2009年03月01日(日) 山梨日日新聞より
「閉鎖した工場、SC…再生 “リユース庁舎”続々県内自治体財政難、出費抑える」
「工場、ショッピングセンター(SC)、高校-。山梨県内で、役目を終えた施設を自治体の庁舎とする動きが広がっている。厳しい財政を背景に、空き施設を活用して出費を抑えるのが狙い。一方、県、甲府市はそれぞれ100億円を超える新庁舎建設事業を推進。南アルプス市は建設見送りを決めるなど、地方自治の拠点をめぐり対応が分かれている。 」
ということで、 山梨市は、「電子機器工場」、甲州市は店を閉めたSC を市役所として転用しているとのこと。
また北杜市は廃校となった旧須玉商高校舎を改修して使うとのこと。
甲州市によると「改修なら半分の出費で済む」とか。工場やSCが出て行ってしまうのは憂慮すべきことですが、市内にある資源を何とかして活用しようという思いが表れています。
日野市(日野市に限らず)も老朽化した建物を抱えているので、費用をかけない方法として参考になるかもしれません。
2009年3月2日月曜日
連載 財政白書の未来 第9回
今回は第9回 財政白書とコミュニケーションをお送りします。(前回はこちら) (目次はこちら)
第九回 財政白書とコミュニケーション
行政が作成する場合でも、市民が作成する場合でも、市の財政状況全般に関する白書(総論編)の目的は主に「多くの市民に市の財政状況を知ってもらう」ということにあり、受け手を強く意識するにせよ、情報の発信というところに重きが置かれることになります。
一方、各論について分析され、白書が作られるようになると、単に市民に知ってほしいということに加えて、
行政側としては「施策に理解を示してほしい(施行がスムーズにいくようにしたい)」
市民側としては「行政にわれわれの考えを反映してほしい」 という方向に向かっていくものと思われます。
つまり発信するだけではなく、その結果を求めるようになってきます。
財政状況を市民に広く知ってもらう究極の目的としては、市民参画による「市の施策策定力の向上」「よりよいガバナンスの実現」があると考えられます。しかしながら、その実際を考えると簡単ではありません。
財政白書の未来形において、共通のデータに基づき分析し、それに基づいて議論をするということになっていますが、その議論はどのようになされ、どう反映されていくのでしょうか。
例えば市民が財政白書を発行していますが、行政はその声をどう受け止めればよいのでしょうか。
~行政や市民が財政白書を発行することによる効果はいまのところまだ明らかになっていません。
例えばごみ処理場など市民の間で議論を巻き起こす問題についていくつもの市民グループや個人が白書を作って、ネット上に上げたりしている場合はどうすればよいのでしょうか。
行政としてはこのようなものについて、無視を決め込むこともできるのです。個人のブログや街角での雑談と同様に片付けてしまうことは簡単です。
近年は市民参画やパブリックコメントなど市民の声を取り入れる取り組みが行われていますが、「そういうものが無しで済ませられるものなら済ませたい」と本音で本気で思っていたら、いかなる仕組みがあっても意味はないでしょう。市民参画、市民参画と唱えても、その声が反映されていないとわかれば参画する市民はいなくなります。最悪の場合には、一部の有力な議員や圧力団体のコネを通して見えない形で、一部の市民の声のみが反映されるということにもなりかねません。
地域のニーズをより知っているのが、中央官庁ではなく、市町村であるように、生活に密着した知恵は最前線の市民生活の中に眠っていると思います。 市民の意見は当然玉石混交でしょうが、しっかりとしたデータに基づいた財政分析をベースとした提案には玉の割合が高いと思われます。
このような地域の知恵を施策に生かせるかどうかが、今後の市町村の行政運営能力を左右するようになることでしょう。
とはいえ、行政職員がネットサーフィンで市民の声を集めるというのもあまり実際的ではないように思われます。
そのような中で市民の声を拾い上げる議員の役割というのは重要になってくるのではないでしょうか。
議員を通してというとどうしても裏口からなにかしようというような印象を持たれる向きもあるかと思いますが、それがオープンに行われる限り、市民の声を反映させるひとつのチャンネルとして有効であると思います。
現状市民参画といっても、実際に参画している人、できる人は前回のコラムでも言及した通り、偏りが生じています。裾野の広い、実効性のある市民参画の仕組みをいかに作り上げるかが今後非常に重要になるでしょう。
その中で、行政側も市民側も「自分の考えを変える勇気」をもつべきだと思います。最初から自分の考えを変えるつもりがなければ、いくら参画をしても実のある議論は生じないでしょう。他人に無理に合わせる必要はありませんが、データと事実に謙虚向き合い、自分の考えや思いにとらわれ過ぎないようにしなければなりません。特に組織をバックに係わる人は組織の思いが重視され、事実の捉え方に無理が生じてしまう場合があるので注意が必要でしょう。
いつのまにか財政白書の話ではなく、市民参画の話になってしまいました。この分野については正直筆者の力量を超えてしまっている部分があります。 この点については長期的な検討課題としていきたいと考えています。
これで第0回から始まり今回まで10回の連載となりました。
次回は最終回として、まとめと課題とさせていただきたいと思います。
第九回 財政白書とコミュニケーション
行政が作成する場合でも、市民が作成する場合でも、市の財政状況全般に関する白書(総論編)の目的は主に「多くの市民に市の財政状況を知ってもらう」ということにあり、受け手を強く意識するにせよ、情報の発信というところに重きが置かれることになります。
一方、各論について分析され、白書が作られるようになると、単に市民に知ってほしいということに加えて、
行政側としては「施策に理解を示してほしい(施行がスムーズにいくようにしたい)」
市民側としては「行政にわれわれの考えを反映してほしい」 という方向に向かっていくものと思われます。
つまり発信するだけではなく、その結果を求めるようになってきます。
財政状況を市民に広く知ってもらう究極の目的としては、市民参画による「市の施策策定力の向上」「よりよいガバナンスの実現」があると考えられます。しかしながら、その実際を考えると簡単ではありません。
財政白書の未来形において、共通のデータに基づき分析し、それに基づいて議論をするということになっていますが、その議論はどのようになされ、どう反映されていくのでしょうか。
例えば市民が財政白書を発行していますが、行政はその声をどう受け止めればよいのでしょうか。
~行政や市民が財政白書を発行することによる効果はいまのところまだ明らかになっていません。
例えばごみ処理場など市民の間で議論を巻き起こす問題についていくつもの市民グループや個人が白書を作って、ネット上に上げたりしている場合はどうすればよいのでしょうか。
行政としてはこのようなものについて、無視を決め込むこともできるのです。個人のブログや街角での雑談と同様に片付けてしまうことは簡単です。
近年は市民参画やパブリックコメントなど市民の声を取り入れる取り組みが行われていますが、「そういうものが無しで済ませられるものなら済ませたい」と本音で本気で思っていたら、いかなる仕組みがあっても意味はないでしょう。市民参画、市民参画と唱えても、その声が反映されていないとわかれば参画する市民はいなくなります。最悪の場合には、一部の有力な議員や圧力団体のコネを通して見えない形で、一部の市民の声のみが反映されるということにもなりかねません。
地域のニーズをより知っているのが、中央官庁ではなく、市町村であるように、生活に密着した知恵は最前線の市民生活の中に眠っていると思います。 市民の意見は当然玉石混交でしょうが、しっかりとしたデータに基づいた財政分析をベースとした提案には玉の割合が高いと思われます。
このような地域の知恵を施策に生かせるかどうかが、今後の市町村の行政運営能力を左右するようになることでしょう。
とはいえ、行政職員がネットサーフィンで市民の声を集めるというのもあまり実際的ではないように思われます。
そのような中で市民の声を拾い上げる議員の役割というのは重要になってくるのではないでしょうか。
議員を通してというとどうしても裏口からなにかしようというような印象を持たれる向きもあるかと思いますが、それがオープンに行われる限り、市民の声を反映させるひとつのチャンネルとして有効であると思います。
現状市民参画といっても、実際に参画している人、できる人は前回のコラムでも言及した通り、偏りが生じています。裾野の広い、実効性のある市民参画の仕組みをいかに作り上げるかが今後非常に重要になるでしょう。
その中で、行政側も市民側も「自分の考えを変える勇気」をもつべきだと思います。最初から自分の考えを変えるつもりがなければ、いくら参画をしても実のある議論は生じないでしょう。他人に無理に合わせる必要はありませんが、データと事実に謙虚向き合い、自分の考えや思いにとらわれ過ぎないようにしなければなりません。特に組織をバックに係わる人は組織の思いが重視され、事実の捉え方に無理が生じてしまう場合があるので注意が必要でしょう。
いつのまにか財政白書の話ではなく、市民参画の話になってしまいました。この分野については正直筆者の力量を超えてしまっている部分があります。 この点については長期的な検討課題としていきたいと考えています。
これで第0回から始まり今回まで10回の連載となりました。
次回は最終回として、まとめと課題とさせていただきたいと思います。
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