第二回です。第一回はこちら。
第二回 財政健全化法前の法律 ~ 市が財政破綻したらどうなるか
新しい財政健全化法以前は「地方財政再建促進特別措置法」(以下「再建法」と略します。)という法律がありました。
「民事再生法に基づく再生手続開始の申立て」することを一般的に「倒産する」というように、
「再建法に基づく財政再建団体の申請」をすることを、「市が財政破綻する」といっています。
夕張市も2006年に申請することで、財政再建団体となっています。
財政再建団体になるとどうなるのか。前回の大金持ちの息子の話の話と対比しながらごく簡単にまとめてみました。
わかりやすさのため、たとえ話の方は青色の文字で記載しています。また市町村の場合ということでまとめています。
(以下黒字の部分についてはWikipediaの記事を参考として書かせて頂きました。)
○どういうときに財政再建団体になるか?
実質収支比率*1(その年の赤字の標準財政規模*2に対する割合)の赤字が20%を超えた場合。このような状態になると借金が自由にできなくなるため、財政再建団体の申請をせざるを得なくなります。
たとえて言えば、大金持ちの息子の家計が非常に悪化した状態。親が定期的に銀行の残高などをチェックしているので、ある程度悪化すると銀行に手を回してお金を息子が借りられないようにするので、息子は親に泣きつかざるをえなくなるというようなものです。
○どうやって財政再建をするのか
財政再建団体に指定されたら、県の指導に基づき「財政再建計画」を作成します。それにより借金ができるようになります。
親に泣きついた息子は、「今後はこのようにすることで家計を立て直します」ということを親に約束することを条件に、お金を借りられることになります。
○財政再建団体になるとどうなるか
財政再建団体になると、予算の策定をはじめとした財政運営を県の管理の下、進めていくことになります。実質的に自治権を取り上げられたような状態になります。財政の再建が優先されるため、税率や手数料などの負担は最大に、市民サービスは法の許す限り最小になり、市民生活への影響は多大なものになります。財政破綻をした夕張市が大変な状態になっていることはニュースなどでみなさんもお聞きだろうと思います。
金持ちの息子の例でいえば、お金の使途についていちいち親の目が入ることになり「外食禁止」「11時消灯」「自動車売却」「残業推奨」など非常に厳しい条件をつけられたなかで生活をすることとなります。
このような「再建法」による財政再建の仕組みですが、夕張市の財政破綻をきっかけに見直されることとなりました。
次回は、なぜ再建法が見直されるようになったか、その理由について説明します。
第3回はこちら。
*1実質収支比率:実質収支の標準財政規模に対する割合のこと。
実質収支とはその年度の歳入と歳出の差から翌年に繰り越すべき財源を差し引いた額のこと。
個人にたとえるならば、その年の赤字の基本給に対する割合とでもいいましょうか。「翌年に繰り越すべき財源」とは例えば、子どもの学費に充てるために親からお金をもらったけど学費は翌年に払った場合の「学費に充てるためのお金」のようなもの。
*2標準財政規模:
自治体が通常水準の行政活動を行ううえで必要な一般財源の量。
(通常の状態で収入されるであろう一般財源という説明もあり。)
個人に例えるならば、家族手当や住宅手当などを含んだ正社員の経常的な給与にあたるでしょう。
2009年4月23日木曜日
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