地方財政プラスアルファ 経常収支比率 その3
今回から具体的な行政のアクションと経常収支比率との関係について
1.道路を作りました
道路を作る費用は、臨時的な費用であり、そのための補助金や借入金も臨時的なものですので、経常収支比率の分子にも分母にも影響を及ぼしません。 以上、ちゃんちゃん。
・・・・・・ではありません。それは道路を作った年の話。
道路ができた後の年はどうなるかというと、その財源とその市が地方交付税の交付団体かどうかによって違いが出ます。
借入金なしで作った場合
~ その年以後の道路の維持管理のお金は経常収支比率の分子の部分になりますので経常収支比率が増える方向に動かします。日野市の場合は道路の維持費は年間約6千万。道路延長は約450kmなので100mぐらい作っても維持修繕費という意味では大きな影響はありません。(1kmあたり13.3万円ぐらい)
借入金で作った場合場合
~ その年以後の利払い及び元本の返還のための費用が、経常収支比率の分子の部分になりますので、上記より大きく経常収支比率を増加させることとなります。
一方、道路特定財源に基づく国などからのお金があります。(平成19年度は自動車重量譲与税、地方道路譲与税、自動車取得税交付金)これらは道路面積及び道路延長により比例配分されるため、道路が増えればその分これらの金額も増えることになります。道路特定財源といいながら、実は経常収支比率の分母である「経常一般財源」を構成するため、経常収支比率が減少(つまり改善)する方向に働きます。
ちなみにこれらの金額の合計額は平成19年度で約7.8億円。。。?
ということは、道路を作ると、分母の方の増え方が大きい→経常収支比率がよくなる、ということですかね?(他の市も同じ割合で道路を増やしていれば増えませんが。)
日野市のように地方交付税の不交付団体はここまでなのですが、多くの市町村は上記に加え地方交付税が交付されています。地方交付税の元となる基準財政需要額は、道路の面積や小学校の数などに応じて計算されますが、例えば平成20年度の基準財政需要額の計算では道路の延長1kmあたりの単位費用は26.2万円。つまり道路を1km作るとそれだけいろいろな費用がかかるので、26.2万円分、市に渡すお金を増やしましょうということ。
地方交付税は経常一般財源なので、経常収支比率を改善する方向に動かすことになります。
まとめていうと。
○道路と作ると維持管理費及び公債費(借入金で作った場合)の分 経常収支比率が悪化します。
○一方道路特定財源と地方交付税(交付団体のみ)が増加する分 経常収支比率が改善します。
トータルした場合、経常収支比率がよくなる場合も悪くなる場合も考えられます。
直感としては公債費を入れた場合は悪化し、そうでない場合は±0かやや改善すると思われます。
明確な結論がでなくてさえないコラムですねぇ。。。
2009年7月18日土曜日
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