2009年7月27日月曜日

地方財政+α 経常収支比率5

地方財政プラスアルファ 経常収支比率 その5

前回に引き続き引き続き具体的な行政のアクションと経常収支比率との関係について

今回は、投資以外の行政サービスについて。なのですが、行政サービスのうちどの部分が経常的な支出と扱われているのかは、予算書・決算書を見てもわかりません。(財源は予算書をみれば大体わかる:日野市の場合)
 ここでは「経常的な支出として扱われる行政サービス」について、経常収支比率を下げる要因と上げる要因を列挙していきます。

○経常収支比率を上げる要因
 ・予算をつけてサービスを拡充・新規事業開始
  →国や都の補助があれば、あがる幅はその分低くなります。
 ・国や都の補助金が削減された
  →充当する一般財源が多くなります。
 ・補助金の一般財源化
  →個別の事業に対する補助金ではなく、その分を財政需要額に含めるものです。理論的には中立のはずですが、日野市のような不交付団体の場合には、財政需要額が増えても地方交付税が増えるわけではないので、マイナスに働きます。
 ・人件費が増えた
  →人件費はほとんどが経常経費充当一般財源にカウントされます。

○経常収支比率を下げる要因:基本的には上記と逆
 ・サービスを縮減
 ・事業の廃止
 ・経費削減を行った
 ・補助金が増えた
 ・人件費が減った

正直言って当たり前のことばかりですが、経常収支比率を上げるためには、結局は必要のある業務に絞込み、同じことをコストがかからずにできるように努力をするといった地道な取り組みをするより他ないといえます。

2009年7月26日日曜日

カリフォルニア州財政危機 関連補足

カリフォルニア州に関して以前の記事の補足記事です。

 カリフォルニア州では1994年に刑法が改正され、二回以上重罪(おおむね懲役1年以上の刑相当以上)を犯した人が3回目に有罪判決を受けたら、即終身刑になるという法律(三振法)となったとか。
 このため、カリフォルニア州では大学の予算を削って刑務所の予算を増やすことになったが、事実上この法律は高齢犯罪者の年金制度になっている。という指摘もあります。(レスター・C・サロー著 資本主義の未来P115参照 なおこの本についてはそのうちレビューの予定。)

 記事では15.8万人の受刑者ということでしたが、別報道では16.7万人とか。
 カリフォルニア州の刑務所での生活水準は隣のメキシコの村のそれよりも高いとのことなので、どうしようもなくなって犯罪を犯して(カリフォルニア州は死刑があるので死なない程度に)一生食ってはいけるようにすると考える人も、この中にはいるのでしょうねぇ。

2009年7月25日土曜日

ブックレビュー 日本の名著 二宮尊徳

今日のブックレビューは中央公論社(既に倒産) 日本の名著 二宮尊徳

 昭和45年初版発行 古本屋にて購入。市の図書館ではあるかも。大きな書店なら新しいシリーズで出ているかもしれない。

 二宮尊徳といえば、薪を背負って本を読んでいる子どもとして有名ですが、(交通安全教育上よくないというので、例の像は減っているらしいですが。)幕末に領主や農村の財政を立て直した実績とその手法が高く評価されています。
 二宮尊徳の財政再建の手法は「報徳仕法」と呼ばれ、「分度」と「推譲」が重要な柱となっています。
 分度というのは、財産相応の計画性をさし、「予算を立て、その中で生活すること」を分度を守るというようです。
 十石の収入があるところに、十一石で暮らせば貧賤が入り込み、九石で食らえば富貴が入り込むといった具合の非常に単純明快でわかりやすい。(やろうと思うとなかなかできない)。
 十石のところ九石で暮らしたらあまった一石はどうするか、それは将来や共同体のために譲る。これを推譲という、現在の感覚からすると将来への投資や公共への還元ともいえるかもしれません。
 これだけをみると「この程度のことか」と思うでしょうが、二宮尊徳はこれを徹底して行い、かつ労力と知恵を惜しまず注ぎ込み、多くの荒廃した村や武家を再生させてきたのです。

 この分度と推譲を国や市の財政に当てはめて考えるとどうでしょう。
 相馬藩の財政立て直しを図った際、その前180年間の収入をみて、分度を定めたそうです。インフレがあるので現代で同じことはできませんが、今の国や地方自治体が直近10年の収入を見た財政運営を行っているでしょうか。
  入ってくる以上に使い、将来に譲るどころか先食いをしてはいないでしょうか。

 二宮尊徳というと、戦前の修身の教科書に出てくるような古臭いイメージがありますが、尊徳の生涯を書いた「報徳記」の部分だけでも読むと、時代を超えた普遍的な考えもあり、興味深いと思います。

2009年7月24日金曜日

カリフォルニア州財政危機2

サーチナニュース 7/23
http://searchina.ne.jp/
 原田武夫氏執筆記事
 以前紹介した記事の続きです。

 前回記事の段階では、予算案が議会に否決された段階でした。その後
 「7/20、米国カリフォルニア州のシュワルツネッガー知事と州議会の共和・民主両党の幹部は、約260億ドルの財政赤字解消に筋道をつける予算案の成立で合意した。」とのこと。削減された歳出予算が認められたようです。
 また、「米国政府によるカリフォルニア州の救済による回避」という観測もあるようですが、この記事では「連邦政府も多額の借金があり、カリフォルニア州同様財政難に陥っている多数の州(46州がデフォルト状態という説も!)を救済することは無理」との見解。 46州とは・・・・・。
 
 ちなみに今回成立した150億ドルの予算の削減には刑務所予算の削減も含まれ、なんと2万7千人にも及ぶ囚人の判決を繰り上げて早期に自宅に戻らせるとか。やることが極端というかなんというか、ちょっと今の日本では考えられないですね。
 
 ちなみにアメリカは異常に受刑者が多い。日本は平成19年度で約7万人、アメリカは230万人!(約100人に一人。ちなみにカリフォルニア州は約15.8万人(人口約3500万人))。
 割合としてはちょっと前の日本の生活保護率より少し少ないぐらいです。

 アメリカの州の財政は資本的支出以外の経常的な支出については均衡予算のルールがあり、要は税収が足りないからといってその分借金をするということが難しいようになっています。また増税についてもカリフォルニア州では住民投票での承認が必要で、歳入も簡単に増やせないという事情があり、それが財政運営を厳しくしている面もあるようですが、一方で財政規律を形作っているともいえそうです。(この節 白川一郎著 自治体破産を参考にしました。)

2009年7月23日木曜日

上越市財政読本

今日は新潟県上越市の紹介。
 上越市は10年ぐらい前に、行政分野別に6人の副市長(公募だったかな?)をおいたことで話題となったこともあります。
 
 財政については下記ページで紹介しています。
http://www.city.joetsu.niigata.jp/contents/city-info/zaisei/index.html
 タイトルは「上越市財政読本」 財政とは何か・財政の仕組みについてと予算を中心に説明しています。
 特に5ページまでの財政制度の解説は簡潔で要点をとらえており、非常にわかりやすい。
 財政規模は人口20万人に対して、一般会計で1034億円とかなり大きいことがわかります。
 (日野市は17万人で500億+αぐらい)
 一方市税は日野市と同じぐらいあります。(法人税は日野市より多い!)
 ちなみに財政運営のスケジュールなどもHPで発表されています。

2009年7月22日水曜日

自治体システム ネットでソフト共有

日経新聞 7/19

 現在市町村が別々にソフトをITメーカーに発注していますが、今後総務省はインターネット経由でソフトを共有する「クラウドコンピューティング」によりソフトの共有化と、導入経費の軽減を目指すとのこと。



 地方分権改革推進委員会の第4回でも、わずかな制度改革でもコンピューターのシステム変更が強いられ、多額の改修費用を強いられるという問題が指摘されています。

 http://www.cao.go.jp/bunken-kaikaku/iinkai/kaisai/dai04/04gijishidai.html

 (上記リンク、資料3露木委員資料参照)



 こうした取り組みが市の財政にプラスになるとよいですね。注目すべき取り組みと思います。

  

2009年7月21日火曜日

地方財政プラスアルファ 経常収支比率4

地方財政プラスアルファ 経常収支比率 その4
 前回に引き続き具体的な行政のアクションと経常収支比率との関係について


2.学校を建て替えました
 1)作る年の話
  建物などの投資的な費用は、臨時的なものですので、経常収支比率の分子にも分母にも影響を及ぼしません。

 2)その後の年の話(歳出面)
  ①維持管理費
   通常新しい建物になると修繕費などが減るはずですが、新しい設備が入っている場合(例えばクーラーが入るとか)は逆に水光熱費が増えるケースも考えられるので一概にはいえません。
  ②公債費
   市債の借入なしで作った場合には影響がありませんが、借入を起こした場合には後年の経常収支比率を上げる方向になります。

 3)その後の年の話(歳入面)
  ①地方交付税
  地方交付税の算定根拠となる基準財政需要額を構成する要素として、学校の児童・生徒数、教室数、学校数があります。
  建て替えても児童や生徒の数が増えるわけでもなく、学校の統廃合をするとむしろ減る方向になります。 (小学校が1校減ると800~900万円ぐらい基準財政需要額が減る)

 学校に限らず、建物(福祉施設や文化施設など)を作っても基準財政需要額は変わりません。(特別交付税で考慮される可能性はありますが、特別交付税は経常一般財源ではない。)

 4)道路との違い
  費用を支出した年とその年以後の歳出の面では、道路も学校その他の建物も同じ扱いですが、交付税措置や道路特定財源などのため、同じ投資をした場合は道路を作った方が経常収支比率の面では有利になります。実際の歳入の面でも同様です。
 交付税措置や特定財源、経常収支比率だけで財政運営をしている市はないとは思いますが、道路だけ特別扱いされていることによるインセンティブ(より道路に費用をかけようという)が働いてないとも断言できないように思います。