2009年4月28日火曜日

日野自、国内販社人員2割減 前期の最終損益618億円

日経産業新聞 4/28より

 「日野自動車は27日、2015年までに8700人(08年7月末時点)いる販売会社の人員を2割削減する方針を明らかにした。自然減のほか整備部門などへの配置転換で販売人員を減らす。国内に42社、250拠点ある販社についても1割前後を減
らす方向だ。国内トラック需要の低迷が続くとみてリストラ策を急ぐ。

 同日発表した09年3月期(2008年度のこと筆者注)の連結業績は、売上高が1兆694億円(前の期比21.9%減)、最終損益が618億円の赤字となった。今期についても国内、海外、トヨタ自動車からの受託生産とも販売台数が減少するとみており、売上高は9000億円に減少。最終損益は240億円の赤字となる見通し。 」

決算短信によれば、単独決算は税引き前で424億円の赤字とのこと。法人税法では赤字は最大7年間繰り越すことができることになっているので、仮に来年度(2010年度)以降黒字になったとしても、2~3年は日野自動車からの法人住民税は、均等割の300万円以外は入らないことになります。(ちなみに2007年度は約120、2006年度は約250億円の黒字(税引き前)でした。)

2009年4月27日月曜日

立川・日野ロケ地 都がマップを配布

4/27 読売新聞より

都は立川、日野両市で撮影された映画やテレビドラマのロケ地を紹介する「東京ロケ地マップ~立川・日野~」を作り、東京観光情報センター都庁本部や立川と日野の両市役所などで配布している。
 両市には撮影場所に使われるスポットが多く、行政が市民と協力し、ロケが行われた場所のPR活動にも取り組んでいる。マップは観光ガイドに掲載されていない魅力的な場所を市民にも再発見してもらおうと、日本語版2000部、外国人向けの英語版1000部を作成した。  女優の仲間由紀恵さんが熱血教師役を演じたテレビドラマ「ごくせん」のロケ地となった錦第二公園(通称・オニ公園、立川市)や、松浦亜弥さんが主演した映画「スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ」が撮影された実践女子大学(日野市)など15作品で使われた7か所が、地図や写真付きで紹介されている。  都観光部は「マップを持って地域を散策してもらえれば」と話している。

 実は多摩地域はロケの誘致に各市とも積極的です。日野市はフィルムコミッション連絡協議会加盟の日野映像支援隊
  http://hino-film.hp.infoseek.co.jp/
 が活躍しています。この記事で紹介されているほかにもキムタクが出ていた「エンジン」や今話題の草彅剛が出演した「日本沈没」のロケも行われました。

ブックレビュー 自治体財政健全化法のしくみ

ブックレビュー スラスラわかる! 自治体財政健全化法のしくみ 月刊「地方財務」編集局編 ぎょうせい
 2007年12月発行
 図書館で借りてきました。 コラムを書くにはやっぱり本を参照するのがよいかなということで、借りたものです。

 基本は自治体の職員(財政関係以外)向けと思われます。

 健全化法ができた経緯がわかりやすく書いてありますので、「財政健全化法ってなんだろう?」と思っている人にお勧め。
 中盤以降は、各指標の具体的な計算や健全化計画などの手続きの説明になっていくので、行政職員や財政をある程度知っている人でないと読みにくいかも。

 この本の初版の出版段階では、財政健全化の4つの指標は示されているものの、どこまでいったらイエローカードでどこまでいったらレッドカードかの具体的な数値が決まっていませんでした。それだけに、その数値がどのへんに設定されるのかという推察がされており、非常に興味深い。
 イエローカード状態になると「各自治体が策定した財政健全化計画を監視」する必要が生じるため、あまりに多くの市町村がこれに該当すると監視するのは大変になるため、ある程度の数に収まるように設定されるであろうことが書かれています。
 ということなので、財政健全化の基準というのは絶対的なものではなく、あくまで相対的なものであり、総務省や県が監視しできる範囲で財政の悪いほうからある程度の自治体が指定される。 というような性質を持つものであることが推察されます。
 つまり財政健全化の指標が基準を超えないということは、必ずしも財政が健全であることを意味しないということであり、(超えると健全ではないとはいえる。)それについては市民が常に注視していなければならないということだと思います。

2009年4月26日日曜日

コラム 財政健全化法を勉強する その3

 前回は「再建法(正式名称 地方財政再建促進特別措置法)」について説明をしました。
 今回は再建法が見直されるようになった理由について説明します。(第二回はこちら。)

第三回 再建法の問題点
  再建法は夕張市の財政破綻により見直され、財政健全化法が制定されたわけですが、実はそれ以前から問題点は指摘されていました。
 ひとつは、普通会計以外の第三セクターや土地開発公社などの赤字が見えないこと。
 夕張の前に財政再建団体*1であった赤池町は土地開発公社の赤字を取り込んだため、財政再建団体となりました。逆にそのようなものの膿(うみ)を出す決意をしなければ、膿がたまったままどんどん財政が悪化することとなります。
 例の大金持ちの息子の例えを使えば、「自分が設立している会社の連帯保証」を含めず、家計の状況を評価しているようなものでしょうか。
 
 もうひとつは、財政再建団体となるかどうかの判断の指標となる「実質収支比率」が操作可能なこと。
 第三セクターや土地開発公社の赤字を処理するかしないかの判断もありますが、例えば「借金をすると実質収支がよくなる」ので、財政再建団体となることをさけるために借金をするというわけのわからないことがおこります。
 夕張の場合には一時借入金を他の会計と行ったり来たりさせることで、この数値をごまかしていたようです。
 例えば、総務省の決算カードをみると平成13年から16年まで実質収支比率は0.0%でした。
 ところが、平成17年には突如37.8%の赤字、平成18年は791.1%(!)、平成19年は730%の巨額の赤字を計上しています。これは既に財政破綻していたものをごまかしていたものを平成17年度以降に一気に吐き出したことにより生じたとみられます。
 大金持ちの息子でいえば、銀行の残高を保つためにサラ金から借金をして、家計が赤字でないように見せかけていたようなものです。平成16年は夕張市の歳入の約半分(100億円弱)が”諸収入*2”というものでした。収入500万の家計に例えれば、一年に1000万円サラ金を借りて収支を均衡させていたようなものです。
 後からみれば誰の目にも破綻しているといえそうですが、実質収支上は財政は破綻していないとされていたのです。
  
 また再建法では、早期に是正を促していく機能がないことが指摘されました。再建法により現在財政再建団体に指定されているのは夕張市ただひとつです。ということは1800以上ある自治体で最も財政が悪化した自治体にしか適用されていないということでもあり、そこに至るまでなんら是正がなされないということになります。
 そのため事態が非常に深刻化してからの再建となり、市民生活に与える影響も甚大なものになってしまうというのです。
このような問題に対し、新しい法律「地方財政の健全化に関する法律」では
①公営企業を含めた財政情報の開示
②フロー(実質収支)以外にストック(借金の負担など)を含めた評価指標の開示
③イエローカードの基準を定めることで早期発見、早期健全化を図る
 ことを定めました。
 (参考URL http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/kenzenka/index.html
 次回は、新しい法律による指標について紹介します。

 第4回はこちら


*1正確には「準用財政再建団体」、再建法は本来「昭和29年のみ」の臨時の法律であり、この規定を昭和29年以外に準用(似たような場合に適用するという意味)するため、”準用”財政再建団体という名称になりますが、簡便のため「財政再建団体」といっておきます。
*2諸収入は、「それ以外の収入」として、延滞金、預金や貸付の利子、受託料収入など雑多なものです。一時借入金も含まれるようです。

2009年4月25日土曜日

平塚市 市民が作る財政白書

以前から財政白書を作る動きがあった平塚市ですが、最近完成したようです。
http://www3.plala.or.jp/beebee/machi/juuminryoku/h-jichitaizaiseiken.html

 ひらつか自治体財政研究会 が 
 「平塚市民手作りの財政白書目指して 気になるところ、調べました私たちの税金は何にどうつかわれているの」
 です。 目次が上記ページにアップされています。
 市の財政の総論よりも市民の関心の高い話題と思われる、下水道・公営事業・ごみ焼却炉などを中心に編集しています。
 全部で135ページの力作です。

 平塚市は 市民活動ファンド があり、審査を通れば助成金がいただけるようです。(助成総額300万円の狭き門ですが。)そのこの研究会は、市民活動ファンドを活用しているとのこと。

2009年4月24日金曜日

コラム 地方交付税と地方債 別館図書室にアップ

3月に連載していたコラム「地方交付税と地方債」を別館図書室にアップしました。

 どうしてもブログでは通しで読みにくいかと思いますので、興味のある方はこちらを。
  http://sites.google.com/site/siminzaiseihakusho/Home/fairu-no-okiba

2009年4月23日木曜日

コラム 財政健全化法を勉強する その2

第二回です。第一回はこちら

第二回 財政健全化法前の法律 ~ 市が財政破綻したらどうなるか
 新しい財政健全化法以前は「地方財政再建促進特別措置法」(以下「再建法」と略します。)という法律がありました。

 「民事再生法に基づく再生手続開始の申立て」することを一般的に「倒産する」というように、
 「再建法に基づく財政再建団体の申請」をすることを、「市が財政破綻する」といっています。
 夕張市も2006年に申請することで、財政再建団体となっています。

 財政再建団体になるとどうなるのか。前回の大金持ちの息子の話の話と対比しながらごく簡単にまとめてみました。
  わかりやすさのため、たとえ話の方は青色の文字で記載しています。また市町村の場合ということでまとめています。
 (以下黒字の部分についてはWikipediaの記事を参考として書かせて頂きました。)
○どういうときに財政再建団体になるか?
 実質収支比率*1(その年の赤字の標準財政規模*2に対する割合)の赤字が20%を超えた場合。このような状態になると借金が自由にできなくなるため、財政再建団体の申請をせざるを得なくなります。
 たとえて言えば、大金持ちの息子の家計が非常に悪化した状態。親が定期的に銀行の残高などをチェックしているので、ある程度悪化すると銀行に手を回してお金を息子が借りられないようにするので、息子は親に泣きつかざるをえなくなるというようなものです。
○どうやって財政再建をするのか
 財政再建団体に指定されたら、県の指導に基づき「財政再建計画」を作成します。それにより借金ができるようになります。
 親に泣きついた息子は、「今後はこのようにすることで家計を立て直します」ということを親に約束することを条件に、お金を借りられることになります。
○財政再建団体になるとどうなるか
 財政再建団体になると、予算の策定をはじめとした財政運営を県の管理の下、進めていくことになります。実質的に自治権を取り上げられたような状態になります。財政の再建が優先されるため、税率や手数料などの負担は最大に、市民サービスは法の許す限り最小になり、市民生活への影響は多大なものになります。財政破綻をした夕張市が大変な状態になっていることはニュースなどでみなさんもお聞きだろうと思います。
 金持ちの息子の例でいえば、お金の使途についていちいち親の目が入ることになり「外食禁止」「11時消灯」「自動車売却」「残業推奨」など非常に厳しい条件をつけられたなかで生活をすることとなります。

このような「再建法」による財政再建の仕組みですが、夕張市の財政破綻をきっかけに見直されることとなりました。
次回は、なぜ再建法が見直されるようになったか、その理由について説明します。
第3回はこちら

*1実質収支比率:実質収支の標準財政規模に対する割合のこと。
  実質収支とはその年度の歳入と歳出の差から翌年に繰り越すべき財源を差し引いた額のこと。
 個人にたとえるならば、その年の赤字の基本給に対する割合とでもいいましょうか。「翌年に繰り越すべき財源」とは例えば、子どもの学費に充てるために親からお金をもらったけど学費は翌年に払った場合の「学費に充てるためのお金」のようなもの。  
  
*2標準財政規模:
  自治体が通常水準の行政活動を行ううえで必要な一般財源の量。
  (通常の状態で収入されるであろう一般財源という説明もあり。)
 個人に例えるならば、家族手当や住宅手当などを含んだ正社員の経常的な給与にあたるでしょう。