2009年9月26日土曜日

市民財政白書を作る 人口予測をしてみる

将来の財政の課題を語るには将来の人口の見通しが欠かせません。
人口問題研究所や東京都が国勢調査を元に、市町村別の人口予測を5年ごとの予測を出しています。
 -人口問題研究所(http://www.ipss.go.jp/site-ad/index_Japanese/population.html)

これはこれで予測精度も高いと思うのですが、実際に使おうとすると物足りないところがあります。
①年齢階層の予測が5歳刻みであること。
 ~例えば小学生の人口や中学生の人口を予測したい場合にうまくいかない。
②予測間隔が5年ごとであること。
 ~国勢調査の間隔にあわせ、2010年、2015年、2020年という具合になっています。

一方でこれらの人口予測をするためにものすごく難しいことをしているかというと、基本的な原理は大変簡単です。要は今年1歳の人は来年2歳、再来年は3歳になるというところから出発し、今年の1歳の人口を元に来年の2歳の人口、5年後の6歳の人口、10年後の11歳の人口を求めていくものです。
 研究所が行っている予測では、この基本的な原理の精度を増すためにいろいろと難しい技術を加えていますが、市民レベルで予測するには基本的な考え方だけで十分かと思います。
 ちなみにこの方法はコーホート法というそうです。
(参考:秋田市の解説:http://www.city.akita.akita.jp/city/pl/mn/statistics/nobiyuku/2jinko/suikei/h18/cohort.pdf)

 日野市財政を考える会では、過去5年ぐらいの0~100歳までの各年齢の男女の人口を入力(理論的には過去2年でよいが、年による変動を緩和するため)して、1年ごとの各年齢の人口を予測しました。
 概ね40代以降については転居があまりないと見られ、1年ごとの誤差は1%以内(0.2~0.3%ぐらい)に収まっているようです。逆に若い世代、子どもの世代についてはマンション開発による転居の影響が大きく出るので2~3%程度、最大5%程度の誤差が出ることもあります。(研究所の推計でもここらへんの影響を予測できるところまでいっていないようですが。)

 エクセルにひたすら人口を入力すれば、かなり長い期間予測できるので、時間がある方はやってみると面白いかも。留意点としては
 ①1年ごとの予測なので、例えば誤差が1%でも20年経つと20%以上の誤差になるので、その数値に頼りすぎないこと。(できれば他のデータとの突合せをしてみるのがよいかと。)
 ②0歳人口の予測:私は保健所の各年齢層の出産数のデータ(市の事務報告書)を参考にしましたが、そのデータがない市もあるかも。
 ③後は根気。1年でも200のデータを入れないといけないので、気長にやりましょう。
  5年階級でも65歳以上人口や75歳以上人口を予測するには十分です。