2009年3月20日金曜日

地方交付税と地方債 第八話

不景気を脱しきれない猫の国 前回の減税策はうまくいくのでしょうか。

第八話 猫吉に忍び寄る危機

 猫の王子たちが帰りました。猫吉はふうっとため息をつきます。
 最初に王子たちに言った言葉を思い出しながら。
 「・・・・年貢の半分を息子たちに、残りはわしにこれまでどおりに納めてもらう。最低限必要なお金に足りない部分は、わしが受け取る年貢の中の一定割合をそのためにとっておくからそこから出そう。」
 不景気になっても『最低限必要なお金』は変わりません。年貢がへるので猫吉が出さなければならないお金も増えます。
 でも『年貢の中の一定割合』も不景気になれば減ります。
 最近は年貢の中の一定割合では、猫吉が出すべきお金をまかないきれず、弟の銀行から借金をしていたのでした。
 「何が『借金が自腹になってしまう』じゃ。こっちは借金までして支援しているのじゃぞ。わしの苦労がぜんぜんわかっちょらん。」
 
 そこへ弟の猫介がやってきました。
 猫介「景気はどないですかな。」
 猫吉「景気がよくないことは、お前が一番よく知っているではないか。」
 「いろいろと大変なことはよく知っていますよ。兄上にも王子たちにもいろいろと借りていただいていますからなぁ。」
 「何がいいたいのじゃ。」
 「借りてもよいのですよ。使われ方ですなぁ。」
 「信用がないというのかな。大体誰のおかげで仕事ができているのかな。わしの信用で国中の猫から金を集めておるではないか。」
 「わかっておりますとも。どんなときでも、兄上がついていることもよくわかっておりますよ。」
 それでは・・・。といって猫介は去っていきました。
 確かに、猫介から借りて建てた施設は赤字でその施設からはとても返せそうにありません。最終的には徴税によって返せるといえども、猫たちの生活を破壊するようなわけにはいきません。
 いずれにせよ、猫吉の信用でお金を集めているので、預金者への補てんは最悪猫吉がしなければなりません。
 (貸し手責任という言葉もあるしな。) などと思いながら、
 「そろそろ借金もなんとかしないといかんのかな。」とつぶやきました。

<解説>
 第五話で猫太郎が心配したように、不景気のときは各町の埋め合わせをすべきお金が増える上に、国の歳入も減るのでその差額は借金をしているようです。
 第五話の解説でも解説したように、2000までの日本の状況がまさに上の状態。その後の状況は次回以降のコラムで。
 ちなみにここで出てくる猫介は昔の郵貯をイメージしています。かつて郵便局で集められたお金は大蔵省が一括して国債を買ったり、地方自治体に貸したり、三セクに貸したりしていたのです。
 これらのついて貸し倒れが生じたら、少なくとも昔の郵貯であれば全額国が面倒を見たはずですが、民営化した現在ではどうかわかりません。こういったリスクを切り離すために民営化の動きがある(出典不明)という話もあるようです。
 

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