2009年3月21日土曜日

我孫子市財政白書

我孫子市の財政白書です。
Googleで「財政白書」で検索すると、練馬区についで出てきます。
http://www.city.abiko.chiba.jp/index.cfm/15,0,80,217,html

平成16年度決算によるものが平成18年3月に出ているもののみ。
全体の構成はスタンダード。
財務諸表関係(バランスシート、行政コスト計算書)を丁寧に説明しています。財務諸表から何をいえるかというのは難しいですが、それでも頑張って読み解いている感じがします。
また連結財務諸表についても作成しています。

http://www.city.abiko.chiba.jp/index.cfm/15,0,80,html
そのほか財政情報はこちら。中期財政計画や地方交付税(専門的)あたりが注目。

ブックレビュー 都市政府のガバナンス

都市政府のガバナンス 吉田民雄著 中央経済社 2003年発行

 この本は、地方自治のあり方について、より根源的なところから理解を深めたい人向け。
 かなり分析的かつ、反復も言い換えが多く、内容が堅いため、どちらかといえば中級者以上又は粘り強く文章が読める人むけ。

 この本の目的として、日本の都市と都市政策や地方自治制度の全般的な変容動向を知るテキストが欲しいという要望や期待にこたえるもの。としています。
 
 ガバナンス(governance)を直訳すると、「統治, 支配」となり、政府が国民をいかに支配するかということのように見えるのですが、この本のテーマは逆で「官、特に中央官庁に独占されている公共性の再構築」がテーマになっています。
 国から県、市という上から下への統治ではなく、市民→地域→市 というより市民に近いレベルから都市政府が持つ力をどのように統治していくかということがこの本の主たるテーマといってもよいでしょう。

 公共的なものというと、行政を思い浮かべ待てしまう人も多いかと思いますが、何が公共的か、何が公の課題かということはそれぞれの地域によって違うもの。これまでどちらかというと中央政府が決めてきた公共性というものを、地域に取り戻し、再構築しようというのが原点としてあり、それを元に都市政府を構成するさまざまなものの今後のあり方を論じています。

 覚えておきたい言葉
 「補完性の原理」:
「個人が自らのイニシアチブによって独力で処理できる事柄を、社会がその個人から奪うことがあってはならない。同様に、社会のより下位の小さな単位が処理解決できる事柄を、社会のより上位の単位が取り上げてしまうことは、不当であり、有害であり、社会を大きく混乱させる。なぜなら、社会のあらゆる行為は、その本質と定義において補助的な(subsidar)ものだからである。」という考え方の基に、個人でできないことを地域で行い、地域で対処できないことを市が、市で対処できないことを県が、県が対処できないことを国が行うという考え方。
 中央がなんでも決めて、下部機関がそれに基づいて実施するという考えとはまったく逆なわけです。

 いくつかの話題
 地方分権改革について : 地方分権一括法が施行された2000年からそれほど経っていない2003年に発行されたということもあり、改革の内容について非常に高く評価しています。今の実態を見たらどう書くのだろうか興味あります。
 市民参加について : 市民参加とわれわれひとくくりにしてしまいますが、市政参加、コミュニティ参加、公益活動参加に分けて論じています。この用語に限らずつい簡単に使ってしまう言葉について、分析的にとらえようとしているのが本書の特徴かと思います。
 その中で、「法律上の市民参加制度は機能していない」「自治会は行政末端機能として利用され、かつ行政依存的性格が強く、形骸化を生み出している」と手厳しい。またサラリーマンの参加については「課題である」としてあり、解決策は見出せていないようである。 
 

2009年3月20日金曜日

練馬区財政白書

今日は練馬区の財政白書

 なぜ練馬区かって? googleで「財政白書」と検索すると地方自治体では一番上に来るのです。
 平成16年9月に平成15年度決算に基づいて作成されています。かなり古いのですが、上位にいるのは不思議な感じもします。
 http://www.city.nerima.tokyo.jp/zaisei/siryo/zaisei_hakusho/h16/h16index.html

 章ごとにPDFが分かれています。最初の章で結論をまとめています。
 特別区なので数字自体は他の市の参考にはならないと思いますが、まとめ方は参考になるかも。
 給食費が一食あたり350円程度(食材除く)だそうで、日野の半分ぐらいなのが気になりました。
 また住民一人当たりの国債や都債の残高を示しているのが面白い試みで、国債の残高の多さにぞっとしてしまいます。

地方交付税と地方債 第八話

不景気を脱しきれない猫の国 前回の減税策はうまくいくのでしょうか。

第八話 猫吉に忍び寄る危機

 猫の王子たちが帰りました。猫吉はふうっとため息をつきます。
 最初に王子たちに言った言葉を思い出しながら。
 「・・・・年貢の半分を息子たちに、残りはわしにこれまでどおりに納めてもらう。最低限必要なお金に足りない部分は、わしが受け取る年貢の中の一定割合をそのためにとっておくからそこから出そう。」
 不景気になっても『最低限必要なお金』は変わりません。年貢がへるので猫吉が出さなければならないお金も増えます。
 でも『年貢の中の一定割合』も不景気になれば減ります。
 最近は年貢の中の一定割合では、猫吉が出すべきお金をまかないきれず、弟の銀行から借金をしていたのでした。
 「何が『借金が自腹になってしまう』じゃ。こっちは借金までして支援しているのじゃぞ。わしの苦労がぜんぜんわかっちょらん。」
 
 そこへ弟の猫介がやってきました。
 猫介「景気はどないですかな。」
 猫吉「景気がよくないことは、お前が一番よく知っているではないか。」
 「いろいろと大変なことはよく知っていますよ。兄上にも王子たちにもいろいろと借りていただいていますからなぁ。」
 「何がいいたいのじゃ。」
 「借りてもよいのですよ。使われ方ですなぁ。」
 「信用がないというのかな。大体誰のおかげで仕事ができているのかな。わしの信用で国中の猫から金を集めておるではないか。」
 「わかっておりますとも。どんなときでも、兄上がついていることもよくわかっておりますよ。」
 それでは・・・。といって猫介は去っていきました。
 確かに、猫介から借りて建てた施設は赤字でその施設からはとても返せそうにありません。最終的には徴税によって返せるといえども、猫たちの生活を破壊するようなわけにはいきません。
 いずれにせよ、猫吉の信用でお金を集めているので、預金者への補てんは最悪猫吉がしなければなりません。
 (貸し手責任という言葉もあるしな。) などと思いながら、
 「そろそろ借金もなんとかしないといかんのかな。」とつぶやきました。

<解説>
 第五話で猫太郎が心配したように、不景気のときは各町の埋め合わせをすべきお金が増える上に、国の歳入も減るのでその差額は借金をしているようです。
 第五話の解説でも解説したように、2000までの日本の状況がまさに上の状態。その後の状況は次回以降のコラムで。
 ちなみにここで出てくる猫介は昔の郵貯をイメージしています。かつて郵便局で集められたお金は大蔵省が一括して国債を買ったり、地方自治体に貸したり、三セクに貸したりしていたのです。
 これらのついて貸し倒れが生じたら、少なくとも昔の郵貯であれば全額国が面倒を見たはずですが、民営化した現在ではどうかわかりません。こういったリスクを切り離すために民営化の動きがある(出典不明)という話もあるようです。
 

2009年3月19日木曜日

地方交付税と地方債 第七話

不景気が襲ってきた猫の国 景気対策に公共投資をしますが・・・・。
今日は第七話です。(前回はこちら)

 第七話 減税で景気回復

 猫の王子たちは猫吉の指示に従い、借金をし道路をさらに立派にし、建物を作りました。
 しかし、景気は一向によくなりませんでした。遊ぶ施設も大々的に作りましたが、今まで遊んだことのない王子たちが作った施設はとても立派だったのですが、あまり使われませんでした。

 年貢も相変わらず落ち込んだままでした。
 猫吉は再び猫の三兄弟を呼び寄せました。
 猫吉「わが国の経済危機を救うためにはさらなる経済対策が必要じゃ。そこでだ。わしは減税を行おうと思う。」
 猫太郎「!」猫次郎「!!」
 猫三郎「これ以上年貢が減ったらわが町の財政は破綻してしまいます!」
 「減税は国民みんなに恩恵をもたらすのじゃ。そのお金で消費が増えて、景気がよくなればかえって年貢が増えるということもあるぞ。アメリカのラッファーという人もいっておった。」
 「将来的にはそうかもしれませんが、今年のお金はどうするのですか。」
 「その分はわしの弟の銀行から貸してあげよう。もちろんその返済のお金は『最低限必要なお金』に入れてやるぞ」
 「それならばよいでしょう。」 「それならばよいでしょう」

 「ちょっと待ってください。父上。」 「何だね」
 「今最低限必要なお金に入れていただけるということでしたが、それでは意味がありません。私の町は
  年貢1600 最低限必要1000 でした。
  従って1600×75%は1200>1000なので、補助はいただいておりません。
  いま借金をして、借金の元利払いが100増えても、補助は0のままです。
  ということは、その借金は全部自腹ということになってしまいます。」
 「ま、そういう見方もできるわな。」
 「見方ではなく、事実です。」
 「そもそも兄上のところは、それだけ年貢があるんだからいいじゃないか。それ以上求めるのは贅沢というものさ。」
 「足りない分は全部もらっている人に言われたくないね。」
 「好き好んで足りないものか。」
 「最低限以上の部分は、必要ならば歳出を減らせばいいじゃないか。」
  (一度やり始めたサービスはやめられないことぐらい知っているくせに!)と猫太郎はこころで思います。
 「大体『最低限必要』の決め方がよくわからん。一人当たりにすると猫三郎の町はうちの1.5倍ももらっているじゃないか。」
 「一匹あたりだろ。猫なんだから。」
 「どっちでもいいだろ、一人でも一匹でも。」
  とどんどん険悪になっていきます。猫吉は特に表情を変えることもなく見ています。
 「昔父上はおっしゃいました。借金は慎むべしと。借金をしてよいのは後の世代の人が使えるものだけだと。明らかに矛盾していませんか。」
 「借金は慎むべしと言ったが。あくまで原則じゃ。わが国始まって以来の経済危機に対処するにはそうもいってられん。」
 結局猫吉の言うとおり、減税を行うこととし、その分借金をしてよいこととなりました。
 猫太郎はうなだれながら帰っていきます。
 
<解説>
 景気対策の一環として、住民税の特別減税が行われました。
 平成6年度に導入され平成8年度まで、そして平成10年度から平成18年度まで行われていました。
 この減税による税収の減少を補てんする意味で「減税補てん債」を各市町村が発行しました。そしてその元利の償還に関わるお金は『基準財政需要額=最低限必要なお金』にカウントされ、後で国が払うということになっていますが、猫太郎の町のように十分な税収があるところにとってはあまり意味がなく、要するに自腹ということになります。
 また猫太郎も言うようにこのような『その年で消えてしまうものに充てる借金(赤字公債といいます)』は地方財政法でだめということになっているので、
「平成六年分所得税の特別減税の実施等のための公債の発行の特例に関する法律」という法律を定めて、赤字公債を発行できるようにしています。
 各市町村の財政白書を見ると、この赤字公債の割合が近年どんどん増えてきていることがわかります。
 この分は後年『最低限必要なお金』にカウントされて本当に返ってくるのでしょうか。

地方財政白書公表

3月16日 日経、毎日、読売の各紙で報道されました。
 
タイトルは
日経 地方財政の硬直化が加速、社会保障の経費増 09年地方財政白書
毎日 地方歳入また前年割れ
読売 地方財政、最も硬直化した水準に…政府が「白書」閣議決定

各紙共通の内容は
普通会計の歳入総額は91兆1814億円(前年度比0・4%減)、歳出総額は89兆1476億円(同0・1%減)
「経常収支比率」は、過去最高の93・4%(同2・0ポイント増)
読売では「普通会計が負担すべき借入金残高は198兆5507億円(同1兆6038億円減)。地方債残高は138兆1579億円、交付税特別会計借入金残高の地方負担分が33兆6173億円、企業債残高が26兆7755億円となっている。」と借金の総額も紹介。
実質収支の総額も紹介していました。

 それに毎日と読売はこれらの数字の紹介のみ。日経は
 「データがさかのぼれる1969年以降最悪で、財政の硬直化が進んでいることを示した。地方が景気対策などで独自の施策を打ち出しにくくなっている。
 07年度は地方の歳出、歳入ともに小幅ながら8年連続で縮小した。児童手当の拡充などで社会保障関連の扶助費が増えたが、公共事業が減ったことで前年を下回った。歳入も国から地方に渡る交付税が減り、国から地方への税源移譲で地方税が増えたが、それに伴って地方に渡る所得譲与税が減った。地方が受け取る国庫支出金も公共事業の抑制で減った。」
と解説しているが、この記事から何かわかる人は既にわかっている人で、ほとんどの人には意味するところがわからなかったのではいかと思われます。

 紙面の関係があるので、そのたび全部解説するわけにもいきませんし。
 これが、GDPの発表や失業率の発表あるいは日経平均株価ならば、細かい解説なしでもその数字からある程度経済の動向は読み取れるでしょう。 財政の指標もこれらに負けないぐらい重要なのですから、市民一人ひとりがこれらの指標を読み取る力(財政リテラシーともいうのでしょうか)をあげていくことが大事と思います。

2009年3月18日水曜日

お勧め財政白書 その1

多摩地域の財政白書を中心にお勧めの財政白書を紹介します。

 財政白書自体はこれまで既に紹介したので、今回以降何回かに渡ってテーマごとに紹介していきます。
 何回シリーズになるかは不明。

第1回目は財政についての基礎的なことを知りたい人むけ
   ~今回は地方財政全般について~

 ○そもそも財政とは?
  ・日野市 本編P2(PDFでいうとP10)
  ・国立市 P2
    地方債と地方交付税 第六話でも財政の機能について少し書いています。
  こういう基本的なことはウィキペディアとかを見たほうがよいか?

 ○地方財政を取り巻く状況
  ・福生市 P1~4 バブル前から現在までの経済状況と政府の経済対策、そしてそのためにおきた地方の財政への影響についてある程度詳しくかつまとめて書いています。

 ○借金をする意義
  ・八王子市 平成20年度版 P60
  ・川崎市  P12
    地方債と地方交付税第四話 でも紹介しています。

 ○三位一体に関わる話題
  ・国と地方の関係
   東村山市 平成19年度決算 P11 
   国立市  第5章の国と地方の関係 ~ずばっとものを言っていてよいです。
   西東京市 平成17年度決算 P36
   川崎市 平成18年度版
  ・税源移譲について
   八王子市 平成20年版 P22
   川崎市  平成19年度版
  ・財政白書以外のサイトを過去に紹介しています。
   http://myfavor100.blogspot.com/2009/02/blog-post_06.html

  続くかなぁ。徐々に増やしていきます。
   まとまったらひとつのファイルにしたほうがよいんだろうなぁ。