2009年2月25日水曜日

連載:財政白書の未来 第7回

第7回は、情報発信の未来の続きです。(前回はこちら)(目次はこちら

第七回 情報発信の未来 その2 ~白書の動画化~

 市民からの情報発信の今後の一つの形として、動画による情報発信がされる可能性があります。
 近年はYouTubeやニコニコ動画など、自分がとったムービーをネット上で公開できる仕組みができ、財政分析をした結果や意見を発表する方法として、手軽なものになりつつあります。
 動画のメリットとしては
 ①(少なくとも当面は)話題性がある
 ②(通常のIT環境さえあれば)ハードルが低い
 ③(映像の作り方によっては)訴求力が高い
 ④(ビデオを撮るだけならば)コストが低い
 ということがあげられます。
 特に③の訴求力を活かし個別の施策に係わる提言をする際には、動画が大きなインパクトを与えられる可能性があります。
 上記のようなメリットがあるとはいえ、ニコニコ動画で200万以上(2009年2月現在)、YOUTUBEは4000万以上(2007年1月現在)の数の動画があり、ホームページ上の白書と同様埋もれてしまう可能性は高く、見てもらうためにはなんらかの戦略が必要となります。

 一方、個々の施策について、特にゴミ処理場など多くの市民の耳目を集め、議論を巻き起こすようなものに関しては、市民に対して理解を得るために、行政の側が動画によるアピールを試みることが今後考えられます。
 ただしこれは市長のキャラクターによるところが大きく、議論の矢面に立たず、穏便に済ませることを望む市長であれば動画に出るようなことはないでしょう。逆に市長の記者会見を動画で流している市ではこのようなメディアを積極的に使うことも考えられます。
 
 このように動画化は市民側からは手軽でインパクトのあるPR手法として、行政側からは住民理解を求める手法として利用が進んでいくことが考えられます。
 ネットワーク上の動画は地域を限定しないので、場合によっては地域の課題が全国のニュースで取り上げられるきっかけになるかもしれません。(99%以上はメジャーなメディアに載ることはないでしょうが)

 動画化に関して注意点を挙げるとすれば、
 ①見えやすい問題にばかり目がいくこと
  ・動画の特徴として映像になりやすい建物とか困っている人は取り上げられやすいものの、財政赤字とか粛々とがんばって数字をあげている状況のような、映像になりにくいものには光が当たりにくいという欠点があります。財政分析の初期の段階ではわかりにくい、見えにくい財政を見やすくしよう。ということだったのですが、映像化によって見えにくいものをみることから離れていってしまう傾向にあることは心においておかなければなりません。
 ②分析がおろそかになりがちなこと
 ・財政白書は、同じデータを市民と行政が共に分析評価するところをベースとして議論することが重要ということを以前書きました。一方動画においては地道な分析よりも、自らの主張に重点を置いてしまいがちです。それ自体は特に悪いことではないのですが、ややもすると分析抜きに過激な物言いをする動画ばかりが注目を集めることになりかねず、同じデータをベースに議論をするはずが、声高な主張と罵り合いの応酬になってしまい、かえって市民を分裂させてしまうという結果になりかねない危険性も持っていると考えられます。
 上記2点は動画化がもつ根源的な特徴ですが、だからといって動画化の動きを止めることはできないですし、逆に進めていくべきと考えています。したがって、その動画を見る側、分析する側がその特徴を充分に心に入れた上で、もともとの財政白書・分析の主旨を忘れないように活動することが重要となるでしょう。

 次回はそれではこのような分析や情報発信を誰が行うのか、「財政分析の担い手」というタイトルでお送りします。

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