2009年12月20日日曜日
ブックレビュー 民主主義の未来
図書館で借りました。市民参画の本って分類は何になるんでしょうかねぇ。
政治?行政?社会学? 図書館でも本屋でもなかなか探すのに苦労します。
ということで直接市民参画に関係するわけではないですが、面白そうなので借りてみた。
内容は大きく2つ、全体の3/4ぐらいを使って主に歴史的なこと。
我々はつい自由と民主主義とセットで考えがちですが、自由主義なしで民主主義(の制度)だけを持ち込むと多数による専制になる危険性があること、自由主義に基づく民主主義となるためには豊かさが必要であることを指摘しています。
最後の章で1970年代以降のアメリカの政治が国民から信頼を失っていることをあげ、その原因が民主的な制度から来ていることを指摘し、民衆からの圧力から独立したエリートの必要性を唱えています。
いろいろと面白く勉強になり、かつ読みやすかったのでお勧め。
前半と後半からなるほどと思った部分を引用します。
「(資源国が豊かでありながら自由にならないことについて) 安易に金を得る国は政治的には未成熟である。あぶく銭が手に入るなら、政府は国民から税金を徴収する必要がない。政府が課税するときには公共サービス、アカウンタビリティ、立派なガバナンス、さまざまな市民権や代表権などの見返りを与えなければならない。現代社会では課税権と代表権との折り合いをつけることで政府は合法性を認められる。」
日本は資源がないからだめという人もいますが、資源がないから自由になれるという面もあるということ。
「(アメリカでロビイストや利益団体の力が大きくなった理由として) アメリカ人の多くは議会を日常的に監視する時間も関心も趣味もない。しかしロビイストや政治活動家は議会の監視を怠らず、彼らの代弁するグループが連邦予算と法律の面で厚遇されるように働きかける。」
アメリカ人のところを日本人に書き換えても最初の一文は当てはまりそう。また軍服に使われていた羊毛が戦略的軍需品であるとして1993年まで農家に1億ドルの補助を出し続けていた例を挙げ、
アメリカ政府は「白骨化した事業を大量に冷凍した巨大な塊」との指摘を紹介しています。
またカリフォルニア州の住民投票の例を挙げ、住民投票によりこれまで立法の過程で反対派を含めた議論をしていたものが、YesNOの投票になってしまったため、立法化のプロセスがすさんでしまったと解説。
「君主が専断的な命令が支配したら政治は機能しなくなるように、民衆も君主と同じようにふるまったら政治は機能しない。」
というのにはなるほど。ちなみにカリフォルニア州では財政に関するいろいろなことが住民投票で決められて制約条件が生じ、現在の財政難につながっているようです。
(今回から文字のサイズを大きくしてみます。 これまでのも必要に応じて大きくします。)
2009年8月11日火曜日
ブックレビュー 資本主義の未来その2
本書でいうと第3章と第4章の内容を紹介します。
きっちりまとめたものではなく、気になったところ。ポイントを要約抜き出しているのでご容赦。
1 共産主義の崩壊
・共産主義の崩壊で19億人が資本主義の世界に流れ込み、ものすごい供給が生じた。
・160万トンのアルミ地金が旧ソ連から流れ、いたるところでアルミ精錬所が閉鎖された。
・羊毛の輸出量が900万トンから18600万トンに増え、羊毛価格が1/4に。
・東ヨーロッパの製品が西ヨーロッパに流れ込んで工場が閉鎖されるか、さもなければ何百万人が西ヨーロッパに移民してくる。
・共産主義では学校制度は優れていた。旧共産圏でアメリカの平均的な高校生以上の学力を持つ人数はほぼ無限。
・教育程度の高い中国人を月35ドルで雇えるときにアメリカの高卒者に年2万ドルを払えるか。
→資本主義社会の賃金水準に大きな影響を与える。
なお中国についてはかなりページを割いている
・最近20年の成長はこれまでの非効率の反動。共産主義で無料に抑えられていた住宅価格が市場価格になれば、中国の労働力は現在ほど安くなくなる。
・農村への投資が社会の安定に欠かせないが、それは経済成長鈍化の要因となる。
・中国が成長している理由として4つあげている
①貯蓄率が高い(通貨危機のようなものが起こりにくい)
②しっかりした政府がある。
東ヨーロッパでは政府が崩壊。無秩序の民営化(旧共産党幹部による公共財産の略奪)が起こった。
③資本主義の中で育った華僑とのつながりがある。
④国営企業の割合が少ない(全体の18%、ソ連は93%)
小規模経営の人民公社の割合が多い。
旧共産圏のほか、今後輸出ゲームに加わろうとしている第三世界の人口が30億人になる。
2 頭脳産業の時代
・日本の旧通産省が21世紀にかけて成長する産業のリストが紹介されている。
→マイクロエレクトロニクス、バイオテクノロジー、新素材、通信、民間航空機、工作機械・ロボット、コンピュータ
・これらは人間主体の頭脳産業であり、「地球上のどこにでも立地可能」
・生産コストが一番低い国に生産拠点は移動。新しい技術は発明されたところで使われるとは限らない。
(アメリカが発明したビデオやファックスは日本で作られていると書いている。)
・発明からサービスまでのプロセスを組織できるか。これからは高度な技能や新しい技能が必要であり、さらにそれが組織化される必要がある。
・技能と知識に関する国の投資が必要。教育や研修は時間がかかる。頭脳産業の立地に大きな影響を与えるのは多国籍企業の意向。教育や研修への投資により頭脳産業の進化の過程に参加しなければ発展への道は閉ざされる。
・第三世界の技能しか持たないものは、先進国に住んでいても第三世界の賃金しかもらえなくなる。
・経済はダイナミックな不均衡の中にあり、経済全体はプラスであっても、部分的には損する人がかなり多く出る。勝者の利益をどのように分配するかは以前より厄介な問題になっている。
・一方でテレビが社会の価値観と規範の決定に大きな影響を及ぼすようになっている。
・テレビを見る場合には学ぶ必要はない。ボキャブラリーが貧困になってしまった。
(リンカーンのゲティスバークでの演説など今日では考えられないとしているが、オバマ大統領の存在を考えるとまだ捨てたものではないのかもしれない。アメリカの方は。)
・テレビ文化では現実と思ったことの方が現実そのものよりも重みを持つ。殺人事件が頻繁に報道されるため、ほとんどの人は殺人が恐ろしいほど増えていると思い込んでいる。(今の日本もそういえる)
・カリフォルニア州では1994年に三回重罪を犯したら終身刑という法律ができ、大学の予算を減らして刑務所の予算を増やした。95年には州の刑務所予算は大学予算の2倍となり、刑務所一人当たりの支出が大学一人当たりの4倍になった。
・テレビでは消費が人生の唯一の目的となり、個人的な充足感だけが目指すべき目標となっている。
・テレビドラマの家族はアメリカの平均的家庭より4倍豊か。(日本のトレンディドラマ~死語だが~でも都心のやたら立派な住まいにすんでいるような想定になっているのと似ているかも)
・資本主義文化とテレビ文化はともに金儲けに熱心な点では一致するが、一方は将来のことを少しは考えなければいけないが、もう一方はそのようなものに価値を認めない。
次回は人口の変動について。
2009年8月2日日曜日
米地方自治体、財政危機で破たん申請増える可能性
これまでもお伝えしてきたカリフォルニア州関係の記事関連
7/23ロイター通信
「景気後退により、米国の州・地方自治体や学校区は深刻な財政危機に見舞われているが、今後、これらの地方債発行体はこれまであまり通ったことがない道をたどり、債務不履行(デフォルト)に加え、裁判所への財政破たん申請にさえ追い込まれる可能性がある。」として今後地方自治体の財政破綻と地方債のデフォルトが大恐慌以来最大の事態になると予測されています。
今年は既に最初の半年でほぼ570億ドル(5.7兆円!)もデフォルトしているとか。
既に何回か紹介しているカリフォルニア州では州内の自治体や学校向けの予算が数十億ドル削減され、既にバレホ市が連邦破産法の第9条を申請しているそうです。
アメリカの特徴として、地方自治体にも破産を認めていることがあります。州や連邦政府は自治体の債務を保証していないようです。それでデフォルトも発生しているのにそれでも市場として成立しているのですね。(よく考えたら日本の社債市場も政府の保証がなくデフォルトもあるのだが。)
夕張なんかはデフォルトしてしまった方がよいようにも思いますが、それは政府が暗黙に保証していると思われていた地方債市場が崩れるのでできないのでしょうか?もしデフォルトの可能性があれば金融機関もあれほど貸し込まず、これほど傷が深くならなかったかもしれません。
2009年7月26日日曜日
カリフォルニア州財政危機 関連補足
カリフォルニア州では1994年に刑法が改正され、二回以上重罪(おおむね懲役1年以上の刑相当以上)を犯した人が3回目に有罪判決を受けたら、即終身刑になるという法律(三振法)となったとか。
このため、カリフォルニア州では大学の予算を削って刑務所の予算を増やすことになったが、事実上この法律は高齢犯罪者の年金制度になっている。という指摘もあります。(レスター・C・サロー著 資本主義の未来P115参照 なおこの本についてはそのうちレビューの予定。)
記事では15.8万人の受刑者ということでしたが、別報道では16.7万人とか。
カリフォルニア州の刑務所での生活水準は隣のメキシコの村のそれよりも高いとのことなので、どうしようもなくなって犯罪を犯して(カリフォルニア州は死刑があるので死なない程度に)一生食ってはいけるようにすると考える人も、この中にはいるのでしょうねぇ。
2009年7月24日金曜日
カリフォルニア州財政危機2
サーチナニュース 7/23
http://searchina.ne.jp/
原田武夫氏執筆記事
以前紹介した記事の続きです。
前回記事の段階では、予算案が議会に否決された段階でした。その後
「7/20、米国カリフォルニア州のシュワルツネッガー知事と州議会の共和・民主両党の幹部は、約260億ドルの財政赤字解消に筋道をつける予算案の成立で合意した。」とのこと。削減された歳出予算が認められたようです。
また、「米国政府によるカリフォルニア州の救済による回避」という観測もあるようですが、この記事では「連邦政府も多額の借金があり、カリフォルニア州同様財政難に陥っている多数の州(46州がデフォルト状態という説も!)を救済することは無理」との見解。 46州とは・・・・・。
ちなみに今回成立した150億ドルの予算の削減には刑務所予算の削減も含まれ、なんと2万7千人にも及ぶ囚人の判決を繰り上げて早期に自宅に戻らせるとか。やることが極端というかなんというか、ちょっと今の日本では考えられないですね。
ちなみにアメリカは異常に受刑者が多い。日本は平成19年度で約7万人、アメリカは230万人!(約100人に一人。ちなみにカリフォルニア州は約15.8万人(人口約3500万人))。
割合としてはちょっと前の日本の生活保護率より少し少ないぐらいです。
アメリカの州の財政は資本的支出以外の経常的な支出については均衡予算のルールがあり、要は税収が足りないからといってその分借金をするということが難しいようになっています。また増税についてもカリフォルニア州では住民投票での承認が必要で、歳入も簡単に増やせないという事情があり、それが財政運営を厳しくしている面もあるようですが、一方で財政規律を形作っているともいえそうです。(この節 白川一郎著 自治体破産を参考にしました。)
2009年7月4日土曜日
カリフォルニア州 財政危機宣言
7/1 カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事は財政非常事態を宣言。
英語では「財政非常事態を宣言」は「declare a fiscal emergency」というらしいです。
現在28億ドル(2700億円!)の現金不足に陥っており、2日から借用書を発行の予定とか。これが払えなくなると行政サービスがストップしてしまう恐れがあるのだとか。カリフォルニア州の面積は日本より広く、人口3500万人を抱えるアメリカ最大の州ということで、FRBでは借用書の乱発が金融システムに悪影響を与えるのではないかと懸念しているようです。
経費削減のため第1,2,3金曜日を閉庁として給与を減らすとか大変なことになっているようです。日本ではなかなか考えにくいですね。日本では夕張ぐらいひどいことになっても、資金ショートすることが話題になることはなかったのですが。
