2009年10月15日木曜日

地方財政データブックはでないらしい

以前のブックレビューで紹介した学陽書房の地方財政ハンドブック、そろそろ出る時期だと思ったのですが、あまり部数がでないらしく、昨年度分を最後にしばらくでなくなるとのこと。
内容が非常によくまとまっていてよかったのに、残念です。
 今回はブックレビュー・・・・ではないですね。

東京と大阪 泉佐野市と東久留米市

大阪の自治体はなぜ苦しいかの仮説を個別の市で詳しく見てみます。
最初は財政健全化団体となる泉佐野市と同程度の財政規模を持つ東久留米市。

左側が泉佐野市、右側が東久留米市です。
 財政力指数0.97 VS 0.87
 市税収入 190億 VS 165億
 地方交付税 2.8億 VS 18億 
 経常収支比率 101.1 VS 99.8

 財政力としては、空港関係の固定資産税があるため、泉佐野市の方がむしろ強く、経常収支としてはあまり差がないことがわかります。(東久留米は都内では2~3番目に経常収支比率がよくないが。)

 この2市の間では、財政の苦しさの差の原因は比較的わかりやすい。その原因は泉佐野の負債の多さです。
 地方債(普通会計) 750億 VS 279億
 事業会計の借入・債務保証 680億VS 189億
 このため
 経常収支比率の中の公債費の比率
  27.6 VS 15.8
 元利払いの額でいうと 72億 VS 32億 となり、この差額だけで両市の歳出の10%ほどになります。
 泉佐野市が財政健全化団体になった理由も、連結赤字比率(特別会計や事業会計の赤字を含めた赤字の比率)が早期健全化基準を上回ったためです。
 市の財政健全化計画でも財政悪化の要因を
 ・関空の開業に合わせ、都市基盤整備や空港関連地域整備をはじめ、総合文化センター、健康増進センター、市立泉佐野病院など多くの施設整備を短期間に進め、その財源として地方債(つまり借金)にたよったため
 と分析しています。

 ということで、泉佐野市の苦しい原因はわかったけど、大阪の市に一般化するのは無理があるような。

 ちなみに、一人当たりの地方債(普通会計)残高でみると、東京の市が20万~30万に2/3の市が集中し、2市を除き30万以下(最大でも31.1万円)なのに対し、大阪では30万以下の市は半分にとどまり、40万以上の下6市(約2割)あります。 中でも泉佐野市は73.7万と群を抜いていますが。
 全般的に大阪の方が借金が多く、財政を圧迫していることが予想されますが、「借金が多い」から「財政が苦しい」のか「財政が苦しい」から「借金が多い」のかの判定は難しいところです。