2010年3月13日土曜日

財政白書の未来の今 6

昨年連載した財政白書の未来。その1年後の今を検証します。
前回のつづきです。

ちなみに、連載の第6回はこちら。目次はこちら。まとめてみたい方はこちら(一番上のPDFをダウンロード)。
青文字が1年前の記述又はそのサマリー、 黒文字が現状のコメントです。

第六回 情報発信の未来 ~市民からの情報発信の課題~
 現在のところ、市民が作った財政白書を発信する方法のひとつとして確立されている方法は
 ①財政白書を作成し印刷する(1000部ぐらい)
 ②マスコミを招いて完成発表する。(読売、朝日の地域版に取り上げられる)
 ③本屋においてもらう(発行した市及び隣接市ぐらい)
    おおよそ一冊500~1000円。多いのは1000円。 今のところペイしている例が多いとのこと。
 であり、大和田先生の指導を受けて財政白書を作っている団体はほぼこのような方法をとっている。
 最初の印刷費(少なくとも30万はかかっているだろう)をどうするかという切実な問題はあるものの、出版するという大きな目標ができるというメリットがあります。多摩地域で財政白書が多く刊行されているのは大和田先生によりこの方式が広められているという要因もあると考えられ、大和田先生の功績は大きいといえるでしょう。

 大和田先生のルート(?)で安く印刷できるところがあるようです。(小平市の方から伺いました)支払い条件もかなりゆるいらしい。

 一方この方法を続けていくには、将来大きな壁が立ちはだかってくると予測されます。
 ひとつはニュースバリューの低下です。最初は市民が財政白書を作るということ自体がひとつのニュースになりましたが、多くの市で作られるようになると、後発になるほど目新しい何かがないとニュースとしての価値がなく、新聞等に取り上げられなくなります。
 これは本の売れ残りのリスクにもつながるので、後発の市ほど不利になる傾向にあります。

 多摩地域ではすでに市民が財政白書を作ること自体はニュースにはほとんどならないという状況です。特に2本目以降は。

 ホームページなどのインターネット上での発信は、売れ残りリスクはないが、マスコミへの訴求力が弱く、市民一般に知られにくいという欠点があります。

 日野市はHPでダウンロードできますが、おそらく紙の白書が売れた数よりはダウンロードされていないと思われます。

 一方でインターネットは見られる環境さえあれば、紙の白書に比べ地域的にも部数的にも範囲が限定されないこと、ホームページへのコメントの受信など双方向性を持ちやすいこと、からうまくいけば市民に広めるという点から効果が高くなる可能性もあります。

 逆に紙の白書は初期投資がかかっているだけに、どうしてもそれを回収するという意識が生じて、HPなので公開しにくい。ゆえに地域的な広がりを持ちにくいという欠点があるように思います。
 私はいくつか財政白書を個人的に入手していますが、よほど関心がなければいくばくかでもお金を出して買うのはハードルがあると思われます。

このような可能性のあるネット上の白書ですが、残念ながらネット上での効果的な情報発信について将来の方向性を現在のところ示すことはできません。いずれにせよ紙ベースとは何か異なる戦略を持たなければならないことは確かなようです。
 紙とホームページのハイブリッドというのもあるようですが(ニセコ町の予算説明書)、これが成立しているのはニセコ町がトップランナーであるからという点が大きく、同じことをしても成功できるのは非常に限られることでしょう。

 わかりやすい説明書はニセコが有名ですが、各市町村を見ると同じような説明書はあちこちで作っているということに気がつきます。その中でお金を出してもらえる可能性のあるところはごくごく限られています。

0 件のコメント: