2009年5月1日金曜日
日野市と財政10年の歩み
去る平成21年2月1日号の広報で財政非常事態宣言がなされました。
その1年ほど前は企業からの税収もあがって、楽観的な空気だったのとは大違いです。 平成20年度版の財政白書では、「財政危機は去ったのか?」と問題提起をしましたが、心配したことが現実になっているようです。
実は今回の財政非常事態宣言のちょうど10年前にも財政非常事態宣言がされました。
このコラムでは前回の財政非常事態宣言時点との比較を中心に日野市の歩みをみてみたいと思います。
特にこれによって何かを結論付けたり、何かを主張したりすることは当面は意図しておりません。
データからそれぞれに(私を含めて)感じ取るところがあればと思います。
うーん、コラムが同時並行で乱立していますが、タグを含めて近日中に整理します。
今回は日野市の人口について
総人口 平成11年1月1日 163227
平成21年1月1日 173442 約1万人増加
65歳以上人口 平成11年1月1日 21,326
平成21年1月1日 35,160 約1.4万人増加
小学生児童数 平成11年5月1日 7884人
平成20年5月1日 9140人
中学生生徒数 平成11年5月1日 3907人
平成20年5月1日 3906人(一度3495人まで減ってから回復)
6歳以下人口 平成11年1月1日 10097人
平成21年1月1日 10916人
日野は少子化していない。ここ10年に関していえば多子高齢化といえる。
人口の減ったところ増えたところ
増えたところ
多摩平一丁目 約1500人(グランループなどのマンション)
多摩平六丁目 約800人(マンション?)
富士町 約1800人(ビバヒルズ)
新町一丁目 約1400人(マンション)
新町4丁目 約500人(宅地開発)
豊田1丁目 約500人(宅地開発)
豊田2丁目 約600人(宅地開発)
旭丘一丁目 約500人(マンション?)
大字日野 約1600人(マンション 主にニューロシティ)
万願寺周辺 3000人程度?(区画整理・宅地開発)
(町丁が変わっているので比較難しいが)
高幡 約1300人
落川 約1000人
減ったところ
多摩平三丁目 約1200人(団地建替え?)
多摩平4丁目 約900人
日野台(1~6丁目)約800人
東平山(1~3丁目)約800人
字程久保 約900人
三沢 約600人
百草 約1000人
マンションや区画整理で宅地開発がされたところの人口が急増する一方で、大幅に人口が減少している地区もあります。
次回は産業をテーマにしたいと思います。
なお、本コラムでの意見を述べたものについては、財政を考える会の見解ではなく、筆者個人のものと考えていただければと思います。
2009年4月30日木曜日
沖縄自治研究会 財政白書
「沖縄自治研究会は、県内自治体の財政事情を市民らが分析した『財政白書~大丈夫?あなたのまちの台所事情』をまとめ、琉球大学で29日、報告会を開いた。県と8市町の財政分析を担当した9氏が見解を述べ、フロアと意見交換。難解とされる財政を市民が主体的に読み解き、自治体経営に生かす意義を確認し合った。 市民レベルで自治体の財政運営について公開で議論する取り組みは、県内では初めてだという。」
記事によれば本土復帰(約40年前!)から2007年までの財政運営について、沖縄県、那覇、沖縄、浦添、糸満、宜野湾、うるまの6市、西原、与那原の2町を分析したとのこと。
研究会の琉球大学島袋教授は 「右肩上がりの時代から、自治体経営は質の充実が求められる時代に変わってきた。住民が財政を深く知ることで、まちづくりの一歩が踏み出せる。他の市町村でも分析したいという声があれば協力したい」とのこと。
こちらが沖縄自治研究会のブログ。
http://plaza.rakuten.co.jp/jichiken/
琉球大学教育学部島袋教授の研究室を中心に地域の市民を交えて2002年以来さまざまな活動をしている団体です。
自治講座などは沖縄県や市長会、町村会も後援する本格的なもの。かなり力のある研究会と思われます。
財政白書も8市町を一度に分析するというかなりの力作と思われますが、HP上でわからないのが残念。
今後の研究成果にも注目です。
2009年4月29日水曜日
財政健全化法を勉強する その4
前回は、古い財政再建法が抱えていた課題の反省に基づき、次の点を定めたことを説明しました。
・公営企業を含めた財政情報の開示
・フロー(実質収支)以外にストック(借金の負担など)を含めた評価指標の開示
・イエローカードの基準を定めることで早期発見、早期健全化を図る
今回は、新しい法律による評価指標について説明します。
評価指標自体の算定方法は、実務上はかなり細かいので厳密に知りたい方は次のHPの「健全化法関係資料」の「基本資料」から「財政指標(pdf)」を見ていただければと思います。
http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/kenzenka/index.html
このページではそれぞれの指標の趣旨とイメージ、そのほかコメントを記しました。
財政指標は4つ+α。①実質赤字比率 ②連結実質赤字比率 ③実質公債費比率 ④将来負担比率
と公営事業の資金不足比率。です。
①実質赤字比率
・第2回の終わりのほうで説明した実質収支比率と同じもの。
・家計でいえばその年の赤字のその年の給与対する割合と考えればよいでしょう。
②連結実質赤字比率
・特別会計を含めた実質赤字比率。
・家計でいえば、自分の事業を会社としている場合の会社の赤字を含んだものというイメージでしょうか。
・「連結」というと関係するところが全て含まれるというイメージがありますが、含まれるのは各種特別会計と公営企業までで、一部事務組合や第三セクターなどは含まれません。
・日野市でいうと、一般会計と特別会計(国民健康保険、区画整理、下水道、介護保険、後期高齢者医療、受託水道)及び公益企業である日野市立病院が含まれます。
・含まれないのは、土地開発公社、企業公社、一部事務組合*1です。
③実質公債費比率
・普通会計が負担する借金の返済(利子と元本)の標準財政規模に対する割合。
・家計で言えばローンの支払額(主宰する会社の借金等含む)の、その年の給与に対する割合と考えればよいでしょう。
・実質公債費比率の算定では、②で計算の対象となった特別会計と公営企業に加え、一部事務組合分も対象となっています。
④将来負担比率
・一般会計が将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模に対する割合。
将来負担すべき実質的な債務には、③で計算の対象となった特別会計や公営企業、一部事務組合の借り入れに加え、債務負担行為*2による支出予定額、第三セクターの損失補償額なども含まれます。
・家計で言えば、ローンの残高の年収に対する割合といえるでしょう。(貯金がある場合には相殺)
ただし主宰する会社の借金や友人との共同事業による借金負担分、連帯保証の保証債務なども含むようなかんじです。
・①~③がフロー指標であったのに対し、この指標だけが唯一ストック指標です。
・そもそも公会計についてはフローの情報しかなく、ストック情報の整備がなされていないこと(企業でいえばバランスシートを作る基準があやふやな状態)、将来負担の中には確実に払うべきものと、未確定のもの、債務保証のような偶発的なものが混じっていること。 などから、課題が多い指標といわれているようです。
+α 資金不足比率
・地方公営企業(下水道や病院など)の実質赤字比率(①と基本的には同じ)。
これは、個別の公営企業ごとに求める(合計しない)もののようです。
今日は説明が長くなってしまったのでここまで。
第5回はこちら。
*1一部事務組合
複数の市町村がまとまって一部の行政サービス(例えば病院や火葬場、ゴミ処理場)を行うために組織する組合。日野市の場合は競輪、競艇、斎場、後期高齢者医療など7つの一部事務組合に加盟しています。
一部事務組合で建物を建てる場合、事務組合で借金をしますが、利用者負担でまかなえない分は基本的には組合に加盟する市からの繰入金などでまかなうことになるため、将来の市の負担として上記③④の指標に反映されることとなります。
*2債務負担行為
債務負担行為とは、区画整理など事業に長期間を要するものの事業費の確保に備える等のために、翌年以降の支出の予定額と期間をあらかじめ定めておくものです。これは将来とはいえお金が出て行くことを予告するものになるので、議会の承認が必要です。家計でいえば、自動車の買換や住宅の購入、子どもの将来の学費を予定しておくようなものでしょうか。
一言で債務負担行為といっても、割賦払いのようなもの(クレジットカードの30回払いのようなもの)や債務保証(子供の借金の保証のようなもの)、単に将来の事業の予定(子供の学費の予定)などいろいろな性質のものがあります。
(なお本稿の作成に当たっては「自治体財政健全化のしくみ(ぎょうせい)」「総務省HP」をベースとしました。)
2009年4月28日火曜日
日野自、国内販社人員2割減 前期の最終損益618億円
日経産業新聞 4/28より
「日野自動車は27日、2015年までに8700人(08年7月末時点)いる販売会社の人員を2割削減する方針を明らかにした。自然減のほか整備部門などへの配置転換で販売人員を減らす。国内に42社、250拠点ある販社についても1割前後を減
らす方向だ。国内トラック需要の低迷が続くとみてリストラ策を急ぐ。
同日発表した09年3月期(2008年度のこと筆者注)の連結業績は、売上高が1兆694億円(前の期比21.9%減)、最終損益が618億円の赤字となった。今期についても国内、海外、トヨタ自動車からの受託生産とも販売台数が減少するとみており、売上高は9000億円に減少。最終損益は240億円の赤字となる見通し。 」
決算短信によれば、単独決算は税引き前で424億円の赤字とのこと。法人税法では赤字は最大7年間繰り越すことができることになっているので、仮に来年度(2010年度)以降黒字になったとしても、2~3年は日野自動車からの法人住民税は、均等割の300万円以外は入らないことになります。(ちなみに2007年度は約120、2006年度は約250億円の黒字(税引き前)でした。)
2009年4月27日月曜日
立川・日野ロケ地 都がマップを配布
都は立川、日野両市で撮影された映画やテレビドラマのロケ地を紹介する「東京ロケ地マップ~立川・日野~」を作り、東京観光情報センター都庁本部や立川と日野の両市役所などで配布している。
両市には撮影場所に使われるスポットが多く、行政が市民と協力し、ロケが行われた場所のPR活動にも取り組んでいる。マップは観光ガイドに掲載されていない魅力的な場所を市民にも再発見してもらおうと、日本語版2000部、外国人向けの英語版1000部を作成した。 女優の仲間由紀恵さんが熱血教師役を演じたテレビドラマ「ごくせん」のロケ地となった錦第二公園(通称・オニ公園、立川市)や、松浦亜弥さんが主演した映画「スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ」が撮影された実践女子大学(日野市)など15作品で使われた7か所が、地図や写真付きで紹介されている。 都観光部は「マップを持って地域を散策してもらえれば」と話している。
実は多摩地域はロケの誘致に各市とも積極的です。日野市はフィルムコミッション連絡協議会加盟の日野映像支援隊
http://hino-film.hp.infoseek.co.jp/
が活躍しています。この記事で紹介されているほかにもキムタクが出ていた「エンジン」や今話題の草彅剛が出演した「日本沈没」のロケも行われました。
ブックレビュー 自治体財政健全化法のしくみ
2007年12月発行
図書館で借りてきました。 コラムを書くにはやっぱり本を参照するのがよいかなということで、借りたものです。
基本は自治体の職員(財政関係以外)向けと思われます。
健全化法ができた経緯がわかりやすく書いてありますので、「財政健全化法ってなんだろう?」と思っている人にお勧め。
中盤以降は、各指標の具体的な計算や健全化計画などの手続きの説明になっていくので、行政職員や財政をある程度知っている人でないと読みにくいかも。
この本の初版の出版段階では、財政健全化の4つの指標は示されているものの、どこまでいったらイエローカードでどこまでいったらレッドカードかの具体的な数値が決まっていませんでした。それだけに、その数値がどのへんに設定されるのかという推察がされており、非常に興味深い。
イエローカード状態になると「各自治体が策定した財政健全化計画を監視」する必要が生じるため、あまりに多くの市町村がこれに該当すると監視するのは大変になるため、ある程度の数に収まるように設定されるであろうことが書かれています。
ということなので、財政健全化の基準というのは絶対的なものではなく、あくまで相対的なものであり、総務省や県が監視しできる範囲で財政の悪いほうからある程度の自治体が指定される。 というような性質を持つものであることが推察されます。
つまり財政健全化の指標が基準を超えないということは、必ずしも財政が健全であることを意味しないということであり、(超えると健全ではないとはいえる。)それについては市民が常に注視していなければならないということだと思います。
2009年4月26日日曜日
コラム 財政健全化法を勉強する その3
前回は「再建法(正式名称 地方財政再建促進特別措置法)」について説明をしました。
今回は再建法が見直されるようになった理由について説明します。(第二回はこちら。)
第三回 再建法の問題点
再建法は夕張市の財政破綻により見直され、財政健全化法が制定されたわけですが、実はそれ以前から問題点は指摘されていました。
ひとつは、普通会計以外の第三セクターや土地開発公社などの赤字が見えないこと。
夕張の前に財政再建団体*1であった赤池町は土地開発公社の赤字を取り込んだため、財政再建団体となりました。逆にそのようなものの膿(うみ)を出す決意をしなければ、膿がたまったままどんどん財政が悪化することとなります。
例の大金持ちの息子の例えを使えば、「自分が設立している会社の連帯保証」を含めず、家計の状況を評価しているようなものでしょうか。
もうひとつは、財政再建団体となるかどうかの判断の指標となる「実質収支比率」が操作可能なこと。
第三セクターや土地開発公社の赤字を処理するかしないかの判断もありますが、例えば「借金をすると実質収支がよくなる」ので、財政再建団体となることをさけるために借金をするというわけのわからないことがおこります。
夕張の場合には一時借入金を他の会計と行ったり来たりさせることで、この数値をごまかしていたようです。
例えば、総務省の決算カードをみると平成13年から16年まで実質収支比率は0.0%でした。
ところが、平成17年には突如37.8%の赤字、平成18年は791.1%(!)、平成19年は730%の巨額の赤字を計上しています。これは既に財政破綻していたものをごまかしていたものを平成17年度以降に一気に吐き出したことにより生じたとみられます。
大金持ちの息子でいえば、銀行の残高を保つためにサラ金から借金をして、家計が赤字でないように見せかけていたようなものです。平成16年は夕張市の歳入の約半分(100億円弱)が”諸収入*2”というものでした。収入500万の家計に例えれば、一年に1000万円サラ金を借りて収支を均衡させていたようなものです。
後からみれば誰の目にも破綻しているといえそうですが、実質収支上は財政は破綻していないとされていたのです。
また再建法では、早期に是正を促していく機能がないことが指摘されました。再建法により現在財政再建団体に指定されているのは夕張市ただひとつです。ということは1800以上ある自治体で最も財政が悪化した自治体にしか適用されていないということでもあり、そこに至るまでなんら是正がなされないということになります。
そのため事態が非常に深刻化してからの再建となり、市民生活に与える影響も甚大なものになってしまうというのです。
このような問題に対し、新しい法律「地方財政の健全化に関する法律」では
①公営企業を含めた財政情報の開示
②フロー(実質収支)以外にストック(借金の負担など)を含めた評価指標の開示
③イエローカードの基準を定めることで早期発見、早期健全化を図る
ことを定めました。
(参考URL http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/kenzenka/index.html)
次回は、新しい法律による指標について紹介します。
第4回はこちら。
*1正確には「準用財政再建団体」、再建法は本来「昭和29年のみ」の臨時の法律であり、この規定を昭和29年以外に準用(似たような場合に適用するという意味)するため、”準用”財政再建団体という名称になりますが、簡便のため「財政再建団体」といっておきます。
*2諸収入は、「それ以外の収入」として、延滞金、預金や貸付の利子、受託料収入など雑多なものです。一時借入金も含まれるようです。
