2009年11月27日金曜日

財政の疑問に答える 第4回

(第一回はこちら)
前回まで、バブル崩壊後も歳入が伸び続けた理由として
 ①給与総額が97年まで上がり続けたため、個人の所得税が伸びたこと
 ②固定資産税評価額の急増が固定資産税に反映されるのに時間がかかったこと
をあげました。
 が、これでは実は歳入が伸びた理由の半分も説明していません。
 なぜならば市町村の歳入のうち市町村税が占める割合は40%弱にすぎないからです。(日野市の場合は60%程度)
 
 財政の基本としてよく言われるのが、「量入制出」つまり歳入をよく見定めてから歳出を決める、というもの。語源は中国の古典の礼記のようです。 が、実際にそんな財政運営をしている自治体はまずありません。そもそも地方交付税の仕組みが「財政需要に足りない部分を国が交付する」というものであり、まさに「量出制入」という構造になっています。どちらがあるべき姿かというのは、神野先生なんかは後者の立場ですし、前者の立場を取る方も多いのでここではこれ以上深くつっこみません。
 いずれにしても「財政需要」の分に市税が足りなければその分は補てんされるわけですから、歳入は日本の自治体の9割を占める交付団体にとっては税収ではなく需要に影響されます。

 さて、最初の問いに戻ると
「バブル崩壊後も歳入が増えた理由は」 の答えとしては
 「財政需要が増えたから」という答えが想定されます。
 その答えは本当かということをこれから検証します。

日野市の場合を下のグラフで示します。グラフの数値は億円。各年度の基準財政需要額の推移です。


グラフで見るように平成12年度(2000年)まで基準財政需要額が伸び続けその後一旦落ち、また上がり始めています。
益子町も同様のようです。
それではなぜ基準財政需要額が増えたのか?
 となると私の分析できる範囲を超えてしまっています。ここから先は分析ではなく予想又は意見として。
 ①高齢化などにより、福祉の需要が高まっていること。
  平成13年度以降一時落ちているのは、介護保険の導入(一般会計から切り離された)が関係していると見られます。
 ②景気対策としての公共事業分が増えた
  小渕内閣までは、公共事業による景気対策が行われました。投資的な経費は基準財政需要額には含まれなかったと思いますが、そのために借金したものの返済が、交付税で面倒を見る(基準財政需要額に含まれる)ため、その後の財政需要額に加算されています。
 ただし、全体での影響額は不明。

 とりあえず、Qなぜバブル後歳入が増えたのかという問いに対する分析はここまで。
 不十分な点については、どなたか分析していただけるか、文献を紹介いただければ幸いです。

 次回以降は ○平成13~18に地方債が急増した理由は
      ○財政の縮小期にも関わらず 公債費が平成12年以来膨張している理由は
  について調べていきます。

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