イマジン出版 自治を担う議会改革 江藤俊昭著
地方自治体(主に市町村レベル)の議会の今後についての本。
まず最初に地方分権により積極的な役割が求められているとしながらも、一方で市民参画や首長のマニフェストにより議会が蚊帳の外に置かれている現実を指摘しています。
三鷹市の事例として、基本構想策定のために「みたか市民プラン21会議」を設置し、公募住民375人により、分科会を含め300回以上の会議によって「みたか市民プラン21」が提案され、「市民が出した結論をその市民によって選ばれた議員が覆してよいのか」という命題が重くのりかかり、議会では反対できなかったという。議員は議会で議論できるゆえに市民参加に参加できず、市民参加の結果を受け入れるしかないというのである。しかも会議の主要メンバーには直前の市議会議員選挙で落選した候補者が並んでおり、「市長は選挙で当選したわれわれより落選した連中の意見を重視するのか」と不満続出だとか。
日野市も市民参画を盛んに進めているなか、他人事ではありません。
著者はこれに対し、今後の議会のあり方として、協働型議会を提案しています。
協働型議会は、行政の監視機能・政策立案機能(本中では監視型議会と書いてあるのですが、そういう形の議会が別にあるように読めてしまうので、あえて機能ということにしました)議会への住民参加を促し、市民社会の醸成を図る機能を持つことで、分権社会にふさわしい議会に改革すべしと提言しています。
具体的には、議会事務局の機能強化(議員との信頼関係構築など)、議会そのものへの住民参加の促進、議員同士が討議をする仕組み(市長への質疑だけではなく)などを提案しています。
その他、住民投票について、議員の在り方について、議員のマニフェストについても論を展開しています。
特にP101の協働型議会の議員を考えるフローチャートは考え方が非常に整理されており、参考になります。議会に求められている役割の一つとして、公開の討論による政策や優先順位の決定があるものの、現実としては議論があまりないという現状があります。今後議員同士の討議を活発にしようと思った場合、討議可能な人数として、本会議を中心とするならば10人程度、委員会を中心とするならば6~10名×常任委員会の数が議員の定数として適当なのではないかという提言がなされています。
2009年10月17日土曜日
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