2009年9月22日火曜日

児童福祉費と教育費が大きく見えるわけ

以前の記事(日本の公的教育支出OECDで下から2番目)で、市の会計を見ると児童福祉費と教育費の割合が高いのに、一般に諸外国や高齢者福祉費に比べると少ないといわれていることを取り上げました。
確かに日野市の一般会計では児童福祉費は約80億、高齢者福祉費は約35億円前後、子ども関係の教育費は50億程度なので圧倒的に子どもの費用の方が多いように見えます。

その原因として仮説1「市は子ども関係が多いが、県や国レベルでは高齢者関係が多い。」
 仮説2「特別会計などでの高齢者関係の支出が多い」を立てて調べてみました。

仮説1
 総務省HPにてまずは市町村の決算を調べてみた。
 すると、老人福祉費 市合計 約2兆3千億円。町村の合計約37百億円
      児童福祉費 市合計 約4兆2千億円。町村の合計約42百億円
      教育費(中学校まで) 市合計約2兆7千億円。町村の合計約42百億円。
   確かに市町村では高齢者関係に比べ3倍程度の歳出規模がありそうです。
 次に都道府県の決算を調べてみた。
 すると、老人福祉費 約2兆円弱
      児童福祉費 約9千8百億円。
      教育費 約7兆円弱
  教員の給与が含まれるため、教育費が圧倒的に多くなっています。
 一方国の決算(きわめてわかりにくいのですが・・・・。)を見ると
  高齢者関係(年金、介護保険、老人医療) 約13兆8千億円
  児童福祉費 約1兆
  教育関係 約1.66兆円
 (参考 文部科学白書厚生労働白書資料編)
  市や県レベルとは逆に高齢者関係の費用が圧倒的に多くなっています。
  おそらく合計すると高齢者の費用が上回るものと思われます。
 ちなみに、これらの福祉関係の費用は2重カウント(例えば県が市に補助を出し、市が実際に支出するような場合)になっているので、純額は調べ切れませんでした。

仮説2
 高齢者福祉は特別会計となっているものが多くなっています。市町村単位で運営される介護保険や老人健康保険(平成19年まで)、都道府県単位で運営される後期高齢者医療、国単位で運営される国民年金。
 これらの特別会計が行う給付の一部は一般会計からの繰入で行われますが、その他保険料でも賄われています。
 介護保険の利用者負担を除く給付額は約5.8兆円(うち一般会計約3.4兆円)、老人健康保険は11.2兆円(うち一般会計4.7兆円)、国民年金は16兆円()となっており、上記の一般会計で見える支出額よりはるかに多い額が支出されていることがわかります。
 (参考介護保険事業状況報告老人医療事業報告年金局HP
 確かに日野市の特別会計でも介護保険の70億円以上、老人健康保険の100億円以上の歳出を合計すると子ども関係の歳出を超えてきます。

いろいろ探しているうちに、まとまっているものを見つけました。
 社会保障給付費に関する統計です。
 概要のファイルを見ると「機能別社会保障」というのがあり、社会給付費はこれによると高齢者62.2兆円、家族関係は3兆円なのだそうだ。いままで見てきたのとずいぶん金額が違う。おそらく厚生年金のようなものも入っているためと思われます。

 ここまでをまとめてみると、
 ①子ども関係は地方自治体の一般会計で主に支出されている。財源は通常の税収。
 ②高齢者関係は国の支出が多い。特別会計による支出が多く、税収のほかに保険料が財源となっている。
 ために、子ども関係の支出が多く見えるようです。

市民財政白書を作る(動画版) つっこみどころいっぱい

現在シナリオ作成中です。
 以前も書きましたが、例外が多く「○○は××です。」と説明しきれない部分が多くて困る。
 仕事の癖で「○○は基本的に××」とか「○○等は××等」というような書き方をしているのですが、実際に読んでみたときに、違和感が生じないかはやってみないとわからないというのが
正直なところです。

 また「○○は××」と書こうとすると「△△という面もあるのではないか」という突込みが浮かんでくる。
 シナリオの中で「そういう面もありますが、□□」と自らフォローを入れるか、それはとりあえずおいておいて先に進めるか難しいところですね。いずれにせよいくらでも長くできるわけではないので、書ききれない部分や突込みが考えられる部分については、このブログで補足して行こうと考えています。