤字公債(要は借金ね)でまかなっており、赤字地方債が市債残高の半分を占めていることが特徴ではないか? と思いました。
  赤字公債って何かは後日説明しないといけないですね・・・・・。
 全般的にはわざわざ噛み砕いた説明はしてないものの、各ページに用語解説があり、特色があるわけではないけれどもしっかりと作っている感じがしました。

三位一体改革とは

各市の財政白書を見ると必ずといってよいほど出てくる「三位一体改革」
 そもそもこれってなあに?ということについて説明したページ。
 総務省のページもあるけれども比較的わかりやすいページを紹介します。
 三位一体改革の趣旨
   http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20040626A/
 その後にさらにこのページ
   http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20071206A/
  を読むと2004年当時の趣旨とその後2008年現在どういう状況になっているかがわかります。

 また三位一体改革の問題点が漫画でわかるページ
   http://www.bunken.nga.gr.jp/magazine/no1/p1.html
  平成16年ごろに出ていますが、ここで示されている問題は基本的には現状も変わっていません。

 三位一体改革の交付税改革にあわせて出てきた臨時財政対策債については、各市とも問題と認識していますが
 何しろ説明する対象が複雑なので、わかりやすい説明がなかなか難しいようです。

 これについてわかりやすい解説を試みようと思いますので、しばらくお待ちください。

2009年2月5日木曜日

多摩地域の法人税収軒並み半減

本日朝日新聞多摩版より
「急激な景気悪化で企業の業績が下降する中、それに伴う税収の落ち込みが多摩地区の各自治体の来年度予算編成に影を落としている。特に工場集積地のある自治体ほど影響は大きく、法人市民税の減収が目立っている。」
 ということで、
 青梅市25.9億円→13.9億円 3月補正で7億円の市債を出して補てんするとか。
 羽村市15億円 → 8.2億円
 日野市25億円 → 13億円
 これほど大幅ではないが
 立川市58.7億円→48.9億円 などの記事が出ておりました。

 逆に生活保護などの歳出は増えるわけで、来年度は各市とも大変な財政運営となりそうです。
 
 

2009年2月4日水曜日

三鷹市自治体経営白書

三鷹市は財政白書ではなく、自治体経営白書の中の一章を割いて「三鷹市の財政状況」にあてています。

http://www.city.mitaka.tokyo.jp/c_service/003/003620.html

自治体経営白書は平成20年度で7回目。普通会計による決算統計分析が中心で個々の項目にはそれほど細かく突っ込んでいませんが、三位一体改革の影響を大きく取り上げています。

財政のほか、基本計画の達成状況などの達成状況のチェックがあり、毎年目標に対する達成状況が明らかにされています。これはなかなかすごい。三鷹市民には是非毎年目を通してもらいたいと思います。
日野市もこういうものを作って公開するとよいのですが、最初は大変だと思いますが。

2009年2月3日火曜日

ブックレビュー 自治体破産

たまには財政関係で読んだ本のレビューなどもアップしたりします。
今日は 「自治体破産」 白川一郎著 NHKBooks 2004年発行

この本は・・・自治体の財政悪化問題について興味のある方向け
難易度・・・普通。

内容・コメントなど
この本が出たのは2004年。当時は夕張はまだ財政破綻していなかった。自治体が債務不履行に陥った場合の法制の不備を指摘しており、その後その制度の不備が夕張の財政破綻で明らかになっています。

 この本で「財政悪化は地方自治体が財政規律なくしたことによるものであり、これは国と地方との間の行財政制度の仕組みが原因」としています。つまり「最終的には国が面倒を見てくれるシステム」のため、財政規律が失われているのです。
このような状況に対し、自治体の破綻法制の整備と地域に責任と独自性を持たせるインセンティブがある制度を作ることがひつようと訴えています。
 第3章の冒頭で地方財政の制度(特に国との関係)の概要について、歴史的な経緯を踏まえて説明してあるので、財政自体にあまり詳しくなくても読めるかと思います。

 その後2007年に夕張市が財政再建団体になり、自治体の財政健全化に関する法律が新たに作られ、財政悪化を示す指標については整備されましたが、自治体の債務不履行(デフォルト)については想定しておらず、著者が提示している問題に対してはまだ答えられていない状況です。

 なお 増補改訂版が2007年に出ているようです。おそらく夕張市の財政破綻を受けた内容になっていると思われます。
    

日野市健全財政を考える会ブログできました

私が所属している日野市健全財政を考える会のブログができました!
 
  http://hinoshi-kenzenzaisei.blogspot.com/

 ある程度まとまったものなどを、考える会のブログには載せようかと。
 日々のねたはここのページで更新していこうと思います。

2009年2月2日月曜日

日野市のニュース

TBSニュースサイト 1/30 より
 自動車産業が景気悪化のあおりを受け、それが市の財政に影響しているというニュースねたに日野市が取り上げられました。

「国内の自動車の生産台数は、去年11月は前の年の同じ月に比べ20%のマイナス、12月は25%のマイナスと急激に落ち込んでいます。まさに自動車大不況の中、最大手のトヨタが今年3月期の決算で初めての最終赤字に転落する可能性が出てくるなど、各社とも軒並み業績が悪化しており、その影響は地方自治体にも思わぬ形で広がり始めています。

東京・日野市の踏切。朝の通勤ラッシュ時には電車がひっきりなしに通り、渋滞が・・・。遮断機が上がっても、すぐに警報が鳴ることも。大型車も多く通ります。 「道幅が狭くて通りづらい」(市民) 渋滞を解消しようと、日野市は線路の下にトンネルを通す工事を続けています。しかし、ここにきて来年4月に予定していた完成が延期されました。 
「財政上事業規模を縮小せざるを得なかった」(日野市 宮田守 道路課長) 理由は、市の税収が大幅に減ったことです。自動車販売の落ち込みが深刻になるなか、市内に本社を置くトラックメーカー、日野自動車は今年度、最終赤字に転落する見通しに。日野市にとっては来年度の法人市民税の収入見込みのうち、日野自動車の分だけでも7億円のマイナスとなってしまうのです。 「ともかく切り詰める決断をして、その線で行くことしかない」(日野市 馬場弘融 市長」 予算の縮小を迫られ、来年度に予定していたトンネルの舗装工事を1年間、先送りすることに。 「我々から言えばしわ寄せ」(建設業者) 」
以上引用終わり

 トンネルって一番橋通りのことですかねぇ。この立体横断の工事費が11億円ですから7億の減収というのは痛いですね。

東村山市財政白書

東村山市財政白書
http://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/~kakukaweb/010000/hakusyo/hakusyo.htm

平成18年度決算版が平成19年12月に出ているのが最新です。


三位一体改革による地方交付税への影響を詳しく説明。また26市との比較を各項目で出しているので多摩地域の他の市の人も参考になるはず。








東村山市は市民財政研究会も「市民がえらんだ緑の百景と 市の財政2008」を2008年の11月に出しています。

私は財政を考える会のメンバーから入手(お借り?)しました。

書店で1000円で売っているようです。

 売っている書店の案内はこちらhttp://plaza.rakuten.co.jp/hatenaisya/diary/200811140000/

 市民財政研究会の方のブログです。
 

 写真がいっぱいで実費だけで1000円以上しそうです。


 内容を見ると日野市の財政も苦しいですが、東村山の財政はなお苦しいということが伝わります。主張は明快で「財政が苦しい!」「駅前の再開発にお金を投入したのが原因」「なのに受益者負担を求めるのはけしからん」という感じ。



 市の財政白書では議会でも問題になっている再開発は言及されていませんが、こちらの白書では大きく取り上げられています。市民も財政白書を作ることで、いろいろな人が数字に基づいて分析し、(個人の心情や感覚だけではなく)分析に基づいて議論ができるようになるということが大事なのだと思います。


 

三位一体改革 ~ 税源移譲について

先日武蔵野市についてアップした際、税源移譲の話が出たので関連するページを紹介。

財務省平成18年度の税制改正に関するページ
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/zeisei06/html/contents/01/index.html

つまり所得が200万以下の人の住民税(都民税含む)は5%→10%に増え、
    所得が700万以上の人の住民税は13%→10%に減るということ。
 所得が200万というのは給与所得者でいうと400万弱程度の収入、700万というと大体1000万以上の収入の人があたるわけ。
 地方自治体は基礎的な住民サービスを行うところだから、地域の所得水準によってあまり差が生じないようにしたということなのでしょうか。

 武蔵野市の場合は高額所得者が多いので税源移譲によってかえって税収が減るという、他の市からするとうらやましいような、気の毒なような。

2009年2月1日日曜日

日野市財政非常事態

広報日野 2月1日号より
 日野市は平成11年に財政非常事態宣言をしましたが、それから10年。
 昨年ぐらいまでは、企業業績もよく一息ついたような感じもあったのですが、来年度は法人市民税がピークに比べ20億円以上も減少する見込で、再び財政非常事態を宣言するにいたりました。
 20億円といえば市営の12の保育園全体の費用に匹敵する金額です。
 10年前に比べて人員などの面でかなり効率化されているので、今後の取り組みとしては10年前よりさらに厳しく難しい取り組みになるのではないでしょうか。
 http://www.city.hino.lg.jp/index.cfm/1,54131,60,html

 財政を考える会としても、市と協働で危機を乗り切るべく活動していきたいと思います。

南多摩財政白書まとめ

八王子、町田、日野、多摩、稲城 を南多摩というそうです。
よく三多摩といいますが、昔の北多摩郡、南多摩郡、西多摩郡で「3 多摩」らしいです。
立川って北多摩だったんですね。

 というわけで、5つの市の財政白書のリンクが出揃ったのでまとめてみました。

八王子市 財政白書
http://www.city.hachioji.tokyo.jp/seisaku/gyozaisei/hakusho/index.html

町田市 財政白書
http://www.city.machida.tokyo.jp/shisei/gyouzaisei/cost/index.html

日野市 市民が作った財政白書
http://www.city.hino.lg.jp/index.cfm/6,0,157,1632,html

多摩市 行財政診断白書
http://www.city.tama.lg.jp/plan/943/1669/index.html
多摩市 財政再構築プラン
http://www.city.tama.lg.jp/plan/943/saikouchiku/index.html

稲城市 財政白書
http://www.city.inagi.tokyo.jp/shisei/zaisei/zaisei_hakusho/index.html