不景気が襲ってきた猫の国 景気対策に公共投資をしますが・・・・。
今日は第七話です。(前回はこちら)
第七話 減税で景気回復
猫の王子たちは猫吉の指示に従い、借金をし道路をさらに立派にし、建物を作りました。
しかし、景気は一向によくなりませんでした。遊ぶ施設も大々的に作りましたが、今まで遊んだことのない王子たちが作った施設はとても立派だったのですが、あまり使われませんでした。
年貢も相変わらず落ち込んだままでした。
猫吉は再び猫の三兄弟を呼び寄せました。
猫吉「わが国の経済危機を救うためにはさらなる経済対策が必要じゃ。そこでだ。わしは減税を行おうと思う。」
猫太郎「!」猫次郎「!!」
猫三郎「これ以上年貢が減ったらわが町の財政は破綻してしまいます!」
「減税は国民みんなに恩恵をもたらすのじゃ。そのお金で消費が増えて、景気がよくなればかえって年貢が増えるということもあるぞ。アメリカのラッファーという人もいっておった。」
「将来的にはそうかもしれませんが、今年のお金はどうするのですか。」
「その分はわしの弟の銀行から貸してあげよう。もちろんその返済のお金は『最低限必要なお金』に入れてやるぞ」
「それならばよいでしょう。」 「それならばよいでしょう」
「ちょっと待ってください。父上。」 「何だね」
「今最低限必要なお金に入れていただけるということでしたが、それでは意味がありません。私の町は
年貢1600 最低限必要1000 でした。
従って1600×75%は1200>1000なので、補助はいただいておりません。
いま借金をして、借金の元利払いが100増えても、補助は0のままです。
ということは、その借金は全部自腹ということになってしまいます。」
「ま、そういう見方もできるわな。」
「見方ではなく、事実です。」
「そもそも兄上のところは、それだけ年貢があるんだからいいじゃないか。それ以上求めるのは贅沢というものさ。」
「足りない分は全部もらっている人に言われたくないね。」
「好き好んで足りないものか。」
「最低限以上の部分は、必要ならば歳出を減らせばいいじゃないか。」
(一度やり始めたサービスはやめられないことぐらい知っているくせに!)と猫太郎はこころで思います。
「大体『最低限必要』の決め方がよくわからん。一人当たりにすると猫三郎の町はうちの1.5倍ももらっているじゃないか。」
「一匹あたりだろ。猫なんだから。」
「どっちでもいいだろ、一人でも一匹でも。」
とどんどん険悪になっていきます。猫吉は特に表情を変えることもなく見ています。
「昔父上はおっしゃいました。借金は慎むべしと。借金をしてよいのは後の世代の人が使えるものだけだと。明らかに矛盾していませんか。」
「借金は慎むべしと言ったが。あくまで原則じゃ。わが国始まって以来の経済危機に対処するにはそうもいってられん。」
結局猫吉の言うとおり、減税を行うこととし、その分借金をしてよいこととなりました。
猫太郎はうなだれながら帰っていきます。
<解説>
景気対策の一環として、住民税の特別減税が行われました。
平成6年度に導入され平成8年度まで、そして平成10年度から平成18年度まで行われていました。
この減税による税収の減少を補てんする意味で「減税補てん債」を各市町村が発行しました。そしてその元利の償還に関わるお金は『基準財政需要額=最低限必要なお金』にカウントされ、後で国が払うということになっていますが、猫太郎の町のように十分な税収があるところにとってはあまり意味がなく、要するに自腹ということになります。
また猫太郎も言うようにこのような『その年で消えてしまうものに充てる借金(赤字公債といいます)』は地方財政法でだめということになっているので、
「平成六年分所得税の特別減税の実施等のための公債の発行の特例に関する法律」という法律を定めて、赤字公債を発行できるようにしています。
各市町村の財政白書を見ると、この赤字公債の割合が近年どんどん増えてきていることがわかります。
この分は後年『最低限必要なお金』にカウントされて本当に返ってくるのでしょうか。
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