2009年6月23日火曜日

ブックレビュー 市民のための地方自治入門(新訂版)

今日は市民のための地方自治入門[改訂版] 行政主導型から住民参加型へ
 佐藤竺監修 今川晃馬場健 編 実務教育出版2009年2月発行
 2月22日の記事で紹介した本の改訂版。 改訂より新訂の方が新しいようです。まぎらわしい。
 新しいほうは図書館で借りました。
 改訂版との違いは、順番の入れ替えを除けば、財政健全化法が加わったことと、海外の事例が豊富になったこと。なんと22カ国も調べています。
 また「おわりに」が全面的に書き換えられていて、その内容が財政白書を作るものにとって非常に深い文章だったので、その要旨を少し長くなりますが、ここに紹介します。
 「(協働はわかりやすさがポイントだが)わかりやすさには二つの側面があると考えられる。まずは①伝達方法(表現)のわかりやすさであり、これに対して②内容のわかりやすさというものがある。本来この両者は密接不可分であり、伝達方法が難解なものは実は内容も難解なものが多い。しかし名前(伝達方法)が、わかりやすくなれば内容も簡単になったような錯覚に陥る。
 例えばごみの処理場の建設を考えると、関係法令、建設コスト、環境への影響など伝達方法も中身もわかりやすいことからかけ離れている。
 協働の際に、住民の側は行政に対して伝達内容のわかりやすさは求めるべきであろうが、容まで単純化して伝えることを要求すれば自らの判断を誤ることになるだろう。つまり伝達手段のわかりやすさは求めるべきだが、単純化した伝達内容は誤った判断を招くばかりではなく、両者の誤解や対立を招くことにもなる。
 したがって、内容が難解であることを忌避しない姿勢が今、住民と行政に求められている。」(P281~282抜粋)
 できれば書店で手にとってここだけでも読んでいただければと思います。(立ち読みを勧めているように思われてしまうかな・)

 財政も深く知れば知るほど難解な部分が増えてきます。それを市民に伝える際に「わかりやすさ」を目指すがゆえに「内容の単純化」を行って誤解を招いていないか、改めて振り返ってみる必要があろうかと思います。
 一方で、人間急に難解なものが理解できるようになるわけではありません。理解をしようという市民が次のステップに進みやすいように一段一段小さな作ることが必要なのではないかと思います。このブログがその小さな一段になれればと思っています。
 とはいえ、いかに段を低くしても上る意思がなければ上ることはできません。それがここでいう「難解であることを忌避しない姿勢なのではないか」と思っています。