2009年6月25日木曜日

経済学と財政 小中学校で何を教えてる?

経済や財政、市民参画に関連する教科としては社会科があります。
 
 学習指導要領(ネットで公開されているのですよ。)を見ると小学校では5年生の地理で産業関係のことを習うほか、6年生で政治の働きについて習う程度のようです。われわれの生活を支えている人が多くいるということは1~2年の生活科から習い始めますが、財政や経済という視点はあまりなさそうです。
 もっともこれは公開されている学習指導要綱から推測したのみで、実際の教育現場では教えているかもしれません。
 参照http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/index.htm


 中学校では公民分野が該当し以下のような学習内容が定められています。
 ○私たちと経済
  ①市場の働きと経済(身近な消費活動を中心に)
   ・市場経済の基本的な考え方
   ・現在の生産や金融などの仕組み
   ・企業の役割と責任(職業と雇用、労働法規などについて触れる)
  ②国民の生活と政府の役割(←ここが財政)
   ・国や地方団体が果たしている役割や財政の役割
   ・租税の意義と役割、納税の義務
 ○私たちと政治
  ①人間の尊重と日本国憲法の基本原則
  ②民主政治と政治参加
   ・地方自治の基本的な考え方
    ・地方公共団体の政治
    ・住民の権利義務 →住民としての自治意識の基礎
   ・国会を中心とする議会制民主主義
   ・裁判
   ・公正な世論の形成と国民の政治参加
 実際の教科書(清水書院の公民の教科書を参照しました)を見てみるとかなりいろいろなことが書かれています。思ったよりも高度な内容だったりします。
  以下では経済と政治に関して、学習する大項目とその中で出てくる用語を中心に紹介します。
  (内容まで書くときりがないので)
 ■経済分野
  ○くらしと経済(市場経済の仕組、価格)
   ・財とサービス(”財”は大学の教科書で出てくると思っていましたが、中学でこの用語が出てくるのですね。)
   ・分業の概念 ・流通について ・市場と市場経済 
   ・家計と企業と政府の間での財とサービスの流れ
   ・貨幣 ・需要曲線と供給曲線
   ・市場価格/独占価格/公共料金
   ・インフレとデフレ ・景気の変動/バブル経済
  ○資本主義経済のおける企業
   ・資本/利潤/私有財産制
   ・拡大再生産/自由競争/社会主義経済
   ・株式会社(株券、有限責任、配当、株主総会)
   ・金融/日本銀行/為替
   ・独占/カルテル/独占禁止法
   ・産業の情報化/産業構造の変化/リストラ
  ○暮らしと財政
   ・財政とは
   ・政府の3つの働き(公共財・サービス/所得再分配/経済安定)
   ・租税(地方税/国税、直接税/間接税)
   ・累進課税
   ・国の財政(一般会計/財政投融資)
   ・地方財政(地方税/地方交付税/国庫支出金/歳出)
   ・社会保障(社会保険/公的扶助/社会福祉/公衆衛生・医療)
   ・医療保険、年金保険、介護保険
   ・経済のグローバル化/産業の空洞化
   ・貿易収支/貿易摩擦/為替相場
   その他労働と雇用(非正社員とワークシェアリングも)、消費者保護、食糧問題、環境問題など幅広く取り上げています。
 ■政治分野(地方自治関係のところのみ)
  ○住民が築く地方自治
   ・地方自治とは?(地方自治法/地方議会/予算/条例)
   ・住民参加(直接請求権/住民投票/住民運動/NPO)
   ・地方分権(地方分権一括法)
   ・住民のワークショップで公園のプランを作った三鷹市の例が紹介されています。

 中学校のときにこんなに習っていたんですかね。ぜんぜん覚えていない・・・・。
 最近の教科書が進化しているのか、単に忘れているのか。
 新聞を読む上での基礎的なことはかなり押さえているほか、最近の話題も取り上げているので、大人でも一度中学の公民の教科書を読んでみると面白いのではと思います。
 とはいえ、「中学校の教科書を読もう」でこのプロジェクトが終わってもなんなので、
 中学校の教科書で紹介されていること+経済学の理論をつけるような形で展開しようかと、今思いました。
 
 高校の教科書も紹介できればよいのですが、手元にないのでまたいつか。