2009年12月6日日曜日

財政の疑問に答える第6回

財政の疑問に答えるシリーズの第6回。
今回で最終回の予定です。(前回はこちら。第一回はこちら
 前回は、平成13年から18年に借金が増えた理由は赤字公債が原因。という話をしました。
 それではなぜ赤字公債が増えたかという話です。

 赤字公債の主なものとしては「減税補てん債」と「臨時財政対策債」があります。
 減税補てん債は景気対策のための特別減税により、住民税が減った分を借金で埋め合わせるためのもの。
 日野市では平成7年から18年まで発行されています。ただし、平成13年以前に発行されたものがほとんどで、平成13年の残高79億円に対し、平成18年でも75.7億円となっています。

 実際に増えているのは臨時財政対策債。こちらは平成13年度から発行が認められているもの。
 平成13年度は6.6億円でしたが、平成18年度には97.6億円に膨張しています。

○臨時財政対策債とは?
 地方交付税は自治体の標準的な財政需要(基準財政需要額)と標準的な収入(基準財政収入額)の差額に相当する金額が、国から交付されるものです。その原資は国税(所得税、法人税、消費税、酒税、たばこ税だったかな。)の一定割合となっています。
 
しかし、景気が悪くなると市の税収がへる(基準財政収入額が減る)ため、交付されるべき地方交付税は増える計算になりますが、一方でその原資となる国税も減ることになり、必要な原資が確保できないことになります。
 そのため、平成12年度までは国の特別会計で借金をして地方交付税の原資としていましたが、平成13年度からは半分は国が借金をし、残りは「自治体が借金をしてもよい金額」を国が定め、その範囲で借金をしてもよいことになりました。その借金が臨時財政対策債です。
なお、臨時財政対策債の元利返済分は後年基準財政需要額に算入されることになります。

 ということで、平成13年から平成18年に市債の残高が増えた理由は
  →「赤字公債が増えたから」
   その理由は
  →「臨時財政対策債により、地方交付税の原資不足の一部を直接的に市が借金をするようになったから」
   (それ以前は特別会計の借金の半分は後年基準財政需要額を減らすことで、各自治体が負担することになっていた。)
  →「交付すべき金額と国税の一定割合のギャップが大きくなったこと」
 と分析できます。
 日野市の場合は当てはまりませんが、
 「住民税の特別減税により税収が減り、その分を借金で補ったこと」
  が当てはまる市町村もあると思われます。

 このように見ると、国の施策により地方財政が大きく影響されてきたことが見て取れると思います。

 以上でこのシリーズは一旦終了とさせていただきます。
 なお、地方と国の関係や地方債は交付税に関することは、コラム「地方交付税と地方債」に詳しいので、こちらを参照ください。

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