2009年4月16日木曜日
コラム 財政健全化法を勉強する その1
夕張市の財政破綻を契機に、財政健全化法(正式名称 地方公共団体の財政の健全化に関する法律)が平成19年6月に制定され、平成19年度決算から新しい指標による財政状況の公表が義務付けられました。
各市の決算状況を報告する広報などで指標が発表されているのを目にしているかと思います。
その一方でこの指標の公表について唐突な印象を持ったり、よくわからないという印象を持っている人も多いかと思います。
このコラムは「日本一わかりやすい財政健全化法の指標の説明」を目指し、連載をしていこうかと思います。
書いている本人も勉強中なので、時間がかかったり、わき道にそれたりするかと思いますが、ご容赦ください。
第一回 市の財政破綻とは ~ 民間と違う考え方
財政健全化法が制定されたきっかけは夕張市の財政破綻といわれています。
ところで市が財政破綻するとはどういうことでしょう。実は調べてみると、市の財政破綻と言っているものは、民間企業や個人の財政破綻(倒産や破産など)とはかなり異なるものであることがわかりました。
民間企業や個人の財政破綻についてごく簡単にまとめると
○どういうときに財政破綻というか
・支払いができないとき
例えば会社の場合、手形が2回決済できない(支払期日に銀行の残高が足りない)と銀行取引停止になり、倒産します。
個人でも払いきれない借金がある場合は破産の手続をすることがあります。
・債務(借金など)が多すぎるとき(会社の場合)
資産(財産)よりも債務(借金)が多いとき ~債務超過といいます。
○それでどうするか
・財産を換金して借金を返す。
→ その上で返せない部分は免除。(破産の場合)
又は
・債務を圧縮 → 計画に従って経済再建を図る(民事再生などの場合)
となります。
それでは、市や町の場合はどうかというと、例えば借金の支払いができないという状況になった市や町はいまのところありません。(海外では国や地方自治体が借金を払えなくなったことはありますが。)
それは「最終的には国が面倒を見てくれる」という思いから、銀行などから貸し渋りにあうこともなく、資金が供給されるからと考えられます。
日本の市や町の場合には、財政の悪化度合いを示す数値がある程度以上悪くなったら、国が支援することになりますが、その条件として、県や国が承認できる財政再建のための計画を作成し、県や国の監視の下財政再建を図ることになります。
個人の場合でいえば、大金持ちの放蕩息子が借金を背負った場合(金貸しは親が金持ちなのでいくらでも貸す)、息子に自由に金を使わせる権限を奪い(カードを取り上げて小遣い制にするとか)、監視をつけて働かせるなど、自分の管理下におくことにより、借金を返済させるようなものと考えてもらえればよいかと思います。
(財政破綻した市が放蕩息子だといっているわけではありませんので念のため)
夕張市の財政破綻により地方自治体の財政健全化に関する法律が変わったのですが、「借金を免除してもらうのではなく、財政再建のための計画を立てて健全化を図る」という基本的な考え方は変わっていません。
それでは新しい法律により、どう変わったのでしょうか。次回はその点を解説しようと思います。
第2回はこちら。
2009年4月15日水曜日
旭川市財政白書
http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/zaisei/hakusyo/hakusyo.htm
構成はスタンダード 全19ページ。
他の財政白書と違い、予算を中心に経年的な比較しています。
財政悪化の分析は地方の中核都市共通かも。交付税の減少が大きく効いているようです。
また生活保護の割合が高い。35万人の人口(日野市の2倍)に対し、保護対象は11739人と日野市の7倍以上。北海道は保護率が高いようですが(約2%)、そのほかに何か要因があるのでしょうか。
財政の仕組み
http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/zaisei/sikumi/shikumi.htm
基礎的な用語の解説(予算、決算、補正予算、一般会計。歳入、歳出項目の用語)
2009年4月14日火曜日
杉並区財政白書
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/library/library.asp?genre=203010
いままで調べた中では一番最初に発行しているかも。平成20年で10回目です。
○構成
・財政状況の分析(普通会計決算)
・財務諸表による分析
・事業別コスト計算
・ABC分析
・新しい財政健全化指標
財政状況の分析はスタンダード。 事業別コスト計算以下が特徴。
新しい財政健全化指標については今年は言及している市が多いです。
○参考になる説明
・歳入の内容と一般財源をひとつのグラフに統合。(折れ線の色が同じで見づらいところが残念)
・健全化指標の経緯について丁寧に説明がされています。
○分析の視点の特徴
・区債の残高の圧縮を大きなテーマとしています。
・事業ごとのコスト計算については、6つほどの事業を選択しています。(毎年いくつかのテーマを入れ替えているよう。) ごみ処理のコストについてはどの市町村でも課題となるので、いろいろな市で作って相互に比較できるようにできればよいですね。
○興味深く思ったこと
・平成18、19と区債の発行をしていない! 経常収支比率70%台の財政力だからできるのでしょうかねぇ。 比較的財政状況がよいときに借金を減らしておけば、今のような情勢では役に立つでしょうね。
・有料駐輪場事業 収入でコストのほとんどを回収!(6.9億の費用6.6億の収入)
しかも放置自転車が9千台から2.6千台に減少!
・ABC分析とはActivity-Based Costingの略。
ABC分析をGoogleで引くとパレート図による要因分析が紹介されていますが、それとは別。
活動基準原価計算で調べると出てきます。 ~私も説明できるほど理解してません。。。。
徴税コストの分析で滞納のないものは一万円あたりのコストが143円なのに滞納分は1100円にもなるというあたりが参考になって興味深い。
2009年4月13日月曜日
名古屋市長選 市民税10%減税で白熱
名古屋市シリーズ もう一本
4月10日 中日新聞
12日に告示された名古屋市長選、民主の推薦する河村たかし氏(60)が掲げる「市民税の10%減 税」に関する議論が白熱しているとのニュース。
「先に減税ありきで税収を減らすことで役所の無駄をあぶり出し、消費促進などの経済効果もあるとアピールするが、ほかの出馬予定者は実現性に疑問符を付ける。 河村氏の構想では、個人・法人市民税(09年度見込み2355億円)の10%を減税する。個人は1人年間1万5000円、法人は1社10万円程度、負担が軽くなる計算だ。 」
反対論としては「▽もともと納税していない低所得者層に恩恵がない▽財政に余裕ありと見なされ国や県の補助金を削られる▽起債も制限される▽財源はどうする−など。」
衆院総務調査室によると、「減税しても、起債制限や補助金を削られる法的な根拠はない。起債は以前は制限されたが、3年前の法改正で、減税しても総務相の許可があれば可能になった。」
市職員が懸念するのは補助金の方だ。補助金は市幹部が中央官庁に陳情して付けてもらう政治的な側面がある。減税したら「そんな余裕があるのなら補助金は要らないでしょ」と門前払いされるのではないかと。
ニュースに関してランダムにコメント
地方分権といいつつ、歳入については(法令上はともかく)ほとんど自治体の裁量の余地がないというのが、日本の現状であり、問題点といわれています。国の方針によって突然住民税が減税される一方で、自分が変えるのはたった10%でも大変というのはまさにこの点を象徴しているようにも思うのですが。
企業誘致のための一定期間固定資産税を減免したりというようなことはよくあるのですが、市民を誘致(?)するために住民税を安くするという話は聞いたことがないのですが。なぜでしょうねぇ。まあ個人の場合住民税の安さで住むところを決めるわけではないからでしょうかね。 逆に「高い住民税を払っても住みたい。」と思われる町を作ることが重要なのかも。
名古屋市さんの台所事情 家計に例えまとめる
読売新聞 4月9日より
「名古屋市は、市の厳しい財政状況と財政健全化への取り組みについて市民に理解してもらおうと、財政状況を一般家計に例えた「なごやの台所事情」にまとめた。市の2009年度一般会計当初予算額を、年収500万円(月収41万6700円)の1か月の家計に当てはめた。
支出は月収(税収など)だけではまかなえず、親からの支援11万2000円(国や県からの支出金1883億円)に加え、ローン6万1000円(市債 による借入金1025億円)に頼らざるを得ない状態だという。09年度のローン残高は1292万円(市債残高1兆8088億円)で、年収の2・6倍に上る。」
今月20日以後HPにあげるとのことなので、公開しだい別館図書室でリンクを張ろうと思います。
2009年4月12日日曜日
09年度一般会計:国債が税収上回る
「政府・与党が10日に決定する過去最大規模の追加経済対策により、09年 度の一般会計の総額は100兆円を超え、国の借金に当たる国債の発行額が戦 後初めて税収を上回る見通しとなった。」
補正予算による財政支出15・4 兆円、このうち積立金の取り崩しで3兆円、残る10兆〜11兆円を建 設国債と赤字国債の発行でまかなうとのこと。 これにより国債発行額は43兆〜 44兆円程度、一方、09年度の一般会計税収見通しは景気の落ち込みによる企業業績の悪化などで、国債発行額を下回る見通しとなったとのこと。
一般家庭でいえば、給料以上の金額を借金でまかなっていることになり、まさに異常事態といえるでしょう。
国の借金は借金時計によると800兆円弱。少しぐらい増えたところでもういいやという感じなのでしょうか・・・??
ところで財務省「国債等所有者別残高の各国比較」によると国債の所有者の42.5%が政府等が保有しているらしい。
政府等って国のこと? なぞが深いです。どういうことかうまく説明できる人はおりますでしょうか。ちょっと頭がこんがらがっています。
2009年4月11日土曜日
おすすめ財政白書 その4
○行政と市民の関係について
・行政が何を行うべきかということに関する基本的な考え方について
東久留米市の市政構造改革の記事 : 行政の役割について丁寧に説明されています。
・受益者負担
同じく東久留米市の市政構造改革の記事から。:多くの市の財政白書でも考え方が書かれていますが、おそらく一番丁寧な解説では。
ちなみに下の公共施設の4象限の図は立川や多摩など多くの自治体で使われています。このブログでも紹介した「都市政府のマネジメント」でも紹介されています。原典は吉田民雄著の「都市行政の新しい設計」1995 のようです。
・財政錯覚
財政錯覚そのものの説明としては白書ではありませんが、こちら。
以前紹介した「よくわかる自治体財政の仕組み」の著者の肥沼位昌さんのページです。
日野市財政白書のH15年版 P8~9にかけて、財政錯覚という言葉は使っていませんが、わかりやすく説明しています。
市の財政白書で財政錯覚を正面から取り上げている例はあまりないようです。上記の白書を作ったときも市民が反発するのではないかという心配があり、この表現についてはかなり議論になったくらいですから。
○最近話題の言葉
・指定管理者制度
東久留米ばっかりになってますが、こちらの市政構造改革のページ。
ウィキペディアの解説 ~ 問題点も指摘されており、単に導入して満足するのでも、民営化だからといって排除するのでもなく、よりよいガバナンスを実現するひとつの手法として磨きをかけることが重要と思います。
