2009年9月8日火曜日

市民財政白書を作る(動画版) 扶助費について考える

扶助費は福祉の費用と理解されていることが多いですが、より正確には
「生活保護法、児童福祉法などの法令に基づいた生活保護費や児童手当などの支給や、市が単独で行う各種扶助のための現金・物品を問わず、被扶助者に対して支給ものにかかる経費」ということになります。
かえってわかりにくかったか。

つまり、現金や現物を直接給付している部分の金額になるので、児童手当や民間保育園の運営経費に充てるものが扶助費になります。扶助費は直接人にお金を給付するものなので、民生費以外はほとんど発生しません。
逆に民生費でも扶助費以外の部分は多くあります。例えば同じ保育園でも市営の保育園は人件費と物件費(委託料とか備品とか水光熱費とか)が主になります。
また介護保険ができる前は介護サービスは扶助費でしたが、介護保険特別会計へ出すお金は「繰出金」という名前になりました。また介護保険を一部事務組合でやっているところは「補助費」という分類(性質別)になります。

ということで、福祉の費用が多いと扶助費も増えることは間違いないですが、扶助費の多さと福祉の充実は別の問題ということになります。(特に他市町村との比較をする場合)

ちなみに扶助費は人件費、公債費と合わせて義務的経費と呼ばれます。
義務的経費は「支出することが制度的に義務づけられている経費」と説明されることが多いですが、例えば市独自の施策により給付している金銭なども扶助費に入るため、法的に義務付けられているものばかりではありません。
制度的には扶助費の全てが歳出が義務付けられている経費ではないといえると思います。
一方、扶助費の特徴は「効率化ができない」ということにあろうと思います。一定の成果を出すために他のものであれば、やり方の工夫や発注の工夫で効率化、コストダウンができるものの、扶助費について歳出を減らそうとすると給付を減らすしかなく、(それが経済的にどういう効果があるかは別として)給付を受ける側にすれば即サービス減になってしまう。
そのために政治的にも扶助費は法的に義務付けられているものであれ、そうでないものであれ減らしにくいという意味で義務「的」であるのかもしれません。
 

地方分権改革推進委員会第三次勧告

本日各紙に地方分権改革推進委員会の第三次勧告の内容が固まり、国が法令で自治体を細かく制約する「義務付け・枠付け」のうち881条項を見直すよう勧告する方向である旨報じられています。

政権交代を控え、報じ方としては
①勧告の内容を官庁の抵抗を超えて実行できるか問われている
②自民党政権下でできた委員会の立場は微妙、さらなる分権を
の2つぐらいの方向があるようです。

 分権委員会の各回の議事を見ると、各省庁がひたすら権限を手放すまいと抵抗する様子がこれでもかと見えるので、「さらなる分権」の前にまずこの勧告(第一次と第二次を含めて)をしっかり実行できるかというところではないかと思います。