地方財政プラスアルファ 経常収支比率 その4
前回に引き続き具体的な行政のアクションと経常収支比率との関係について
2.学校を建て替えました
1)作る年の話
建物などの投資的な費用は、臨時的なものですので、経常収支比率の分子にも分母にも影響を及ぼしません。
2)その後の年の話(歳出面)
①維持管理費
通常新しい建物になると修繕費などが減るはずですが、新しい設備が入っている場合(例えばクーラーが入るとか)は逆に水光熱費が増えるケースも考えられるので一概にはいえません。
②公債費
市債の借入なしで作った場合には影響がありませんが、借入を起こした場合には後年の経常収支比率を上げる方向になります。
3)その後の年の話(歳入面)
①地方交付税
地方交付税の算定根拠となる基準財政需要額を構成する要素として、学校の児童・生徒数、教室数、学校数があります。
建て替えても児童や生徒の数が増えるわけでもなく、学校の統廃合をするとむしろ減る方向になります。 (小学校が1校減ると800~900万円ぐらい基準財政需要額が減る)
学校に限らず、建物(福祉施設や文化施設など)を作っても基準財政需要額は変わりません。(特別交付税で考慮される可能性はありますが、特別交付税は経常一般財源ではない。)
4)道路との違い
費用を支出した年とその年以後の歳出の面では、道路も学校その他の建物も同じ扱いですが、交付税措置や道路特定財源などのため、同じ投資をした場合は道路を作った方が経常収支比率の面では有利になります。実際の歳入の面でも同様です。
交付税措置や特定財源、経常収支比率だけで財政運営をしている市はないとは思いますが、道路だけ特別扱いされていることによるインセンティブ(より道路に費用をかけようという)が働いてないとも断言できないように思います。
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