2009年3月26日木曜日

ブックレビュー 「なぜ、改革は必ず失敗するのか」

「なぜ、改革は必ず失敗するのか-自治体の「経営」を診断する 」 木下敏之著 WAVE出版



前佐賀市長の著書。

 なぜ改革が必ず失敗するのかを直接的に書いているわけではない。(たぶん出版社が売れるようなタイトルをつけたのだろう)

 むしろ地方自治体が現在抱えている問題をリアルに理解するための本のように思いました。
 市長であった6年間の市長としての取り組みを書いており、読み物としても純粋に面白い。また地方自治体が抱える問題ごとに章立てされているので、それぞれのテーマについての実態を知るのにも役に立ちます。
 テーマとしては公務員、箱物公共事業、産業振興策、県との関係など。
 お勧めです。

 佐賀市長を辞めた後、講演会や行政改革関係など多方面で活躍されているようです。

2009年3月25日水曜日

お勧め財政白書 その2

第2回目も財政についての基礎的なことを知りたい人向け

 ~今回は財政の基本について続き~

 ○特別会計について
  主な特別会計(国民健康保険、老人保健、介護保険)について
   ~ この3つはどの市にもある。(老人保健はなくなりますが。)

   狛江市 平成19年度版P29~32 国民健康保険関係のお金の動きがわかりやすい。
          下水道などその他の特別会計も説明しています。
 
 ○経常収支比率
  財政の硬直化の指標としてよく使われます。
  ・そもそも財政が硬直化するとどうなるの →町田市 P22
  ・経常収支比率の解説 小平市P43(③のファイル)
                 八王子市P50 の図がわかりやすい。
 
 ○財政用語
  狛江市 : 説明は堅いが説明が詳しいのでお勧め。

 ○最近の財政の話題
  合併について 東京都下では西東京の例しかないのですが、他の県では合併の影響はかなり大きいかも。
 西東京市 平成19年度版P16 のコラム
                 P43 合併による財政効果。
  
 この項まだ続きます。

2009年3月24日火曜日

地方交付税と地方債 第九話

今回は第9話です。

 前回(こちら)は王子たちの費用を保証するために借金をしていたという件でした。


第九話 王子も応分の負担を 

 猫介が帰っていった後、猫吉はまた王子たちに手紙を出しました。最近王子たちを呼び寄せることが多くて困ります。そういう時は大体いいにくい話をするときだからです。

 王子たちが集まりました。猫太郎の顔が少し明るくみえました。海辺の町でとれる魚が犬の国でブームになり、売上が絶好調、他の町との格差は広がりましたが、猫の国全体としては少しずつ景気を回復しつつあるようでした。

 「今日呼び寄せたのは他でもない」といって猫吉は『最低必要なお金』を払うために借金をしていることを王子たちに話しました。王子たちはその話はなんとなく知っていたので、なぜいまさらそんな話をするのだろうかといぶかっています。

 猫吉「この借金はとりもなおさず、君たちのためにしたものであるが、これまでは全てわしの責任で借金をしてきた。これからは君たちにも応分の負担をしてもらいたい。」

 猫次郎「私たちは最低限に足りない部分を頂いているにすぎないのです。借金をしたらどうやって返せばよいのですか。」
 「後年元利払に充てるお金は『最低限必要なお金に入れてあげよう。』」

 といいましたが、王子たちは眉一つ動かしません。

 ここのところ王が決める『最低限必要なお金』がじりじりと下げられてきているからです。後で入れてあげるといわれても実質的に入ることになるのか。もうわからないのです。

<解説>

 地方交付税を交付するために国が借金をしていたことは前回以前にお話しました。
 当初は国の借金だったのですが、国の財政も苦しくなってきたため、平成10年度から12年度までは国が借金をし、返済は国と地方公共団体(都道府県と市町村)が半分ずつ返済することとしていました。(各市町村がどう負担するかはわかりません。)
 その後さらに制度が改正され、平成13年度からは財源不足の一定割合を、県や市が「借金を行ってもよい」ことになりました。この制度に基づき起こした市債は「臨時財政対策債」といいます。
 これも本来地方財政法でやってはならないとされている赤字公債で、他の法律で特別に認められているものです。
 しかしいまや臨時財政対策債の各市町村の市債の残高に占める割合は相当なものになりつつあり、将来の公債費としてそれぞれの町の財政を圧迫する恐れが高まっています。
 
 ふうぅ~やっと臨時財政対策債にたどり着いた。 多少でも理解の助けになればと思います。
 今回でこのコラムは終わります。でもお話はもう少しだけ続きます。

<後日談>
 そんなある時、犬の国で伝染病が大流行しました。なんと原因は猫の国の魚のようです。
 これまで飛ぶように売れていた魚はぱったりと売れなくなり、海辺の町は暗く沈みこんでいます。

 またしても王子たちが呼ばれました。
 猫吉は「今回は犬の国も含んだ100年に一度の危機である。ここは大規模な景気対策を。」
 といいますが、猫の王子たちはうつむいたままです。猫吉もこれまでの対策があまりうまくいっていないので、声にも張りがありません。
 これから猫の国はどうなるのでしょうか。それは誰にもわかりません。
(終わり)

2009年3月23日月曜日

地方税「払い戻し」倍増

日経ネット 3/22
「地方税「払い戻し」倍増 自治体、企業に4600億円」
「急速な景気後退を受け自治体が企業などの納めた地方税を払い戻す「還付金」が急増している。47都道府県が2009年度予算案に計上した還付金総額は4634億円で、08年度の2.1倍に達した。愛知県は7倍、大阪府は2.8倍と大都市圏で増加が目立つ。09年度の都道府県の法人関係税収総額も08年度に比べ約3兆円減る見通しで、還付金急増は厳しい自治体財政にダブルパンチとなりそうだ。
 還付金の大半は企業が自治体に払う法人関係税(法人事業税、法人住民税)。3月決算企業の場合、前の年度の税額の半分を「中間納付」として11月ごろにいったん納め、通期決算の大幅減益などで最終的な税額が中間納付額を下回ると還付を受けられる仕組みだ。」 以上引用

 自治体のうち都道府県の集計のようです。(市町村はこのほかにさらにある。)
 もう少し解説すると、例えばある年に100億円の利益を上げたとして税率が10%だとすると、10億円の税金を年分の法人住民税として支払うこととなります。 (その市にだけ事業所があると仮定します。)
 次の年はどうなるかというと、実は中間申告というものがあって半年分を11月ごろ(3月決算の場合)納めますが、その金額は今年も同程度の所得があることを前提に前年度分の半分を支払います。
 つまり前例で言うと、10億円の半分で5億円です。

 さてここで、実際にその年の決算が120億円の利益があった場合、その年度分の税金は12億円ですから、決算が終了してから2ヶ月以内に12億円から既に支払った5億円を差し引いた7億円を納税することとなります。
 逆に80億円の利益だった場合は、8億-5億円=3億円だけ納税すればよいことになります。
 さて問題は、利益が40億円だった、あるいは0だった場合です。
 40億円だった場合にはその年度に納税すべき金額は4億円、0だった場合は0になります。
 しかしもう5億円既に払ってしまっています。こういうときにはどうなるかというと、還付といって払いすぎた分を市が企業に返すことになるわけです!この例でいくと利益40億の場合は1億円、利益0の場合は5億円を還付するということになるわけですね。
 

2009年3月22日日曜日

公債費払う金額の総額は?

市債(市の借金のことね)が○○億円という表現がされているのですが、
 これって元本だけで利子は含まれていないのです。
 将来的に合計いくら払わなければならないかは、金利と返済期間によります。
 市債の場合は元本均等返済なので、大体こんな感じになります。
 残高100億円の場合・・・・
  残り期間が30年 金利3% だと 金利の合計は46.5億円。
  合計額は年数と金利におおよそ比例します。つまり年数や金利が倍になると大体倍、半分になると大体半分という計算になります。
  金利を含めると1.5倍になるのですが、こういう視点による分析はあまり見たことがないのですがなぜでしょう。持っている財産の運用利回りや税収など歳出の伸びも金利と同程度であればよいのでしょうが、このご時勢かえってマイナスになっているぐらいですからねぇ。
  
 

2009年3月21日土曜日

我孫子市財政白書

我孫子市の財政白書です。
Googleで「財政白書」で検索すると、練馬区についで出てきます。
http://www.city.abiko.chiba.jp/index.cfm/15,0,80,217,html

平成16年度決算によるものが平成18年3月に出ているもののみ。
全体の構成はスタンダード
財務諸表関係(バランスシート、行政コスト計算書)を丁寧に説明しています。財務諸表から何をいえるかというのは難しいですが、それでも頑張って読み解いている感じがします。
また連結財務諸表についても作成しています。

http://www.city.abiko.chiba.jp/index.cfm/15,0,80,html
そのほか財政情報はこちら。中期財政計画や地方交付税(専門的)あたりが注目。

ブックレビュー 都市政府のガバナンス

都市政府のガバナンス 吉田民雄著 中央経済社 2003年発行

 この本は、地方自治のあり方について、より根源的なところから理解を深めたい人向け。
 かなり分析的かつ、反復も言い換えが多く、内容が堅いため、どちらかといえば中級者以上又は粘り強く文章が読める人むけ。

 この本の目的として、日本の都市と都市政策や地方自治制度の全般的な変容動向を知るテキストが欲しいという要望や期待にこたえるもの。としています。
 
 ガバナンス(governance)を直訳すると、「統治, 支配」となり、政府が国民をいかに支配するかということのように見えるのですが、この本のテーマは逆で「官、特に中央官庁に独占されている公共性の再構築」がテーマになっています。
 国から県、市という上から下への統治ではなく、市民→地域→市 というより市民に近いレベルから都市政府が持つ力をどのように統治していくかということがこの本の主たるテーマといってもよいでしょう。

 公共的なものというと、行政を思い浮かべ待てしまう人も多いかと思いますが、何が公共的か、何が公の課題かということはそれぞれの地域によって違うもの。これまでどちらかというと中央政府が決めてきた公共性というものを、地域に取り戻し、再構築しようというのが原点としてあり、それを元に都市政府を構成するさまざまなものの今後のあり方を論じています。

 覚えておきたい言葉
 「補完性の原理」:
「個人が自らのイニシアチブによって独力で処理できる事柄を、社会がその個人から奪うことがあってはならない。同様に、社会のより下位の小さな単位が処理解決できる事柄を、社会のより上位の単位が取り上げてしまうことは、不当であり、有害であり、社会を大きく混乱させる。なぜなら、社会のあらゆる行為は、その本質と定義において補助的な(subsidar)ものだからである。」という考え方の基に、個人でできないことを地域で行い、地域で対処できないことを市が、市で対処できないことを県が、県が対処できないことを国が行うという考え方。
 中央がなんでも決めて、下部機関がそれに基づいて実施するという考えとはまったく逆なわけです。

 いくつかの話題
 地方分権改革について : 地方分権一括法が施行された2000年からそれほど経っていない2003年に発行されたということもあり、改革の内容について非常に高く評価しています。今の実態を見たらどう書くのだろうか興味あります。
 市民参加について : 市民参加とわれわれひとくくりにしてしまいますが、市政参加、コミュニティ参加、公益活動参加に分けて論じています。この用語に限らずつい簡単に使ってしまう言葉について、分析的にとらえようとしているのが本書の特徴かと思います。
 その中で、「法律上の市民参加制度は機能していない」「自治会は行政末端機能として利用され、かつ行政依存的性格が強く、形骸化を生み出している」と手厳しい。またサラリーマンの参加については「課題である」としてあり、解決策は見出せていないようである。