2009年2月26日木曜日

連載:財政白書の未来 第8回

今回は第8回 財政分析の担い手についてお送りします。(前回はこちら) (目次はこちら

第八回 財政分析の担い手
  ~組織化と担い手の課題~

 これまで、市民がデータに基づき分析をし・・・云々と書いてきましたが、実際にはその市民は誰なのでしょうか。
 担い手となる市民の条件としては①市の財政に興味を持っていること ②データを収集し、分析し、評価する気力があること ③時間がある程度自由になること の3つが上げられるでしょう。そして実際に財政分析に携わるのは、上の条件に当てはまる人の中で他のことに優先して取り組むだけの動機付けと始めるきっかけがあった場合に限られると思われます。

 上記の条件を満たす市民の存在密度は低く、人口の0.01%~0.1%程度と見ています。(特に根拠のない筆者の勘です)したがって、単に個々人が興味を持っている・能力も時間もあるというところを超えて、市民が集まって実際に白書をまとめるというようなアクションに至るまでには、これらの人の組織化ということが必要になります。
 
 組織化のためには人が集まる必要がありますが、そのきっかけとしては下記のパターンがあるようです。
 (なお下記のパターン類型は筆者が新聞やネット情報から推測したものです。)

 1.公民館などの財政講座の受講生が自主的に組織を作った場合
  ・多摩の多くの市がこのパターンを取っていることが多いようです。特に何回か連続した講座の場合に効果が大きいようです。単発の講座の場合には、議員さんなどが興味を示す例が多いですが、なかなかその後が続かないことも多いようです。
 2.行政が総合計画策定などのため市民を集めた中から、組織化された場合
  ・日野市の健全財政を考える会はこのパターンでできた会を源流に持ちます
 3.特定の団体の後押しにより白書が作られた場合
  ・職員組合が支援するNPO法人が財政を含む自治体白書をかなり早い時期に作成していました。
 4.一定の事業に反対するあるいは疑問を持つ市民によるもの
  ・松本市の例がそのようです。単に疑問を持つ市民がいるだけではだめで、市民をまとめる核となるリーダーの存在が不可欠です。
 5.もともとの地縁・人のつながりをベースとしたもの
  ・鎌ヶ谷市の学生のプロジェクト「ザイバク」がそれに当たるでしょう。これは同じ地域出身というつながりからスタートしているものです。

 今後出てくる可能性のあるパターンとしては
 6.議員や政党の支援によるもの
  ・不思議と議員の勉強会などから出てくるものは少ないようです。現状は無党派層が多いので、政治色を嫌う人も少なからずいるので、わからないようにしているだけなのかもしれません。個人的には党や会派や幹部の意向だけではなく、自分で研究・分析して情報発信をする議員が増えることを期待するのですが。
 7.ネット上での呼びかけによるもの
  ・最初に書いた①~③の条件に合う人をネット上で同じ自治体の中で組織するのは実際的には非常に困難でしょう。ただし、日本国レベルや東京都大阪府など巨大自治体レベルであれば、可能なのかもしれません。とりまとめとリーダーシップが大変そうですが。

 財政白書の担い手の面での大きな課題は、現状では担い手がどうしても高齢者に偏りがちという点ではないでしょうか。時間があるという面では、学生もその中に入るのでしょうが私が知る限り他に事例はないようです。鎌ヶ谷が大きく取り上げられているのはそれだけレアなケースであることもまた確かだからでしょう。
 担い手の裾野を広げるにはまず働き盛り世代が忙しすぎるというワークライフバランスの問題がありますが、そういう人たちが参加しやすい環境を整えることが必要であると思います。

 財政白書の進化に伴い、モジュール化、ネットワーク化した場合の担い手像については、正直なところまだイメージが十分に浮かんでいません。 これについて考察が進みましたら別途コラムで紹介したいと思います。

 次回は財政白書とコミュニケーションをお送りします。