2010年3月31日水曜日

東洋大学公民連携成果発表会に参加しました。その2

昨日のブログの記事の続きです。
5つの事例発表の後は、今後の計画ということで、サム田渕氏より、構想発表。
一つはMPAという自治体経営の専門家を養成するコースを作ること。
もう一つはPPPのアジアの会議体を作ること。

MPA(Master of Public Administrationかな)で思ったのですが、MBAの反省を活かさなければならないなと。結局日本では会社を構成する人を経営層とそれ以外に分けて、経営者はその専門家といわれる人が落下傘的にくるということにはなじめなかったように思います。
MBAがまだ日本で活かしきれないように、というかそれ以上にMPAは壁があるようにも思います。
むしろ、現在公務員である人にとって魅力のあるコースにして、能力を高めるようにしたほうがよいかも。

その後は加西市の中川市長、新宿区の中山区長、東洋大の中北教授によるパネルディスカッションでした。あらためて、首長のリーダーシップの重要さを感じました。
 あと新宿区は9人に一人が外国籍、二十歳だと四人に一人が外国籍ということには驚き。
 「財政が豊かな自治体ほど、変わらなければという思いがもてず、かえって遅れるのではないか。」というのにはなるほどと思いました。

その後ネットワーキングということで、以前東洋大でお話させていただいたときの受講生の方とも久しぶりにお話できました。またツイッターでフォローしている宇都宮の西さんにも会うことができましたが、前でお話された蔵田さんや片桐さんがツイッターでフォローしていた方だと、最後まで気づかず。不覚。
ツイッターの写真で本人を判定するというのは実は結構難しいものだとわかりました。

 長い時間でしたが内容が濃く、実に有意義な発表会及び交流会でした。

2010年3月30日火曜日

東洋大学公民連携成果発表会に参加しました。

昨日東洋大学公民連携人材開発プログラム成果発表会に参加しました。

まず元財務大臣塩川正十郎氏から挨拶。東洋大学の総長とのことで、かなりのご高齢なはずなのに、声に張りがあってすごいと思いました。

次に根本教授から成果報告。どっちかというと出席されていた文科省の人向けみたい。

さらにツイッターでもフォローしている蔵田氏からPPEAとサンデイスプリングスモデルについて、
 PPEAとは民間提案で公共施設を作るというようなバージニア州の州法の話、サンデイスプリングはなんと市役所の業務の全てを包括して民間に委託しているという事例。
 持ち時間が10分なので、そういう制度があることぐらいでしたが、時間があればもっと深く話を伺いたいところでした。
 ちなみにサンデイスプリングスはアトランタ市の北側に新しくできた市とのこと。
 新規の市だからできたという面も大きいでしょう。
 もう一つ、アメリカの基礎自治体と日本の基礎自治体の大きな違いと思うのが、日本の基礎自治体が「森羅万象所管主義」(無名戦士たちの行政改革 関西学院大学出版会より引用)であること。
 アメリカの基礎自治体の役割は原則として憲章などで定められ、新しい行政需要がでたときは新しい公共団体を立ち上げるのに比べ、日本の行政は市民生活の全てを所管している(法律はないが実質的にそうであることを期待され、それにこたえようとしている。)という特徴があります。
 包括的に委託できたということにはこういう背景もありそうです。

その後事例報告1件、10分で50分。発表者も非常にリズムがよく、プレゼンテーションの面でも鍛えられていると感じました。
紫波町のオガールの話はとても心に残りました。
 本気で民間企業を参画させるにはどうするか!という話や、
 市民への説明に関して「むつかしことは簡単に。簡単なことは面白く。面白いことは深く。」説明する。
 というところは財政白書づくりの参考にもなります。
 このブログでも何回か紹介している民間による水事業が行われているそうです。
  その事業を請け負った民間企業は海外へ売り込みを図っているとか。こういう動きがどんどん出てくると地域も企業も活性化すると思います。

それから兵庫県の加西市。
 市長のリーダーシップで苦しい財政状況の中、民間事業者の力を積極的に活用しようとしています。
 かなりドラスティックなことをいっており、①保育園、幼稚園の民営化、②公立学校の私立化(これは驚いた)などなどを考えているようで、今後の動きにも注目です。
 
 ちょっと長くなったので、続きは明日以降。 

2010年3月28日日曜日

予算書案を読む2.5 ふるさと雇用再生と緊急雇用創出

先ほどの投稿で都からの支出金で「ふるさと雇用再生と緊急雇用創出事業」の補助金が3.3億円との情報がありましたが、それ何?と思ったので、調べてみた。

1.そもそも何?
 厚生労働省の事業のようです。(リンク先こちら
①ふるさと雇用再生特別基金事業。
  • 地方公共団体は、地域内でニーズがあり今後の地域の発展に資すると見込まれる事業のうち、その後の事業継続が見込まれる事業を計画し、民間企業等に事業委託。
  • そして、民間企業等が求職者を新たに雇い入れることにより雇用創出することを目的としているようです。
  • 原資は労働保険特別会計から。要は雇用保険が原資ということ?
  • 平成23年度末まで。
  • 国から都道府県へ、都道府県から市町村へ。という流れのよう。(都が直接もある。)
②緊急雇用創出事業
  • 地方公共団体は、離職を余儀なくされた非正規労働者等に対して、次の雇用までの短期の雇用・就業機会を創出する事業を計画し、民間企業等に事業委託
  • 民間企業等が求職者を新たに雇い入れることにより雇用創出。
  • 地方自治体が直接雇用してもよいようです。
  • 一般会計(実質的には国の借金ですね。)が原資。
  • 国から都道府県へ、都道府県から市町村への流れ。都が直接もある。
①は継続事業で②は一時的なものということ?
③実績 平成21年度12月末段階で、
 ふるさと~は
  全国で21375人。東京で184人の雇用が創出されたことになっています。
  全国平均250万円(総額550億円)、東京の平均で280万/人の事業費がかかっています。
 緊急~は
  全国で138,706人。東京で4,524人の雇用が創出されたことになっています。
  全国平均88万円/人(総額1220億円)、東京で70万円/人の事業費がかかっています。

2.日野市は何に使う予定か。
①ふるさと雇用再生事業
 ・観光案内等業務委託@新選組のふるさと歴史館 767万円。
 ・ICT活用教育推進 テクニカルコーディネート業務委託料 671万円
   (メディアコーディネート業務委託の613万円が含まれるかは不明。)
 ・学校ICTサポート業務委託量 671万円
 ・保育サポート体制強化推進事業 4144万円
 ・建築確認台帳等電子化業務委託 1200万円
 ・緑と清流の総合管理業務委託料 4584万円
 
②緊急雇用創出事業
 ・市政嘱託員報酬 652万円(再雇用とは別枠?)
 ・例規集作成対応臨時職員 10万円
 ・ホームページデータ整備対応臨時職員 231万円
 ・インフォメーション業務臨時職員 259万円
 ・土地調査等臨時職員 392万円
 ・入札及び契約等監視委員会事務臨時職員 59万円
 ・日野市行政改革大綱基礎資料調査業務臨時職員 402万円
 ・交通事故ゼロ推進員 208万円
 ・交通事故ゼロ事業委託料 432万円
 ・安全運転講習会業務委託 50万円
 ・特別徴収等臨時職員 686万円 (特別徴収というのは源泉徴収を通常指すが。)
 ・百草台コミュニティセンター受付等業務委託 456万円
 ・子ども手当て臨時職員 150万円
 ・児童扶養手当臨時職員 102万円
 ・保育料徴収促進員雇用 402万円
 ・感染症対策臨時職員 201万円
 ・普段着でCO2をへらそう宣言推進業務委託549万円
 ・ゴミゼロ運動臨時職員 201万円
 ・道路維持作業員雇用 774万円
 ・放置自転車指導誘導整理業務委託量 3697万円
 ・土地利用現況調査業務委託 500万円
 ・緑と清流の総合管理作業員雇用 2050万円
 ・ひのっ子見守り隊業務委託796万円
 ・日野第三中学校プロジェクトコーディネーター等臨時職員 478万円
 ・学童クラブ加配パート指導員雇用 374万円
 ・学童クラブ費徴収促進臨時職員 252万円
 ・学校安全管理業務嘱託員 2287万円(小学校)
 ・学校安全管理業務嘱託員 1076万円(中学校)
 ・特別支援教育員補助臨時職員 317万円
 ・郷土資料館資料整理食卓職員 264万円
 ・図書館書庫収蔵図書選別嘱託職員 312万円
 ・同臨時職員 438万円
 ・体育事業費臨時職員 201万円
 
 ふう、結構いろいろありますね。
 あとはどこに仕事が流れているか。結局市の緑化協会とか、企業公社とか、身内に流れている部分も相当ありそうな気もしますが。

 

予算書案を読む2 一般会計全般

昨日に引き続きです。
 一般会計全般。
 歳入は499.9億円。なんとか全体を500億円以内に収めようという意思がみえます。
 前年度+16.3億円ですが、子ども手当てが予算化されているので実質微減ぐらい。

1.歳入
 市税は-8.8億円
 国庫支出金が大幅に伸びて+19億円 これは主に子ども手当ての国庫負担金。
 都の支出金も+7.7億円。主にふるさと雇用再生と緊急雇用創造事業で補助金の3.3億円が大きい。
    ・・・・って実際どんな事業があるんでしょ。
   あと国体関係の補助金が1.2億円あります。
 繰入金が7.1億円プラス、主に財政調整基金の取り崩し分
 市債は6.7億円のマイナス。臨時財政対策債は3億円の減少。

2.歳出
 全般的に大きな変動のある項は少ない。
 1億円以上の変動のあるところが
 総務費-1.6億円。民生費+24億円。衛生費-4億円。消防費+1.2億円。
 しかない。
 民生費については、別途説明します。

 総務費関係では、情報システムが+3億円。たぶん住民情報システムの費用。
 衛生費は清掃費の-3.8億円が利いている。昨年あった汚泥再生施設工事が今年はないため。

 全般的に歳入が伸びない中、何とか前年並みマイナスアルファぐらいで調整しているではないか、と金額面を見る限りは感じ取られます。

2010年3月27日土曜日

予算書案を読む

決算書を読むシリーズも終わっていないのに! とお叱りを受けそうですが。
HPに公開された平成22年の予算案を元に、予算を読んでいきます。
 議会には予算説明書が配られるので、それをHPに公開すればよさそうですが、(公開している市もあり)残念ながらまだ実現していません。

 何回シリーズになるかわかりませんが、まずは市税から。
 ところで予算書案の歳入のページは、本年度~前年度と並んでいるのですが、前年度というのは当初予算。補正予算も可能な限り織り込んだほうが、比較としてはよいような気がしますが。

1.市民税
 平成22年度予算は、個人市民税120.98億円、法人市民税9.68億円。
 前年度から個人が7.86億円マイナス、法人は3.8億円マイナスです。
 特に法人は10億円を下回るのは昭和50年以来。
 
 私が注目したのは滞納処分に対する収入見込み額。
  調停額×24.5%が予算化されています。 あれ?と思って平成17年(5年前)の予算を見ると
  調停額×14%ぐらい。実際に平成20年度の決算を見ると24%近い徴収率となっています。
  5年ほど前に都の滞納徴収の専門家を招いて徴収率の向上を図るような取り組みをしているというような話を聞いていましたが、その効果でしょうか。

 法人市民税は均等割(儲けが出ても出なくても定額で払う金額)と法人税割(利益に対して払う金額)がありますが、均等割3.28億円。つまり全体の1/3が均等割。逆に言えば利益にかかる部分は6億円強に過ぎないということになります。

2.固定資産税
 110.38億円で前年比+2.58億円。土地建物の分が少し増えたようです。

3.軽自動車税
 近年徐々に伸びており、今年は1億円突破。普通自動車からの乗り換えが多いと思われます。
 ちなみに普通自動車の税金はいったん国に入り、道路面積や延長割合で各市町村に配分されます。
 (したがってその市民で自動車を買ったかどうかは関係ない。)
 その配分されたものが自動車取得税交付金ですが、これは前年比約半減の1.3億円。
 エコカー減税も関係あるのでしょうか。

4.市たばこ税
 2%減。たぶん吸う人が減っているからでしょう。

5.都市計画税
 21.71億円と+2.3%の増加。

6.入湯税
 多摩テックの温泉が閉鎖されたため、0に。
 王様の湯って、日野市じゃなかったんですね。

 
 

気になる本 孟子

孟子といえば性善説が有名ですが。江戸期には孟子(書物という意味で)を載せた船は日本に着く前に沈没するという伝説があったそうです。

それは「人民は専制政府に対して反対し、革命を行う権利を持っている」ことを言っており、そういった民主主義的な政治思想が危険思想と見られていた。ということのようです。

先週の福嶋先生の講演会は、市長・議会・行政、そして何より市民に活をいれるものであり、従来型の物事の進め方に安住したい人にとっては「危険思想」なのかもしれません。
講演会を聞きながら、「よく市がこの講演会を主催したな」と思いながら、孟子の話を思い出しました。

ちなみに孟子を載せた船は難破する、という話は世界の名著「孔子・孟子」から。昭和41年発行ですが、新しい版は出ているかな。

 福嶋先生の講演の内容は、バリエーションはあるものの、大体全国で同じ趣旨のことをお話されているようです。下記のリンクは日野市で行われたものではありませんが、内容的にはこんな感じとおもっていただければ。
  文章で読みたい方はこちら。(白井市での講演)
  動画で見たい方はこちら

2010年3月25日木曜日

キャラクター関係2題

読売新聞地方版3月25日から2点。
1.羽生キャラ着ぐるみ化計画 募金目標あと一歩
「羽生市が、マスコットキャラクター「ムジナもん」の仲間たち5体の着ぐるみの製作を目指し、市民に募金を呼びかけて約3か月になる。「ゆるキャラ」人気で地元の関心は高く、募金額は既に200万円を超えた。目標額の250万円まであと一歩に迫り、このペースなら、秋には「ムジナもん」が仲間の「ザ
リガニ博士」たちと一緒に市内に繰り出す姿が見られそうだ。」

羽生市の財政白書にも登場している「ムジナもん」、たぬきではなく、ムジナモが由来のようです。
(関連記事こちら

2.コバトン400種類に
県のマスコット「コバトン」の公式デザインが、2005年1月の“就任”から5年余で、計400種になった。県広聴広報課は「これだけ種類のあるキャラクターはほかの都道府県でもないのでは。今後も新しいデザインを提案していきたい」と意気込んでいる。


 コバトンはかわいいですよね。HPはこちら。誕生秘話とか、面白いです。

2010年3月24日水曜日

河村市長の議会改革案否決、名古屋市議会委

読売新聞(たぶん) 3月24日。
「名古屋市議会の常任委員会は23日夜、河村たかし市長が提案した議会改革条例改正案を否決し、新規施策を一部削って組み替えた2010年度予算案を修正、可決した。
また、民主、自民、公明の主要3会派は、昨年12月の臨時議会で成立した「市民税10%減税」の実施を2010年度だけに限定する改正条例案を可決する方針を決めた。24日の本会議で、議会改革の条例改正案は否決、修正予算案は可決される見通し。
議会改革案は、議員の定数を75から38、報酬を1人あたり年間1633万円から同816万円にそれぞれ半減させ、政務調査費も廃止するもの。しかし、議会側は「半減させる根拠が不明だ」などと反発し、独自の改革案をまとめ、今月19日に全会一致で可決した。

一方、恒久的なものとして河村市長が公約し、昨年12月に成立した「市民税10%減税」についても、議会側は「減税のために市民サービスが低下する」として、とりあえず単年度だけに限定した上で、予算案も修正。名古屋に企業や住民を誘致するといった市長肝いりの新規施策を次々にカットすることを決めた。」

報酬が一人当たり年間1633万円って本当? 議会費の間違いじゃないか。 (日野市の平成20年の議会費が一人当たり1500万。)ということで調べてみた。
名古屋市の議会費は平成19年度で24億円。議員75名で割ると、3200万。議会費ではない。
決算カードで見てみると、議員報酬は月額99万円。12ヶ月で1200万。
そうすると、ボーナス400万ということになるが、ずいぶん高い?

ちなみに日野市は平成20年度で議員報酬16439万円、ボーナス8374万円なので、
一人当たり、報酬633万円、ボーナス322万円。合計955万。

報道によると、「年間800万円じゃ議員になろうとする人はいない」といっている議員がいるとのことですが、それはいいすぎ。多くの市町村議会議員はそれぐらいでやっているのでは。
 
 それと注目したいのは政務調査費、月50万円だとか。年間600万。これは高いぞ。
 日野市は”年間”50万円です。日野市の12倍。一人当たり。
  まあいくらが妥当かというのはわからないのですが。


 今後の名古屋市に注目です。

2010年3月23日火曜日

春日部市民が作った財政白書入手しました。

このブログでも取り上げた春日部市の市民財政白書「春日部市のふところ事情」入手しました。

特徴は、平成15年にぶぎん地域経済研究所がおこなった財政健全度の比較分析を、平成19年度の決算データに基づいて行っていること。
目の付け所が面白いです。
埼玉県は全国で最も市の多い県ですが、40市の比較をかなり丁寧に行っています。
(総額と一人当たりを主な項目ほぼ全てに行っている!)

春日部市のデータをじっくり見たのは初めてですが、苦しそうです。
一人当たりの歳出で見ると各項目(公債費除く)とも少ないのに、歳入(特に市税収入)が低いのが利いている感じがします。

話は戻って、ぶぎん地域総合研究所の分析手法を再現した点。評価手法を報告書などで公開していたので、もう一度分析ができたのだろうと思います。
評価をするときに、その手法を含めて公開することの重要さを感じました。

2010年3月22日月曜日

財政白書 全国行脚終了

このブログのプロジェクトとして、昨年来あげさせていただいていた財政白書全国行脚。
北海道から沖縄まで各市をとりあえず一通り見ました。
市によっては財政資料がどこにあるかわからず苦戦したりしました。
大体850ぐらいかな。町村は見ていません。
東京からスタートして1年以上かかりましたが。
ホームページのほうには中国地方ぐらいまで載せています。
しばらくしたら九州地方まで更新されるかと。

あと定期的に更新をしようと思うと、他にできることがなくなるので、行脚は今回でおしまい。
今後はGoogle検索に係ったものを中心に更新しようかと思います。

他に情報があればください。
よろしくお願いします。

2010年3月21日日曜日

財政白書未来の今 9

昨年連載した財政白書の未来。
その1年後の今を検証します。前回のつづきです。ちなみに、連載の第9回はこちら。目次はこちら
まとめてみたい方はこちら(一番上のPDFをダウンロード)。青文字が1年前の記述又はそのサマリー、 黒文字が現状のコメントです。

第九回 財政白書とコミュニケーション
 ・財政白書(総論編)の目的は主に「多くの市民に市の財政状況を知ってもらう」ということ
 ・各論の白書は、行政側としては「施策に理解を示してほしい(施行がスムーズにいくようにしたい)」
  市民側としては「行政にわれわれの考えを反映してほしい」 という方向に向かっていく。
 ・つまり発信するだけではなく、その結果を求めるようになる。

 ・共通のデータに基づき分析し、それに基づいて議論をする
  →その議論はどのようになされ、どう反映されていくのか。
 ・行政や市民が財政白書を発行することによる効果はいまのところまだ明らかになっていない。

 ・ごみ処理場など市民の間で議論を巻き起こす問題についていくつもの市民グループや個人が白書を作って、ネット上に上げたりしている場合はどうすればよいか。

 現状では行政や市民が財政白書を発行することによる効果は相変わらず不明。

・行政としてはこのようなものについて、無視を決め込むこともできる。
・市民参画やパブリックコメントを無しで済ませられるものなら済ませたいと本音で思っていたら、
 いかなる仕組みがあっても意味はない。市民参画と唱えても、その声が反映されていないと
 わかれば参画する市民はいなくなる。
・生活に密着した知恵は最前線の市民生活の中に眠っている。
 地域の知恵を施策に生かせるかどうかが、今後の市町村の行政運営能力を左右するようになる。

・そのような中で市民の声を拾い上げる議員の役割というのは重要になってくる。

・現状市民参画といっても、実際に参画している人には偏りが生じている。裾野の広い、実効性のある市民参画の仕組みをいかに作り上げるかが今後非常に重要になるでしょう。
・行政側も市民側も「自分の考えを変える勇気」をもつべき。
・最初から自分の考えを変えるつもりがなければ、いくら参画をしても実のある議論は生じない。
・データと事実に謙虚向き合い、自分の考えや思いにとらわれ過ぎないようにしなければならない。
・特に組織をバックに係わる人は組織の思いが重視され、事実の捉え方に無理が生じてしまう。
  
・いつのまにか財政白書の話ではなく、市民参画の話になってしまいました。
 この分野については正直筆者の力量を超えてしまっている部分があります。
 この点については長期的な検討課題としていきたいと考えています。

市民参画の問題はこの連載からさらに1年たち、より大きなテーマとなってきたと思います。
 このテーマで今後、連載をしていくつもりです。

講演会に参加しました。

昨日 第五次日野市基本構想・基本計画 2020プラン策定事業主催の
講演会「市民自治と新しい公共」が行われました。
講師は元我孫子市長の福嶋浩彦さん。

七生公会堂で行われました。
実にすばらしい内容、「あっそうだったのか。」「なるほど」「すごい」と思うことが多く、感動しました。

一度の投稿では伝えられませんが、概要を。

参加者は約85名。直前に広報にも載りましたが、2020策定委員には以前から告知していたためか、(2010ステップアップのメンバーにも直前にメールが入っていました)新しい策定委員が多かったと思います。
半分弱が60歳以上の男性、女性は1.5割ぐらい。市の職員もいらっしゃいました。
 市長の姿は見えず、議員さんも見かけませんでした。

内容のうちごく一部のフレーズを・・
  • 「公は『市民の公共』のみがあり、『官の公共』など存在してもらっては困る」
  • 「公は市民だから、官が公を名乗ってはいけない。」
  • 「市民と行政が対等であることをことさら強調する行政があるが、対等以前に市民が主人であることを忘れてはいけない。」
  • 「市長が市民協働で決めることは義務であり、「広い心で市民の話を聞いてやろう」というものではない」
  • 「補助金は既得権になりやすい。我孫子では補助金は3年で一回必ず廃止する。」
  • 「市民が怒り狂っているところに正面から向き合うことが重要。」
  • 「市民同士が話し合って合意を作ることが重要。市はそれをコーディネートする役割。」
  • 「分権というのは国が市に権利を分けてやるのではなく、主権者たる市民が、配分の仕方をかえるもの」

講演後質疑が2点あったのですが、70歳超と思しき市民が、マイクを取り上げられても一方的にいつまでも話そうとしていたのが残念。
市民参画で市民を交えた会があると、主にご高齢の方が場の流れに関わらず、自分の言いたいことを話しまくって、時間を支配するというのはよく見られる光景。
やることがいろいろある世代の参画を妨げている一つの要因ではないかと改めて思った。

新宿区で市民財政白書の動き?

TFS総合会計事務所のブログより。(リンクはこちら
先日一回目の勉強会があったようです。
白書づくりに成功すれば23区内では初となります。

2010年3月19日金曜日

行政経営フォーラムのツイッターに参加しました。

フォーラムそのものの存在は今まで知らなかったのですが、(リンクこちら)ツイッターでフォローしているmayumizoさんの告知でしりました。22:00~23:30 ツイッター上でいろいろと書き込み。
 荒れることもなく、有益・刺激的な議論ができました。
 話題となったワードは「分マニフェスト」「モジュール化と市民クラウド」「予算のわかりやすい資料」「市民と行政の業務の分け方」などなどいろいろ。

 独特のスピード感と緊張感があり、非常に充実しました。僭越ながらいろいろと発言もさせていただきました。このわずかの時間でフォローとフォロアーが一気に(とはいっても6名ぐらい)増加。
 財政白書の未来で書いたモジュール化についても、興味を示してくれた方がおり、とても心強く思いました。

2010年3月18日木曜日

小金井市:新ごみ処理場、月内に建設地決定

毎日新聞 3月16日
 先月建設決定とのニュースをこのブログでも紹介しました。報道によると
小金井市の稲葉孝彦市長は16日の市議会ごみ処理施設建設等調査特別委員会で月内に旧二枚橋焼却場跡地を新ごみ処理施設建設地として決定する方針を明言した。」
とのことですが、この前の日曜日の説明会は大荒れのようで、敷地となる土地がある府中市や調布市の了解もとっていないとか。説明会では資料も配らず、代案もなかったそうで(説明会に出席された方のツイッター情報)、簡単に決着がつきそうな状況ではなさそうです。

2010年3月17日水曜日

杉並区 減税基金条例案可決

各紙で報道されています。
 基金を作ってその運用益を現在の財源に充てようというもの。

 各紙によっていろいろ評価あり。
  朝日新聞はやや否定的
  「年収300万では10%減税しても1800円に過ぎない。」
  「他の地域から高所得者が移転する可能性がある」
  「行政改革でこれまで以上に民間委託や非常勤職員を増やすことは「自治体が率先してワーキングプアを生み出すこと」という声もある」(意味不明)
  サンケイニュースはやや前向きか
  「行政改革により財政状況をよくしてきた」
  「基金を積み立てるために行政サービスが低下するのでは、という声に対して低下させないという付帯決議」を紹介。

 残念ながらこの条例のよしあしを判断する知識も材料もない。一ついえるのは他の地方自治体以上のサービスをしてても、借金を減らし基金を残せるだけの財政力があるからできるということ。ちょっとまねできないと思ったりする。
 あと気になるのは何で運用するのか。 国債ですかね。。。。?

2010年3月16日火曜日

財政白書の未来の今 8

昨年連載した財政白書の未来。その1年後の今を検証します。前回のつづきです。
ちなみに、連載の第8回はこちら。目次はこちら。まとめてみたい方はこちら(一番上のPDFをダウンロード)。青文字が1年前の記述又はそのサマリー、 黒文字が現状のコメントです。

第八回 財政分析の担い手 ~組織化と担い手の課題~
 財政分析を担う市民とは誰なのか。
 担い手となる市民の条件は
 ①市の財政に興味を持っていること
 ②データを収集し、分析し、評価する気力があること
 ③時間がある程度自由になること の3つ。そして実際に財政分析に携わるのは、上の条件に当てはまる人の中で他のことに優先して取り組むだけの動機付けと始めるきっかけがあった場合。
 上記の条件を満たす市民の存在密度は低く、人口の0.01%~0.1%程度。したがって、単に個々人が興味を持っている・能力も時間もあるというところを超えて、市民が集まって実際に白書をまとめるというようなアクションに至るまでには、これらの人の組織化ということが必要。

 ②の条件を除けば、おそらく0.01%よりは0.1%に近いと思う。
 総合計画の市民参画メンバーが一同に会して(50人!)一人一言話したときに、意外と財政に興味があるといった人が多かった。確かに応募してくる人を母集団としているのでサンプルは偏っているが
、それでも財政への関心は、考える会が結成された2001年よりはかなり高まっていると思う。
 
 組織化のためのそのきっかけとしては下記のパターンがあるようです。
 1.公民館などの財政講座の受講生が自主的に組織を作った場合
  ・多摩の多くの市がこのパターンを取っていることが多いようです。特に何回か連続した講座の場合に効果が大きいようです。単発の講座の場合には、議員さんなどが興味を示す例が多いですが、なかなかその後が続かないことも多いようです。

 日野市でも毎年財政講座が開催されており(講師はだいたい大和田先生。ゲストでわれわれがお話することはありますが、そのときは先生はいらっしゃいません。)、講座の最後のほうで「作ってみたいですか?」と先生がいうと「うんうん」とうなづくのだが、実際にその後何らかの形になったのは1回ぐらいではないか。(その際は印刷物にはならなかったようだ。)

 2.行政が総合計画策定などのため市民を集めた中から、組織化された場合
  ・日野市の健全財政を考える会はこのパターンでできた会を源流に持ちます
 小平市は2のパターン+1という感じのようです。

 3.特定の団体の後押しにより白書が作られた場合
 4.一定の事業に反対するあるいは疑問を持つ市民によるもの
 5.もともとの地縁・人のつながりをベースとしたもの
 その他、最近は大学の講座で白書を作成している例があります。(奈良市、宮崎県)
 
 今後出てくる可能性のあるパターンとしては
 6.議員や政党の支援によるもの
 
 小松島市、伊勢原市はこのパターン。市民が作成したものでも政党の支援を受けているとうわさされるものもありますが、真偽のほどは確認できません。

 7.ネット上での呼びかけによるもの
 いまのところないようです。

 財政白書の担い手の面での大きな課題は、現状では担い手がどうしても高齢者に偏りがちという点ではないでしょうか。時間があるという面では、学生もその中に入るのでしょうが私が知る限り他に事例はないようです。鎌ヶ谷が大きく取り上げられているのはそれだけレアなケースであることもまた確かだからでしょう。

 最近は学生が作ったものや、40代ぐらいの方が中心となったものもあり、必ずしもそうはいえないようです。

2010年3月14日日曜日

財政白書の未来の今 7

昨年連載した財政白書の未来。その1年後の今を検証します。
前回のつづきです。

ちなみに、連載の第7回はこちら。目次はこちら。まとめてみたい方はこちら(一番上のPDFをダウンロード)。
青文字が1年前の記述又はそのサマリー、 黒文字が現状のコメントです。


第七回 情報発信の未来 その2 ~白書の動画化~
 市民からの情報発信の今後の一つの形として、動画による情報発信がされる可能性があります。
 動画のメリットとしては
 ①(少なくとも当面は)話題性がある
 ②(通常のIT環境さえあれば)ハードルが低い
 ③(映像の作り方によっては)訴求力が高い
 ④(ビデオを撮るだけならば)コストが低い
 ということがあげられます。

 動画を作成してみて思いましたが、1年前の私は動画をなめていた気がする。
 極端に言えば、カメラを用意して、その前で話をしさえすれば動画になると思っていた節がある。
 インタビューのように一発撮りができれば別ですが、シナリオを作って場面転換をしていこうと思えば相応のソフト(PCに無料でついてくることもあるようだ。)が必要になります。正直今回の日野市の動画版もメカニカルを担当いただいた方がいなければちょっと厳しかったかも。
 
 特に③の訴求力を活かし個別の施策に係わる提言をする際には、動画が大きなインパクトを与えられる可能性があります。
 上記のようなメリットがあるとはいえ、ニコニコ動画で200万以上(2009年2月現在)、YOUTUBEは4000万以上(2007年1月現在)の数の動画があり、ホームページ上の白書と同様埋もれてしまう可能性は高く、見てもらうためにはなんらかの戦略が必要となります。

 2010年3月にはニコニコ動画が380万以上、YOUTUBEの方はもうわかりません。

 動画化は市民側からは手軽でインパクトのあるPR手法として、行政側からは住民理解を求める手法として利用が進んでいくことが考えられます。

 行政側でいうと地元CATVで施策をアピールすることはありますが、議論があるようなことに対して、住民理解を求めるところにはあまり使われていないようにも。

 動画化に関しての注意点として
 ①見えやすい問題にばかり目がいくこと
  ・映像になりやすいことは取り上げられやすいものの、財政赤字とか粛々とがんばって数字をあげている状況には光が当たりにくいという欠点があります。財政分析の初期の段階ではわかりにくい、見えにくい財政を見やすくしよう。ということだったのですが、映像化によって見えにくいものをみることから離れていってしまう傾向にある。
 ②分析がおろそかになりがちなこと
 ・動画においては地道な分析よりも、自らの主張に重点を置いてしまいがち。ややもすると分析抜きに過激な物言いをする動画ばかりが注目を集めることになりかねず声高な主張と罵り合いの応酬になってしまう危険性も持っている。
 ことを指摘し、その動画を見る側、分析する側がその特徴を充分に心に入れた上で、もともとの財政白書・分析の主旨を忘れないように活動することが重要としています。

 現状はここまで来ていないところです。むしろわれわれがテレビに接する場合に注意すべきことといえるかもしれません。

2010年3月13日土曜日

大規模事業 小平市と日野市を比較

小平市の市民財政白書で大規模事業の分析があったので、日野も分析をして比較してみた。

大規模事業というのは、東京都バージョンの決算カードでは大規模事業が記載してあるため、集計ができるのです。おお。
小平では昭和62年から平成18年を集計していますが、日野市は昭和60年から平成20年までを集計。
 期間は違いますが、傾向は見えるかと。

小平市の場合は
1:道路関係 333.95億円(うち都市計画道路283億円)
2:土地購入 189.61億円
3:市民文化会館 142.88億円
4:公園関係 113.16億円
5:学校関係 87.84億円
6:地域センター 75.87億円
総合計 1032億円

日野市の場合は
1:土地区画整理事業 635.49億円
2:学校関係 154億円
3:ゴミ処理・し尿 85.37億円
4:道路関係 72.05億円
5:市営住宅 50.99億円
6:公園関係 47.08億円
総合計 1210億円

 意外と違いがあるものなのですね。日野市は土地区画整理事業が圧倒的に多いことが特徴。
 道路や公園が少ないように見えますが、土地区画整理事業の中に含まれている部分が相当あるものと思われます。
 小平市は土地を別個に算出していますが、日野市の土地取得費を集計すると約98億円です。
 ただし、土地開発公社に取得させている部分もあります。ちなみにこの間取得した土地の価格はなんと423億円。その後市に譲渡している部分が相当あるので、単純な合計はできませんが。
 
 また下水道や病院は特別会計なので、決算カードには出てきません。
 病院は約100億円、下水道は債権の残高から考えると、400億円程度は投資されていると思われます。(まだ調べていませんが。)
 またゴミ処理などは一部事務組合で行っているところもあり。結論としては一概に比較できないということか?  うーん、つまらぬ結論だが。
 

財政白書の未来の今 6

昨年連載した財政白書の未来。その1年後の今を検証します。
前回のつづきです。

ちなみに、連載の第6回はこちら。目次はこちら。まとめてみたい方はこちら(一番上のPDFをダウンロード)。
青文字が1年前の記述又はそのサマリー、 黒文字が現状のコメントです。

第六回 情報発信の未来 ~市民からの情報発信の課題~
 現在のところ、市民が作った財政白書を発信する方法のひとつとして確立されている方法は
 ①財政白書を作成し印刷する(1000部ぐらい)
 ②マスコミを招いて完成発表する。(読売、朝日の地域版に取り上げられる)
 ③本屋においてもらう(発行した市及び隣接市ぐらい)
    おおよそ一冊500~1000円。多いのは1000円。 今のところペイしている例が多いとのこと。
 であり、大和田先生の指導を受けて財政白書を作っている団体はほぼこのような方法をとっている。
 最初の印刷費(少なくとも30万はかかっているだろう)をどうするかという切実な問題はあるものの、出版するという大きな目標ができるというメリットがあります。多摩地域で財政白書が多く刊行されているのは大和田先生によりこの方式が広められているという要因もあると考えられ、大和田先生の功績は大きいといえるでしょう。

 大和田先生のルート(?)で安く印刷できるところがあるようです。(小平市の方から伺いました)支払い条件もかなりゆるいらしい。

 一方この方法を続けていくには、将来大きな壁が立ちはだかってくると予測されます。
 ひとつはニュースバリューの低下です。最初は市民が財政白書を作るということ自体がひとつのニュースになりましたが、多くの市で作られるようになると、後発になるほど目新しい何かがないとニュースとしての価値がなく、新聞等に取り上げられなくなります。
 これは本の売れ残りのリスクにもつながるので、後発の市ほど不利になる傾向にあります。

 多摩地域ではすでに市民が財政白書を作ること自体はニュースにはほとんどならないという状況です。特に2本目以降は。

 ホームページなどのインターネット上での発信は、売れ残りリスクはないが、マスコミへの訴求力が弱く、市民一般に知られにくいという欠点があります。

 日野市はHPでダウンロードできますが、おそらく紙の白書が売れた数よりはダウンロードされていないと思われます。

 一方でインターネットは見られる環境さえあれば、紙の白書に比べ地域的にも部数的にも範囲が限定されないこと、ホームページへのコメントの受信など双方向性を持ちやすいこと、からうまくいけば市民に広めるという点から効果が高くなる可能性もあります。

 逆に紙の白書は初期投資がかかっているだけに、どうしてもそれを回収するという意識が生じて、HPなので公開しにくい。ゆえに地域的な広がりを持ちにくいという欠点があるように思います。
 私はいくつか財政白書を個人的に入手していますが、よほど関心がなければいくばくかでもお金を出して買うのはハードルがあると思われます。

このような可能性のあるネット上の白書ですが、残念ながらネット上での効果的な情報発信について将来の方向性を現在のところ示すことはできません。いずれにせよ紙ベースとは何か異なる戦略を持たなければならないことは確かなようです。
 紙とホームページのハイブリッドというのもあるようですが(ニセコ町の予算説明書)、これが成立しているのはニセコ町がトップランナーであるからという点が大きく、同じことをしても成功できるのは非常に限られることでしょう。

 わかりやすい説明書はニセコが有名ですが、各市町村を見ると同じような説明書はあちこちで作っているということに気がつきます。その中でお金を出してもらえる可能性のあるところはごくごく限られています。

このブログについて(Ver.2)

昨年12月7日以降 変更があったので一部変更。
このブログの使い方のガイダンスです。

○日野市健全財政を考える会って何?
日野市の財政状況や今後の行政のあり方を市民の視点で分析し行政と検討しながら、その内容を財政白書にまとめ、多くの市民の方々に、私たちの将来や子孫の未来のため、極力、負の遺産(借金)を残さないように行財政改革を推進していくことを目的に活動をしています。
活動経緯については、財政を考える会のHPに詳しく書いてあります。


○ブログと健全財政を考える会の関係は?
健全財政を考える会の副代表の個人的なブログです。


○どういう情報があるの?
地方財政を中心に、市民参画、地方分権、日野市の話題など、興味のある情報を記事にしています。
まとまったコンテンツはこちらの市民財政白書ライブラリにアップしています。
①全国各地の財政白書へのリンク(随時追加中) や
②連載したコラムなどのまとめ を掲載しています。


そのほか適宜更新している情報は
①財政や日野市に関するニュース・話題。市や総務省のプレスリリース。
②本や各種資料の紹介
③各地の財政白書の紹介
④財政や市民参画に関するテーマを扱ったコラム
⑤財政を考える会の活動報告 などがあります。
 最近はツイッターで見つけた話題を紹介することも。


○便利な使い方
・何か調べたい場合は左上のボックスに言葉を入れて、ルーペのアイコンを押してみよう。

・記事の下のラベルをクリックすると、関連する記事が出てきます。
・ページ右上はお勧めコンテンツ。
  
 おっと、画像は古いですが。

更新頻度は低いですが、会の活動がわかるものや、まとまったコラム、注目のニュースなどを紹介。

 その他、関連リンクもあります。

2010年3月12日金曜日

財政白書の未来の今 5

昨年連載した財政白書の未来。その1年後の今を検証します。
前回のつづきです。

ちなみに、連載の第5回はこちら。目次はこちら。まとめてみたい方はこちら(一番上のPDFをダウンロード)。
青文字が1年前の記述又はそのサマリー、 黒文字が現状のコメントです。


第五回 市民による財政分析の未来 その2  ~モジュール化とネットワーク化~
 各論について市民が分析をする際のもう一つのハードルは分析手法が確立しないことです。
 もちろん情報と時間さえあればできますが、時間が自由に使える人しか参加できないというのでは財政分析の動きが広まっていきません。

 各市の抱える問題は個別性が高いものです。その市の財政に影響を及ぼす主な論点のバリエーションは市の数と同じ数だけあるかもしれません。
 一方、例えば国民健康保険に関する問題のように、ある程度細かい問題に区切ればその内容は共通点が多くなると予想されます。
 細かい問題に区切って分析をした場合、その分析をした手法や表は他の自治体でも活用可能です。これを市境、県境を越えて広く共有できれば、分析の手間が軽くなると共に、既にあるものをベースに考えることにより、よりよい分析が可能になるものと考えます。
 このように、問題を細分化して広く共有化できるものにすること(モジュール化)とそれを多くの人で共有し情報を交換しながら内容をよくしていくこと(ネットワーク化)が、今後各論の分析を市民側で進める大きな助けとなるでしょう。

 そのイメージは下図



 結論から言うと、、、、、。外しているな。。。いまのところ。
 これが広がるのはある程度、各地で分析が進んだらということでしたが、その前段階にもいたっていないので。
 あともう一つ。市町村財政状況等調というのが総務省から出ており、なんと全市又は全町村のデータがエクセルになっているのです。1年前は気がつかなかった。
 おそらく、これがあれば、ネットワークとモジュール化はしばらく不要な気がします。

宇土市 市民マニフェスト

熊本県宇土市。今年の4月に市長選のようです。
宇土市民マニフェスト研究会による市民マニフェストが作られたようです。
ブログではなかなか全貌をとらえられませんが、市民が半年前から勉強を続け、市民からアンケートをとり、まとめて候補者にとどけ、回答をブログに公表したようです。
 ブログはこちら
なかなか面白い試みと思ったら、志木市と青梅市、川越市で似たような取り組みがあったそうです。
志木市では2004年ごろ穂坂市長が、志木市民の有志を募り「市民委員会」なる組織つくり、約1年間かけ志木市の事業全部を見直し、予算書を議会へ提出よう求めました。(上記ブログ記事による)
 市長が変わってしまって、現在は行われていないようですが。

 青梅市の活動内容はネットではどれか判明せず。川越市は市民マニフェストを作成したようです。

 市民がみずから市政全般について計画なり構想なりを作るというのは本当に大変なこと。すごいことと思います。

2010年3月11日木曜日

わがまち防犯隊

中田元横浜市長のツイートから。
 埼玉県はわがまち防犯隊という自主防犯隊が県内に5000もあり、重要犯罪の検挙率が上がったのだそうです。(空き巣が減り、重要犯罪へ力を注げるようになったらしい。)
 地域のコミュニティの大切さを改めて感じます。

春日部市 市民財政白書

3月11日読売新聞

春日部市の市民グループが10日、市の財政状況を独自に分析した「春日部市のふところ事情」(財政白書市民版)をまとめた。2007年度の各種指標をぶぎん地域経済研究所が県内市町村の財政健全度を格付けした際の手法を参考に総合評価したそうです。
 作成したのは「春日部市の財政白書をつくる会」。
 それによると春日部市は県下最下位だったとか。同会は、市の財政の厳しさを実感したが、「行政を批判するのが目的ではなく、市民が分かりやすいデータを共有し、市が唱える行政と市民の協働に少しでも役立てば」と話している。」
このところ市民の白書の記事が増えていますね。多摩地域も出ているのですが、ほぼ一巡したのであまり大きく取り上げられなくなっている気がします。

 

2010年3月10日水曜日

財政白書の未来の今 4

昨年連載した財政白書の未来。その1年後の今を検証します。
前回のつづきです。

ちなみに、連載の第4回はこちら。目次はこちら。まとめてみたい方はこちら(一番上のPDFをダウンロード)。
青文字が1年前の記述又はそのサマリー、 黒文字が現状のコメントです。

第四回 市民による財政分析の未来 その1 ~越えるべきハードル~
○各論の分析を行ううえでのハードル
 市民が各論の分析を行ううえでのハードルとして
 ・財政データのみならず、行政データ・統計データを集めなければならない
  ~ 行政内部の資料は開示されていないことが多い。情報公開も難しい。勤め人は時間がない。
 ・それぞれの市によって各論となるべきものが違う。したがって分析の手法に一定の方法がない
  ~ そのため分析の方法を考えるところからのスタートとなり時間がかかる。
 一般的に、市民(特に会社に勤めにいっている人)にはあまり時間がなく、情報収集力も行政に比べれば劣り、各論にかかわる分析を行っていくうえで、行政とのハンデは大きい。 このような状況に対し単に市民側の”がんばり”だけに期待するにはおのずと限界があり、行政としてもよりよい市政運営を目指すのであれば、そのハンデに安住するのではなくそれを埋めるようにするべき。
○ハードルを越える方向性
①行政として情報を開かれたものとしていくことが必要。基本的な行政情報については誰でもアクセスできる形、なおかつアクセス及び分析しやすい形で公開すべき。 ホームページ上のたどり着きやすいところに、できれば表計算ソフトで読める形式で
②分析単位の細分化(モジュール化)と細分化したもののネットワーク化
 → これは次回のテーマ。
 実際にこれができるようになる前提は、先に示した情報収集上のハードルが多くの市町村である程度以上低くなっていること。財政白書作りが広まり、相当数の市町村で各論の分析を行おうとする動きが出てくること。であり、そのようになるためには、ある程度の時間を要するものと考えられます。

現状は少しずつ情報提供が進んできているといえます。そんなに急激に進んだともいえないですが。
進捗の状況は市町村によってまちまち。
あと他の市を調べるのが難しい。 HP上の場所も、あるデータも市によって異なるので、なかなか手間。都道府県のHPで調べるという手もありますが。
東京都の場合はかなり充実しています。日野市のデータもそこで取ったほうが早かったりする。
問題は全国データ。省庁毎に分かれているので、探すのが面倒です。

ということで、このブログでも各論づくりでデータのありかなどを紹介しているのですが、、、、あまりブログの方の記事も進まないところを見ると・・・・。まあ察してください。

考えよう西和賀の財政 有志が住民講習会開催

岩手日報 3月9日

「西和賀町沢内字新町のさわうち協立診療所に勤務する有志7人は20、21の両日、同町川尻の湯夢(ゆめ)プラザで「町民の手による財政白書作り講習会」を開催する。東京から講師を招き、参加者が町の財政状況を分析。「厳しい財政」の現状と要因を探り、行政参加に対する関心を高めていく狙いだ。」

講師は大和田先生。東北では珍しい取り組みでは?
(奥州市の議員の方が講座に参加したことはあったようですが。)


2010年3月9日火曜日

気になる本 横浜改革中田市長1000日の闘い

相川俊英・横浜改革特別取材班著 2005年発行

 図書館から借りてきました。読んでる最中です。

 横浜での改革が、職員の創造性を引き出すことで進められた点を、カルロスゴーンが社内の英知を集めて改善策を成長戦略を打ち出したことになぞらえての次の一節。
「現代の救世主とはトップダウンですべてをなすものをいうのではなく、ましてや既存のものを壊し、新しいものを作り上げる人間を指すものでもない。今あるものに可能性を見出し、認識を共有しながら選択と集中の舵取りを行っていく者のことをいうのではないか。
救世主がやってくれば自分たちが何をしなくても変われる、英雄が一人で暗雲を消し去ってくれる時代はすでに過去のものとなったのである。」

一方で市長がメディアをうまく使いながら自分のメッセージを伝えようとしていることを紹介しつつ、市長の偶像化が進んでいることを紹介。
逆にカリスマ性がですぎて、頼りすぎになってしまう面があるのかも。

みんなこのままではいけないと思ってを求めている。

ただし自分以外。

オバマが大統領になれば、政権が変われば、自分は何もしなくても世の中よくなると思ってしまうことが多い。変われといわれたら被害者意識を持ってしまう。 というのではだめなのだ。 たぶん。

ある人が大鉈を振るえば全て解決みたいな映画みたいなことは、この複雑な世の中では起きない。結局一人ひとりが少しずつ変えていくしかないのだ。

中学校の再利用 階段の段差基準がネック

毎日新聞 2月11日 ちょっと古いですが、ツイッターでフォローしている方からの情報。

「小中学校の統廃合で「須賀川中学校」を「須賀川小学校」として再利用する計画を立てている大田原市は、階段の「けあげ」(段差)基準に頭を抱えている。建築基準法では小学校は「16センチ以下」、中学校は「18センチ以下」。今回のケースは小学校の基準を0・7センチから1・8センチ上回るわずかな差だ。基準を設けた60年前に比べ、児童の体格も向上しており、市は「安全性が損なわない範囲」と指摘。改修費節減を踏まえ、国に対し基準緩和措置を要望した。」

小学校に行かれた方は、やたらに窓が大きいと思った方もいるのでは。小学校は窓の面積が床面積の1/5以上でなければいけないと建築基準法にあるのです。60年前なので空調もなく、日光の殺菌作用に衛生環境の維持を頼っていたころの基準がそのままです。
もし、窓の基準が緩めば、冷暖房の省エネにもなり、天井を張ることでいろいろな改修が可能になるように思うのですが。

2010年3月7日日曜日

動画版の形が見えてきました。

本日、考える会打ち合わせ。
動画がDVDに収められた形になったものを見ました。ちゃんとラベルも貼ってあり、感動しました。
なんとDVDプレイヤーで見られるので、PCがない方でも大丈夫という優れものになっています。

3月に納品、4月にリリースできればと。


監査結果に基づく措置

日野市3月2日発表
 リンクはこちら
 監査のページはあまり見ることがなかったのですが、新着情報で注目。
 
 「財政援助団体監査結果」ということで、社会福祉協議会の運営費と事業費の比率が、運営費の方が多いという指摘がありました。
 要するに、地域福祉のための事業を行う経費よりも、協議会の組織の維持の費用の方がかかっているということ。
 日野市から運営費の補助で約8000万(平成20年度)、事業費で1700万円の補助が出ています。

 詳細は、このブログでも紹介しています。リンクはこちら

2010年3月6日土曜日

財政白書の未来の今 3

昨年連載した財政白書の未来。その1年後の今を検証します。
前回のつづきです。

ちなみに、連載の第3回はこちら。目次はこちら。まとめてみたい方はこちら(上から4番目のPDFをダウンロード)。
青文字が1年前の記述又はそのサマリー、 黒文字が現状のコメントです。

財政白書の未来
第3回 財政白書の未来形 ~ 財政白書は計画指向へ~


各論の分析を進めていくと、市民側の財政白書は分析から提言へ、行政側の財政白書は市民の参画による施策の策定を見据えるものへと進んでいくものと考えられます。
 ところで、近年は施策の策定の段階から市民参画を行う市が多くなってきました。総合計画をはじめとして個別の○○プランというようなものの策定においても、市民を委員とするなど、計画段階から市民の声をいれようという取り組みが広がっています。

 日野市では、各種計画への参画の取り組みがさらに進み、毎月のように新しい市民参画の委員会が立ち上がっていますが、最近は参画する市民が少なく、かつ限られてきている(いつも同じメンバー)という状況が生じてきているようです。

 この会では、計画に財政的な裏づけが必要となっていくることを書いており、その上で、このような方向で進んでいくと、分析や検討が施策単位で行われることになる。
 今後は財政白書は、各論指向・計画指向を強めるなかで
  ”行政と市民が協働で施策を評価・計画するプラットフォームになる。” 
  と考えられます。 下にそのイメージを示してみました。


 
 現状では、計画面と財政面の議論がリンクすることの重要性が認識されるようになりつつありますが、実際にリンクされて運用された事例をまだ知らないので、誰かご存知の方がいれば。

 現在は財政白書の総論作りがいろいろな市町村に広まっている段階ですが、既に(特に市民により)財政白書の発行が行われている市では、各論化が進んでいくでしょう。そしてそれを受けるような形で過去および現在の分析評価から、将来の計画作りへと広がっていくと考えられます。
 当面は総論づくりの広がりと各論への深化が進むと考えられますが、次回以降述べることにより、ある程度総論づくりが広がった段階で各論の深化が加速度的に広さと深さをもってくると考えています。
 とはいえ、このようなことが実現していくには実際には相当の時間を要するものと思われます。
 これは将来のひとつの理想形ですが、実現にはいくつものハードルがあります。 
 次回以降そのハードルのうち 市民による財政分析に係わる課題、コミュニケーションに係わる課題につき、そのハードルを乗り越える動きについての展望を述べていきます。

 このコラムからまだ一年というスパンでは、まだ形となる変化は出ていないようです。
 当の本人はこれを書いた時点よりもやや悲観的かも。
 これについては次回以降のコラムで

平成22年度予算案が出たようです。

日野市のHPに公開されました。
 3月議会の議決が必要なので、まだ案の段階ですが、大枠は変わらないでしょう。
 議決しだいそのページはなくなると思われますので、
  おおむね3月中旬まではこのページ。からアクセスできます。

財政白書の未来の今 2

昨年連載した財政白書の未来。その1年後の今を検証します。
前回のつづきです。
 
ちなみに、連載の第2回はこちら。目次はこちら。まとめてみたい方はこちら(上から4番目のPDFをダウンロード)。
青文字が1年前の記述又はそのサマリー、 黒文字が現状のコメントです。

第2回 財政白書の未来形(その1) ~ 財政白書は各論指向へ~
○なぜ各論指向になるのか
 今後財政白書は市民が作るものも、行政が作るものも各論指向が進むものと考えられます。
 まず、市民が作る財政白書についていえば、総論編のみを継続して出していくのは実際のところ難しく、各論に移っていかざるを得ないという面があります。
 その理由としては
  • 初回は財政資料の分析そのものが新しいものの発見につながる部分があるが、二回目以降は新しい発見はあまりなく、仮にあっても初回ほどではない。
  • 第二回目以降はデータの更新のみであるとはいえ、相当なマンパワーを必要とするが、発表しても初回ほどの話題性およびインパクトはなく、作るモチベーションが下がりがち。
  • 市民が財政白書を作るきっかけとして、特定の事業の実施又は廃止に疑問を感じた市民が動き出した、というようなこともあり、そもそも興味は各論にある。

 があげられます

 二回以上財政白書を出しているところは少ないですが、例えば国立市は2回目では特別会計を取り上げているほか、小平市は次のバージョンはコミュニティバスを取り上げようとするなど、やはりテーマを変えてくるというのが傾向として見えるようです。

 また東村山も二回目を出していますが、ここはもともと各論志向が強く、第1回目は再開発ビル、2回目はゴミ処理をメインではありませんが詳しく取り上げています。

 行政の作る財政白書についても、

 1:行政側の意図としてやろうとする施策又はやめようとする施策、市民に負担を求めることに関して、市民の理解を求めるという動きが出る可能性があること。

 2:市民の理解や興味が高まった後には、「財政状況を十分に理解した市民の参画の下」「市の計画、施策や事業について議論を交わす」という流れになり、そのような段階になれば、そこで行われる議論はそれぞれの計画・施策・事業といった各論になること。

 により各論化が進むと書いています。
 が、実際には財政白書の中で、各論色を強く出しているところはまだないようです。
 現状は健全財政化法や財務諸表作成などに忙しく、市民にわかりやすく説明するところまで手が届いていないようにも思われます。

 また各論があるとすると、財政課以外のページで取り上げられている可能性もあり、単に把握していないだけかもしれません。
 財政面での各論としては、受益者負担の考え方がいくつかの市で、HPでその考え方が公表されています。