宮崎犀一、和田重司、上野格編 新評論 1985年発行
経済学を専攻したわけではないので、不思議に思っていたのですが、経済学では他の学問に比べてその学問自体の歴史が重要視されており、経済学史は経済学のカリキュラムに必ずあるものになっているようです。
物理学の場合は新しい理論が発見されたからといって、地球や太陽が「あっ、そうだったのか。」と気づいてその運行を変えることはありませんが、経済学の場合は新しい理論が経済そのものを変えるように働くということがあるという違いがあるのではないかと。
さて、経済学史の中から気になるところとして、ケインズ経済学の部分を。
ケインズというと有効需要理論。最近は「公共事業がんがんやって需要を増やせば景気よくなる論者」のように言われています。
が、その重要な前段として「現在の経済活動が不確実な将来に対する予想によって動かされる」という認識に立ち、「不安が増大すれば貨幣を保有し、設備投資や消費を抑制する。」と指摘しています。
現状で借金を積み重ねることが国民の将来に対する予想を変えるものなのか?
ケインズが見直されているらしいですが、単に公共支出を増やすネタにせず、もう一段踏み込んで考えてみることが重要かと思います。