2009年9月30日水曜日

ブックレビュー 資本主義の未来

資本主義の未来です。
 今回で最終回。というかだらだらと長期間になってすみません。
 第13章「民主主義」と「資本主義」
  民主主義と資本主義の共存の難しさ(資本主義は不平等を生み出すが、政治権力を使って分配することが行き過ぎれば企業は税金が低い国に、勤労者もアングラ経済に移っていく)を指摘し、
  不平等をなくし実質賃金を上昇させるのに必要な経済再編ができないとなるとどうなるかの考察として、国民の不満が高まり社会が混乱する悪循環により長期低落傾向に陥ると指摘している。
 その例としてローマ帝国以後1000年にわたって生産が低下した例を挙げている。
  このまま不平等の拡大と実質所得が減少した場合、資本主義は人口の過半数の支持を得られなくなり、民主主義がこれを是正できなければ民主主義もその支持を 失うであろうと指摘、それを是正するには政府が中心的な役割を果たすであろうが、それは社会主義とも福祉国家とも違う形になろう。と予測しています。

 第14章 平衡断絶の時代
 第15章 平衡断絶を乗り切る
 平衡断絶とは、連続的ではなく不連続に物事が変化していくこと。恐竜時代から哺乳類の時代への転換に筆者はたとえていますが、大きくルールのあり方などが変わっていくことを指しています。

 最後のこの2章では、社会における長期的な投資の必要性を訴えています。
  頭脳産業の時代となり、人的資本が重要になる時代には長期の教育への投資、研究開発への投資、インフラ(知的インフラ)への投資が重要になる一方で、資本主義的な考え方からはこれらへの投資は期待できず、政府がその役割を負うべきとしているが、実際に起こっていることは将来のための投資で はなく、現在消費するために借り入れて使っていると指摘している。
 地球環境についてはこのままでは何もされず悲劇を招くとしているが、この点では世界は少しずつ変わりつつあるようですが。
 ここでの面白い指摘としては、
 「民間資本でインフラを建設できるのは市場の動きよりも遅れた時期、市場の動きにぴったりの時期」との記述があり、まさに公共部門の果たす役割を考える指標として参考になるべきものと思います。

 日本については、戦後の資本主義に最も適応してきたとしており、逆にそれだからゆえに(栄えていた恐竜が滅んだように)平衡断絶期のショックを大きく受けると指摘しています。それゆえに今後大きく変わらなければならないとしています。

 長期の連載、だらだらとすみません。やっぱり何回かに分けても、ますます伝えきれないという感じを持ちます。是非、機会があったら手にとっていただければと思います。
 著者は レスター・C・サローです。 

 前回までのブックレビューへのリンクを下記に記しておきます。
第1回 初回です。
第2回 共産主義の崩壊と頭脳産業の時代
第3回 人口の移動と高齢化
第4回 グローバル経済と覇権なき世界
第5回 8~12章

日野市平成20年度決算承認

9月28日まで開かれていた日野市議会で、平成20年度の決算が承認されました。
本日以降、決算書の紹介を適宜していこうかと思っておりますので、よろしくお願いします。

日野市議会 定数2減24に 改正案可決

読売地方版 9/29 
「日野市議会は28日、本会議を開き、議員定数を現行の26から2削減する定数条例の一部を改正する議案を追加提案し、賛成多数で可決した。

 現市議の任期は来年3月8日まで。新しい議員定数は、同年2月14日告示、同21日投開票の日程で実施される市議選に適用される。

 本会議では、「市民の森ふれあいホール(仮称)」建設に関連する経費として約3億5700万円を盛り込んだ今年度一般会計補正予算案なども可決したが、議案審議のため29日午前0時2分まで延長し閉会した。」

とのこと。不覚にもこのニュースを見るまで、定数減の動きは知りませんでした。

2009年9月29日火曜日

基準地価下落続く

ちょっと古いですが、9月17日 毎日JPより
「東京都は7月1日時点の都内1268地点の基準地価を17日発表。全体の平均変動率は4年ぶりに下落し、マイナス9・4%となった。」とのことで、多摩の商業地の中で下落率トップは「日野市日野本町3-11-9」とのこと。
東京都の資料はこちら http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/kijyunti/21nen/index.htm

日野市は住宅地が8.6%、商業地が10.5%マイナス。多摩地域の平均よりマイナス幅が大きく、特に商業地は多摩で最も悪かったようです。。。。。
 地価が高ければよいというものではないですが、財政的には固定資産税や都市計画税にかかってくるので、このまま落ち込むようだと心配です。

2009年9月28日月曜日

市民財政白書を作る(動画版) 介護保険の仕組み

国民健康保険に続き、介護保険です。


(クリックすると大きくなります。)
 数字は平成20年度決算による金額です。
 ①は1号保険者(65歳以上)の保険料です。
  決算書では「保険料」の項目になります。
 ②は2号保険者(40~64歳)の保険料です。一旦社会保険診療報酬支払基金(以下「基金」と省略)を経由します。
 ③は一般会計からの繰入金。決算書では「一般会計繰入金」の項目になります。
 ④は国や都からの補助、決算書では「国庫支出金」及び「都支出金」
 ⑤は保険給付費の支払です。介護事業者に直接ではなく、国民保険連合会の介護保険勘定を通して支払われます。
 ⑥は国民健康保険からの負担。これは「基金」に一回プールされて、全国の介護保険特別会計に分配されるので、日野市の負担は6.4億円ですが、その金額が回ってくるわけではありません。
 ⑦は各種健保からの負担? もしかしたら②と一緒なのかも。

 「基金」から支払われる金額は、一括して決算書では支払基金交付金の項目になっています。

 介護保険の仕組みとしては、①が1/6、②⑥が1/3、③が1/8、④が3/8(国1/4、都1/8)の割合で負担することになっているそうです。
 実際の割合が微妙に違う理由はよくわかりません。

2009年9月27日日曜日

健全財政を考える会 ホームページ開設

日野市健全財政を考える会のブログは2月に開設していますが、このたび
 同ホームページを公開しました。
http://sites.google.com/site/hinoshikenzenzaisei/

 これまでの活動の経緯及び考える会として発表した資料を公表しています。

2009年9月26日土曜日

市民財政白書を作る 人口予測をしてみる

将来の財政の課題を語るには将来の人口の見通しが欠かせません。
人口問題研究所や東京都が国勢調査を元に、市町村別の人口予測を5年ごとの予測を出しています。
 -人口問題研究所(http://www.ipss.go.jp/site-ad/index_Japanese/population.html)

これはこれで予測精度も高いと思うのですが、実際に使おうとすると物足りないところがあります。
①年齢階層の予測が5歳刻みであること。
 ~例えば小学生の人口や中学生の人口を予測したい場合にうまくいかない。
②予測間隔が5年ごとであること。
 ~国勢調査の間隔にあわせ、2010年、2015年、2020年という具合になっています。

一方でこれらの人口予測をするためにものすごく難しいことをしているかというと、基本的な原理は大変簡単です。要は今年1歳の人は来年2歳、再来年は3歳になるというところから出発し、今年の1歳の人口を元に来年の2歳の人口、5年後の6歳の人口、10年後の11歳の人口を求めていくものです。
 研究所が行っている予測では、この基本的な原理の精度を増すためにいろいろと難しい技術を加えていますが、市民レベルで予測するには基本的な考え方だけで十分かと思います。
 ちなみにこの方法はコーホート法というそうです。
(参考:秋田市の解説:http://www.city.akita.akita.jp/city/pl/mn/statistics/nobiyuku/2jinko/suikei/h18/cohort.pdf)

 日野市財政を考える会では、過去5年ぐらいの0~100歳までの各年齢の男女の人口を入力(理論的には過去2年でよいが、年による変動を緩和するため)して、1年ごとの各年齢の人口を予測しました。
 概ね40代以降については転居があまりないと見られ、1年ごとの誤差は1%以内(0.2~0.3%ぐらい)に収まっているようです。逆に若い世代、子どもの世代についてはマンション開発による転居の影響が大きく出るので2~3%程度、最大5%程度の誤差が出ることもあります。(研究所の推計でもここらへんの影響を予測できるところまでいっていないようですが。)

 エクセルにひたすら人口を入力すれば、かなり長い期間予測できるので、時間がある方はやってみると面白いかも。留意点としては
 ①1年ごとの予測なので、例えば誤差が1%でも20年経つと20%以上の誤差になるので、その数値に頼りすぎないこと。(できれば他のデータとの突合せをしてみるのがよいかと。)
 ②0歳人口の予測:私は保健所の各年齢層の出産数のデータ(市の事務報告書)を参考にしましたが、そのデータがない市もあるかも。
 ③後は根気。1年でも200のデータを入れないといけないので、気長にやりましょう。
  5年階級でも65歳以上人口や75歳以上人口を予測するには十分です。

2009年9月25日金曜日

富良野市 お役所言葉

カタカナお役所言葉見直しの手引きBy富良野市
http://www.city.furano.hokkaido.jp/contents/ePage.asp?CONTENTNO=1602

お役所言葉は民間企業でも結構使ってしまうことが多く、反省するところも多いです。
では、単に言葉を変えれば解決するかというとそうでもない。
例えばよく使ってしまうのが、「○○について、する必要があります。」と主語を明示しないこと。
 本当は「○○が、××をする必要があります。」といいたいところだが、はっきり書くと書かれた側の気分を害するのではないかと思って主語を消したり、受身にしたりしてしまいます。

 あと曖昧語ですね。「○○します。」というとできない場合に責められるので、「○○する方向で動きます。」としてしまうとか。

 つまり、言葉を変えるということはそれにとどまらず、胆力が必要になったり、リスクをとって取り組む覚悟を持ったりすることにつながるので、見た目以上に大変なことだと思います。

 この手引きのいいかえで
 「前向きに検討します」 →(実施できるなら)「・・・します。」 (できないなら)「・・・できません。」
 とあります。ということは同じ言葉でもまったく逆のことをいうことがあるということで。
  でも実施できるかできないかわからないものについて、どう表現したらよいかは書かれていないようです。
  できれば「いついつまでに、実施できるかどうか判断します。」というのがよいのでしょうね。
 

2009年9月24日木曜日

札幌市 子どもまちづくり手引書

札幌市の子どもまちづくり手引書の紹介です。

 http://www.city.sapporo.jp/shimin/jichi/kihon/torikumi/child/index.html

市民にわかりやすい財政資料を作る目的としては、市民の財政に関する関心を高めるということがありますが、さてその後どうするか。
 市民参画は単に市民を集めて意見を聞くという手続きを踏めば、市民参画になるわけでなし、やり方によってはむしろ偏ってしまうこともあるわけで、知るほど難しい面があります。
 それに対する直接の答えというのではありませんが、札幌市では小学校3年生に「子どもまちづくり手引書」を配布、6年生まで教材として使うとのこと。財政の話は直接的には出てきませんが、将来市民参画の主役となる子どもたちを育てていく試みとして面白いと思います。
 教材も非常によく考えられていると思いますので、興味のある方は見てみてください。

2009年9月23日水曜日

市民財政白書を作る(動画版) 市民病院の会計は難しい

市民病院は特別会計の仲間に入ることもありますが、お金の取り扱いは他の特別会計とずいぶん違います。
○その1:病院会計の予算と決算は他の特別会計と違う冊子になっている。
○その2:一般会計から特別会計に出るお金は「繰出金」だが、市民病院へのは「補助金」になる。
○その3:通常の特別会計は現金主義(減価償却はカウントしない。一方借金の返済が歳出になったり、預金を下ろすのが歳入になったりする。)、病院は発生主義に近い。
○その4:上記を反映してか、特別会計は「歳入」「歳出」としているところが「収入」「支出」となっている。
○その5:特別会計は「歳入歳出決算書」一本だが、病院会計は「収益的収入及び支出」「資本的収入及び支出」「損益計算書」「剰余金計算書」「貸借対照表」がある。
「収益的収入及び支出」≒「損益計算書」だが消費税の扱いが異なり微妙に数値が異なる。
 
企業会計とも微妙に違うので見方はちょっとわからないところもあります。
問題は他の特別会計と並べるとき。
 例えば財政規模をあらわすときに、一方は減価償却が入ってもう一方は入っていないとか、基準が違うので単純に足し合わせることができないという問題があります。
 とはいえ、少なくとも動画ではそこまで説明しきれないので、とりあえず「細かいところ」として捨象するしかないかなと思っています。
 

2009年9月22日火曜日

児童福祉費と教育費が大きく見えるわけ

以前の記事(日本の公的教育支出OECDで下から2番目)で、市の会計を見ると児童福祉費と教育費の割合が高いのに、一般に諸外国や高齢者福祉費に比べると少ないといわれていることを取り上げました。
確かに日野市の一般会計では児童福祉費は約80億、高齢者福祉費は約35億円前後、子ども関係の教育費は50億程度なので圧倒的に子どもの費用の方が多いように見えます。

その原因として仮説1「市は子ども関係が多いが、県や国レベルでは高齢者関係が多い。」
 仮説2「特別会計などでの高齢者関係の支出が多い」を立てて調べてみました。

仮説1
 総務省HPにてまずは市町村の決算を調べてみた。
 すると、老人福祉費 市合計 約2兆3千億円。町村の合計約37百億円
      児童福祉費 市合計 約4兆2千億円。町村の合計約42百億円
      教育費(中学校まで) 市合計約2兆7千億円。町村の合計約42百億円。
   確かに市町村では高齢者関係に比べ3倍程度の歳出規模がありそうです。
 次に都道府県の決算を調べてみた。
 すると、老人福祉費 約2兆円弱
      児童福祉費 約9千8百億円。
      教育費 約7兆円弱
  教員の給与が含まれるため、教育費が圧倒的に多くなっています。
 一方国の決算(きわめてわかりにくいのですが・・・・。)を見ると
  高齢者関係(年金、介護保険、老人医療) 約13兆8千億円
  児童福祉費 約1兆
  教育関係 約1.66兆円
 (参考 文部科学白書厚生労働白書資料編)
  市や県レベルとは逆に高齢者関係の費用が圧倒的に多くなっています。
  おそらく合計すると高齢者の費用が上回るものと思われます。
 ちなみに、これらの福祉関係の費用は2重カウント(例えば県が市に補助を出し、市が実際に支出するような場合)になっているので、純額は調べ切れませんでした。

仮説2
 高齢者福祉は特別会計となっているものが多くなっています。市町村単位で運営される介護保険や老人健康保険(平成19年まで)、都道府県単位で運営される後期高齢者医療、国単位で運営される国民年金。
 これらの特別会計が行う給付の一部は一般会計からの繰入で行われますが、その他保険料でも賄われています。
 介護保険の利用者負担を除く給付額は約5.8兆円(うち一般会計約3.4兆円)、老人健康保険は11.2兆円(うち一般会計4.7兆円)、国民年金は16兆円()となっており、上記の一般会計で見える支出額よりはるかに多い額が支出されていることがわかります。
 (参考介護保険事業状況報告老人医療事業報告年金局HP
 確かに日野市の特別会計でも介護保険の70億円以上、老人健康保険の100億円以上の歳出を合計すると子ども関係の歳出を超えてきます。

いろいろ探しているうちに、まとまっているものを見つけました。
 社会保障給付費に関する統計です。
 概要のファイルを見ると「機能別社会保障」というのがあり、社会給付費はこれによると高齢者62.2兆円、家族関係は3兆円なのだそうだ。いままで見てきたのとずいぶん金額が違う。おそらく厚生年金のようなものも入っているためと思われます。

 ここまでをまとめてみると、
 ①子ども関係は地方自治体の一般会計で主に支出されている。財源は通常の税収。
 ②高齢者関係は国の支出が多い。特別会計による支出が多く、税収のほかに保険料が財源となっている。
 ために、子ども関係の支出が多く見えるようです。

市民財政白書を作る(動画版) つっこみどころいっぱい

現在シナリオ作成中です。
 以前も書きましたが、例外が多く「○○は××です。」と説明しきれない部分が多くて困る。
 仕事の癖で「○○は基本的に××」とか「○○等は××等」というような書き方をしているのですが、実際に読んでみたときに、違和感が生じないかはやってみないとわからないというのが
正直なところです。

 また「○○は××」と書こうとすると「△△という面もあるのではないか」という突込みが浮かんでくる。
 シナリオの中で「そういう面もありますが、□□」と自らフォローを入れるか、それはとりあえずおいておいて先に進めるか難しいところですね。いずれにせよいくらでも長くできるわけではないので、書ききれない部分や突込みが考えられる部分については、このブログで補足して行こうと考えています。

2009年9月21日月曜日

早期健全化団体21市町村

読売新聞8/21

 同社調査によると、全国21市町村が早期健全化団体に指定されることが明らかになったとのこと。
 早期健全化団体とは地方自治体財政健全化法に基づき指定されるもので、「実質収支比率」(これまでの赤字の累積)や「実質公債比率」(借金の元利払い負担の重さをあらわす)などが一定の基準を超えると指定される。
 指定されると財政健全化計画の作成が義務付けられ、国の監視が厳しくなります。

 制度についてはこちらのコラムも参考に。
 この記事では、早期健全化団体になりそうな自治体のリストがありますが、このブログで取り上げられた自治体も多く含まれています。
 双葉町 : 決算が議会に認定されなかったニュース
 泉佐野市:財政健全化団体へ
 御所市:財政健全化団体へ
 財政非常事態宣言をした自治体:泉佐野市、王滝村、御所市、香美町

 ちなみに鳥取県の日野町も含まれています。

2009年9月20日日曜日

認定されなかった決算案

読売新聞 9月19日より

「福島県双葉町は18日、2008年度予算で発注した公共下水道工事が年度内に完了しなかったにもかかわらず、町建設課の職員らが完了したとうその文書を作成していたと発表した。 町は同工事で受けた国庫補助金約240万円の一部を返還する方向で、県などと対応を協議する。町議会は同日、「説明が不十分」などとして水道事業会計を含む08年度決算案を賛成少数で不認定としたが、決算自体への影響はない。 」

決算は議会の認定を受ける必要があり、ほとんどの市町村では現在行われている9月議会で認定が行われます。
地方自治体の決算は現金主義であり、判断が絡む要素がほぼないので、決算が認定されないということがあるとは思わなかったので、ニュースをみて驚きました。

発表によると3月中に完成する工事が資材調達の遅れや人員不足などで完成が4月に入ってしまったため、町の職員と請負業者で書類を偽装したとのこと。素直に遅れますと報告し、お金で解決できるものはすればよかったようにも思いますが、補助金の関係とかなんとしても年度末に完成させなければというのがあったのでしょう。
元をさぐると、補助金の硬直的な運用がその背景にあるのかもしれません。

2009年9月19日土曜日

市民財政白書を作る(動画版) 国民健康保険まとめ4

3回にわたって、国民健康保険周りを説明しました。

参考にしたHPは
 厚生労働省http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/index.html
 社会保険診療報酬支払基金http://www.ssk.or.jp/sikumi/index.html
 など。

 さて、これを動画で説明するとなると・・・・。時間をかければ説明できますが、短時間ではほぼ無理。
 図ももっと単純化が必要。限られた時間では
 ①仕組みが複雑だということ
 ②国保の加入者以外もつながっていること
 ③市の税金もかなり投入されていること
 ④滞納すると市の負担が増えること
 ぐらいが伝わればよいのではないかと思っています。
 

市民財政白書を作る(動画版) 国民健康保険の仕組み3

さらに続きです。

 国民健康保険組合は保険の支払だけをしているわけではありません。
 後期高齢者医療保険や介護保険に関する負担金も支払っています。(⑨と⑩)
 これらの負担金は社会保険診療報酬支払基金を通じて、各市町村の介護保険や各都道府県の後期高齢者の広域連合に支払われます。なお、介護保険や後期高齢者の負担金は国民健康保険以外の健康保険組合も支払っています。
 決算書でいうと、
 ⑨は後期高齢者支援金等(歳出)
 ⑩は介護納付金(歳出) の項目がこれに該当します。
 
 この他共同事業とのお金のやり取りがあります。高額医療費など、一市町村では負担が大きくなる恐れのあるものについて、各市町村の特別会計からお金を拠出して運営するものです。高額医療費については、国や都からの補助が入っているようです。(⑧)
 決算書でいうと
 歳入の共同事業交付金、歳出の共同事業拠出金
 がこれにあたります。

2009年9月18日金曜日

市民財政白書(動画版)を作る 国民健康保険の仕組み2

前回の続きです。

国民健康保険の加入者には、自営業者や健保組合がない企業の社員のほかに、退職者も含まれます。
退職者に関する部分については、健保組合などが負担することとなっており、各健保組合から社会保険診療報酬支払基金を通して、国民健康保険特別会計に支払われます。⑥
 決算書では歳入項目の療養給付費等交付金がこれにあたります。
前期高齢者(65~74歳)の医療費については、前期高齢者の割合が多いところ(国民健康保険)と少ないところ(企業の健康保険)の負担を調整するため、前期高齢者の割合が少ない組合から一定のお金を徴収して、前期高齢者の割合が多い保険者(主に国民健康保険)に支払うこととなっています。
市の特別会計からも負担金が出ていますが、受け取る金額の方がはるかに多くなります。⑦
 決算書では歳入項目の前期高齢者交付金、歳出項目の前期高齢者納付金等がこれにあたります。

2009年9月17日木曜日

市民財政白書を作る(動画版) 国民健康保険のしくみ1

以前紹介した記事で解明した特別会計の仕組み。


明らかにこれではわからないので、解説。ただし、いろいろなところからの情報を総合しているので、間違いがあったら教えてください。



(クリックすると大きくなります。)
国民健康保険の骨格の部分を取り上げました。
 国民健康保険の自己負担以外の財源は基本的には、加入者が支払う健康保険税と市の一般会計からの繰入金、国や都の負担金からなります。(①~③)
 国保の納付率は約90%(現年度分)ですが、滞納により不足した部分は、市の一般会計からの繰入金により穴埋めがされます。
 医療機関からの請求は直接払うのではなく、国民保険連合会を通じて支払われます。(④~⑤)

 それぞれの金額は平成19年度で①が約29億、②が約19億、③は国約28億、都約8億。
 ④及び⑤は101億。 ①~③の合計と合いませんが、その理由は次回以降に紹介する各項目があるためです。

 なお、決算書では
 ①は国民健康保険税(一般被保険者と退職被保険者がある。)
 ②は繰入金のうち一般会計繰入金
 ③は国庫支出金及び都支出金
 ④は保険給付費 を見れば金額がわかります。⑤は決算書には出ません。

2009年9月16日水曜日

ブックレビュー資本主義の未来 その5

資本主義の未来です。 前回から時間が経ちました。

 前回までは経済の地殻変動のプレートの5つを紹介しました。
 ここから先の各章は軽めに概要を紹介します。第12章まで、次回を最終回とする予定。

第8章 経済の地殻変動
 第3章から7章までのまとめ 賃金格差の広がりの要因を分析。

第9章 インフレ-死火山
 インフレは実質賃金が下がり、生産性があがっているので起こりようがない。しかしFRBなどはインフレの亡霊に取り付かれ、それと戦っているために賃金が抑えられている。
1990年代は生産性向上の多くを値下げで還元しなければならなくなり、賃上げにはまわせなくなった。
 不景気になっても財政と金融の両面から積極的な刺激策を取る政府は出てこないだろう。
(一昨年の原油の高騰や最近の日米中の経済政策などをみると必ずしも当てはまらない部分もありそうですが。)

第10章 日本-世界貿易と環太平洋の活断層
 日本の黒字とアメリカの貿易赤字がいつまでも続かない。いずれ破綻する。
 アジアは対日貿易赤字を対米黒字で補てんしている。
 終わりの日は必ず訪れ、そのときは日本の輸出産業が大打撃を受ける。
 日本の市場は開かれなければならないが、だからとしって日本の習慣や文化を変える必要はない。
 民間の債務が多すぎるため民間セクターの経済のエンジンがかからない。
 (90年代後半の状況。今後はむしろ政府の債務が問題かも)
 政治が麻痺して必要な決定を何一つ下せない。(ここは変わっていない、とりあえず今ところ。)

第11章 経済の不安定
 金融ショックが起こりやすい状況になっている。世界の金融システムは90年代の日本の株価暴落に匹敵する惨事に見舞われるだろう。世界はおそらく世界の金融システムにもなんらかの管理が必要だと思い知るだろう。
 → まさにそのような状況になっている。

第12章 社会の火山-原理主義と民族分離主義
 経済的な敗者が増えること、先行きが不確実になることから原理主義に救いを求める人が多くなる。

2009年9月15日火曜日

市民財政白書を作る(動画版) フォント

以前ポップ体を主に使っているとしましたが、実は丸ゴチを主に使っていました。

ただしパワーポイントで特に画面あるいはスライドに映し出すと線が細い感じがするので太字で使っています。

 丸ゴチもポップ体と同様、文字の横位置がそろえやすいです。

水事業の話を聞いた

仕事の関係でお付き合いのある会社の方から水事業(ビジネス)の話を聞きました。

日本では上水の供給は公共団体が独占的に行っていますが、外国では半官を含め民間も事業を行っています。

発展途上国で上水を供給する事業が今後伸びると予想されているようです(市場は100兆円ぐらいになるとか)が、日本企業は実績がないので競争の土台にすら乗れないことが多いのだそうです。

水道事業に必要なろ過膜の技術(市場は1兆円程度なのだそうだ)とかは最先端なのに、水道事業者に物を収める業者にしかなれないのだとか。

東京都水道局の水道運営、品質の技術は世界一なのではないかと個人的に思っているのですが、日本の持っているサービスを世界に売り込むことができない。スタートラインにも立てないという事実にすごく考えさせられました。
おそらくそういうものっていろいろあるのではないでしょうか。

単に民営化はだめ、というのではなく、日本の人口が減っていく中で、日本のすばらしいサービスを世界に広げるというような視点も必要なのではないかと思いました。


逆に市がすばらしいサービスをできるのであれば、逆に守りの姿勢ばかりではなく、市外に広げるという攻めの発想があってもよいのではないか。というような発想の転換をしてみると、いろいろなものが見えてくるかもしれません。

2009年9月14日月曜日

市民財政白書を作る(動画版) 語り手

動画版は現在シナリオ作成中。(しばらくかかりそう。)
仕事では社内外でプレゼをしたりすることはありますが、動画に残される前提で話すのは初めて。
日野CATVで自分が話している姿(音声なし)がありましたが、表情が硬かった・・・・。

 ナレーターを使うとお金がかかるし、あまり読むのがうまいとかえって眠くなるし。

 初音ミクにしゃべらせると人気が出るかも、とか思いましたが、歌は歌えるけれどもしゃべりはいまいちのようだ。

 ということで結論は、考える会のメンバーを中心に出演ということになりそうです。
 「手作り感」重視ということでとりあえず作ってみようと思います。 

日野市:文化スポーツ施設、建設再開へ

毎日新聞 その他9/10付 記事

 日野のHPにも掲載されています。
 http://www.city.hino.lg.jp/index.cfm/6,62498,230,1753,html
 9月議会一般質問終了後表明とのこと。平成23年度までに建設するとのこと。
 理由としては、

 1.既に内示済の「まちづくり交付金」や基金を活用できる。
 2.(仮称)ふれあいホール建設は、特定財源等を最大限に活用。
 3.経済不況で生活が苦しいといわれる今だからこそ、「夢・文化・藝術・スポーツ」の振興も必要なため。
 4.(仮称)ふれあいホール建設は、中央公民館等施設の老朽化、学童クラブの大型化対応など、他の地域課題の解決に繋がること。
 5.各種団体の方々から、協力するので市長の大英断を望むという要望書をいただいた。
 6.今だからこそ、市民と日野のまちに、そして市内企業等にも活力を与える取り組みが重要なこと。

 市議会の反応が気になるところですが、定性的な話はおいておいて、
 1,2の財源の内容、4の意味(ふれあいホールに公民館や学童クラブの機能が入るのか?)がよくわからないので、なんともいえないところです。
 平成25年に予定されている東京国体の会場の確保という位置づけも大きいのかもしれません。
 

2009年9月13日日曜日

市民財政白書を作る(動画版) 特別会計を解明する

以前紹介した記事で国民健康保険や介護保険の仕組みがややこしいというお話をしましたが、かなり解明されました。
これです。

クリックすると拡大されます。
 が、矢印の説明がないので、やっぱりよくわからないとは思います。
 印象としては、健保組合や国民健康保険を中心にいろいろと線が出ているなということぐらいでしょうか。
 正直これでも全てを尽くしているわけではない(広域連合についてはできたばかりでわからないことも多い。)とは思います。
 とはいえこれを動画にしては細かすぎて見えないので、もう少し簡略化する必要があります。
 内容についてはすぐにできるかどうかわかりませんが、少しずつ説明を加えていこうと思います。

2009年9月12日土曜日

四条畷市と大阪狭山市

大阪から財政白書関係2つ

四条畷市台所事情
 http://www.city.shijonawate.lg.jp/h130101/fixed/s05/daidokoro/daidokoro.htm
 平成16年度に広報で紹介した内容。わかりやすく説明してあります。
 ところで性質別歳出を家計にたとえるときに人件費を食費にたとえるのはなぜでしょうねぇ。
 いまいち違和感があるのですが、もっとよい例えはないですかねぇ。
  その他にもリフォームの内容の例えとか、なかなかさえてます。
 ちなみに、この市も歳出が歳入を上回っています。経常収支比率、公債費率が高くかなり苦しそうです。

大阪狭山市 狭山財政塾
http://www.city.osakasayama.osaka.jp/10,111,57.html
 一般に財政関係の資料はある程度、市の規模が大きい方が充実する傾向にありますが、規模の小さい市でも時々きらりと光るものが見つかるのが、財政白書行脚の醍醐味です。
 内容がちょっと古いですが、経常収支比率などを市民向けに突っ込んで説明している貴重な資料です。

2009年9月11日金曜日

市民財政白書を作る 物件費とは

おそらく性質別歳出の分類で最もわかりにくいのが物件費でしょう。
消費的経費で人件費、扶助費、維持修繕費、補助費ではないものとされてお
り、要はその他もろもろという面があるためいまいち実態がつかめないという
ことがあると思います。

あえて企業会計にたとえるならば、
 工業簿記でいうところの直接経費(減価償却費除く)と間接費(人件費除く)
 商業簿記でいうところの一般管理費(減価償却費、人件費除く)
 となり、
 家計に例えると
 家庭用の物品と水光熱費となります。

 たとえてみてもやっぱりわかりにくい。

物件費の中身を見ると
 ①賃金! アルバイトや短期雇用者の賃金:人件費ではないのです。
 ②旅費 ちなみに通勤手当は人件費
 ③交際費 公債費ではありません。
 ④需用費 消耗品(⑥とどう違う?)水光熱費、印刷製本費、食糧費など
 ⑤役務費 通信・運搬費、手数料、保険料、広告量など。
 ⑥備品購入費
 ⑦委託料 物件費のかなりの割合を占めています。
 などとなっています。
 あえて何かに例えるより、具体的なものを並べた方がイメージが湧きそうな
気がします。

2009年9月10日木曜日

日本の借金は800兆円らしい

日本の借金が800兆円に上るという記事が各紙で取り上げられていました。

借金時計のバージョンがいろいろあるようです。
 記事アップ時(9/10夜)現在
  財部さんの借金時計http://www.takarabe-hrj.co.jp/clockabout.html ほぼ800兆円
  日本の借金時計 http://www.geocities.jp/mkqdj167/japan.htm 約860兆円
  リアルタイムカウンターhttp://www.kh-web.org/fin/約1090兆円

 借金をどこまで数えるかでいろいろ意見があるようです。
 これだけ借金を抱えて大丈夫?ということにはいろいろ見方があります。
 大丈夫という意見の根拠は1400兆円の金融資産が日本にはあるからというもの。
  外国から借りているわけではないので、メキシコや韓国のような金融危機にはならないという考え方のようですが・・・・。
 いざとなれば国民の皆さんの銀行口座があるから大丈夫、ということなのか?一国民としてはあまりよい気分にはならないですが。たとえていえば
息子「お父さん。またそんなもの買ってきて。大丈夫なの?」
父 「大丈夫これは将来いろいろ役立つものなんだぞー。それにちゃんとお金も貸してくれたし。」
息子「また借金かよ。自分の稼ぎわかってんの?」
父 「大丈夫、大丈夫。お前の銀行口座担保にしてるから。」
 というようなものかと思いますが。(相変わらずひどいたとえといわれそうだが。)

 最近の松阪市が電光掲示板の借金時計を備え付けたことがニュースになっていました。
http://www.city.matsusaka.mie.jp/zaisei/shisai/shisai.htm

市民財政白書を作る(動画版) E-learning

会社のE-learningを受けた。
エクスプローラー上で動くソフトのようです。ポイントは
 ①会社で見るため音を消しても使える工夫がしてある。
   横のウィンドウに話の内容が文字で示されます。
 ②早送りができる。
   文字を読んだら、次の章にいけるようなボタンがあります。

音楽やエンターテイメントものと違い、説明物だと説明を聞くのがかったるかったりするので、
(あとアクセシビリティの面から)文字情報をON-OFFできたり、文字を読みながら早送りできるのが
理想ですが、普通の動画ファイルだとちょっと難しいかも。
なにかいいアイデアないですかね。

2009年9月9日水曜日

市民財政白書を作る(動画版) 文字のフォント

以前作った財政白書ですが、明朝体とゴチック体、丸ゴチックを取り混ぜて使っています。
 本文は明朝、見出しや凡例はゴチック、タイトルやコラムは丸ゴチックというような大まかな決まりで、実際はそうでない部分があるかもしれません。
 市が作っているものは、本文は明朝か丸ゴチが多いようです。

 ちなみに、公民館などパワーポイントでの発表は創英ポップ体を主に使っています。
 仕事では特別なプレゼ資料以外は主にゴチック時々明朝ぐらいなのですが。

 パワーポイントでポップ体が便利なのは、文字の幅がみんな同じなこと。
 例えば、MSPゴチックではたとえば数字の1と2は幅が違う(きれいに見えるように気を利かせている)のですが、
 そうすると
  ○○費   111億円
  ×××費   22億円
 のようなものを作ると、億円の文字が上下そろわなくなってしまうのです。
 ポップ体だと数字も感じもスペースも同じ幅なので、スライドを作りやすいというメリットがあります。
 おそらくフリップもポップ体が中心になると思われます。

日本の公的教育支出 下から2番目

OECDが発表した「図表で見る教育2009」(リンクはこちら)によると、日本の公財政教育支出のGDPに占める割合は3.3%とOECD諸国の中で下から2番目である旨の記事が各紙に載りました。

新聞記事ではその部分が強調されていますが、報告書の中ではその他にもいろいろデータがあります。
日本の教育へのアクセスと修了率の高さ、科学的リテラシーの高さについては評価されています。
私費負担の高さ(授業料が高いのに公的な補助が少ない)ことと、平均学級規模が大きいことが指摘されています。
また教員の勤務時間は長いのに授業時間は短いことが指摘されています。


ちなみに教育だけでなく、家族支援(子育て支援)に関する財政支出が諸外国に比べて少ない(日本はGDPの0.8%ぐらい。ヨーロッパは2~3%。)といわれています。
一方、市の一般会計をみると児童福祉費と教育関係の歳出は合わせて154億円(平成19年度)と歳出の3割を占めており、通常いわれている実感とギャップを感じます。国や都の歳出も合わせて考えなければならないところなので、これについては今後調べてみようと思います。

2009年9月8日火曜日

市民財政白書を作る(動画版) 扶助費について考える

扶助費は福祉の費用と理解されていることが多いですが、より正確には
「生活保護法、児童福祉法などの法令に基づいた生活保護費や児童手当などの支給や、市が単独で行う各種扶助のための現金・物品を問わず、被扶助者に対して支給ものにかかる経費」ということになります。
かえってわかりにくかったか。

つまり、現金や現物を直接給付している部分の金額になるので、児童手当や民間保育園の運営経費に充てるものが扶助費になります。扶助費は直接人にお金を給付するものなので、民生費以外はほとんど発生しません。
逆に民生費でも扶助費以外の部分は多くあります。例えば同じ保育園でも市営の保育園は人件費と物件費(委託料とか備品とか水光熱費とか)が主になります。
また介護保険ができる前は介護サービスは扶助費でしたが、介護保険特別会計へ出すお金は「繰出金」という名前になりました。また介護保険を一部事務組合でやっているところは「補助費」という分類(性質別)になります。

ということで、福祉の費用が多いと扶助費も増えることは間違いないですが、扶助費の多さと福祉の充実は別の問題ということになります。(特に他市町村との比較をする場合)

ちなみに扶助費は人件費、公債費と合わせて義務的経費と呼ばれます。
義務的経費は「支出することが制度的に義務づけられている経費」と説明されることが多いですが、例えば市独自の施策により給付している金銭なども扶助費に入るため、法的に義務付けられているものばかりではありません。
制度的には扶助費の全てが歳出が義務付けられている経費ではないといえると思います。
一方、扶助費の特徴は「効率化ができない」ということにあろうと思います。一定の成果を出すために他のものであれば、やり方の工夫や発注の工夫で効率化、コストダウンができるものの、扶助費について歳出を減らそうとすると給付を減らすしかなく、(それが経済的にどういう効果があるかは別として)給付を受ける側にすれば即サービス減になってしまう。
そのために政治的にも扶助費は法的に義務付けられているものであれ、そうでないものであれ減らしにくいという意味で義務「的」であるのかもしれません。
 

地方分権改革推進委員会第三次勧告

本日各紙に地方分権改革推進委員会の第三次勧告の内容が固まり、国が法令で自治体を細かく制約する「義務付け・枠付け」のうち881条項を見直すよう勧告する方向である旨報じられています。

政権交代を控え、報じ方としては
①勧告の内容を官庁の抵抗を超えて実行できるか問われている
②自民党政権下でできた委員会の立場は微妙、さらなる分権を
の2つぐらいの方向があるようです。

 分権委員会の各回の議事を見ると、各省庁がひたすら権限を手放すまいと抵抗する様子がこれでもかと見えるので、「さらなる分権」の前にまずこの勧告(第一次と第二次を含めて)をしっかり実行できるかというところではないかと思います。

2009年9月7日月曜日

市民財政白書を作る 最新の決算にしたいが。

9月議会が各市町村で行われ、決算について議決(承認?)を得ることになっています。
財政白書を市民が作ろうとすると、9月議会で議決を経てデータを入力し、分析したり、コメントを考えたりするので、平成20年度決算に基づくものができるのは平成22年に入ってからになってしまいます。(自治体が毎年の作業として作っているものは早いものでは9月にできていますが、これはデータの入力を先に行っていること、コメントが毎年あまり変わらないことによるものと思われます。)
 財政を考える会で作ったときは、古い印象を与えないために発行した年度の版(例えば平成20年度版は平成18年度決算に基づくもの)の名前にしています。できれば併記した方が親切だったかなと今は思っていますが。

 予算書・決算書に基づく分析はこれでもまだ恵まれている方で、決算カードは平成20年度決算の数字が総務省のページに公開されるのが平成22年3月、財政指数表にいたっては平成19年のものがまだ公開されていないという状態です。
 財政白書ができたときには、3年前の年度の話をしているということになり、どうもタイムリー感に欠けてしまうのが、悩ましいところです。

2009年9月6日日曜日

各国の長期財政計画

45~75年にわたる長期の国の財政計画を立てている国があるというレポート。
 財務制度等審議会 財政制度分科会 海外調査報告書平成19年6月
  リンクはこちらhttp://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/tosin/kaigaichyosa1906/kaigaichyosa1906_00.pdf

 アメリカ、イギリス、ドイツ、EUの例を挙げています。
 各国とも端的にいえば高齢化による財政支出増加が持続可能なものかどうかをシミュレーションしています。
 アメリカの場合は議会予算局と大統領府行政管理予算局の両方が試算しています。
 アメリカは2030年においても高齢化率が19%とかなり高齢化が緩やか(日本は既に22%)ですが、それでもシナリオによっては将来政府債務が発散することが予測されています。
 日本でも議論の土台として、議会もこのようなものが作れるようになってほしいものと思います。(既にあったら失礼しました。)

 ちなみに同じ報告書で国と地方の財政調整の記事も載っているので参考になればと思います。

2009年9月5日土曜日

市民財政白書を作る(動画版) 性質別歳出と目的別歳出

市はどういうことにお金を使っているかということを説明しやすいのは目的別歳出。
 民生費で○○億円、そのうち児童福祉費で○○億円、保育園で○○億円という説明が決算書に基づいて素直にできる。
 もう一つは、性質別歳出。実は決算カードによる分析だとむしろこちらがメイン。
 例えば人件費はいくらいくら、内訳はいくらいくらと説明しても、いまいちイメージがつかみにくいようにも思う。

 特に動画版の場合は、どういう話の流れで性質別の歳出を説明するかが難しいところ。
 単に「ところで性質別歳出ですが」でも悪くはないのでしょうが、「あれ?また歳出を説明するの?さっきのは何?」と思われるかも。
 目的別歳出の違いと性質別の歳出の違いのたとえとしては、目的別歳出は料理別(例えば五目チャーハンとか、チャーシュー麺とか)、性質別は原材料別(麺とか、豚肉とか)の例えなどどうかと思うがだめかな。
 投入資源が職員(人件費)とか委託(物件費)とか現金給付(扶助費)で、それにより行う事業が保育園事業とか公園整備とかになるというイメージなのだが。。。
 

2009年9月4日金曜日

御所市 早期健全化団体に

毎日jp 9/3 地方版より
奈良県の御所市(ごせし)が早期健全化団体に陥ることが確定したと発表があった。
実質赤字比率が基準の13.74%を上回り16.31%となった他、実質公債比率も上回ったため。
なんと赤字は38年連続とのことで、これまで何もなかった方が不思議かもしれない。実質赤字はこれまでの赤字もたまっているので、38年ぐらい前に大きな赤字を生じてしまった結果かもしれませんが。
 赤字の要因としては、税収の低迷や地方交付税の減少、土地開発公社に対する損失補てんなどとありますが、最初の2点は全国どこの市も同じような問題を抱えているので、御所市独特の事情としては土地開発公社と思われます。

 御所市は昨年秋に財政非常事態宣言をしたばかり、当ブログの記事「財政非常事態宣言をした自治体」でも紹介されています。
 決算カードを見ると公債費の経常収支比率に占める割合が34.9%と非常に高い。地方債が普通会計で265億円、そのほかを合わせると377億円と人口3万人の市としてはかなり負債が大きくなっています。
 (一人当たり120万円以上、以前紹介した泉佐野は約140万円、日野市は55万円。)

市民財政白書を作る(動画版) わかりやすくグラフ

画像版のよいところは常にカラーであるということ。
紙の場合は配布される際にコストの問題もあり、白黒になる場合が多々あります。実は平成15年度決算版ではそこらへんをあまり考えていなくて、グラフの項目がどれがどれかモノクロだとわかりにくくなることがありました。
Excelに自動で色を割り振らせると、色が異常に濃かったり、明度の違いがなかったりして実は白黒にすると非常に見にくいという欠点があるようです。
その次のバージョンから、白黒印刷としてもどれがどの項目をあらわすかわかるよう工夫をしました。
具体的には、①凡例を別に示すのではなく、棒の中(棒グラフ)や線のすぐそば(折れ線グラフ)に記入するようにするとか。
②色だけではなくパターン(縦じまとか、格子縞とか)も変えるとか~ちなみに横縞は項目間の境界と紛らわしくなる場合あり。
③明度の高い線やパターンを使わない。白黒にするとほぼ無色になるため。

グラフ作成の際に気をつけたのが折れ線グラフは0メモリが入るようにしたこと。
 Excelに任せると、3億と3億1千万の間で変動しているものも、3億と10億の間で変動しているものも同じような形に見えてしまう(例えば前者の場合、グラフの左下の点が3億円になってしまう。)ため。行政が作っているグラフでもまま見られる現象です。

あと苦労したのは、エクセルファイルをワードファイルに貼り付けること。Vistaでは解決されているのかも知れませんが、エクセル上にテキストボックスを貼ると、ワードにコピーしたときとんでもない大きさになるとか、PDFに置き換えるとメモリの文字がずれるとか、ワード上でテキストボックスが思ったところに貼れないとか、いろいろ。
 最新版ではプリントスクリーンという原始的な技を使った気がします。本当はもう少し気が利いたことをできればよいのですが。

2009年9月3日木曜日

市民財政白書を作る 連結は難しい

日経か何かで八王子市が連結財務諸表を発表したという記事を見た。
 「多摩地域では初めて」という記事であったが、おそらく新しい総務省方式ではということと思います。武蔵野市などは独自方式で連結財務諸表を作っています。

 連結といえば中央公民館での講座の際の質問で「要するに全てを合わせた日野市の借金はいくらなのか」という質問がありました。実はこの質問には簡単には答えにくい部分があります。一般会計、特別会計、公営事業会計(日野市は病院ただし特別会計等に含む場合も)まではよい。
 土地開発公社はどうすべきか、これは含めるべきと思う。土地開発公社の債務保証をしているからだ。
 難しいのは一部事務組合。一部事務組合とは例えば複数の市がごみ処理場を建設する場合にそれぞれが出資して設立されるもので、地方自治法上は「地方公共団体」の一種として位置づけられている。
 一部事務組合も市と同様借金ができる。例えば、東京たま広域資源循環組合は268億円の借金がある(平成19年度末)。
 このうち日野市の出資割合を日野市の借金とカウントすべきかどうかというのは迷うところ。まずこの組合の責任と日野市の責任の区分がよくわからなく、本当に日野市の借金とみるべきかどうかわかない。
 それにこれを含めて説明しようと思うとこれだけで2~3分使って説明しないといけなくなるという話もあり。

 個人的にはある程度以上の持分がある一部組合をカウントすべきではと考えている。例えばあきるの市の阿伎留病院組合のように、持分の過半を占めるような場合には、持分割合でカウントすべき(企業会計だと全額カウントだったと思う)でしょう。

 また第三セクターへの貸付金をどう評価するか、損失補償をどうカウントするかとなるとさらに難しい。そもそも貸付は借金ではないので(貸し付けるために借金をすればそちらでカウントされる)、算入しなくてもよさそうな気がします。経営悪化によりさらにお金をつぎ込まなければならないような事態が想定されることもありますが、その損失の影響については決算数字による財政分析の範囲を超えているように思います。

天草TVが面白い

熊本県上天草市 人口わずか3万2千人の市のインターネットテレビ局です。
 http://www.amakusa.tv/
おばあちゃんを女子アナにしていることで有名(最高齢は100歳越え!)。
市長のインタビューで財政立て直しを語ったり、公共事業の無駄を指摘したり、会員にならないと多くのコンテンツは見れませんが、小さい町でもこれだけできるのだなと思いました。

 市長の財政説明はA4のカラーコピー。これでも十分見えるのでちょっと勇気付けられました。

2009年9月2日水曜日

市民財政白書を作る(動画版) 画面の大きさは?

配信はダウンロードかストリーミングになろうと思いますが、あまり高画質は難しい。
 (サーバーへの負担、PCへの負担)
YOUTUBEやNikoniko動画の画面の大きさを想定すると、フリップなどを使って説明する場合はパワーポイント換算で33%の倍率で見える程度のものしか見えないということになる。
文字のポイントでいうと基本36ポイント あまり読まなくてよいところで24ポイント以上必要。
財政白書のときは11ポイントぐらいで作っていたので、目で見せられる文字の情報量が非常に限られることになる。
その分 話で補足をしなければならないということ。

説明用のフリップはA3の大きさが必要かとが、他の動画の例をみるとA4の紙でも十分説明できそうです。
やりかたとしては
 ①普通の紙
 ②TVのようにフリップ(あれは何で作っているのだろう。ボール紙?)
 ③画面上にインポーズ
 ④PCなどモニターの画面を映す(ブラウン管はだめ いまどきあまりないが。)
ぐらいか。あとは作成の手間とコスト、後からの修正のしやすさを考慮して決めよう。
上記の組み合わせになるのかもしれませんが。

2009年9月1日火曜日

市民財政白書を作る(動画版) 市の財政の概要を説明する

財政の役割を説明した後、市が何をしているのかを説明する構成を考えているのですが、その内容は結構悩む。
「市がどういうことにお金を使っているのか=どういう行政サービスをしているのか」を説明したいのですが、単に民生費○○億円、総務費○○億円ではなんだかわからないし、かといって一つ一つを説明していると動画版としては長くなりすぎるという問題があります。(紙ベースであれば、表にしてしまえばすむのですが。)
 それにラジオの株式市況のように読み上げたのでは、見てもらえないですしね。

 あと作っているのは予算説明や市政説明ではなく、「財政白書」だということ。
とはいえ○○指数みたいなものの羅列ではこれはこれで生活実感と結びつかない+その指標にいまいちなじめていないというのがあります。

 とりあえずの方針としては、身近なサービス・目に見えるものとお金との関係がなんとなくわかるような説明としたいなと。
 結果長くなりすぎたら考えよう。
 今回は初回なので、指標については本当は大変便利なものなのですが、あまりこだわらずにまず進めてみようと思います。