2009年3月31日火曜日
昭島市の財政 平成19年度版
平成20年11月に発行とありますが、ネットに出たのは3月ぐらいと思われます。
項目は平成18年度とほぼ同じですが、平成19年度から公表が義務付けられている健全化判断比率に何ページかページを割いています。もともと夕張の破綻がきっかけになって作られた指標なので、この指標にかかるところはよほど財政内容が悪いところといえるかと思いますが、今のところ都内でこの指標に引っかかるところはなさそうな感じです。
だからといって財政状況がよいかどうかは別問題。経常収支比率が95.3%と5.8ポイントも悪化しています。
詳しくはこちら。
http://www.city.akishima.tokyo.jp/doc/pdf/0000pdf/kessan19.pdf
2009年3月30日月曜日
多摩市財政白書 ありました
多摩市の財政状況で平成19年版までHPで公開されています。
http://www.city.tama.lg.jp/zaisei/6902/index.html
行財政白書とは違うカテゴリーにあったので、ないものと勘違いしました。過去の記事には一部加筆・訂正させていただきます。大変失礼しました。 中身についてはまた紹介していこうと思います。
Yahoo「財政白書」検索ランク
この前はGoogleだったので、Yahooでも検索してみました。
Yahoo「財政白書」 ランキング 平成20年3月28日現在
カッコ内は市区町村のページでの順位
1位 総務省:白書一覧
2位 内閣府:経済財政白書
3位 総務省 地方財政白書
4位(1)中央区 ~紹介済み
5位 内閣府 白書一覧
6位(2)練馬区 ~紹介済み
7位(3)八王子市 ~紹介済み
8位(4)日進市
9位 八王子市H18年度版
10位(5)稲城市 ~紹介済み
11位(6)箕面市
12位(7)目黒区
13位(8) 西東京市 ~紹介済み 14位も
15位(9)大田区 16位も
17位(10)成田市 18位 練馬区 19位中央区
20位成田市
21位 経済財政白書
22位(11)栃木市
23位(12)築上町(福岡県) 24位稲城市
25位(13)旭川市
26位 ザイバク
27位(14)築上町
28位(15)杉並区
29位(16) 中野区
30位(17) 千代田区
かなり顔ぶれはほぼ一緒ですが、順位がかなり違います。やや23区以外が多いようです。
また同じ市で二つ以上のページがランクインすることが多いようです。
以下
32位(18)長岡京市 33位(19)荒川区
34位(20)東村山市 ~紹介済み
35位(21)羽村市 ~紹介済み
37位(22)我孫子市 ~紹介済み
46位(23)宇土市 47位(24)市原市
50位(25)佐倉市 57位(26)袋井市
58位(27)日野市 ~紹介済み
60位(28)新宿区 61位(29)板橋区
62位(30)福生市 ~紹介済み
ブックレビュー 都市政府のマネジメント
以前紹介した都市政府のガバナンスの姉妹版
都市政府の政策・行政評価・行政執行・経営システム・議会 について、かなり細かく分析しています。
かなり内容が濃くて密度が高いので、一読して理解するものというよりも、問題にぶちあたったときに少し広い視点から考えを構築しなおすときに必要なところを読み返していくような本かと思いました。
その意味で姉妹書よりも、より専門家、行政職員、議員など向けの書。
財政白書は行政評価のひとつの形ですが、行政評価ひとつとってもその分類、切り口、課題などいろいろあり、知れば知るほど難しいことがどんどん出てくると感じました。これからの行政のあり方のひとつの方向性を提示しているので、かなりハードですが、行政の上のほうの方には是非一読していただきたいと思いました。
2009年3月29日日曜日
Google「財政白書」検索ランク
平成20年3月28日現在 「財政白書」で検索した結果です。30位まで載せます。
カッコ内は市区町村のページでの順位 ~ 関連ページはひとつにしています。
1位 内閣府:経済財政白書
2位 総務省:地方財政白書
3位 内閣府:白書一覧
4位(1) 練馬区 ~紹介済み
5位(2) 我孫子市 ~紹介済み
6位(3) 西東京市 ~紹介済み
7位 地方財政白書発表のニュース:エキサイト
8位 アマゾン:経済財政白書
9位(4) 中央区 ~紹介済み
10位(5) 東村山市 ~紹介済み
11位(6) 千代田区
12位 地方財政白書発表のニュース:毎日新聞
13位 アマゾン:経済財政白書縮刷版
14位 Wikipedia 財政白書
15位(7) 杉並区
16位 経済財政白書関連コラム 日経
17位(8) 国立市 バランスシート ~紹介済み
18位(9) 八王子市 ~紹介済み
19位 経済産業研究所セミナー
20位 宮崎大学生が県財政白書 朝日新聞
21位(10) 中野区
22位(11) 小平市 ~紹介済み
23位 2007年の経済財政白書に関するブログの記事
24位(12) 昭島市 ~紹介済み
25位 R-25 経済財政白書とは
26位 過去の地方財政白書
27位 13位と同じセブンアンドワイ
28位 20位と同じ西日本新聞
29位(13) 東京都北区
30位 13位と同じ楽天市場
以下 市区町村のみピックアップ
31位(14)稲城市 ~紹介済み
34位(15)日野市 ~紹介済み
35位(16)立川市 ~紹介済み
37位(17)旭川市
38位(18)長岡京市
41位(19)大田区
43位(20)築上町(福岡県)
45位(21)栃木市
49位 上田市の財政白書をつくる市民の会
53位(22)大村市
57位(23)佐倉市
59位(24)袋井市
63位(25)目黒区
65位(27)日進市
69位(28)東京中央市場 (市場だけで出している)
70位(29)長与町(長崎県)
73位(30)荒川区
上位は東京の区や市が多い。なぜか近年更新されていない区も含まれているようである。(練馬区や千代田区)
2009年3月28日土曜日
中央区(東京都)財政白書
Googleで「財政白書」とすると、市区町村では4位(3位は西東京なので紹介済み)。
平成17年度から出しており、平成20年度版(平成19年度決算に基づく)が最新。なんと決算を承認する議会がある9月に発表しています。これは行政の出す白書でないとできない荒業ですね。
東京23区は他の政令指定都市の区と違う特別区なので、直接他の市の参考にならない部分も多いですが、参考になりそうなところ、へーと思ったことなどを書いていきます。
○へーと思ったこと
・特別区では法人住民税と固定資産税は一旦都の方に全部入って、その後でその55%が区に交付される。
~ 交付基準は国の地方交付税のように基準財政需要額と基準財政収入額の差額を交付するのだそうです。
ただし国のように交付すべき金額を確保するために借金をすることはないので、法人税の収入の変動の影響をもろに受けるのだとか。(国の制度についてはコラム「地方交付税と地方債」をよんでね。)
・中央区分の法人住民税だけで約1300億! あるらしいです。
・武蔵野市と同様に税源委譲により、個人住民税(特別区民税)が17億円!も減っています。
特別区民税が人口11万人なのに200億もあります!
○参考になること
・目的別歳出のまとめかた
担当部局と主な事業内容、財源を示している。
ちなみに 平成17年度版ではあわせて施設編を発表。また平成19年2月には施設白書として別途発行されています。
施設編では施設の老朽化度合い、経費などをくわしく分析しており、10年スパンで見れば現在の量と質を維持することはできないと結論付けています。施設白書は施設そのものの個表が主なので、平成17年版と平成19年版の第4章を見ておけばよいでしょう。
地方交付税と地方財政 のまとめ
第一話 息子たちに町を任せるのじゃ。 ~ 地方交付税とは?
第二話 不足分はいくら? ~ 不交付団体、特別交付税とは?
第三話 借金はだめよ ~ 地方財政法、市の借金について
第四話 借金してもよいとき ~ 建設公債、地方財政法
第五話 猫太郎の独り言 ~ 地方交付税、交付税特別会計とは?
第六話 不景気がやってきた ~ 財政の役割
第七話 減税で景気回復 ~ 特別減税、減税補てん債、赤字公債とは?
第八話 猫吉に忍び寄る危機 ~ 交付税特別会計の借金
第九話 王子も応分の負担を ~ 臨時財政対策債とは?
一つのファイルにまとめたものを別館図書室にアップしました。(4/24)
http://sites.google.com/site/siminzaiseihakusho/Home/personal/columns
2009年3月27日金曜日
WTCが更生法申請
「大阪市の第3セクター「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC、仲茂彦社長)は26日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請し、受理された。負債総額は643億円。2004年の特定調停に基づき再建を目指したが、わずか5年で2度目の経営破綻(はたん)を迎えた。」
関東の方にはなじみがないかも知れませんが、大阪の南港(海遊館などがある近く)のとても高いビル(当時西日本1)です。
港湾関係の3セクの事業で、市街地から遠いこともありテナントが埋まらず(結局現在6割を市の部局で使っているとのこと)破綻にいたったということのようです。
ここらへんの構図は東京の臨海部もほぼ同じで、立地の悪いところにオフィスビルを高い金をかけて作って入居者があまりいなくて経営破綻。
ところでニュースの中に見える「特定調停」ってなんだ? と思ったので調べてみました。
特定調停とは?(いなげ司法書士・行政書士事務所HPより)
『支払不能には至っていないが、このままだといずれ行き詰ってしまう』といった状況にある債務者の経済的再生を図る手続で、裁判所が間に入って借金を一部免除したりする制度のよう。このページでは「利息制限法で引き直しをした後の債務を3年以内に返済できるかどうか」が目安とされています。
こうやってみると事業的に明らかに破綻しているものには使えないように思いますが、「公的なものが絡んで破綻させられない場合に、裁判所を使って債務を整理し延命を図る策」としてWTCでは使われているようにも思われます。(あくまで素人による感想ととらえてください。)
市が入居することで実質的に支援したけれども破綻ということで、本当に特定調停がよかったのかどうか問われるところでしょう。
ワールドトレードセンターというと9・11で有名なニューヨークのビルを思い出しますが、(浜松町の世界貿易センタービルを思い出す人もいるかも)実は「世界貿易センター協会」(英語のページにリンク)という「ワールド・トレード・センターの名称を冠した施設や建物でつくる連合」にいずれも加盟しているものなのだそうです。
ご存知でしたか?
2009年3月26日木曜日
ブックレビュー 「なぜ、改革は必ず失敗するのか」
前佐賀市長の著書。
なぜ改革が必ず失敗するのかを直接的に書いているわけではない。(たぶん出版社が売れるようなタイトルをつけたのだろう)
むしろ地方自治体が現在抱えている問題をリアルに理解するための本のように思いました。
市長であった6年間の市長としての取り組みを書いており、読み物としても純粋に面白い。また地方自治体が抱える問題ごとに章立てされているので、それぞれのテーマについての実態を知るのにも役に立ちます。
テーマとしては公務員、箱物公共事業、産業振興策、県との関係など。
お勧めです。
佐賀市長を辞めた後、講演会や行政改革関係など多方面で活躍されているようです。
2009年3月25日水曜日
お勧め財政白書 その2
~今回は財政の基本について続き~
○特別会計について
主な特別会計(国民健康保険、老人保健、介護保険)について
~ この3つはどの市にもある。(老人保健はなくなりますが。)
狛江市 平成19年度版P29~32 国民健康保険関係のお金の動きがわかりやすい。
下水道などその他の特別会計も説明しています。
○経常収支比率
財政の硬直化の指標としてよく使われます。
・そもそも財政が硬直化するとどうなるの →町田市 P22
・経常収支比率の解説 小平市P43(③のファイル)
八王子市P50 の図がわかりやすい。
○財政用語
狛江市 : 説明は堅いが説明が詳しいのでお勧め。
○最近の財政の話題
合併について 東京都下では西東京の例しかないのですが、他の県では合併の影響はかなり大きいかも。
西東京市 平成19年度版P16 のコラム
P43 合併による財政効果。
この項まだ続きます。
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2009年3月24日火曜日
地方交付税と地方債 第九話
前回(こちら)は王子たちの費用を保証するために借金をしていたという件でした。
第九話 王子も応分の負担を
猫介が帰っていった後、猫吉はまた王子たちに手紙を出しました。最近王子たちを呼び寄せることが多くて困ります。そういう時は大体いいにくい話をするときだからです。
王子たちが集まりました。猫太郎の顔が少し明るくみえました。海辺の町でとれる魚が犬の国でブームになり、売上が絶好調、他の町との格差は広がりましたが、猫の国全体としては少しずつ景気を回復しつつあるようでした。
「今日呼び寄せたのは他でもない」といって猫吉は『最低必要なお金』を払うために借金をしていることを王子たちに話しました。王子たちはその話はなんとなく知っていたので、なぜいまさらそんな話をするのだろうかといぶかっています。
猫吉「この借金はとりもなおさず、君たちのためにしたものであるが、これまでは全てわしの責任で借金をしてきた。これからは君たちにも応分の負担をしてもらいたい。」
猫次郎「私たちは最低限に足りない部分を頂いているにすぎないのです。借金をしたらどうやって返せばよいのですか。」
「後年元利払に充てるお金は『最低限必要なお金に入れてあげよう。』」
といいましたが、王子たちは眉一つ動かしません。
ここのところ王が決める『最低限必要なお金』がじりじりと下げられてきているからです。後で入れてあげるといわれても実質的に入ることになるのか。もうわからないのです。
<解説>
地方交付税を交付するために国が借金をしていたことは前回以前にお話しました。
当初は国の借金だったのですが、国の財政も苦しくなってきたため、平成10年度から12年度までは国が借金をし、返済は国と地方公共団体(都道府県と市町村)が半分ずつ返済することとしていました。(各市町村がどう負担するかはわかりません。)
その後さらに制度が改正され、平成13年度からは財源不足の一定割合を、県や市が「借金を行ってもよい」ことになりました。この制度に基づき起こした市債は「臨時財政対策債」といいます。
これも本来地方財政法でやってはならないとされている赤字公債で、他の法律で特別に認められているものです。
しかしいまや臨時財政対策債の各市町村の市債の残高に占める割合は相当なものになりつつあり、将来の公債費としてそれぞれの町の財政を圧迫する恐れが高まっています。
ふうぅ~やっと臨時財政対策債にたどり着いた。 多少でも理解の助けになればと思います。
今回でこのコラムは終わります。でもお話はもう少しだけ続きます。
<後日談>
そんなある時、犬の国で伝染病が大流行しました。なんと原因は猫の国の魚のようです。
これまで飛ぶように売れていた魚はぱったりと売れなくなり、海辺の町は暗く沈みこんでいます。
またしても王子たちが呼ばれました。
猫吉は「今回は犬の国も含んだ100年に一度の危機である。ここは大規模な景気対策を。」
といいますが、猫の王子たちはうつむいたままです。猫吉もこれまでの対策があまりうまくいっていないので、声にも張りがありません。
これから猫の国はどうなるのでしょうか。それは誰にもわかりません。
(終わり)
2009年3月23日月曜日
地方税「払い戻し」倍増
「地方税「払い戻し」倍増 自治体、企業に4600億円」
「急速な景気後退を受け自治体が企業などの納めた地方税を払い戻す「還付金」が急増している。47都道府県が2009年度予算案に計上した還付金総額は4634億円で、08年度の2.1倍に達した。愛知県は7倍、大阪府は2.8倍と大都市圏で増加が目立つ。09年度の都道府県の法人関係税収総額も08年度に比べ約3兆円減る見通しで、還付金急増は厳しい自治体財政にダブルパンチとなりそうだ。
還付金の大半は企業が自治体に払う法人関係税(法人事業税、法人住民税)。3月決算企業の場合、前の年度の税額の半分を「中間納付」として11月ごろにいったん納め、通期決算の大幅減益などで最終的な税額が中間納付額を下回ると還付を受けられる仕組みだ。」 以上引用
自治体のうち都道府県の集計のようです。(市町村はこのほかにさらにある。)
もう少し解説すると、例えばある年に100億円の利益を上げたとして税率が10%だとすると、10億円の税金を年分の法人住民税として支払うこととなります。 (その市にだけ事業所があると仮定します。)
次の年はどうなるかというと、実は中間申告というものがあって半年分を11月ごろ(3月決算の場合)納めますが、その金額は今年も同程度の所得があることを前提に前年度分の半分を支払います。
つまり前例で言うと、10億円の半分で5億円です。
さてここで、実際にその年の決算が120億円の利益があった場合、その年度分の税金は12億円ですから、決算が終了してから2ヶ月以内に12億円から既に支払った5億円を差し引いた7億円を納税することとなります。
逆に80億円の利益だった場合は、8億-5億円=3億円だけ納税すればよいことになります。
さて問題は、利益が40億円だった、あるいは0だった場合です。
40億円だった場合にはその年度に納税すべき金額は4億円、0だった場合は0になります。
しかしもう5億円既に払ってしまっています。こういうときにはどうなるかというと、還付といって払いすぎた分を市が企業に返すことになるわけです!この例でいくと利益40億の場合は1億円、利益0の場合は5億円を還付するということになるわけですね。
2009年3月22日日曜日
公債費払う金額の総額は?
これって元本だけで利子は含まれていないのです。
将来的に合計いくら払わなければならないかは、金利と返済期間によります。
市債の場合は元本均等返済なので、大体こんな感じになります。
残高100億円の場合・・・・
残り期間が30年 金利3% だと 金利の合計は46.5億円。
合計額は年数と金利におおよそ比例します。つまり年数や金利が倍になると大体倍、半分になると大体半分という計算になります。
金利を含めると1.5倍になるのですが、こういう視点による分析はあまり見たことがないのですがなぜでしょう。持っている財産の運用利回りや税収など歳出の伸びも金利と同程度であればよいのでしょうが、このご時勢かえってマイナスになっているぐらいですからねぇ。
2009年3月21日土曜日
我孫子市財政白書
Googleで「財政白書」で検索すると、練馬区についで出てきます。
http://www.city.abiko.chiba.jp/index.cfm/15,0,80,217,html
平成16年度決算によるものが平成18年3月に出ているもののみ。
全体の構成はスタンダード。
財務諸表関係(バランスシート、行政コスト計算書)を丁寧に説明しています。財務諸表から何をいえるかというのは難しいですが、それでも頑張って読み解いている感じがします。
また連結財務諸表についても作成しています。
http://www.city.abiko.chiba.jp/index.cfm/15,0,80,html
そのほか財政情報はこちら。中期財政計画や地方交付税(専門的)あたりが注目。
ブックレビュー 都市政府のガバナンス
この本は、地方自治のあり方について、より根源的なところから理解を深めたい人向け。
かなり分析的かつ、反復も言い換えが多く、内容が堅いため、どちらかといえば中級者以上又は粘り強く文章が読める人むけ。
この本の目的として、日本の都市と都市政策や地方自治制度の全般的な変容動向を知るテキストが欲しいという要望や期待にこたえるもの。としています。
ガバナンス(governance)を直訳すると、「統治, 支配」となり、政府が国民をいかに支配するかということのように見えるのですが、この本のテーマは逆で「官、特に中央官庁に独占されている公共性の再構築」がテーマになっています。
国から県、市という上から下への統治ではなく、市民→地域→市 というより市民に近いレベルから都市政府が持つ力をどのように統治していくかということがこの本の主たるテーマといってもよいでしょう。
公共的なものというと、行政を思い浮かべ待てしまう人も多いかと思いますが、何が公共的か、何が公の課題かということはそれぞれの地域によって違うもの。これまでどちらかというと中央政府が決めてきた公共性というものを、地域に取り戻し、再構築しようというのが原点としてあり、それを元に都市政府を構成するさまざまなものの今後のあり方を論じています。
覚えておきたい言葉
「補完性の原理」:
「個人が自らのイニシアチブによって独力で処理できる事柄を、社会がその個人から奪うことがあってはならない。同様に、社会のより下位の小さな単位が処理解決できる事柄を、社会のより上位の単位が取り上げてしまうことは、不当であり、有害であり、社会を大きく混乱させる。なぜなら、社会のあらゆる行為は、その本質と定義において補助的な(subsidar)ものだからである。」という考え方の基に、個人でできないことを地域で行い、地域で対処できないことを市が、市で対処できないことを県が、県が対処できないことを国が行うという考え方。
中央がなんでも決めて、下部機関がそれに基づいて実施するという考えとはまったく逆なわけです。
いくつかの話題
地方分権改革について : 地方分権一括法が施行された2000年からそれほど経っていない2003年に発行されたということもあり、改革の内容について非常に高く評価しています。今の実態を見たらどう書くのだろうか興味あります。
市民参加について : 市民参加とわれわれひとくくりにしてしまいますが、市政参加、コミュニティ参加、公益活動参加に分けて論じています。この用語に限らずつい簡単に使ってしまう言葉について、分析的にとらえようとしているのが本書の特徴かと思います。
その中で、「法律上の市民参加制度は機能していない」「自治会は行政末端機能として利用され、かつ行政依存的性格が強く、形骸化を生み出している」と手厳しい。またサラリーマンの参加については「課題である」としてあり、解決策は見出せていないようである。
2009年3月20日金曜日
練馬区財政白書
なぜ練馬区かって? googleで「財政白書」と検索すると地方自治体では一番上に来るのです。
平成16年9月に平成15年度決算に基づいて作成されています。かなり古いのですが、上位にいるのは不思議な感じもします。
http://www.city.nerima.tokyo.jp/zaisei/siryo/zaisei_hakusho/h16/h16index.html
章ごとにPDFが分かれています。最初の章で結論をまとめています。
特別区なので数字自体は他の市の参考にはならないと思いますが、まとめ方は参考になるかも。
給食費が一食あたり350円程度(食材除く)だそうで、日野の半分ぐらいなのが気になりました。
また住民一人当たりの国債や都債の残高を示しているのが面白い試みで、国債の残高の多さにぞっとしてしまいます。
地方交付税と地方債 第八話
第八話 猫吉に忍び寄る危機
猫の王子たちが帰りました。猫吉はふうっとため息をつきます。
最初に王子たちに言った言葉を思い出しながら。
「・・・・年貢の半分を息子たちに、残りはわしにこれまでどおりに納めてもらう。最低限必要なお金に足りない部分は、わしが受け取る年貢の中の一定割合をそのためにとっておくからそこから出そう。」
不景気になっても『最低限必要なお金』は変わりません。年貢がへるので猫吉が出さなければならないお金も増えます。
でも『年貢の中の一定割合』も不景気になれば減ります。
最近は年貢の中の一定割合では、猫吉が出すべきお金をまかないきれず、弟の銀行から借金をしていたのでした。
「何が『借金が自腹になってしまう』じゃ。こっちは借金までして支援しているのじゃぞ。わしの苦労がぜんぜんわかっちょらん。」
そこへ弟の猫介がやってきました。
猫介「景気はどないですかな。」
猫吉「景気がよくないことは、お前が一番よく知っているではないか。」
「いろいろと大変なことはよく知っていますよ。兄上にも王子たちにもいろいろと借りていただいていますからなぁ。」
「何がいいたいのじゃ。」
「借りてもよいのですよ。使われ方ですなぁ。」
「信用がないというのかな。大体誰のおかげで仕事ができているのかな。わしの信用で国中の猫から金を集めておるではないか。」
「わかっておりますとも。どんなときでも、兄上がついていることもよくわかっておりますよ。」
それでは・・・。といって猫介は去っていきました。
確かに、猫介から借りて建てた施設は赤字でその施設からはとても返せそうにありません。最終的には徴税によって返せるといえども、猫たちの生活を破壊するようなわけにはいきません。
いずれにせよ、猫吉の信用でお金を集めているので、預金者への補てんは最悪猫吉がしなければなりません。
(貸し手責任という言葉もあるしな。) などと思いながら、
「そろそろ借金もなんとかしないといかんのかな。」とつぶやきました。
<解説>
第五話で猫太郎が心配したように、不景気のときは各町の埋め合わせをすべきお金が増える上に、国の歳入も減るのでその差額は借金をしているようです。
第五話の解説でも解説したように、2000までの日本の状況がまさに上の状態。その後の状況は次回以降のコラムで。
ちなみにここで出てくる猫介は昔の郵貯をイメージしています。かつて郵便局で集められたお金は大蔵省が一括して国債を買ったり、地方自治体に貸したり、三セクに貸したりしていたのです。
これらのついて貸し倒れが生じたら、少なくとも昔の郵貯であれば全額国が面倒を見たはずですが、民営化した現在ではどうかわかりません。こういったリスクを切り離すために民営化の動きがある(出典不明)という話もあるようです。
2009年3月19日木曜日
地方交付税と地方債 第七話
今日は第七話です。(前回はこちら)
第七話 減税で景気回復
猫の王子たちは猫吉の指示に従い、借金をし道路をさらに立派にし、建物を作りました。
しかし、景気は一向によくなりませんでした。遊ぶ施設も大々的に作りましたが、今まで遊んだことのない王子たちが作った施設はとても立派だったのですが、あまり使われませんでした。
年貢も相変わらず落ち込んだままでした。
猫吉は再び猫の三兄弟を呼び寄せました。
猫吉「わが国の経済危機を救うためにはさらなる経済対策が必要じゃ。そこでだ。わしは減税を行おうと思う。」
猫太郎「!」猫次郎「!!」
猫三郎「これ以上年貢が減ったらわが町の財政は破綻してしまいます!」
「減税は国民みんなに恩恵をもたらすのじゃ。そのお金で消費が増えて、景気がよくなればかえって年貢が増えるということもあるぞ。アメリカのラッファーという人もいっておった。」
「将来的にはそうかもしれませんが、今年のお金はどうするのですか。」
「その分はわしの弟の銀行から貸してあげよう。もちろんその返済のお金は『最低限必要なお金』に入れてやるぞ」
「それならばよいでしょう。」 「それならばよいでしょう」
「ちょっと待ってください。父上。」 「何だね」
「今最低限必要なお金に入れていただけるということでしたが、それでは意味がありません。私の町は
年貢1600 最低限必要1000 でした。
従って1600×75%は1200>1000なので、補助はいただいておりません。
いま借金をして、借金の元利払いが100増えても、補助は0のままです。
ということは、その借金は全部自腹ということになってしまいます。」
「ま、そういう見方もできるわな。」
「見方ではなく、事実です。」
「そもそも兄上のところは、それだけ年貢があるんだからいいじゃないか。それ以上求めるのは贅沢というものさ。」
「足りない分は全部もらっている人に言われたくないね。」
「好き好んで足りないものか。」
「最低限以上の部分は、必要ならば歳出を減らせばいいじゃないか。」
(一度やり始めたサービスはやめられないことぐらい知っているくせに!)と猫太郎はこころで思います。
「大体『最低限必要』の決め方がよくわからん。一人当たりにすると猫三郎の町はうちの1.5倍ももらっているじゃないか。」
「一匹あたりだろ。猫なんだから。」
「どっちでもいいだろ、一人でも一匹でも。」
とどんどん険悪になっていきます。猫吉は特に表情を変えることもなく見ています。
「昔父上はおっしゃいました。借金は慎むべしと。借金をしてよいのは後の世代の人が使えるものだけだと。明らかに矛盾していませんか。」
「借金は慎むべしと言ったが。あくまで原則じゃ。わが国始まって以来の経済危機に対処するにはそうもいってられん。」
結局猫吉の言うとおり、減税を行うこととし、その分借金をしてよいこととなりました。
猫太郎はうなだれながら帰っていきます。
<解説>
景気対策の一環として、住民税の特別減税が行われました。
平成6年度に導入され平成8年度まで、そして平成10年度から平成18年度まで行われていました。
この減税による税収の減少を補てんする意味で「減税補てん債」を各市町村が発行しました。そしてその元利の償還に関わるお金は『基準財政需要額=最低限必要なお金』にカウントされ、後で国が払うということになっていますが、猫太郎の町のように十分な税収があるところにとってはあまり意味がなく、要するに自腹ということになります。
また猫太郎も言うようにこのような『その年で消えてしまうものに充てる借金(赤字公債といいます)』は地方財政法でだめということになっているので、
「平成六年分所得税の特別減税の実施等のための公債の発行の特例に関する法律」という法律を定めて、赤字公債を発行できるようにしています。
各市町村の財政白書を見ると、この赤字公債の割合が近年どんどん増えてきていることがわかります。
この分は後年『最低限必要なお金』にカウントされて本当に返ってくるのでしょうか。
地方財政白書公表
タイトルは
日経 地方財政の硬直化が加速、社会保障の経費増 09年地方財政白書
毎日 地方歳入また前年割れ
読売 地方財政、最も硬直化した水準に…政府が「白書」閣議決定
各紙共通の内容は
普通会計の歳入総額は91兆1814億円(前年度比0・4%減)、歳出総額は89兆1476億円(同0・1%減)
「経常収支比率」は、過去最高の93・4%(同2・0ポイント増)
読売では「普通会計が負担すべき借入金残高は198兆5507億円(同1兆6038億円減)。地方債残高は138兆1579億円、交付税特別会計借入金残高の地方負担分が33兆6173億円、企業債残高が26兆7755億円となっている。」と借金の総額も紹介。
実質収支の総額も紹介していました。
それに毎日と読売はこれらの数字の紹介のみ。日経は
「データがさかのぼれる1969年以降最悪で、財政の硬直化が進んでいることを示した。地方が景気対策などで独自の施策を打ち出しにくくなっている。
07年度は地方の歳出、歳入ともに小幅ながら8年連続で縮小した。児童手当の拡充などで社会保障関連の扶助費が増えたが、公共事業が減ったことで前年を下回った。歳入も国から地方に渡る交付税が減り、国から地方への税源移譲で地方税が増えたが、それに伴って地方に渡る所得譲与税が減った。地方が受け取る国庫支出金も公共事業の抑制で減った。」
と解説しているが、この記事から何かわかる人は既にわかっている人で、ほとんどの人には意味するところがわからなかったのではいかと思われます。
紙面の関係があるので、そのたび全部解説するわけにもいきませんし。
これが、GDPの発表や失業率の発表あるいは日経平均株価ならば、細かい解説なしでもその数字からある程度経済の動向は読み取れるでしょう。 財政の指標もこれらに負けないぐらい重要なのですから、市民一人ひとりがこれらの指標を読み取る力(財政リテラシーともいうのでしょうか)をあげていくことが大事と思います。
2009年3月18日水曜日
お勧め財政白書 その1
財政白書自体はこれまで既に紹介したので、今回以降何回かに渡ってテーマごとに紹介していきます。
何回シリーズになるかは不明。
第1回目は財政についての基礎的なことを知りたい人むけ
~今回は地方財政全般について~
○そもそも財政とは?
・日野市 本編P2(PDFでいうとP10)
・国立市 P2
地方債と地方交付税 第六話でも財政の機能について少し書いています。
こういう基本的なことはウィキペディアとかを見たほうがよいか?
○地方財政を取り巻く状況
・福生市 P1~4 バブル前から現在までの経済状況と政府の経済対策、そしてそのためにおきた地方の財政への影響についてある程度詳しくかつまとめて書いています。
○借金をする意義
・八王子市 平成20年度版 P60
・川崎市 P12
地方債と地方交付税第四話 でも紹介しています。
○三位一体に関わる話題
・国と地方の関係
東村山市 平成19年度決算 P11
国立市 第5章の国と地方の関係 ~ずばっとものを言っていてよいです。
西東京市 平成17年度決算 P36
川崎市 平成18年度版
・税源移譲について
八王子市 平成20年版 P22
川崎市 平成19年度版
・財政白書以外のサイトを過去に紹介しています。
http://myfavor100.blogspot.com/2009/02/blog-post_06.html
続くかなぁ。徐々に増やしていきます。
まとまったらひとつのファイルにしたほうがよいんだろうなぁ。
2009年3月17日火曜日
川崎市 財政読本
ページはこちら
http://www.city.kawasaki.jp/23/23syomu/home/dokuhonn20/index.html
前半が平成20年度の予算の紹介、後半が平成18年度の財政状況を説明になっています。
イラスト多用で親しみやすいです。
ごみ処理や緑地公園、教育、子育てなど市民に関心の高いものについて一人当たりの経費をしめしたりしています。
後半は主に人件費や扶助費から始まり、実質公債費比率や、財政運営上の12の指標などページ数が少ない中でも盛りだくさんの内容です。 予算の決まり方や行政改革プランなど他の白書では紹介していないものも盛り込んであります。
ただし、政令指定都市なので、財政規模や財政構造が違うので、政令指定都市以外の市の人は自分の市と比較はできないと思われますが。
2009年3月16日月曜日
地方債と地方交付税 第六話
第六話 不景気がやってきた。
三匹の王子はそれぞれの町に散っていきました。海辺の町には猫太郎、川辺の町には猫次郎、山辺の町には猫三郎。
それぞれの町の猫たちはよく働き、荒地は畑に変わり、道路は作られ、猫たちは繁殖し、国は栄えていきました。親猫たちは猫の手も借りたいほど忙しく、父猫も母猫も働くようになりました。それぞれの町で子猫を預かる施設も作られました。老猫が増え、関連する施設もできました。
3人の王子は次から次へと出てくる猫たちのニーズにこたえていきました。町を治めるお金がよりかかるようになりましたが、国が順調に栄えていき、猫吉からもその分補助がもらえたので、なんとかやりくりができました。
新しいニーズが生じるたびに猫吉からは追加のマニュアルが送られ、マニュアルはますます分厚くなっていきました。
成長を続けてきた猫の国ですが、荒地があらかた畑になったころから、その成長は鈍ってきました。 今まで通りの成長を見込んでお金を借りていた人が返せなくなったりして、世の中の金回りが悪くなってきました。いわゆる不景気という状態です。
そんなある日猫の国の王、猫吉は息子たちを集めていいました。
猫吉「わが国の経済は、これまでにない状況になっている。国として経済の建て直しを図らなければならない。」
猫太郎「経済の建て直しといっても、われわれにいったい何ができるでしょう。」
「君はケインズをしらないな。不景気は需要の不足から起こるのじゃ。こういうときは国が需要を作り出さなければならぬ。道路をもっと立派なものにするのじゃ。猫たちが遊ぶ施設を作るのじゃ。」
猫次郎「働かずに遊んだら生産が減るのではないでしょうか。」
猫太郎「必要な道路はもうできています。」
「今は生産は足りている。とにかくお金を使わせることが大事じゃ。道路や施設を作ればお金が建設会社にまわる。建設会社は資材を作る業者にお金を払う。給料をもらった人は消費に回すというわけじゃ。遊ぶところができれば、そこでお金を使うだろう。」
猫三郎「建設にはお金がかかります。補助をいただかなければ。。。」「不景気じゃからな。国の財政も大変なのじゃよ。しかしじゃ、弟の銀行が貸してくれるから心配するな。」
「でも貸したものは返さなければだめでしょう?」
「そこでじゃ。返済に必要な費用は『町を治めるのに最低限必要なお金』に算入してあげよう。」
「それならばよいでしょう。」 「それならばよいでしょう」
といって、猫次郎と猫三郎は町へ帰っていきました。猫太郎も釈然としないながらも、帰っていきました。
(解説)
経済成長と停滞の状況はあくまで猫の国の物語とご理解ください。実際の国の経済はこんなに簡単にまとめられるものではありませんので。
さて、財政の役割としては3つあるといわれています。(アメリカの経済学者マスグレイブによる)
ひとつは、道路などの公共財の供給
もうひとつは、所得の再分配(豊かな人からそうでない人への所得の移転)
そして3つめは、経済の安定化(インフレを抑えたり、需要を喚起したりすること)です。
一般的に所得の再分配や経済の安定化は、一自治体がやっても効果がないので国が果たすべき役割とされています。日本では国が地方の自治体を動員して公共投資を促進するなどの景気対策を行ってきました。
バブル崩壊後は国が直接補助するのではなく、「借金をしてよい」というお墨付きを与えることで、自治体がお金を借りやすくして、土木事業などに投資を行わせるように誘導してきました。将来借金の返済は国が面倒を見るということで、それぞれの自治体も借金をして公共投資を盛んに行いました。
その結果地方自治体の借金は平成4年の61兆円からその10年後の平成14年度には134兆円にまで急増したのです。
(ビジュアル版地方財政白書より)
財政の役割として一つ目に挙げた”公共財の供給”については、その公共財の供給による効果と費用が問われます。
一方、不景気は需要が供給に追いつかないことにより起こるものとすると、”経済の安定化”という視点に立つと不景気時にはとにかく需要を増やすことが重要ということになります。 そのために経済の安定化という名目での公共投資はその質が問われにくくなってしまう恐れがあると思います。
公共投資はひとつの政策決定であり、それはどのような形であれ特定の人に対する利益を伴います。今は100年に一度の危機などといわれているようですが、経済対策がそれを隠れ蓑にした利益誘導となっていないか。冷静に見ていく必要があるでしょう。
2009年3月15日日曜日
ブックレビュー 地方財政論
地方財政論 片桐昭泰、兼村高文、星野泉 税務経理協会 2000年2月発行
この本は・・地方財政についてそれを構成する制度の内容を知りたい人向け。
本書の目的としては「複雑な地方財政の現状、問題点、改革の方向を検討し、住民が地域の主人公としてどのようにしたら地方財政を統制できるか明らかにしようとした」と記されています。
大学の授業の教科書とすることを想定しているのか、書き方は全般に堅め。それぞれの制度についてはその意義や法的な根拠について詳しく説明してあるのが特徴。
全体的には多くの話題を盛り込んでおり、また「近年の地方財政の課題と展開」を紹介しているものの出版時期が制度改革(地方分権や介護保険)の時期であり、内容的にはそれほど深く入り込まないうちに説明が終わってしまっているという印象を受ける。
最後にアメリカ、イギリス、ドイツの地方財政について簡単に紹介しています。
2009年3月14日土曜日
鎌ヶ谷市 財政白書
今日は鎌ヶ谷市、市としては財政白書はありませんが、学生たちのグループ「ザイバク」(財政に爆発的にくわしくなるということらしい)が平成20年3月に発表。かなり前に財政を考える会で入手しました。
リンクはこちら http://www.geocities.jp/zaisei_kamagaya/top/top.html
第2版が出たそうです。
内容は、市の財政にかかわる項目が詳しく説明されており、地方財政のわかりやすいテキストとしても参考になりそうです。
最近宮崎大学の学生が作成する前は、学生による唯一の財政白書だったかと。
学生は時間もエネルギーもあるのに、あまり例がないのはなぜだろうなどと、この年齢になると思うのですが、自らの学生時代を振り返ると、まともに勉強すらしてなかったので、まあ他にいろいろとやることがあるのだろうな などと。
それはそうと、 行政の資料としては、こちら
http://www.city.kamagaya.chiba.jp/sesaku/sesaku_zaisei.html
主に総務省が作成すべきとしている資料を公開しています。
財政の概況を理解するのはこちらのほうがよいかも http://www.city.kamagaya.chiba.jp/sesaku/gyouzaisei_kaikaku/sesaku_gyouzaiseikaikaku01.html
シリーズ行財政改革~財政破綻しないために~
地方交付税と地方債 第五話
第五話 猫太郎の独り言
(文字が全部赤いと見づらいので全て黒文字としますね。)
猫太郎は帰りの車の中で父の言葉をつらつらと思い出しながら、考えていました。
「そういえば、足りない部分は王の年貢の中から一定割合を出すということだったが、さて不作の年はどうするんだ?」
「不作でもそれぞれの町で必要なお金は変わらないから、不作の年は猫次郎や猫三郎に補てんしなければならないお金も増えるはず。」
「それを補てんするのは王の年貢の一定の割合だが、それも不作のときは減ると思うのだが?」
猫太郎はどうも理屈が合わないように感じます。
「まあどうせ、僕にはあまり関係のない話だからいいや。いざとなれば銀行家の弟からなんとかするんだろ。」
と一人つぶやいて車の中で寝てしまいました。
(解説)
地方交付税は国に入る税金の一定割合を財源が足りない自治体に交付することになっています。
その割合は、所得税・酒税の32%、法人税の34.0%、消費税の29.5%、たばこ税の25%(平成19年度)です。
しかし景気が悪くなると、所得税・法人税が減る一方で、地方の財源不足も増えます。
そうなると、これだけでは地方自治体の財源不足をまかないきれなくなってしまいます。
ということで、実際にはどうしているかというと「交付税特別会計」という国の特別会計が借金をしています。
その借金の残高は平成19年度末で33.6兆円(地方の負担分だけだったかな?)となっているとのこと。
国民一人当たり30万円弱です。国の本体も600兆の借金を抱えるなか(こちらを参照)どうやってこれを返していくか、気が遠くなりそうです。
2009年3月13日金曜日
地方交付税と地方債 第四話
第4話 借金してもよいとき
猫次郎「でも道路を作るときとか、大きなお金が出るときはどうするのですか。」
猫吉「確かに、『借金は慎むべし』とはいったが、借金をしてはいけないとはいっておらん」
「道路や建物など、後々まで使えるものを作るときは、借金をしてもよい。」
猫三郎「さっきとは真逆なんですが・・・・。」
「そうではない。道路や建物は後の世代の人も使うものじゃ。ということは今の世代の人も後の世代の人も負担するというのが、世代間の公平性を保つということになるのじゃ。つまり、それぞれの世代で借金を返して、それぞれ負担するというわけじゃ。」
「ということは、道路や建物とか、形になるものならば、どんどん借金してよいというわけですね。」
「もちろん、どんなものというわけにもいかないし。金利がつくものだからいくらでもよいというわけにはいかない。」
猫太郎「結局のところ、どこまでならばよいのですか。」
「それは、計画の内容を見せてもらった上で、わしが決める」
(解説)
地方財政法は同じ第5条で借金をしてもよい場合を5つ挙げています。具体的にはリンク先を参照ですが、
メインは第5号の「学校その他の文教施設、保育所その他の厚生施設、消防施設、道路、河川、港湾その他の土木施設等の公共施設又は公用施設の建設事業費及び公共用若しくは公用に供する土地又はその代替地としてあらかじめ取得する土地の購入費の財源とする場合。
要は耐用年数のある程度長い公共施設や土地の取得に充てる場合です。
では、長期間使われるものであればなんでもよいのかというとそうではありません。
特に箱物と呼ばれるものは機能させるためには水光熱費などの経費がかかりますし、期間が経過すると老朽化し維持修繕費も必要となります。
借金までして作ったものが、もし仮に役に立たない、使われないものだったらどうでしょう。
後の世代の人は、役に立たないものを作るための費用と利子、さらに経費や修繕費まで負担しないといけないのです。その人たちにとってみれば、まさに「責任者出て来い!」って感じでしょう。
従って、そのようなものを作るときは後々の世代を含めた人たちが、今の世代が決めた負担を喜んで受け入れられるようなものとしなければならないのです。その意味で長期的なものにかかる意思決定は責任が重いといえるでしょう。
次回はまた地方交付税の話に戻っていきます。
2009年3月12日木曜日
地方交付税と地方債:第三話
3つの町を息子たちに任せることとした猫の国の王、第二話の続きです。(前回はこちら)
第三話 借金はだめよ。猫吉「それから最後に、借金はくれぐれも慎むように。」
猫太郎「それはなぜですか。」
「借金は返さなければならないものじゃ。それは何から返すかというと年貢じゃ。つまり、今年のサービスのために、来年のサービスを減らすことになるのじゃ。」
「だったらプラスマイナス0のような気もするのですが。」
「いいや違う。猫の町でも移動があるから、借金をした年にいた猫は年貢を払わずにサービスを受けられるが、借金を返すときの猫はサービスなしで借金を返すだけになってしまう。世代ということで考えられば、子供はサービスがなく親の借金を返すだけになってしまうことになるからじゃ。」
(解説)
地方財政法第5条では、「地方公共団体の歳出は、地方債以外の歳入をもつて、その財源としなければならない。」と書いてあります。つまり借金をしないというのが原則です。
それは上にも書いてある通り、主に世代間の公平のため(負担なしでサービスを受ける人と、サービスなしで負担だけする人が出てしまう。)です。
それでは次の世代でも同じように借金をすれば、次の世代もサービスを受けられ、その借金を返す世代でもまた借金をすれば・・・と続けていけば理屈上は成り立つようにも思いますが、実際には借金には利子がつくので、どこかで必ず破綻します。
このようにいつかは破綻するものは「持続可能性がない」又は「サステナブルではない」といいます。
市や国の財政を評価していくうえでは「これをずっと続けていけるのか?」つまり「持続可能性があるか」という視点を持つことが重要です。
とはいえ、実際は同じ法律の第5条で地方債(借金)をしてもよいことになっています。世代間の公平のためにも借金をしてもよい場合があるのです。それについては次回のお話とさせていただきます。
2009年3月11日水曜日
地方交付税と地方債 第二話
(第一話はこちら)
第二話 不足分はいくら?
猫次郎「父上、ともかく、今年はいくらいただけるのでしょう。」
猫吉「そうじゃな。わしの見たところこうじゃ。」 と王様は一枚の紙を出しました。
「山辺の町 : 年貢60 必要費用100。不足分100-60×3/4=55
川辺の町 : 年貢100 必要費用100。不足分100-100×3/4=25
海辺の町 : 年貢160 必要費用100。不足分100-160×3/4<0 ゆえに0」
「という具合じゃな」
猫三郎「実際に60集まらないかもしれない。」
「60は去年の実績じゃ。今年これより低いようであれば来年反映する。ただし年貢の徴収漏れとかは自己責任じゃ。」
「災害とかそういうので、思わぬ出費があったらどうしましょう。」
「それは、その事情を考慮して わしが決める。」
「それからじゃ。」と猫吉がいうと、執事が分厚い本を持って恭しく入ってきました。
「町の運営については、マニュアルにまとめておいた。よく読んでそれに基づき執り行うのじゃぞ。」
(解説)
地方交付税の考え方はおおよそ上の通りです。この物語では3人(匹?)のうち1人だけが不足分がないことになっていますが、今の日本では47都道府県中2のみ、市町村では約1781のうち179のみが不足分がないことになっています。
この不足分がない市町村など「不交付団体」といっています。
実は東京はこの不交付団体の占める割合が多くなっています。(30市町村のうち17市町:除く島嶼部)
さて、猫次郎が質問した「年の途中で思わぬことがあった場合などのための交付税」が特別交付税といわれるものです。
(説明はこちら http://www.town.takatori.nara.jp/soumu/zaiseijyoukyou/html/bottom/tihokohuzei.htm*1)
先日ニュースで取り上げた「地域手当上乗せで交付税減額」で出た特別交付税がそうです。
地方交付税の総額の6%がこの特別交付税に充てられることになっています。
特別交付税も交付の基準が定められているのですが、「特別の事情が存することにより過大であると認める場合においては」減額できることとなっており、ある程度恣意性があるものと思われます。
逆に合併した市には個別の配慮があるなど、地方をコントロールする道具としても使われているように思います。
普通交付税も基準があるのですが、基準が毎年変わる+算定が複雑、でつまるところ、市の財政担当者としてはいくらもらえるかは予測が困難で、国任せという面があります。
そこらへんを集約した言葉が「わしが決める」というところなのかなと思っています。
*1当初総務省のページとリンクしていましたが、リンク切れとなったので4月に高取町のHPへリンク換えしました。
2009年3月10日火曜日
地方交付税と地方債 第一話
ブログの中でも、解説しなければと書いていたのですが、なかなか機会がありませんでした。
行政が出している白書のほとんどが、交付税と最近の改革による地方債について説明しています。
これそのものがいろいろな経緯から生じているものであり、とても一言で簡単に説明できるものではありません。
かといって長々と説明したのでは、退屈してしまいます。
ということで、長い説明でも物語にすれば読んでもらえるのでは?と考え、この企画を始めました。
企画倒れになったらごめんなさい。
第一話 息子たちに町を任せるのじゃ。
ここは猫の国。一代で国を築いた王、猫吉の国です。
ある日、猫吉は三人の息子、猫太郎、猫次郎、猫三郎を呼びました。
猫吉「息子たちよ。明日から、お前たち三人にこの国の3つの町を治めてもらうことにする。猫太郎は海辺の町、猫次郎は川辺の町、猫三郎は山辺の町を治めてもらうこととする。」(これから猫吉はこの色の文字とします。)
息子たちは顔を見合わせました。猫三郎が不満そうな表情を見せます。その表情を確認したかのように言いました。
「もちろん、海辺の町が一番豊かなことは知っている。川辺の町や山辺の町が大変なこともな。そこでじゃ。それぞれの町を治めていくのに最低限必要なお金はわしが保障しよう。」
「どこから出るのかは心配不要じゃ。今までとっていた年貢を全部お前たちにやるわけではない。わしにはこの国全体を治めていく役割がある。だから年貢の半分を息子たちに、残りはわしにこれまでどおりに納めてもらう。最低限必要なお金に足りない部分は、わしが受け取る年貢の中の一定割合をそのためにとっておくからそこから出そう。」
猫次郎「父上。最低限必要なお金はどうやって決めるのですか。」(猫次郎はこの文字です以下同文)猫次郎が聞きます
「それはだな、町の広さとか猫の数とかいろいろなものを考慮して、わしが決める。」
猫三郎「最低限しか保障されないんじゃ。工夫のしようがないですよ。」
猫太郎「最低限が必ず保障されるのでは、頑張る努力をしなくなるのではないでしょうか。」
「まあまあ、そういうこともあろう。そこでだ、君たちの年貢のうちの3/4が、その最低限に必要なお金に足りないときは、その部分を保障しようじゃないか。だから、努力したからとって収入がふえないということはないぞ。それからその1/4は必要最低限以外のことにもまわすことができるというわけじゃ。」
(解説)
地方交付税の目的は、それぞれの市町村の財政力の格差を解消することです。
格差を解消するというと、豊かな方の市のお金をそうでないほうの市に回すというイメージがありますが、実際には国に入ってくる税収の一定割合を財源が不足する市に国から交付するという形としています。
猫次郎の発言にもありましたが、それぞれの市で必要なお金とか、足りないお金はどう決めるのでしょうか。
それは国が基準を作っているのです。(「普通交付税に関する省令」に定められています。)
国の基準による歳入(標準税収入)が例えば100億円あるとすると、その75%の75億円が基準財政収入額となり、一方これまた国の基準による歳出(基準財政需要額)が100億円だとすると、その差額の25億円が国からもらえるという仕組みです。
総務省による説明はこちらのページ
http://www.soumu.go.jp/c-zaisei/gaiyo.html
註)今の法律では国と自治体は基本的には対等ということになっていますが、戦前には知事が国から派遣されていたり、戦後も市町村の仕事の4割は国の仕事の下請けだったりしたなど、歴史的に国が上、地方が下という時代が長く、行政・市民ともにその発想が染み付いているので、国を親猫である猫吉、市を子猫にたとえてみました。
この例に限らず、あくまでわかりやすく例えているに過ぎないことをご承知おきください。
2009年3月9日月曜日
宮大生が県財政白書
2009年3月7日 読売新聞 より
「宮崎大教育文化学部の学生が、県の財政白書を作成し、7日午後1時から宮崎市のカリーノ宮崎・コミュニティホールで発表会を開く。過去20年分の決算統計書を独自に分析していて、学生たちは『多くの人が財政状況に関心を持つきっかけになれば』と期待を込める。(毛利雅史)」
財政学ゼミに所属する3年生6人が、2007年10月から課外活動で作業を始めたようです。
県財政課に依頼して過去の資料を入手し、年度ごとの歳入、歳出などをカードに集計。一般市民にはなじみの薄い専門用語を解説しながら、財政力を示す数値などをグラフを使ってわかりやすく説明しているとのこと。
指導したのは入谷貴夫教授(地方財政論)とのことです。
記事にもありますが、県レベルの財政白書は珍しい。 国と市の中間でいろいろとまとめ方も難しかったと思います。
内容はわかりませんが、大変興味ありますね。
西多摩その他財政資料
実は他の町は行政としての財政白書はWeb上にはありません。(たぶん発行していません。)
日の出町では、日の出町の財政を学ぶ会が「住民の目線で見る日の出町の財政」を 2006年に発行しています。
注目は瑞穂町。この町は決算書、予算書、事務報告書をすべてHP上に載せています。
http://www.town.mizuho.tokyo.jp/gyousei/yosan2.html
決算書・予算書には巻末の財産調書などの資料も載せています。拍手。
事務報告書がそのまま載っているのも初めて見ました。
これで財政白書の紹介の連載はひとまず終了です。
今後は「財政白書を作りたい」「財政についてもっと知りたい」という場合に
「どの市の資料が参考になるか?」 という視点でまとめてみたいと思います。
ちょっと時間をいただきますが、気長に待っていただければと思います。
2009年3月8日日曜日
あきる野市財政白書
http://www.city.akiruno.tokyo.jp/index.php?oid=42&dtype=1013&pid=189
おそらく今回が初めてなのではと思われます。
内容はスタンダード。むしろ内部向け?
市民による財政白書も発行されたようですが、ネット上では詳細は不明でした。
2009年3月7日土曜日
羽村市財政白書
平成19年度が最新です。
http://www.city.hamura.tokyo.jp/zaisei/hakusyo/19hakusyo.html
構成はスタンダード、バランスシート関係が比較的充実。
文字による説明はあまり噛み砕いていない(ある程度わかる人向け)だが、データは詳しい。
例えば、個人の市民税の所得階層ごとの人数や税額などがあり興味深いです。
羽村市の特徴は概念図などの作り方がうまく、わかりやすいこと。
財政白書を作る立場としても参考になるものがあります。
2009年3月6日金曜日
自治体財政も不況でピンチ 基金取り崩し、市債でしのぐ
2009年3月6日 読売新聞
2月5日に 多摩地域の法人市民税が軒並み半分という記事をあげましたが、その続編のようなもの
「急速な景気低迷で、多摩地区の市町村の財政が悪化している。特に大手企業を抱える自治体の市税への影響は大きく、新年度予算案の編成では、基金の取り崩しや市債発行で何とか帳尻を合わせている状態だ。各財政担当者は「このまま景気悪化が続くと厳しい」と危機感を募らせている。」
として各市の状況を紹介
立川市(法人市民税の割合が約10%と多摩地区で最も比率が高い):前年度比約17%(約9億8000万円)減
→ 「景気悪化が続くと、事業の縮小や先送りの検討も必要になるかもしれない」
羽村市(大手自動車会社の工場などが集積。製造品出荷額は多摩地区で4番目)
法人市民税は前年比45・2%(約6億7900万円)減。財政調整基金(いわゆる貯金)を9.5億円取り崩し
→ 「事業の見直しが必要。対象は全事業だ」
青梅市(東芝やカシオ、住友金属鉱山といった大企業あり):前年比46・4%(約13億9000万円)の大幅減
市債を前年約2・7倍の約39億7600万円を発行、貯金も約5億円を取り崩してしのぐ
日野市(日野自動車本社を抱える):前年比46・8%減
98年度以来の「財政非常事態」を宣言した。
減少幅は日野市が一番大きいんですね.....
立川市行財政白書本編
「全体は公開されていないのかな?」ということだったのですが本編を見つけました。
こちら
http://www.city.tachikawa.lg.jp/cms-sypher/www/service/detail.jsp?id=2574
平成18年度版(平成17年度決算)だそうです。
結構なボリュームです。
福生市財政白書
平成17年度の決算を元に平成19年2月に発表しています。
http://www.city.fussa.tokyo.jp/aboutfussa/aboutfussa/finance/88vtda000000qjkd.html
福生市といえば米軍基地、基地があると補助がいっぱいというイメージがあるのですが、もともと市税が少なく、そうでもないらしい。(ちなみに国有提供施設等所在市町村助成交付金として14億円ぐらい)
白書の中で市の財政悪化の背景を書いているのですが、バブル前のプラザ合意から解き明かしており、今まで見た中では一番丁寧かも。 説明は若干硬堅いですが、ある程度知っている人には興味深い。
また平成28年度までの財政計画を立てており、基金や地方債の推移も記されています。
2009年3月5日木曜日
財政白書の未来 目次
ということで、目次をつけてみました。
第0回 サマリー
第1回 財政白書は次のステージへ
第2回 財政白書の未来形その1 ~財政白書は各論指向へ~
第3回 財政白書の未来形その2 ~財政白書は計画指向へ~
第4回 市民による財政分析の未来 その1 ~越えるべきハードル~
第5回 市民による財政分析の未来 その2 ~モジュール化とネットワーク化~
第6回 情報発信の未来 その1 ~市民からの情報発信の課題~
第7回 情報発信の未来 その2 ~白書の動画化~
第8回 財政分析の担い手 ~組織化と担い手の課題~
第9回 財政白書とコミュニケーション
第10回 まとめ
2009年3月4日水曜日
青梅市財政の現状
今日から西多摩編です。
今日は青梅市 「青梅市財政の現状」ということで平成19年度決算版が最新。
http://www.city.ome.tokyo.jp/index.cfm/24,0,177,html
構成はスタンダードというか、あっさりしています。
発行主体が企画部財政課ということで、市民向けというよりは行政内部の資料という位置づけなのかもしれません。
工夫してある点としては、平成3年からグラフを示す中で、最初は3年おきに最近は毎年というような示し方をしているぐらいか。
事務事業評価によると『庁内LANへの掲載だけでなく、また「青梅市財政の現状」から発展させた「財政白書」を発刊、公表することで、市民に市の財政状況についての知識を深めてもらうこと。』を最終目標としているようですが、まだそこにはいたっていないようです。
地域手当上乗せで交付税減額
「職員「地域手当」上乗せ問題 多摩地区07年度」
「 都市部の自治体職員らに支払われる「地域手当」を、国の基準に上乗せしたとして全国の市町村の一部が総務省から特別地方交付税を減額されていた問題で、多摩地区では2007年度に、8市で計約1億3000万円が減らされていたことが分かった。国は、地域手当の支給率を国の基準に合わせるよう要請しており、減額措置を受けたうち6市は、今年から引き下げを決めた。一方、東久留米市は「都の基準を採用している」として引き上げ、小平市は据え置いた。」
とのこと、日野市は国の基準に今回そろえたらしい。東大和市は基本給も地域手当も引き下げることで妥結した。とか。
他紙では「職員の手当てを上乗せして住民サービスが削減」という厳しい見方も。
でもこのニュースだけではなんのことやら。「地域手当」とは?「特別交付税」って? ということで調べてみました。
○地域手当は国の公務員の制度らしい。
人事院規則参照→http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18F22009049.html
「地域手当は、当該地域における民間賃金水準を基礎とし、当該地域における物価水準等を考慮して一定の地域に在勤する職員に支給する。」 ということで要は都市部はそれ以外のところに比べて物価(家賃を含め)が高いこと、民間の給与も高いことからその調整らしい。
居住地ではなくて、在勤地で決まるんですね・・・。市町村レベルで率に差があることを考えると不思議。
ちなみに日野市は13.5%(日野市広報11/15号より)、これが基本給に加算されるというわけ。
一人当たり年額約51.7万円らしい。 今回これを12.0%にするということ。
地方公務員の給与水準の適正化は是非とも取り組んでいかなければならないが、このニュースを見ていまいちしっくりこないのは、総務省が特別交付税を盾に迫っているというところですかね。
本来は住民との関係において決まるべきで、総務省が口を出すことなのか? と思うわけですが、おそらく口を出す理由は。
1.そもそも住民にあまり知られていない。 → 確かに広報にも載っていますが、調べるまでよく知りませんでした。
2.国がかなり負担している。 → 人口10万人未満の市では一般財源の約半分は地方交付税(地方財政白書より)
つまり、おおよそ職員給の半分は国が負担しているということ。
というところなのだろうと思いますが、それにしても何か釈然としないものが残ります。
○特別交付税とは・・・・・。 また別の機会に調べてアップします。
2009年3月3日火曜日
連載 財政白書の未来 第10回(最終回)
財政白書の未来 第十回 まとめ
これまで1~9回にわたって財政白書(行政のそして市民の)の将来について考察してきました。大体5回ぐらいのシリーズを想定していたのですが、書いているうちに長くなってしまい分割したものや、後からテーマを思いついたものもあり、全体で10回になってしまいました。
内容は現在に近いもの、かなり将来のこと、確実に起こりそうなこと、ほとんど願望に近いこと、いろいろあります。書いている本人も具体像が見えないものも多くあります。
最後に、今後の注目課題・検討研究課題をいくつか挙げて本稿を終わりとしたいと思います。
これらについて後から思いつくことがあれば、後日まとめてコラムにできればと思っています。
・ これから総論編はどう広がっていくのか。
~ 全国的に見れば財政白書作成の動きはまだこれからです。これからどのような展開を見せて広がるのか。広がるためには何がポイントなのか。
・ 各論編の発展方向 ~ 市民側及び行政側双方において
・ モジュール化とネットワーク化の担い手
・ 市民側の財政白書を通じた行政とのコミュニケーションの形態
・ 上記を通じた市民参画の新しい形
日野市財政を考える会では、各論編や動画編の作成を通じて新しい展開に挑戦するとともに、個人的には財政白書を作りたい、市の財政に興味がある人たちのために、有用な情報・ツールを今後少しずつでも提供していきたいと考えております。
2009年3月2日月曜日
“リユース庁舎”続々
「閉鎖した工場、SC…再生 “リユース庁舎”続々県内自治体財政難、出費抑える」
「工場、ショッピングセンター(SC)、高校-。山梨県内で、役目を終えた施設を自治体の庁舎とする動きが広がっている。厳しい財政を背景に、空き施設を活用して出費を抑えるのが狙い。一方、県、甲府市はそれぞれ100億円を超える新庁舎建設事業を推進。南アルプス市は建設見送りを決めるなど、地方自治の拠点をめぐり対応が分かれている。 」
ということで、 山梨市は、「電子機器工場」、甲州市は店を閉めたSC を市役所として転用しているとのこと。
また北杜市は廃校となった旧須玉商高校舎を改修して使うとのこと。
甲州市によると「改修なら半分の出費で済む」とか。工場やSCが出て行ってしまうのは憂慮すべきことですが、市内にある資源を何とかして活用しようという思いが表れています。
日野市(日野市に限らず)も老朽化した建物を抱えているので、費用をかけない方法として参考になるかもしれません。
連載 財政白書の未来 第9回
第九回 財政白書とコミュニケーション
行政が作成する場合でも、市民が作成する場合でも、市の財政状況全般に関する白書(総論編)の目的は主に「多くの市民に市の財政状況を知ってもらう」ということにあり、受け手を強く意識するにせよ、情報の発信というところに重きが置かれることになります。
一方、各論について分析され、白書が作られるようになると、単に市民に知ってほしいということに加えて、
行政側としては「施策に理解を示してほしい(施行がスムーズにいくようにしたい)」
市民側としては「行政にわれわれの考えを反映してほしい」 という方向に向かっていくものと思われます。
つまり発信するだけではなく、その結果を求めるようになってきます。
財政状況を市民に広く知ってもらう究極の目的としては、市民参画による「市の施策策定力の向上」「よりよいガバナンスの実現」があると考えられます。しかしながら、その実際を考えると簡単ではありません。
財政白書の未来形において、共通のデータに基づき分析し、それに基づいて議論をするということになっていますが、その議論はどのようになされ、どう反映されていくのでしょうか。
例えば市民が財政白書を発行していますが、行政はその声をどう受け止めればよいのでしょうか。
~行政や市民が財政白書を発行することによる効果はいまのところまだ明らかになっていません。
例えばごみ処理場など市民の間で議論を巻き起こす問題についていくつもの市民グループや個人が白書を作って、ネット上に上げたりしている場合はどうすればよいのでしょうか。
行政としてはこのようなものについて、無視を決め込むこともできるのです。個人のブログや街角での雑談と同様に片付けてしまうことは簡単です。
近年は市民参画やパブリックコメントなど市民の声を取り入れる取り組みが行われていますが、「そういうものが無しで済ませられるものなら済ませたい」と本音で本気で思っていたら、いかなる仕組みがあっても意味はないでしょう。市民参画、市民参画と唱えても、その声が反映されていないとわかれば参画する市民はいなくなります。最悪の場合には、一部の有力な議員や圧力団体のコネを通して見えない形で、一部の市民の声のみが反映されるということにもなりかねません。
地域のニーズをより知っているのが、中央官庁ではなく、市町村であるように、生活に密着した知恵は最前線の市民生活の中に眠っていると思います。 市民の意見は当然玉石混交でしょうが、しっかりとしたデータに基づいた財政分析をベースとした提案には玉の割合が高いと思われます。
このような地域の知恵を施策に生かせるかどうかが、今後の市町村の行政運営能力を左右するようになることでしょう。
とはいえ、行政職員がネットサーフィンで市民の声を集めるというのもあまり実際的ではないように思われます。
そのような中で市民の声を拾い上げる議員の役割というのは重要になってくるのではないでしょうか。
議員を通してというとどうしても裏口からなにかしようというような印象を持たれる向きもあるかと思いますが、それがオープンに行われる限り、市民の声を反映させるひとつのチャンネルとして有効であると思います。
現状市民参画といっても、実際に参画している人、できる人は前回のコラムでも言及した通り、偏りが生じています。裾野の広い、実効性のある市民参画の仕組みをいかに作り上げるかが今後非常に重要になるでしょう。
その中で、行政側も市民側も「自分の考えを変える勇気」をもつべきだと思います。最初から自分の考えを変えるつもりがなければ、いくら参画をしても実のある議論は生じないでしょう。他人に無理に合わせる必要はありませんが、データと事実に謙虚向き合い、自分の考えや思いにとらわれ過ぎないようにしなければなりません。特に組織をバックに係わる人は組織の思いが重視され、事実の捉え方に無理が生じてしまう場合があるので注意が必要でしょう。
いつのまにか財政白書の話ではなく、市民参画の話になってしまいました。この分野については正直筆者の力量を超えてしまっている部分があります。 この点については長期的な検討課題としていきたいと考えています。
これで第0回から始まり今回まで10回の連載となりました。
次回は最終回として、まとめと課題とさせていただきたいと思います。
2009年3月1日日曜日
日野市中央公民館 財政講座 2回目
前回の続きで、今日は日野市の財政運営について議論 ということだったのですが・・・・。
参加者4人(T_T)。 これはへこみましたねぇ。 それでもこちらの期待以上のことをやっていただいた方もいらっしゃいました。講座の趣旨が伝わっていなかったこともあったようです。
ちょっと課題のハードルが2回の講座の中でやるには高すぎたようです。
日本でもはじめてぐらいの試みなので、あまり気にせず、もし次があるようであればこの経験を生かしていきたいと思います。
今後資料が財政を考える会のホームページからアップされる予定ですので、アップされたらまたお知らせします。