たまには財政関係で読んだ本のレビューなどもアップしたりします。
今日は 「自治体破産」 白川一郎著 NHKBooks 2004年発行
この本は・・・自治体の財政悪化問題について興味のある方向け
難易度・・・普通。
内容・コメントなど
この本が出たのは2004年。当時は夕張はまだ財政破綻していなかった。自治体が債務不履行に陥った場合の法制の不備を指摘しており、その後その制度の不備が夕張の財政破綻で明らかになっています。
この本で「財政悪化は地方自治体が財政規律なくしたことによるものであり、これは国と地方との間の行財政制度の仕組みが原因」としています。つまり「最終的には国が面倒を見てくれるシステム」のため、財政規律が失われているのです。
このような状況に対し、自治体の破綻法制の整備と地域に責任と独自性を持たせるインセンティブがある制度を作ることがひつようと訴えています。
第3章の冒頭で地方財政の制度(特に国との関係)の概要について、歴史的な経緯を踏まえて説明してあるので、財政自体にあまり詳しくなくても読めるかと思います。
その後2007年に夕張市が財政再建団体になり、自治体の財政健全化に関する法律が新たに作られ、財政悪化を示す指標については整備されましたが、自治体の債務不履行(デフォルト)については想定しておらず、著者が提示している問題に対してはまだ答えられていない状況です。
なお 増補改訂版が2007年に出ているようです。おそらく夕張市の財政破綻を受けた内容になっていると思われます。
2009年2月3日火曜日
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