2009年5月16日土曜日
お勧め財政白書 その9
今回も財政分析について。
○財政の硬直化に関連する分析
小平市 3番目のファイルP43~
経常収支比率の推移やその構成要素について、他市との比較を交えながら詳しく分析してあります。たぶん26市の中では一番丁寧な説明・分析だと思います。
なお経常収支比率については、赤字公債を分母に入れるか入れないかで二種類あり、どちらをメインとして扱うかが途中で入れ替わったりしたので、経年的に指標を追うにはややこしい指標となっています。そのため、 稲城市の「平成18年度決算版その1のP38」では経常収支比率を二種類表示しています。
○財務諸表関係
羽村市 H15年度決算版 P31~ 。世代間負担比率と予算額対資産比率をマトリックスで分析、現在保有している資産と将来の財政負担を二つの軸に分析をしており、興味深い。 その後のページでは他市との比較分析もあり、全般にお勧めです。
2009年5月15日金曜日
名古屋市 市民税減税へ初会合
以前ブログで取り上げた名古屋市の選挙 で当選した河村たかし市長が公約を実現すべく行動を開始したようです。
減税のために市債を発行するようでは失格だと思いますので、どう行財政を改革しながら実現していくか、今後とも注目していきたいと思います。
記事は以下
河村たかし名古屋市長が公約に掲げる「市民税10%減税」の実現に向けた検討プロジェクトチーム(座長・住田代一副市長)の第1回会議が13日開かれた。住田副市長は「市民の関心も高く、限られた時間内で精力的に取り組みたい」と意欲をみせた。
メンバーは、住田副市長のほか、総務、財政両局長ら計8人。プロジェクトチームの下に、主税課長を部会長とする「税制検討部会」と、財政課長を部会長とする「行財政改革検討部会」を設置。会議は原則公開だが、場合によって座長の判断で非公開にする。
この日は、減税するにあたり、「定率か定額か」や減収分の財源確保の方法のほか、減税によって総務相の許可制となる起債の対応といった課題を改めて確認した。
河村市長と住田副市長は、既に所管の総務省を訪れて意見交換を始めており、6月議会に減税に必要な条例案を提出し、2010年度の実施を目指す。
記事ここまで
ちなみに日野市で市民税(個人)の10%は13億円。 今年度にかけて減少が予想される法人市民税収+1億円ぐらい。
名古屋市は1670億円の10%で167億円。予算5000億円のうち3.3%。 この数字だけ見ると素人目には、やってできない規模ではないようにも思いますが。
むしろ、市民税を下げたことによる県や国からの干渉をいかに払いのけるかが課題なのかもしれません。
2009年5月14日木曜日
ブックレビュー シチズン・リテラシー
シチズン・リテラシー 教育出版 鈴木崇弘他編著
この本は「『市民が市民であるために』必要とされる素養やスキルを習得するための教育の材料となるテキストを作りたい」という思いで作られた本です。
全体的にわかりやすく非常に読みやすくなっています。
が一市民として自分の胸に聞きながら読んで見ると、その責任の重さとよい市民となることの難しさを感じ、厳しく重い内容ともなっています。
具体的な内容としては
・日本におけるパブリックについて(市民になることの大切さ)
・民主主義とは ・世界・国・コミュニティとその成り立ち
・経済、財政、政治、司法、コミュニティ、国際機関 について
・自ら考え、発言し、行動を起こすことについて となっています。
内容としては財政に関する説明も含んでいます。中高生から社会人までみんなにお勧めの本です。
日野市の財政白書では、財政のイメージとして鍋のたとえを使ったのですが、この本では「みんなで共通の朝ごはんの献立を考える」ことにたとえていてなるほど!と思いました。
ところでリテラシーとは、英語ではliteracy、原義では識字能力のこと。
転じて、情報リテラシーやメディアリテラシーなど、○○を使う能力・読み解く能力のような意味で使われています。
限られた財源を有効につかい、かつ子孫につけを残さないようにするためには、市民一人一人の財政を読む力、すなわち財政リテラシーが今後ますます重要になっていきます。何よりも市のお金の使い方を決めるのは最後は市民なのですから。
財政リテラシーはシチズンリテラシーの一部をなすものですが、残念ながら財政リテラシーについては高いとはいえないと思います。 それでも(それだから?)市民による財政白書が各所で発行されるなど、財政リテラシーを高めようという動きが出てきています。このブログおよび別館図書室が少しでも、財政リテラシーを高める、あるいは高めようとする方々の活動に役立てればと願っています。
2009年5月13日水曜日
日野市と財政の10年の歩み その3
本日はその3で都市基盤と交通についてまとめました。
基盤編
道路
99年4月1日 → 08年4月1日
延長484.6Km → 延長489.5Km
面積295.6ha → 面積316.7ha
長さは1%増 面積は7%増。 (主に幅が広がっている。)
うち市道は
延長 445.3km→447.7km
面積 224.4ha→234.8ha
長さは0.5%増 面積は4.6%
下水道
99.3.31 → 08.3.31
排水区域面積1758ha→2108ha
普及率 79.1%→91.8%に
自動車
99.3.31→08.3.31
貨物 4401→3401
乗用車 47999→47313
乗合自動車 159→175
自動二輪 2013→2303
総数 54023→52119
自動車の台数は減っている。
駅の乗車人数98年度→07年度
日野駅10,134千人 →10,141千人
うち定期7,224千人→7,083千人
豊田駅12,735千人 →12,118千人
うち定期9,264千人→8,525千人
高幡不動(京王)
8,966千人→10,519千人
うち定期5,868千人→3,977千人
定期の人数が減っています。高幡不動はモノレールの開通が影響で増。
豊田は周辺の企業の衰退しているということ?
公園(99.3.31 →08.3.31)
160箇所 →180箇所
108.8ha。→127.3ha。
2009年5月12日火曜日
お勧め財政白書 その8
お勧め財政白書 その8
今回も前回に引き続き、分析で面白いと思ったものを。
○福祉関係
福祉にかかる費用の比較として、扶助費や民生費を見たりしますが、
八王子市 最新版P35では一般会計の老人福祉費と、介護給付費を足して分析しています。
立川市 行財政白書 本編 P24(第一部を参照)では、扶助費+福祉関係の繰出金を分析しています。
(リンク先PDFファイル注意)
また昭島市 最新版 P12 では福祉にかかった費用とサービスを受ける人一人当たりのサービス額を示しています。
○債務負担行為
債務負担行為の内容について分析しているのは八王子市(リンクは上と同じ)P44。一般会計以外のものを含めて分析。
分類として下水等、道路、区画整理、学校その他に分けています。
また公債費に準じるものとそうでないものに分けています。
○公共施設関連
八王子市平成17年度版(16年度決算) P26~29の公共施設ごとのコストと利用料金収入の分析がされています。
羽村市 の最新版 P14 施設ごとの収支の状況(ちなみに平成15年度版はグラフ化されている。)
P31では施設ごとの初期投資額と累計の償却費が開示されています。
○国庫補助金
羽村市のP8では、国庫補助金が何に対して出されているかが示されています。(生活保護が1/3ぐらいのようです。)
町田市P6では、目的別に補助金を分類。民生費に対するものがほとんどであることがわかります。
○物件費
小平市 P33(2番目のファイル)では物件費の内容を分析。委託費が70%を占めていることがわかります。
ただ、市民がこれを決算書を元に分析するのは難しいので、行政の方にこういったデータをお願いすることになるのかもしれません。
○補助費
福生市 P20 福生市は特に一部事務組合(主に廃棄物処理関係と病院)への負担が大きいので、この部分を詳しく分析しています。 一部事務組合は一般会計と切り離されるので、市民の目が行き届かなくなりがち。 市によって一部事務組合との関わりの度合いは異なりますが、今後広域行政が進む方向とすると、一部事務組合のチェックがポイントとなるでしょう。 特に後期高齢者の広域連合が各市町村で共通する課題となるのではないでしょうか。
○市税
市税の分析が詳しいのが、羽村市P5~と西東京P12。 羽村市は個人の所得層ごとの、西東京は法人の規模ごとの税収が示されていて興味深い。(決算書からここまで分析はできませんが。)
2009年5月11日月曜日
芽室町 台所白書
http://www.memuro.net/hakusyo/hakusyo.htm
台所白書の発行は2000年と2002年と古いですが、ひとつひとつの財政課題について簡潔にわかりやすく説明してあります。一つ一つ別ファイルになっているのがやや面倒ですが。
2003年以降は広報誌Smileで予算と決算の紹介をしています。
http://www.memuro.net/smile/index.htm
Smileは毎月40ページ以上のボリュームで出しており、かつなんとも親しみのあるものとなっています。
予算は平成21年度版は17ページ、決算は8ページにわたり説明しています。
経年的な分析や他市町村との比較がないので、白書然としたものではないですが、市の広報の試みとしては参考になると思います。
2009年5月10日日曜日
ブックレビュー 税制改正五十年
図書館で借りてきました。
大蔵省の主税局で長年税制に関わってきた筆者が昭和30年代から平成15年ぐらいまでの税制改正について、自らがかかわったものを中心に紹介しています。読み物としても面白いし、意外なことがいろいろとあった。
その1
所得税は昭和40年代まで毎年減税されてきた。所得税は超過累進課税で所得が増えるほど税率が高くなるため、高度成長時代にはどんどん税率が高くなっていったため、「減税を」という声が強かったらしい。ところが昭和50年代になると財源不足に。それならば所得税を上げればよいじゃないかと素人考えには思うのだが、減税圧力は歴史的に強くて増税は難しいという判断の中で、消費に対する課税への期待が強まっていったということのようです。
その2
現在給与所得に対する所得税の負担割合は4%ぐらいで、国際的に見てもかなり低い水準らしいです。(逆のことを書いてある本もありますが。) アングロサクソン的小さな政府はもうだめだという人は多いのですが、税率をあげようという人はなかなかおりません。政治的に難しいのでしょう。本書の中の「税制は端的にいえば政治である」との一節に重みを感じます。
その3
消費税の前身ともいえる売上税導入を考えていた時期にちょうど衆参同時選挙があり、中曽根元首相の選挙戦略として、「まず減税の話をして選挙、その後財源論で間接税の導入。」と考えていたらしい。野党の「大型間接税をやるつもりだろう」という声に「大型間接税はやらない」というキャンペーンを打ったことから、明らかな「公約違反」になってしまい、消費税はその誕生から後ろ暗い歴史を追ってしまうことになったこと。
その4
意外なのは、消費税導入後の総選挙で自民党が負け、日本新党を中心とする連立政権ができましたが、その日本新党が提案したのが国民福祉税という7%の間接税だったということ。ニュースになった記憶はないのですが、意外でした。
その後の橋本内閣のあたりから大蔵省(税制調査会)主導というよりは政治主導で、税制が決まるようになったと書かれています。
その5
平成10年の特別減税あたりから、特別減税・恒久減税を行った結果、税収の歳入に占める割合が50%台になってしまい、残りは赤字公債を発行でまかなうという状況に対して「税としての機能を喪失している」「後世代への負担の先送り」と厳しく評価しています。今年度の税収よりも借金が多いという状況をみたらどう思うでしょうか。
「100年に一度」云々いろいろ言われていますが、借金はいつかは必ず返すもの、「税としての機能を喪失している」という言葉は重く受け止めなければなりません。
ところで所得税の負担水準は国際的にも非常に低いようですが、負担感が軽いわけではありません。
本書のP695に気になる図がありました。平成15年度の平均的な給与所得者の収入は444万円。
そのうち所得税は8万円弱で、負担率は2%を下回っているとのこと。
一方社会保険料(健康保険や厚生年金など)は44.4万円と所得税の約5倍。一般のサラリーマンは所得税・住民税・保険と分けて考えるというよりも、給与-手取り=負担と考えがちなので、実際の税の負担よりも重く感じるのかなと思います。
保険・年金については触れられていませんでしたが、これらを一体的に考えていくことが重要なのではないか。そしてそれは政治の役割ではないかと思うのですが。
もっとも税制が政治主導になったとたん財政悪化したことを思い起こすと、それがよいのか暗い気持ちになってしまいます。
あ、本日で100日連続更新達成しました。ふぅ。
