2009年11月4日水曜日
全国財政白書行脚 滋賀県
県ごとに市町村の財政資料を見ていくと、県によって傾向がありそうな気がします。
やはり隣の市や町のすることは気になるからでしょうか。
滋賀県は長期の財政計画を立てて公表している市が多いように思われます。
滋賀県で特徴的な市をいくつか。
草津市:予算の編成過程を詳しく公開しています。具体的には各部の見積、内示、部長間調整、市長査定、公開調書、復活見積。
さすがにここまで必要としている市民はなかなかいないでしょうが、過去の経緯をたどる上では参考になりそうです。
そのほか
大津市の家計簿:内容は広報レベルですが、各種情報へのリンクあり。
彦根市 財政事情(PDF注意):主に平成21年度予算。平成9年来のグラフあり。
守山市の財政状況:平成19年度決算に基づくもの。身近な事業の費用を一人当たりに置き換えているのが特徴。
グラフは平成9年から。
が市民向けの財政の説明でくわしそうなもの。
なおリンクをクリックするとそれぞれの市の財政のHPに飛びます。
ブックレビュー Eデモクラシーへの挑戦
ブックレビュー eデモクラシーへの挑戦 藤沢市市民電子会議室の歩み
金子郁容・藤沢市市民電子会議室運営委員会 岩波書店 2004年4月発行
1997年にオープンした藤沢市の市民電子会議室についての本。
今でも電子会議室はあります。(こちら)
97年といえば、Windows95の時代でまだ会社でも一人一台になっていなかったころではと思います。
ちなみにこの本によると2002年12月現在733もの自治体で市民電子会議室が開かれているのだとか。
意外というか知りませんでした。その中でも藤沢市は成功している”稀な”事例といわれているのだとか。
○電子会議室設立のきっかけ
1981年から16年間にわたり「地区市民集会」というのを開き、提案や要望を受けていたとのこと。
これでも当時としては先進的だったと思うのですが、
・提案に対するフォロー体制がない
・若い人の参加が少ない(30代以下が6~7%)
・一方的になりがち
という課題の中から生まれたようです。
○当初は
・市民からの要望・質問に対して、市の職員が応えるというようなものが多かったようですが、だんだん市民同士の対話になっていったようです。
○難しい点
・市の職員が発言することはいろいろと難しいようです。責任が生じるとか、市としての公式見解であれば上の決裁が必要だとか。
・確かに例えば会社のHPに外部の人が見れる掲示板があったら、社員としては書きにくいですよね。
・また議会に話す前に情報提供するのはどうか というような意見もあったようです。
・別項でも紹介しましたが(自治を担う議会改革のブックレビュー)、先進的な自治体であるような「行政と議会と市民の危ない関係」が生じてきたとか。
○荒れない?
・いろいろな自治体から質問があるらしいですが、「問題発言があった場合はどうするの?」という質問が多いとか。
・本書では、荒れない雰囲気を作るノウハウ。お互いに注意し助け合う風土。をあげています。
簡単に書いてますが、それが難しいんでしょうねぇ。
○市政への反映
・電子会議室での内容を運営委員が提案としてまとめているとか。実際に市政に反映されることが多く、これがやる気を高める要因にもなっているようです。
・私の経験からすると、実際にまとめるというのは大変で、まとめられるというところがすごいところだと思います。
○直接民主主義
・ネットがあれば直接民主主義ができるというニュースをアップしましたが、(こちら)39万人のうち会議室に登録している人は2500人。
100人に一人以下のようです。とはいえ、「○○策定市民委員」とかで集められる市民の数よりははるかに多い人数が参加できると思います。
・参加している年齢層は20代と30代で半分以上となっており、市民会議に参加できない市民への新しい市民参加のルートとなっているようです。
・電子会議室のよいところは、単に賛否を問う式の多数決による民主主義ではなく、また質問と回答でもなく、議論を通じてより高いレベルの政策決定につながることなのではないかと思います。
・その意味で、議会も議員が質問書を読み上げて市長が回答を読み上げるというだけではなく、議員同士が議論をしそれを市民に開いていくことが求められているのではないかと思います。(議員同士の議論を認めている市議会もありますが。)