2009年4月10日金曜日

ブックレビュー 希望の構想

希望の構想 神野直彦井手英策 岩波書店 2006年

この本は、地方分権や財政改革の今後のあり方を考えたい人向け
 ある程度基礎知識が必要。基本的には現在の政策に対して「地方切捨て」「福祉切捨て」と批判的。(神野先生は民主党の主要なイデオローグとのこと)
 世の中の悪いことをセンセーショナルに書き連ねて、何でも格差社会に原因を求めて、元総理を批判しておしまいという書も多い中、この本の特徴は地方分権のあり方、社会保障制度、税制、国債について具体的な提案をしているところ。
 特に地方分権のあり方については納得度合いが高かった。

 以下本書の構成に従って簡単に
序章  現在の小さな政府への政策に対する批判
第一章 地方が自分で自分のことを決められるための地方分権の制度設計について
  行政任務の適切な割り当てとそれに見合った財源の確保が重要という、こう書いてしまうと当たり前なのだが。地方が自分の財政の命運を自分で決められないという指摘はまさにその通りと思います。

第二章 年金・医療について 基本的なところは税方式にしようということなのですが、それでうまくいかないから保険になっているのであって、本当にそれでうまくいくのかな?という疑問は残る。元が難しい話だけにあまりよく理解できてなかったのかも。第一章のような定量的な提案を今後是非研究していただくことを希望。

第三章 税制について 資産税強化と消費税改革の提案。趣旨はよくわかる。でも現在そうなっていないのは何か理由があるはず。そのハードルとは何か?どう越えるかを示してあるとよかった。

第四章 国債の管理について 金融についてはあまり知らないのでよく理解できなかった・・・。
 国債残高もすごいけど資産もあるからあまり心配いらない。財政再建を口実に小さい政府を目指すのが問題だ。ということなのですが。安心したい気持ちもあるけれども、なかなかそういう気持ちにはなれないようです。

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