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2010年3月6日土曜日

財政白書の未来の今 3

昨年連載した財政白書の未来。その1年後の今を検証します。
前回のつづきです。

ちなみに、連載の第3回はこちら。目次はこちら。まとめてみたい方はこちら(上から4番目のPDFをダウンロード)。
青文字が1年前の記述又はそのサマリー、 黒文字が現状のコメントです。

財政白書の未来
第3回 財政白書の未来形 ~ 財政白書は計画指向へ~


各論の分析を進めていくと、市民側の財政白書は分析から提言へ、行政側の財政白書は市民の参画による施策の策定を見据えるものへと進んでいくものと考えられます。
 ところで、近年は施策の策定の段階から市民参画を行う市が多くなってきました。総合計画をはじめとして個別の○○プランというようなものの策定においても、市民を委員とするなど、計画段階から市民の声をいれようという取り組みが広がっています。

 日野市では、各種計画への参画の取り組みがさらに進み、毎月のように新しい市民参画の委員会が立ち上がっていますが、最近は参画する市民が少なく、かつ限られてきている(いつも同じメンバー)という状況が生じてきているようです。

 この会では、計画に財政的な裏づけが必要となっていくることを書いており、その上で、このような方向で進んでいくと、分析や検討が施策単位で行われることになる。
 今後は財政白書は、各論指向・計画指向を強めるなかで
  ”行政と市民が協働で施策を評価・計画するプラットフォームになる。” 
  と考えられます。 下にそのイメージを示してみました。


 
 現状では、計画面と財政面の議論がリンクすることの重要性が認識されるようになりつつありますが、実際にリンクされて運用された事例をまだ知らないので、誰かご存知の方がいれば。

 現在は財政白書の総論作りがいろいろな市町村に広まっている段階ですが、既に(特に市民により)財政白書の発行が行われている市では、各論化が進んでいくでしょう。そしてそれを受けるような形で過去および現在の分析評価から、将来の計画作りへと広がっていくと考えられます。
 当面は総論づくりの広がりと各論への深化が進むと考えられますが、次回以降述べることにより、ある程度総論づくりが広がった段階で各論の深化が加速度的に広さと深さをもってくると考えています。
 とはいえ、このようなことが実現していくには実際には相当の時間を要するものと思われます。
 これは将来のひとつの理想形ですが、実現にはいくつものハードルがあります。 
 次回以降そのハードルのうち 市民による財政分析に係わる課題、コミュニケーションに係わる課題につき、そのハードルを乗り越える動きについての展望を述べていきます。

 このコラムからまだ一年というスパンでは、まだ形となる変化は出ていないようです。
 当の本人はこれを書いた時点よりもやや悲観的かも。
 これについては次回以降のコラムで

2009年12月1日火曜日

財政白書各論を作る はじめるにあたり

前回の続きです。

 各論での切り口はいろいろあります。例えば行政サービスを一つテーマとしてあげると、もちろん財政(お金の裏づけ)も重要なファクターですが、そのお金でどれぐらいのサービスが行われているかというリアルの統計情報、関係する制度、人的な問題などいろいろな要素が絡んできます。
 また現在の自分の市の状況を知るには過去や他の市町村の状況も知りたいところです。
 こうして広げると正直きりがなく、一つの行政サービスを取り上げるとそれだけで本ができるほどです。
 ということで、この各論編では、財政をメインの切り口に比較的手に入りやすい、統計情報や制度の情報を組み合わせていきます。情報の入手については普通の市民が比較的容易にアクセスできる情報をメインとし、その情報の見つけ方も書いていきます。

行政サービスが向かうところに自分があります。そのサービスを自分が受けている場合は財政情報、統計情報の分析から得られる情報と自分が実際にサービスを受けている、あるいは話を聞いている実態とのギャップを感じるかもしれません。
 おそらくそのギャップを感じることが、市民感覚の分析を行ううえでとても大事なのだろうと思います。
 一方で、自分が見ている(感じられる)ものはどうしても限られてくることも認識する必要があることも事実です。
 自分の見ている範囲を広げ、あるいは角度を変えて(裏から?)見るために財政情報や統計情報、仕組みの情報が役に立ちます。おそらくそれがリテラシーを構成する重要な要素なのではないかと思うのです。
 もちろん行政のサービスの全てを知るという意味ではなくて、自分の見える部分というのは限界があることを知り、他人の話を鵜呑みにせず、広い視点を持つための情報が大体どこら辺にあるかわかり、イザというときに調べることができること。
 そういう意識を持つ市民の助けにこのブログが少しでも役立つことを願っています。

2009年11月23日月曜日

土地区画整理事業 事業計画を読む3

前回の続きです。
 今日は事業計画の課題について、当然のことながら、区画整理事業にかかった費用は誰かが負担しなければなりません。
 区画整理事業のための費用と、財源のバランスを考える上でのポイントは他の財源が減ればその分は事業施行者である日野市の負担になるということ。



例えば、保留地は民間に売却しますが、売却できる価格はその時点の景気状況などに左右されます。想定より売却価格が低ければその分市の負担は増えます。
 事業計画上の保留地の価格は
  豊田南20.5万円/㎡
  万願寺第二26.9万円/㎡
  東町  22.5万円/㎡
  西平山23.6万円/㎡  です。
 ちなみに平成21年度の路線価は豊田駅前で23~28万円、万願寺で一番高いところ(いなげやの前)で20万円前後。
 路線価は公示地価の8割になっていますが、バブル崩壊後は時価が路線価割れをするところもあるようです。

 また西平山の区画整理事業の財源の半分を占める公共施設管理者負担金の相当部分は道路特定財源になっています。
一般財源になってもこの事業が必要ということであればもちろんお金は出るわけですが、これまでのように優先的に確保されているということはなくなるということになります。つまり、国の動向によって区画整理事業の進捗が大きく左右されやすくなっています。
 豊田南地区も財源の3割を占める国庫補助のうちに相当道路特定財源が入っているため、似たような状況にあります。

ということで、財源の面での課題(不安な点を2点)をあげました。
土地区画整理事業についてはこの投稿でとりあえず終了です。

2009年11月15日日曜日

財政に疑問に答えよう スタート

先日いただいた益子町の財政白書の中にあった「課題」として挙がっている疑問点。
例えば「バブルが崩壊した後も歳入が伸びているのはなぜ?」。
 分析をして「そういう事実」は把握していましたが、その理由の分析まではしていませんでした。
 ここらへんは多くの市民が疑問に持つところだろうと思い、分析に挑戦しています。
 まずは
 ①疑問点が日野市にも当てはまるか見てみる。
   →乱暴だが、当てはまれば多くの市で当てはまると考える。
     当てはまらなければ分析が難しいので分析しない。
 ②日野市でその理由を分析
 ③その理由が日野市特有のものでなければ、多くの市で当てはまると考える。

 論理構成としてはかなり乱暴ですが、学術論文を書くわけではないので、ご容赦。

課題として出されたのはは
Q1財政規模がバブル期の終わりに膨らんでバブルが終わってからも規模が小さくならないのはなぜか。

Q2 平成13~18に地方債が急増した理由は

Q3バブルが終わっても歳入が伸び続けるのはなぜか

Q4固定資産税の伸びに違和感を感じる

Q5公債費が1986~96で283%になった理由は

Q6財政の縮小期にも関わらず 公債費が平成12年以来膨張している理由は

Q7福祉に力を入れているのか、民生費の内容(人件費が多いか、扶助費が多いか調べる必要がある。)

Q8小泉改革期に入っても単独事業が継続され、地方債が増えている

Q9 物件費には委託費など見直さなければならないものがある。

Q10 補助金の問題:交付の根拠があいまい。長年の慣行により意味がなくなったものも継続されているのでは

Q11 突出した単独事業が全ての年次で組まれている。

このうち分析が可能な疑問は
Q1、Q2とQ6はほぼ同じ、Q3と4はほぼ同じ、Q5。

次回は比較的こたえやすいQ3・4、つまり
 バブル期が過ぎても固定資産税をはじめとする歳入が増えたのはなぜか。
 について分析をしていきます。

2009年11月14日土曜日

土地区画整理事業 事業計画を読む1

○事業計画とは
 前回区画整理事業の決算を単年度で見てもあまりわからないという話をしました。
 では、何を見ればわかるのか。 それは事業計画です。
 土地区画整理事業は「土地区画整理法」という法律に基づいて実施されます。
 土地区画整理法の第52条によると、市が区画整理事業をするときは事業計画を定め、都の認可を受ける必要があります。
 事業計画は、あるひとつの年だけではなく、事業の最初から終わりまでの全体のお金の流れと事業の内容をまとめたものです。
市が行う区画整理事業の事業計画は「市政図書室」で閲覧することができます。

○区画整理事業の事業規模
 市が施行する4つの事業計画を見てみます。それぞれの事業費の総額は
  豊田南:440億円(昭和61~平成30)
  万願寺第二:256億円(平成3~25)
  東町:167億円(平成4~26)
  西平山:408億円(平成4~23)
  となっています。
 どれも多額の費用と長い時間がかかることがわかります。(実際にはもっと時間がかかりそうです。)

○事業計画から事業の仕組をみる
 それぞれの区画整理事業でどのようなことに費用がかかっているかを示したのが下のグラフです。
 その構成比率は4つの区画整理事業でそれほど大きな差はありません。

「移転」のための費用がもっとも多く事業費の40~55%となっています。
 移転とは建物や立木や墓地を移転する費用。区画整理事業は敷地の整理にあわせて建物を少しずつ動かしていく(建替含む)ので、そのための費用がかなりかかります。

「築造」というのは、道路や公園を作るための費用、これが全体の15~20%。
「調査設計費」というのは、測量や調査、道路や宅地の設計(用地交渉などの費用が含まれるかは不明)で、これが約20%となっています。

 ○ここまでのまとめ
  区画整理事業は
   1道路や公園などの施設を計画的に配置することが可能
   2面的に道路を整備することで、地域として交通や災害時の安全を確保することが可能
   3宅地の利用価値が上がる
   4道路とともに下水道なども整備される
   5これらをその地域から立ち退くことなくできる
   というメリットがあります。(日野市HPから筆者まとめ)
  その一方で、現に人が住んでいる建物を動かすので少しずつ事業を進める必要があり、そのための時間と費用がかかるものなのです。 とりあえず今日はここまで。

2009年11月11日水曜日

土地区画整理事業 平成20年度決算を読む2

前回 記事が長くなったので、今回は歳入です。
 決算書では、項目別の分類になっているので、ここでは地区別に分けてみてみます。
1.共通・その他
   国庫補助金:日野駅北750万。平山5700万。
  都補助金  :日野駅北375万。平山4275万。
   ~日野駅北と平山は民間の区画整理事業です。
  一般会計から:3.39億円
  損害賠償金:3400万円
2.豊田南
  国庫補助:4.02億円
  国庫負担:1.28億円
  都補助 :1.81億円
  一般会計:2000万
  基金から:4.20億円
  基金利子:3316万
  繰越金6443万円
  保留地処分金:7090万円
   ~基金の取り崩しと国の補助が大きい。
3.万願寺第二
  基金から:1.52億円
  繰越金1255万円
  保留地処分金:893万円
4.東町
  一般会計から:5283万円
  基金から2100万円
  繰越金:577万円
5.西平山
  国庫補助:2.64億円
  国庫負担:13.87億円
  都補助:1.15億円
  基金利子137万
  繰越金:9466万円
   ~国の補助が大変

平成20年度は特に国庫補助・国庫負担が多く、歳入全体の過半を占めています。
 国庫補助は、その元をたどるとほとんどが道路特定財源です。
 国庫負担は、区画整理事業区域内を走る予定の国道を整備するための費用です。
  国庫補助と国庫負担の違いは何?という疑問はこちら。難しいと思ったらとりあえず読み飛ばしていいです。

 一般に区画整理事業は、長い時間がかかるものです。散々説明しておいてなんですが、平成20年度の部分だけを取り出しても全体像はわかりにくいので、次回以降全体像について説明をしていきます。  

2009年11月3日火曜日

地方分権改革推進委員会 第三次勧告

やや旧聞に属しますが、地方分権改革推進委員会の第三次勧告が公表されました。
10月7日ですが。。。
第三次勧告の重点は、地方立法権の拡大による「地方政府の実現」
 特に義務付け枠付けの見直し及び条例制定権の拡充に力点が置かれています。
枠付けというのがいまいちわからない言葉なのですが、「義務付け枠付け」の具体的な見直しとして
 1 施設などの設置・管理基準
 2 国や上位団体の協議・同意・許可・認可
 3 計画の策定や手続きの義務付け
 があげられており、これで少しはイメージできるかも。

推進委員会の中で片山元鳥取県知事から「地方分権に対して、立法・司法がリテラシーがない」との発言をうけてか、法律策定の際に地方分権に抵触しないか手続きを確立すべしとの勧告がされています。

政権交代となりましたが、「内閣を挙げて速やかに取り組む」とのこと。

ところで、委員会の中の各省庁からの発言を見ると「基準を決めないとサービス低下になる」というような主旨が多いのですが、地方自治体を馬鹿にしているのかと思う。サービスを低下させたら一番最初に矢面に立つのはそれぞれの地方自治体。そう簡単にできるわけがない。
むしろ今までは「これが基準ですから」といって納得させてきた面もあるのではないか。これからはサービスの水準の根拠を他人に求められなくなるという意味で、それぞれの地方自治体にとっても大変なことといえるでしょう。
一方財源はいくらでもあるというわけではありません。どのサービスレベルがよいか市民と行政が一緒になって考えないといけない時代になったと思います。その中で出てくる解は全国一律ではないのは当然といえます。

もちろん自治体にそれだけの力があるのかとか、財政力によって差がつくのではないかという議論はあるのですが。
自治体に基準が決められるわけがないという根拠のために「介護保険の基準は200ページもある」という話が出たそうですが、はっきりいってそんなにこまごまとした基準が(しかも全国一律で)あること自体がおかしいと思わなければならないのだと思います。

2009年11月1日日曜日

土地開発公社と土地区画整理事業

土地開発公社の所有している土地のうち面積では約2/3、金額では約80%が土地区画整理事業区域内の公共施設のための用地です。
土地開発公社と区画整理事業は深い関係にあるのです。

○区画整理事業とは?
 日野市のこちらのページ(区画整理課)を参照してください。
 区画整理区域内の公共施設とは、区画整理内の道路や公園のことです。
 区画整理事業では公共施設は従前の宅地を少しずつ削って生み出すということになっていますが、実際には生み出しきれないので、あらかじめ公共施設用地を市が買っておかなければならなくなっています。

○土地開発公社の土地と区画整理事業の進捗
 土地開発公社は公共施設として使う土地を先に買っておく公社でした。区画整理事業以外の土地、例えば小学校用地とか○○会館用地のようなものは、その施設に対する市の予算がつき次第取得できるものです。しかし、区画整理事業は、既にある住宅や道路を少しずつ動かしながら事業を進めていかなければならないものです。関係のある住民一人ひとりの同意のもとに進めていくため、一般に時間がかかります。
 つまり、区画整理事業に関する土地は事業が進まない限り、なかなか処分が進まないということになります。

○日野市の区画整理事業
 日野市では豊田駅の北口をはじめ、多くの場所で区画整理事業が行われています。
 現在市が施行している区画整理事業は豊田南地区、西平山地区、万願寺第二地区、東町地区の4箇所。
 次回以降これらの区画整理事業について、主に財政資料を元に紹介します。

2009年10月24日土曜日

東洋大ゼミの方とお会いしました

6月に東洋大でお話をさせていただいた際(記事はこちら)に、院生でいらっしゃった方と
先日情報交換をしました。

神奈川県の某市でアドバイザーとして、公共施設のマネジメントや公民連携について活動されているとのこと。
公共施設については小学校の建て替えとならんで、今後は下水道のリニューアルが大変な財政負担になってくるのではないかという話をされていました。日野はまだ作っているところですが、最初に作ったところはかなり年月も経っているので10年も経たないうちに問題になってくるのかもしれません。

今後メールマガジン等も発行するとのことで、機会があれば紹介しようかと思います。

日野市が出資している法人

現在紹介している土地開発公社は市が出資している法人ですが、日野市が出資している法人には他にどんなものがあるのでしょうか。(一部事務組合は別に紹介します。)

ちなみにこの情報は決算書の最後の方に書いてあります。(HPには残念ながら公開されておらず。)
 平成20年度末の情報なのでその後変わっているものもあります。
 金額は出資額
○日野市が全額出資している(と思われる)もの
 株式会社日野市企業公社(HP) 3千万円
 日野市土地開発公社 5百万円
 財団法人日野市環境緑化協会(HP) 3億円
 社団法人日野市福祉事業団(HP)300万円
○第三セクター
 多摩都市モノレール株式会社(HP) 0.7%出資 3億3060万円
  その他貸付金が15億円。
○財団法人
 暴力団追放運動推進都民センター(HP) 631.6万円
 東京都高齢者事業振興財団 450万円
 東京都農林水産振興財団(HP) 211万円
 東京都新都市建設公社(HP) 3.8%出資 50万円
○社団法人
 社団法人日野市社会福祉協議会(HP) 300万円
 東京都労働者共同保証協会(HP)200万円
○全国的組織
 地方公営企業等金融機構(HP) 880万円
  前身は公営企業金融公庫。現在は地方公共団体金融機構
○地方の組織
 中間法人多摩南部成年後見センター(HP)20%出資 100万円
 東京都農業信用基金協会 73万円
○民間企業
 日野ケーブルテレビ株式会社(HP) 1.3%出資 2千万円
 株式会社日本テレビフットボールクラブ(HP) 0.11%出資 10万円
  要は東京ベルディ なぜFC東京でなかったかは不明。
 なお日テレの撤退により「東京ヴェルディ1969フットボールクラブ」に会社名が変わります。

 いろいろありますね。今日はじめて知った団体もありました。
 市との関係が深いものについては、今後詳しく調べていくかも。 

地方自治体における政治主導2 

前回のコラムでは主に政治主導の意味について考察しました。
今回は「地方自治体における」場合について考察してみました。
○政治主導=議会主導?
 地方自治体は二元性で、議会は行政をチェックする役割であることを考えると議会主導で政策を決定し、行政を運営するというのは変。
○政治主導=市長指導?
 市長がリーダーシップをとることが政治主導なのでしょうか?市長は(副市長を外部から呼ぶことがあるかもしれないが)基本的に一人であり、内閣のような形での政治主導とするにはかなり無理がありそうな気がします。
○国と地方自治体の違い
 国政と比べて地方自治体は、一人ひとりの国民・市民と行政との距離が近い。
 国政の場合は直接的に国民の声を聞くというのは無理があるので、国民が直接選んだ議員から選ばれた内閣を主導とすることで、国民の声を政策に反映させるという考え方があったのではないか。
 市政で考えると、直接的な市民の声を聞くルートはいろいろ開発されつつあり、単に市民から選ばれた市長がトップダウンで方針を示していくということのほかに、直接市民の声や知恵を取り込む方法を考えていくことが、地方において政治主導が目指す実質を実現することになると思われます。
 もっともこれは市町村の規模によって具体的なあり方はそれぞれ異なると思いますが。
○国と地方との関係
 地方で政治主導という言葉があまり使われないのは、つまるところ国主導だったからではないか。
 市長は市民から選べているが、行政として何をやるか、どうやるか、お金はどうするかということについて、市民の声を反映しようにも国や都道府県にほとんどを決められてしまい、市として裁量を発揮する余地は限られていたように思われます。
 市民にとっては、政治家が決めたものであれ、中央官庁の完了が決めたものであれ、国の基準として上からドーンとくるのでは、どちらでも対して変わらない(悪さ加減という意味で)と思います。
 政治主導が国民・市民の声の反映を目指しているものであれば、地方分権というのは必然の流れになってくるのではないでしょうか。

2009年10月23日金曜日

土地開発公社について その制度

10月11日の公園についての記事で、土地開発公社から6.8億円分の土地を買ったという記事がありましたが、今日から何回かにわたり土地開発公社についての解説をしたいと思います。

土地開発公社については、平成18年度版の日野市の財政白書(第2編第1章)内容とも重なりますが、まずは土地開発公社そのものについて簡単に説明します。

土地開発公社は、昭和47年に公布された「公有地拡大の推進に関する法律」に基づき、市が出資して設立される法人です。
当時は土地の値段が上がり続けており、道路など公共施設を作ろうと思っても、土地が値上がりしてなかなか土地が確保できないという状況にありました。特に市が土地を取得するためには、原則として市がすぐに使うことが必要だったり、議会の議決が必要だったりするので、取得しようと時間をかけているうちにさらに土地が上がるなどということがあり、公共用地をどう確保するかが課題となっていました。
 そのような中、議会の議決を経ずに「機動的に」土地を買える土地開発公社が設立されていったとのことです。土地開発公社が買った土地は、後年市が開発公社が土地を買うために借入をした利子を含めた値段で買い上げるということになっていました。

 土地の値段が金利を超えて上昇しているときは問題が明らかにならなかったのですが、やがて地価は減少に転じました。地価が下がっているときは待てばよりやすく土地が取得できたのですが、地価の下支えや景気対策の意図があってか、「積極的に土地を買うように」との国からのお達しがあり、下がるとわかっている土地をあちこちの自治体で大量に抱え込むようになってしまったとのこと。
 これにより本来の目的をはずれた無計画な土地の先行取得が行われてしまったと指摘されています。
 (参考:自治体財政の会計学 新世社)

 結局土地はさらに下がり、無計画に取得した土地は何年も塩漬けになっています。2007年度末で60%(金額ベース)以上の土地が10年以上塩漬けになっています。(総務省資料)
 土地の取得は銀行からの借入で行っていますが、土地開発公社に対しては市が債務保証をしているため、市の隠れた借金になっています。また公共施設へ使うあてのない土地は民間売却することとになりますが、そうすると含み損が明らかになり、その分は市が補てんしなければならず、売るに売れなくなり、その間にさらに地価が下がるという悪循環に陥っています。

 90年代に唯一財政再建団体であった赤池町は土地開発公社の赤字を清算したことが、直接的な原因でした。

 いろいろと大変な土地開発公社。次回は日野市の決算から説明します。

2009年10月21日水曜日

地方自治体における政治主導

政権交代の前後から「政治主導」という言葉がよく使われています。このコラムでは地方自治体における政治主導のあり方について考えてみます。
○政治主導とは?
 ・官僚主導の対義語として使われているようです。政府の運営や政策の
  策定・決定において、霞ヶ関の各省庁の官僚が主導している状況を
  変えようという意味合いかと思われます。
○政治主導=政治家主導?
 ・国会は立法府ですが、現実には成立している法律のほとんどは、
  各省庁からあがってきたものが内閣提出法案として法律になっている
  ものです。その意味での国会の立法府の強化という用法もあるように
  思います。 しかし、現状を見てみると大臣や副大臣等が政策の
  基本を主導するという用法が多いようです。
 ・その意味では内閣主導という言い方が近いのかもしれません。
○アメリカを見てみると
 ・政治主導の典型としてどの国を目指しているのかわかりませんが、
  アメリカだと大統領が変わると各省庁のある程度以上の地位の人は
  全て変わることになります。その意味では大統領及びそれを支える
  多数のスタッフが主導ということになります。
  立法府の法案提案力もずいぶん違いますよね。
 ・政権交代の際に首になった人は民間で活躍することとなり、
  その意味で官民の人的な流動があるようです。
○政治の言葉のイメージって
 ・日本では政治というとどちらかというとネガティブな言葉として捉え
  られていたようなイメージがあります。
 ・一部の利害関係者で決めて、大騒ぎされないようにことを運ぶと
  いうのがうまい政治というような伝統的な価値観があったのでは?
 ・単に私が不勉強なだけかもしれませんが、八ツ場ダムの件を始め、
  政権交代がなければ知らないうちに粛々と進められていたものも
  多くありそうな気がします。
 ・ただ、今現在使われている政治主導の意味は上記の意味での
  政治主導ではなく、国民に開かれた議論の中での政治主導と
  感じます。 政治という言葉の使われ方、受け止められ方も今後
  変わっていくのでしょう。
○政治主導の意義とは
 ・行政の日常の仕事は官僚が行っています。政権が交代して何か
  変えようと思ったら、必然的に政治主導にならざるをえなくなります。
  ただ、それだけの理解では言葉遊びの範囲を出ません。
 ・国民に遠い・誰かわからない人でなく、国民の投票によって選んだ
  国会議員が。知らない間に決めていつの間にか実行するのではなく、
  開かれた中で議論したうえで実行すること。
  が政治主導といわれているところの根源なのではないかと思っています。
 ・その意味で、政治主導は国民主導であるともいえます。
 ・単に国民主導だからよくなったというのではなく、
  良い結果に結びつくためには高いリテラシーと
   一人ひとりの将来への責任感が求められるということでもあります。

地方自治体の話までいきませんでした・・・・。
次回は地方自治体における政治主導です。

2009年10月19日月曜日

東京と大阪 守口市と日野市

守口市は財政がかなり大変で、財政健全化団体になるのではないかということがいわれおり、(平成20年度決算では該当せず)ブログの記事でも紹介しています。

日野市との比較でいえば(左 守口市、右 日野市。以下同じ)
経常収支比率 106.5 : 94.0
実質収支比率 -13.6 : +4.0
 と大変苦しいことがわかります。
 一方で、経常一般財源(用語の解説はこちら)を見ると
 総額       282.8億 : 308.55億
 人口一人当たり19.4万円 :17.9万円
   と一人あたりでは守口市の方が多くなっています。
 経常収支比率の内容を見ると
      守口  : 日野
  人件費 41.7 : 31.8
  公債費 17.0 : 9.9
  扶助費 12.6 :10.5
  合計  71.2 :52.1 といわゆる義務的経費の比率が際立って多い。特に人件費が多いことがわかります。
 人件費を市民一人当たりで見ると
  9.4万円 : 6.7万円 と1.5倍弱になっています。
  これは人口一人当たりの千人あたりの職員数が
  7.82人と6.07人 と1.3倍多く、かつ一人当たりの月給も38.1万:35.2万と多いことによります。
  (決算カードより)
 守口市の人件費は全国の一人当たり7.3万円と比較しても多いことがわかります。
 このような状況に対し、財政健全化計画で民間委託等を進めるとしていますが、
  一人当たりの委託費は1.6万円で、日野市の3.1万円、全国の2.4万円と比較してもまだ低いものとなっています。

 また扶助費については、守口市は保護率が31.1‰と大阪府の中でも高く、日野市の3倍以上に達しています。守口市の平成19年の生活保護には81億円にも達しており(日野市は28億円)、市の負担は1/4だけとはいえ、無視できないレベルになっています。
 
 日野市と守口市の比較により、同じぐらい経常一般財源があるものの「人件費が多い」「生活保護が多い」ことが財政を苦しくしている要因とみられました。
 これは東京と大阪の比較でもある程度いえそうです。
 (人口一人当たり人件費:多摩63千円、政令都市以外の大阪72千円)
 (生活保護率 大阪25.1‰、東京都15.8‰)

 これまでの東京・大阪の比較及び地方交付税の算定根拠から、大阪の財政が苦しい理由は
 ①東京に比較して税収が少ない分は交付税でカバーされているが、人口密度が高く、人口が多いため、全国に比較すると交付税の額は大阪は少ない。
 ②人件費が多い。(東京に比べると職員数が多い。全国に比べると給与水準が高い)
 ③生活保護費が多い。保護率が高いことは地方交付税の額に反映されない。
 ④財政が苦しいための借金により、公債費が多い。
    又は、公債費が多いため、財政を圧迫している。
 と分析することができます。
 もう一段踏み込めればよいですが、個人のブログではここまで。

 なお、箕面市と国分寺市を比較するとしていたのですが、分析の結果上記以上の発見ができなかったので、東京と大阪のコラムについては、この記事で終了とさせていただきます。

地方交付税の根拠4

今日は補正係数について
以前の回で、基準財政需要額=Σ(単位費用×測定単位×補正係数)と説明した補正係数です。
補正係数とは例えば同じ道路の管理費用でも、積雪が多い地域では管理費が高くなるとか、そういったことを補正するための係数です。
係数そのものは余りにも複雑なので、紹介しません(できません。)が、どういう補正があってどういう考え方なのかを簡単に説明します。

○種別補正
 ・道路や港湾の種別により補正。なぜか国道や県道は増加方向で補正。
○段階補正
 ・一般に人口が多くなるほど、スケールメリットがでることから、人口が多くなるほど単位費用が少なくなるように補正するもの。
○密度補正
 ・人口密度が低いほど、費用がかかることを補正するもの。
 ・保育園の入所人員が多いほど、基準需要額が増えるような補正係数もここに組み入れられているようです。
○態様補正
 ・生活費が高い地域(東京は都心に近いほど高い)が高くなるように補正(給与を高くしなければならない)
 ・都市化の度合い(ごみ処理などは高く補正。農林関係は低く補正)
 ・中核市や特例市、保健所設置市は高くなるよう補正(業務が県から移譲されている)
 ・投資的経費の必要度合い(道路の未整備延長などを考慮するらしいが・・・・)
○寒冷地補正
 ・寒かったり雪が積もった入りするところを増やす
○数値急増(急減)補正
 ・人口などが急増又は急減しているところを増やす
○合併補正
 ・合併したところを増やす
○財政力補正
 ・地方債の元利償還金の割合が多いところを増やす

それぞれについては、確かにそれなりに理屈があるのですが、具体的な数値は毎年変わり、計算式も複雑なので、市の財政担当者にとっては予見可能性が低くなっています。

例えば平成21年度日野市は予算の段階では交付税が6千万円もらえる予定でしたが、結局ふたを開けてみればもらえないということになっています。

この稿はこれで終了です。

2009年10月18日日曜日

日野市には条例がいくつあるか?

議会の話題が出たので、なんとなく数えてみた。
日野市例規集で数えてみたら条例が210ありました。規則の数は数えていませんが大体同じぐらいあると思われます。
 そのうち民生関係の58が一番多いようです。

ちなみに国の法令は今年の9月1日現在で法律が1799(日本国憲法含む)、政令が1923、省令が3630もあります。
太平洋戦争が終わって日本の法律が全て変わったかのようなイメージがありますが、戦前の法律も実はかなり残っており、勅令(天皇の命令)なんかも一応廃止されずにあるものがあります。
例えば砂防法施行規定は明治30年の勅令ですが廃止されず、ご丁寧にも平成14年にも改正されています。
面白いところでは、臘虎膃肭(ラッコオットセイと読むと思われる)獣捕獲取締法という明治45年の法律が残っていたりします。

東京都は条例・規則・告示等あわせて、2289件がデータベースに登録されています。

地方交付税の算定根拠3

基準財政需要額の算定式で、それぞれの行政需要の項目(道路だとか公園だとか)について計算したものが、事務報告書の財政課のページにあります。
 これを見ると、国の基準による需要と実際の費用とのギャップが確認できます。
 なお、地方交付税は一般財源なので、比較対象はそれぞれの費用にかかった一般財源と比較しなければなりません。決算書から拾うのは大変なので、財源が明示されている予算書と比較しました。
 差があるものを主に取り上げます。
  左側が基準で、右側が実際の費用単位は百万円。
消防費 2127→1791 (人口密度が高いので効率よくできるということ?)
道路橋梁 541→349
都市計画 225→784 (区画整理などがあるため?)
下水道  324→1952 (下水道事業への投資と借入返済が続いているため?)
小学校 862→1592 
中学校 366→811
その他教育 1106→2763
 (投資があるからか、サービス水準が高いからかは不明。)
生活保護 758→710(全国平均よりは低いといことか?)
社会福祉 2388→8689
 (サービス水準が高いため?全国基準の定め方がかなり大雑把なためというのもある。)
徴税費 441→258

個別の項目を見ていくとかなりずれがあることがわかる。
これをどう評価すべきかはよくわからない。基準の算定のぶれの問題か、全国基準を当てはめることが適切ではないのか、独自のサービスが多いからなのか。
中途半端な結論で申し訳なし。

2009年10月17日土曜日

地方交付税の算定根拠2

前回の同名の記事では、基準財政基準額の積み上げの根拠となる要素を列挙しました。
今回はその要素の選定がどういう影響を及ぼしているかを見ます。

前回の記事でもわかるように、おおよそ人口に比例する指標が多くなっていますが、道路や港湾などについてはその施設の量に比例するものもあります。特に道路の延長は人口というよりもその市の面積に比例するので、一人当たりにすると面積が大きく、人口密度の低い市の方が財政需要が大きいと計算されることになります。
 道路については、実際に道路の量が多ければそれだけ行政需要が多くなるのは間違いがないですが、必要な道路については必要なだけお金が入るということになれば、本当に役立つのかとかいったことを考えなくなりがち、というマイナス面も考えられます。

 人口一人当たりの道路の延長は東京の1.86m、大阪の2.1mに対し、全国平均は9.3m、最大は島根県の24mと大きな差があります。

 また生活保護や社会福祉費(日野市では児童福祉と生活保護以外の福祉ですが、交付税の上では老人福祉と生活保護以外の福祉のようです。)は人口に単純に比例しており、実際の福祉の需要やサービスレベルとは関係なく定められているようです。
 特に生活保護の割合(平成18年度)は、大阪府の25.1‰(千人あたりの割合)から富山県の2.3‰まで10倍もの差があり、例えば同じ大阪でも大阪市は40‰を越すなど差があります。
 市の負担は全体の1/4とはいえ、保護率の高い市では基準財政需要額にカウントされない行政需要が多額に発生することとなります。

2009年10月15日木曜日

東京と大阪 泉佐野市と東久留米市

大阪の自治体はなぜ苦しいかの仮説を個別の市で詳しく見てみます。
最初は財政健全化団体となる泉佐野市と同程度の財政規模を持つ東久留米市。

左側が泉佐野市、右側が東久留米市です。
 財政力指数0.97 VS 0.87
 市税収入 190億 VS 165億
 地方交付税 2.8億 VS 18億 
 経常収支比率 101.1 VS 99.8

 財政力としては、空港関係の固定資産税があるため、泉佐野市の方がむしろ強く、経常収支としてはあまり差がないことがわかります。(東久留米は都内では2~3番目に経常収支比率がよくないが。)

 この2市の間では、財政の苦しさの差の原因は比較的わかりやすい。その原因は泉佐野の負債の多さです。
 地方債(普通会計) 750億 VS 279億
 事業会計の借入・債務保証 680億VS 189億
 このため
 経常収支比率の中の公債費の比率
  27.6 VS 15.8
 元利払いの額でいうと 72億 VS 32億 となり、この差額だけで両市の歳出の10%ほどになります。
 泉佐野市が財政健全化団体になった理由も、連結赤字比率(特別会計や事業会計の赤字を含めた赤字の比率)が早期健全化基準を上回ったためです。
 市の財政健全化計画でも財政悪化の要因を
 ・関空の開業に合わせ、都市基盤整備や空港関連地域整備をはじめ、総合文化センター、健康増進センター、市立泉佐野病院など多くの施設整備を短期間に進め、その財源として地方債(つまり借金)にたよったため
 と分析しています。

 ということで、泉佐野市の苦しい原因はわかったけど、大阪の市に一般化するのは無理があるような。

 ちなみに、一人当たりの地方債(普通会計)残高でみると、東京の市が20万~30万に2/3の市が集中し、2市を除き30万以下(最大でも31.1万円)なのに対し、大阪では30万以下の市は半分にとどまり、40万以上の下6市(約2割)あります。 中でも泉佐野市は73.7万と群を抜いていますが。
 全般的に大阪の方が借金が多く、財政を圧迫していることが予想されますが、「借金が多い」から「財政が苦しい」のか「財政が苦しい」から「借金が多い」のかの判定は難しいところです。

2009年10月14日水曜日

決算書を読むシリーズ 他の市の様子も知りたい

自分で書いておいてなんだが、一人当たり何円とか、一部あたり何円とするとわかりやすいと思ったのですが、まだまだぴんとこないように思います。
やっぱり過去の推移とか、他の市ではどのぐらいだとかが欲しくなるところです。
とはいえ、他の市の決算書やまして事務報告書はなかなか手に入るものではありません。

本当はいろいろな市のいろいろなデータを、いろいろな人が分析してそれをアップできるところがあるとよいのですが。