2010年4月10日土曜日

動画版コメンタリー 行政サービスについて

今日紹介する動画は「財政とは何?」。(動画へのリンクはこちら
今日は前回 財政とは「みんなから集めたお金をみんなのための使う仕組み」のところをもう少し詳しく解説した部分です。
 今日も長くなりますが、ご容赦ください。

「みんなから集めたお金というのは、具体的にはどういうことですか。」
「みんなから集めたお金とは、端的にいえば税金のことです。」

正確に言えば、みんなから集めたお金のには使用料や手数料、負担金もあります
さらに特別会計だと保険料のようなものもありますが、話を簡単にするため、「端的にいえば」としました。

国や都からのお金も原資は税金、市債も原資は未来の税金なので、税金という説明でよいかと思っています。

「みんなのために使うというのは例えばどういったものですか?」
「そうですね。例えば、ごみを集めたり、集めたごみを処理したりすること、道路を作ること、小学校の運営、それから保育園なんかもそうですね。」
「どれも私たちの生活に必要なものですね。」
「そうですね。この他にもここでは紹介しきれないぐらい、いろいろなことに使われています。このようなみんなのための活動を公的サービスとか行政サービスといいます。」
行政サービスを行うためには、何らかの形で必ずお金がかかります。そのためのお金を調達したり、調達したお金を配分したりするのが財政なのです。
「財政は私たちの生活を支える大事な役割を担っているのですね。」

ここで紹介したような「みんなのための使うもの」を表す言葉にも実は結構迷いました。
財務省や国税庁では「公的サービス」「行政サービス」「公共サービス」というワードが使われており、また「行政サービス及び公共施設」という説明もありました。

迷った末に「公的サービスとか行政サービス」としてしまっていますが、それ以後は全て行政サービスで統一しています。なぜならば、長くなって台詞としておかしくなってしまうから。
また公共施設をサービスと並列で説明するのはやめよう、と考えました。

「行政サービス及び公共施設」といっている場合は、「公共施設」はハードなもの、「行政サービス」はソフトなものという区別をしていると思うのですが、私は公共施設そのものは利用者としてはそれほど必要としていないのではないかと考えているのです。

道路を使う場合、道路を構成するアスファルトとか白線とか、ブロックとかそのもの自体を欲しているのではなく、円滑に安全に目的地に行けるという機能を欲している。

建物もしかりで、建物を構成する鉄筋コンクリートや屋根材や床材を欲しているのではなく、それらによって構成される空間、より突き詰めればその空間が可能にする活動を欲している。
と思うのです。

公共施設に光を当てると、そのものが存在することが重要なように思われ、そのものの機能の影が薄くなるのではないかと考えたので、ちょっとわかりにくい部分が生じるかもしれませんが、財政の役割や税の必要性の説明においては公共施設を含め、○○サービスという表現に統一しようと考えました。

それではサービスの前につくのは「公的」がよいのか「行政」がよいのか、それとも「公共」がよいのか。
公的サービスと言った場合には、必ずしも行政がやるものに限定されなくなります。

ボランティアやNGOが行う活動はもちろん、通常の企業が行う活動の中にも公的な活動があります。
 ということで「公的サービスをするために財政がある」と説明してしまうと、税金によらずに公的サービスを供給している主体があるという現実と合致しません。

 そういう意味では「行政サービス」といえば間違いがないと思われますので、今回は行政サービスを主に採用しています。しかしそれは無条件に使っているというわけではなく、下記の留意事項とセットになっていると考えています

「行政サービスのために財政が必要」というのは若干トートロジー(同義反復)的な部分があるようにも思います。解きほぐして考えると、
「行政が活動するのだから、みんなが行政の活動に必要なお金を負担する必要がある」
ということになり、極論すれば
みんなのためにならない活動でも行政が行った活動は行政活動なので、
「お上が使うんだから黙って払え」的な感じがして、
なんとなく説明として違和感を感じる部分があります

 そもそも何のために行政サービスを行うかといえば、みんなの役に立つために行うわけで、つまりその役立つ活動は公的サービスであるわけです。

 つまり努めて正確に言おうとすると、「公的サービスのうち行政で行うもののために財政活動が必要」ということになります。「公的なサービスのうち行政が行うべきものは何か?」に対する絶対的な答えはなく、それは別の議論になります。

 行政がやるから行政サービスなんだな、ではなく、公的サービスで何を行政がやる必要があるのか、その負担を含めて常に考えていく必要があるのです。また行政以外も公的な活動を行っていることから、それらとの連携がより今後必要になるということも見えてくると思います。

 なお「公共サービス」という単語は「公共サービス基本法」という法律があってその中で「国や地方公共団体の事務又は事業で特定の者に対し行われる金銭その他の物の給付又は役務の提供、規制、監督、助成、公共施設の整備その他の公共の利益の増進に資する行為で、国民が日常生活及び社会生活を円滑に営むために必要な基本的な需要を満たすもの」
と定義されています。

 この法でいわんとするところの「公共サービス」が上記で説明しようとしている「行政の行う公的なサービス」と一致するのかどうかよくわからないので、法に定める「公共サービス」と混同しないようにこのワードは今回は避けました。

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