以前より大阪の自治体の財政が厳しいことはこのブログでも何度か記事に取り上げました。
東京と大阪は大都市の郊外で状況が似ていると思われるのに、なぜ違いが出ているのかと疑問に思っていたので、調べてみました。
データ元は総務省の平成19年度市町村別決算状況調より。
比較対象は、東京都下の26市と、大阪府下の政令指定都市を除く市です。
まず全体を人口で割った人口一人当たりの数字で比較して、仮説を立ててみます。
まずは一人当たりの基準財政需要額と基準財政収入額(今後は特に断らない限りは人口一人当たりとします。)
東京:需要12.9万円、収入14.3万円。
大阪:需要14.2万円、収入12.0万円。
ちょうど需要と収入の数字が逆になっている感じです。
市税収入は
東京:18万円、大阪15.2万円と 市税収入の差が、そのまま収入の差に反映されているようです。
一方、地方交付税が東京は5千円、大阪は2.6万円なので、この時点で収入面での差はかなりの部分が解消されています。
さらに、国庫支出金が東京3.4万円、大阪4.0万円なので、国庫支出金を合わせればまったく差がなくなります。 一方都道府県支出金は、東京が3.4万円、大阪は1.7万円で、東京都と大阪府の財政力の差が反映されていると見られます。
また公債費は東京1.2万円、大阪2.2万円で大阪の方が多くなっています。
歳出面では総額は東京31.6万円、大阪31.4万円とほぼ同じです。
しかし公債費が大阪は3.3万円、東京が2.6万円なので実質的な市民サービスや投資にかけているお金は東京の方が1万円程度多くなっている計算です。
目的別で主なものを見てみると
民生費 東京11.8万円、大阪11.3万円。
うち児童福祉 東京4.5万円、大阪3.8万円
生活保護 東京2.4万円、大阪3.1万円
教育費 東京4.1万円、大阪3.1万円
総務費 東京4.4万円、大阪3.6万円
性質別で見ると
人件費 東京6.3万円、大阪7.2万円
扶助費はほぼ同じ。
物件費 東京4.9万円、大阪3.5万円(うち委託費おのおの3.1万円、2.1万円)
補助費 東京3.4万円、大阪9千円
建設費 東京3.4万円、大阪2.3万円
(ちなみに土木費という切り口だと大阪の方が若干多い)
経常収支比率(臨時財政対策債含む)は東京は86.3~102.1、大阪は93.2~106.5に分布。
100を超える市が東京は一つですが、大阪は14も(31市中)あります。
上記から予想されることとしては、(大阪の方から見て)
①市税収入と都又は府からの支出金が少なく、交付金や国庫支出金である程度埋め合わせがされているが、なお収入は少ない。。
②人件費と公債費、扶助費のうち生活保護の割合が多いため、財政の硬直度の度合いが高い。
③児童福祉と教育費を減らすことで対応している。
と思われます。
さてここで。東京と大阪を比べたのですが、東京そのものが全国から見れば特殊かもしれません。
次回は大阪と全国を比較してみます。
2009年10月4日日曜日
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