2009年3月28日土曜日

中央区(東京都)財政白書

今日は中央区の財政白書
 Googleで「財政白書」とすると、市区町村では4位(3位は西東京なので紹介済み)。
 平成17年度から出しており、平成20年度版(平成19年度決算に基づく)が最新。なんと決算を承認する議会がある9月に発表しています。これは行政の出す白書でないとできない荒業ですね。
 東京23区は他の政令指定都市の区と違う特別区なので、直接他の市の参考にならない部分も多いですが、参考になりそうなところ、へーと思ったことなどを書いていきます。

○へーと思ったこと
 ・特別区では法人住民税と固定資産税は一旦都の方に全部入って、その後でその55%が区に交付される。
   ~ 交付基準は国の地方交付税のように基準財政需要額と基準財政収入額の差額を交付するのだそうです。
    ただし国のように交付すべき金額を確保するために借金をすることはないので、法人税の収入の変動の影響をもろに受けるのだとか。(国の制度についてはコラム「地方交付税と地方債」をよんでね。)
 ・中央区分の法人住民税だけで約1300億! あるらしいです。
 ・武蔵野市と同様に税源委譲により、個人住民税(特別区民税)が17億円!も減っています。
  特別区民税が人口11万人なのに200億もあります!

○参考になること
 ・目的別歳出のまとめかた
  担当部局と主な事業内容、財源を示している。

ちなみに 平成17年度版ではあわせて施設編を発表。また平成19年2月には施設白書として別途発行されています。
 施設編では施設の老朽化度合い、経費などをくわしく分析しており、10年スパンで見れば現在の量と質を維持することはできないと結論付けています。施設白書は施設そのものの個表が主なので、平成17年版と平成19年版の第4章を見ておけばよいでしょう。

 

地方交付税と地方財政 のまとめ

3月10日から約半月にわたって連載した「地方交付税と地方財政」のまとめです。
 親しみやすいように猫の国を舞台にして、国と地方の財政調整の仕組みなどをなるべくわかりやすく解説してみました。
 各話で解説している財政用語について付記しています。

第一話 息子たちに町を任せるのじゃ。 ~ 地方交付税とは?
第二話 不足分はいくら? ~ 不交付団体、特別交付税とは?
第三話 借金はだめよ    ~ 地方財政法、市の借金について
第四話 借金してもよいとき ~ 建設公債、地方財政法
第五話 猫太郎の独り言   ~ 地方交付税、交付税特別会計とは?
第六話 不景気がやってきた ~ 財政の役割
第七話 減税で景気回復   ~ 特別減税、減税補てん債、赤字公債とは?
第八話 猫吉に忍び寄る危機 ~ 交付税特別会計の借金
第九話 王子も応分の負担を ~ 臨時財政対策債とは?

 一つのファイルにまとめたものを別館図書室にアップしました。(4/24)
 http://sites.google.com/site/siminzaiseihakusho/Home/personal/columns

2009年3月27日金曜日

WTCが更生法申請

読売新聞関西版 3/27
「大阪市の第3セクター「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC、仲茂彦社長)は26日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請し、受理された。負債総額は643億円。2004年の特定調停に基づき再建を目指したが、わずか5年で2度目の経営破綻(はたん)を迎えた。」

関東の方にはなじみがないかも知れませんが、大阪の南港(海遊館などがある近く)のとても高いビル(当時西日本1)です。
港湾関係の3セクの事業で、市街地から遠いこともありテナントが埋まらず(結局現在6割を市の部局で使っているとのこと)破綻にいたったということのようです。
ここらへんの構図は東京の臨海部もほぼ同じで、立地の悪いところにオフィスビルを高い金をかけて作って入居者があまりいなくて経営破綻。

ところでニュースの中に見える「特定調停」ってなんだ? と思ったので調べてみました。
 特定調停とは?(いなげ司法書士・行政書士事務所HPより)
 『支払不能には至っていないが、このままだといずれ行き詰ってしまう』といった状況にある債務者の経済的再生を図る手続で、裁判所が間に入って借金を一部免除したりする制度のよう。このページでは「利息制限法で引き直しをした後の債務を3年以内に返済できるかどうか」が目安とされています。
 こうやってみると事業的に明らかに破綻しているものには使えないように思いますが、「公的なものが絡んで破綻させられない場合に、裁判所を使って債務を整理し延命を図る策」としてWTCでは使われているようにも思われます。(あくまで素人による感想ととらえてください。)
 市が入居することで実質的に支援したけれども破綻ということで、本当に特定調停がよかったのかどうか問われるところでしょう。

ワールドトレードセンターというと9・11で有名なニューヨークのビルを思い出しますが、(浜松町の世界貿易センタービルを思い出す人もいるかも)実は「世界貿易センター協会」(英語のページにリンク)という「ワールド・トレード・センターの名称を冠した施設や建物でつくる連合」にいずれも加盟しているものなのだそうです。
ご存知でしたか?
 

2009年3月26日木曜日

ブックレビュー 「なぜ、改革は必ず失敗するのか」

「なぜ、改革は必ず失敗するのか-自治体の「経営」を診断する 」 木下敏之著 WAVE出版



前佐賀市長の著書。

 なぜ改革が必ず失敗するのかを直接的に書いているわけではない。(たぶん出版社が売れるようなタイトルをつけたのだろう)

 むしろ地方自治体が現在抱えている問題をリアルに理解するための本のように思いました。
 市長であった6年間の市長としての取り組みを書いており、読み物としても純粋に面白い。また地方自治体が抱える問題ごとに章立てされているので、それぞれのテーマについての実態を知るのにも役に立ちます。
 テーマとしては公務員、箱物公共事業、産業振興策、県との関係など。
 お勧めです。

 佐賀市長を辞めた後、講演会や行政改革関係など多方面で活躍されているようです。

2009年3月25日水曜日

お勧め財政白書 その2

第2回目も財政についての基礎的なことを知りたい人向け

 ~今回は財政の基本について続き~

 ○特別会計について
  主な特別会計(国民健康保険、老人保健、介護保険)について
   ~ この3つはどの市にもある。(老人保健はなくなりますが。)

   狛江市 平成19年度版P29~32 国民健康保険関係のお金の動きがわかりやすい。
          下水道などその他の特別会計も説明しています。
 
 ○経常収支比率
  財政の硬直化の指標としてよく使われます。
  ・そもそも財政が硬直化するとどうなるの →町田市 P22
  ・経常収支比率の解説 小平市P43(③のファイル)
                 八王子市P50 の図がわかりやすい。
 
 ○財政用語
  狛江市 : 説明は堅いが説明が詳しいのでお勧め。

 ○最近の財政の話題
  合併について 東京都下では西東京の例しかないのですが、他の県では合併の影響はかなり大きいかも。
 西東京市 平成19年度版P16 のコラム
                 P43 合併による財政効果。
  
 この項まだ続きます。
、

2009年3月24日火曜日

地方交付税と地方債 第九話

今回は第9話です。

 前回(こちら)は王子たちの費用を保証するために借金をしていたという件でした。


第九話 王子も応分の負担を 

 猫介が帰っていった後、猫吉はまた王子たちに手紙を出しました。最近王子たちを呼び寄せることが多くて困ります。そういう時は大体いいにくい話をするときだからです。

 王子たちが集まりました。猫太郎の顔が少し明るくみえました。海辺の町でとれる魚が犬の国でブームになり、売上が絶好調、他の町との格差は広がりましたが、猫の国全体としては少しずつ景気を回復しつつあるようでした。

 「今日呼び寄せたのは他でもない」といって猫吉は『最低必要なお金』を払うために借金をしていることを王子たちに話しました。王子たちはその話はなんとなく知っていたので、なぜいまさらそんな話をするのだろうかといぶかっています。

 猫吉「この借金はとりもなおさず、君たちのためにしたものであるが、これまでは全てわしの責任で借金をしてきた。これからは君たちにも応分の負担をしてもらいたい。」

 猫次郎「私たちは最低限に足りない部分を頂いているにすぎないのです。借金をしたらどうやって返せばよいのですか。」
 「後年元利払に充てるお金は『最低限必要なお金に入れてあげよう。』」

 といいましたが、王子たちは眉一つ動かしません。

 ここのところ王が決める『最低限必要なお金』がじりじりと下げられてきているからです。後で入れてあげるといわれても実質的に入ることになるのか。もうわからないのです。

<解説>

 地方交付税を交付するために国が借金をしていたことは前回以前にお話しました。
 当初は国の借金だったのですが、国の財政も苦しくなってきたため、平成10年度から12年度までは国が借金をし、返済は国と地方公共団体(都道府県と市町村)が半分ずつ返済することとしていました。(各市町村がどう負担するかはわかりません。)
 その後さらに制度が改正され、平成13年度からは財源不足の一定割合を、県や市が「借金を行ってもよい」ことになりました。この制度に基づき起こした市債は「臨時財政対策債」といいます。
 これも本来地方財政法でやってはならないとされている赤字公債で、他の法律で特別に認められているものです。
 しかしいまや臨時財政対策債の各市町村の市債の残高に占める割合は相当なものになりつつあり、将来の公債費としてそれぞれの町の財政を圧迫する恐れが高まっています。
 
 ふうぅ~やっと臨時財政対策債にたどり着いた。 多少でも理解の助けになればと思います。
 今回でこのコラムは終わります。でもお話はもう少しだけ続きます。

<後日談>
 そんなある時、犬の国で伝染病が大流行しました。なんと原因は猫の国の魚のようです。
 これまで飛ぶように売れていた魚はぱったりと売れなくなり、海辺の町は暗く沈みこんでいます。

 またしても王子たちが呼ばれました。
 猫吉は「今回は犬の国も含んだ100年に一度の危機である。ここは大規模な景気対策を。」
 といいますが、猫の王子たちはうつむいたままです。猫吉もこれまでの対策があまりうまくいっていないので、声にも張りがありません。
 これから猫の国はどうなるのでしょうか。それは誰にもわかりません。
(終わり)

2009年3月23日月曜日

地方税「払い戻し」倍増

日経ネット 3/22
「地方税「払い戻し」倍増 自治体、企業に4600億円」
「急速な景気後退を受け自治体が企業などの納めた地方税を払い戻す「還付金」が急増している。47都道府県が2009年度予算案に計上した還付金総額は4634億円で、08年度の2.1倍に達した。愛知県は7倍、大阪府は2.8倍と大都市圏で増加が目立つ。09年度の都道府県の法人関係税収総額も08年度に比べ約3兆円減る見通しで、還付金急増は厳しい自治体財政にダブルパンチとなりそうだ。
 還付金の大半は企業が自治体に払う法人関係税(法人事業税、法人住民税)。3月決算企業の場合、前の年度の税額の半分を「中間納付」として11月ごろにいったん納め、通期決算の大幅減益などで最終的な税額が中間納付額を下回ると還付を受けられる仕組みだ。」 以上引用

 自治体のうち都道府県の集計のようです。(市町村はこのほかにさらにある。)
 もう少し解説すると、例えばある年に100億円の利益を上げたとして税率が10%だとすると、10億円の税金を年分の法人住民税として支払うこととなります。 (その市にだけ事業所があると仮定します。)
 次の年はどうなるかというと、実は中間申告というものがあって半年分を11月ごろ(3月決算の場合)納めますが、その金額は今年も同程度の所得があることを前提に前年度分の半分を支払います。
 つまり前例で言うと、10億円の半分で5億円です。

 さてここで、実際にその年の決算が120億円の利益があった場合、その年度分の税金は12億円ですから、決算が終了してから2ヶ月以内に12億円から既に支払った5億円を差し引いた7億円を納税することとなります。
 逆に80億円の利益だった場合は、8億-5億円=3億円だけ納税すればよいことになります。
 さて問題は、利益が40億円だった、あるいは0だった場合です。
 40億円だった場合にはその年度に納税すべき金額は4億円、0だった場合は0になります。
 しかしもう5億円既に払ってしまっています。こういうときにはどうなるかというと、還付といって払いすぎた分を市が企業に返すことになるわけです!この例でいくと利益40億の場合は1億円、利益0の場合は5億円を還付するということになるわけですね。