2009年8月12日水曜日

大阪の市の財政白書リスト更新

財政白書全国行脚
 大阪府の各市の財政白書(家計簿、財政事情などタイトルはいろいろ)や財政のまとめがある行政改革プランなどへのリンクを別館図書室に作成しました。
 http://sites.google.com/site/siminzaiseihakusho/Home/links/cities
 (近畿地方の項参照)

 大阪の各市の財政状況は、経常収支比率が100%を超える市が散見されるほか、形式収支が赤字の市があるなど、全般的に東京都下の市よりもかなり悪いように思えます。
 今後理由などを(いつになるかわかりませんが)分析してみたいと思います。

 それにしても形式収支が赤字になることがあるとは思っていませんでした。歳入には前年からの繰越や基金の取り崩し、借金も入るので、期末に現金がある限りは赤字にならないと思うのですが。どういうケースで赤字になりえるか、教えていただければ幸いです。

2009年8月11日火曜日

ブックレビュー 資本主義の未来その2

今回は前回の続き、資本主義の未来に大きな影響を及ぼしつつある大きな底流を紹介していきます。
本書でいうと第3章と第4章の内容を紹介します。
 きっちりまとめたものではなく、気になったところ。ポイントを要約抜き出しているのでご容赦。

1 共産主義の崩壊
 ・共産主義の崩壊で19億人が資本主義の世界に流れ込み、ものすごい供給が生じた。
  ・160万トンのアルミ地金が旧ソ連から流れ、いたるところでアルミ精錬所が閉鎖された。
  ・羊毛の輸出量が900万トンから18600万トンに増え、羊毛価格が1/4に。
 ・東ヨーロッパの製品が西ヨーロッパに流れ込んで工場が閉鎖されるか、さもなければ何百万人が西ヨーロッパに移民してくる。
 ・共産主義では学校制度は優れていた。旧共産圏でアメリカの平均的な高校生以上の学力を持つ人数はほぼ無限。
 ・教育程度の高い中国人を月35ドルで雇えるときにアメリカの高卒者に年2万ドルを払えるか。
  →資本主義社会の賃金水準に大きな影響を与える。

 なお中国についてはかなりページを割いている
 ・最近20年の成長はこれまでの非効率の反動。共産主義で無料に抑えられていた住宅価格が市場価格になれば、中国の労働力は現在ほど安くなくなる。
 ・農村への投資が社会の安定に欠かせないが、それは経済成長鈍化の要因となる。
 ・中国が成長している理由として4つあげている
  ①貯蓄率が高い(通貨危機のようなものが起こりにくい)
  ②しっかりした政府がある。
    東ヨーロッパでは政府が崩壊。無秩序の民営化(旧共産党幹部による公共財産の略奪)が起こった。
  ③資本主義の中で育った華僑とのつながりがある。
  ④国営企業の割合が少ない(全体の18%、ソ連は93%)
   小規模経営の人民公社の割合が多い。

 旧共産圏のほか、今後輸出ゲームに加わろうとしている第三世界の人口が30億人になる。

2 頭脳産業の時代
 ・日本の旧通産省が21世紀にかけて成長する産業のリストが紹介されている。
  →マイクロエレクトロニクス、バイオテクノロジー、新素材、通信、民間航空機、工作機械・ロボット、コンピュータ
 ・これらは人間主体の頭脳産業であり、「地球上のどこにでも立地可能」
 ・生産コストが一番低い国に生産拠点は移動。新しい技術は発明されたところで使われるとは限らない。
  (アメリカが発明したビデオやファックスは日本で作られていると書いている。)
 ・発明からサービスまでのプロセスを組織できるか。これからは高度な技能や新しい技能が必要であり、さらにそれが組織化される必要がある。
 ・技能と知識に関する国の投資が必要。教育や研修は時間がかかる。頭脳産業の立地に大きな影響を与えるのは多国籍企業の意向。教育や研修への投資により頭脳産業の進化の過程に参加しなければ発展への道は閉ざされる。
 ・第三世界の技能しか持たないものは、先進国に住んでいても第三世界の賃金しかもらえなくなる。
 
 ・経済はダイナミックな不均衡の中にあり、経済全体はプラスであっても、部分的には損する人がかなり多く出る。勝者の利益をどのように分配するかは以前より厄介な問題になっている。

 ・一方でテレビが社会の価値観と規範の決定に大きな影響を及ぼすようになっている。
 ・テレビを見る場合には学ぶ必要はない。ボキャブラリーが貧困になってしまった。
  (リンカーンのゲティスバークでの演説など今日では考えられないとしているが、オバマ大統領の存在を考えるとまだ捨てたものではないのかもしれない。アメリカの方は。)
 ・テレビ文化では現実と思ったことの方が現実そのものよりも重みを持つ。殺人事件が頻繁に報道されるため、ほとんどの人は殺人が恐ろしいほど増えていると思い込んでいる。(今の日本もそういえる)
 ・カリフォルニア州では1994年に三回重罪を犯したら終身刑という法律ができ、大学の予算を減らして刑務所の予算を増やした。95年には州の刑務所予算は大学予算の2倍となり、刑務所一人当たりの支出が大学一人当たりの4倍になった。
 ・テレビでは消費が人生の唯一の目的となり、個人的な充足感だけが目指すべき目標となっている。
 ・テレビドラマの家族はアメリカの平均的家庭より4倍豊か。(日本のトレンディドラマ~死語だが~でも都心のやたら立派な住まいにすんでいるような想定になっているのと似ているかも)
 ・資本主義文化とテレビ文化はともに金儲けに熱心な点では一致するが、一方は将来のことを少しは考えなければいけないが、もう一方はそのようなものに価値を認めない。

次回は人口の変動について。

2009年8月10日月曜日

三鷹市+稲城市 白書

既に紹介している三鷹市の自治体経営白書の平成19年度版がでました。
http://www.city.mitaka.tokyo.jp/c_service/014/014113.html
財政状況は第5章です。内容は前年とほぼ同じ。

稲城市も7月に平成19年度決算による財政白書をHPに更新しました。
 http://www.city.inagi.tokyo.jp/shisei/zaisei/zaisei_hakusho/19kessan/zaiseihakusyo19pdf/index.html
内容はほぼ同じ。
 健全財政か指標と財務諸表の純資産変動計算書と資金収支計算書が加わっております。
  財務諸表の説明はやや難しいですが参考になると思います。

2009年8月9日日曜日

国に翻弄される財政構造 地総債や交付税削減

毎日新聞 2009年8月4日 地方版より
 総選挙特集の中の記事

「借金の原因はお前だ」「何であんな大きいものを造ったんだ」--。黒石市ぐみの木3のスポーツを主体とした多目的施設「スポカルイン黒石」館長の吉田安宏さん(65)は、約10年前に市関係者から言われたことを思い出す。
「みんな承知の上でやったのに」と、変わり身の早さにショックを受けた。
 スポカルインは5000人規模を収容するアリーナを擁し、96年4月に開館。
旧自治省(現総務省)の地域総合整備事業債(地総債)を活用し、総事業費38億9000万円をかけた。市はほかに、地総債を使って「津軽伝承工芸館」(総事業費約32億円、99年完成)を建設。
 スポカルインは全体の75%まで起債が認められ、うち30~55%が原則交付税措置がなされ、伝承工芸舘は90%まで起債が可能だった。市は両施設とも指定管理者制度を取り入れ、管理運営費がともに単年度で約5500万円で、昨年度は約400万円の黒字となった。
 スポカルインの建設当時、黒石市教委にいて計画に携わった吉田さんは「『市は少ない持ち出しだけで建物を建てられる』という甘いわなが仕掛けられていた」と振り返る。 (中略)
 国の政策に踊らされ、苦い経験をした黒石市。(中略)鳴海市長は「財政的な苦しみを抱えていながら国が『(起債を)許可します』というと、自治体はぱっと飛びつく。この構造を変えないといけない」

 この記事で気になったのが、地方総合整備事業債。ちょっと聞いたことがなかったので調べてみる。
 地方財政情報館財政用語小事典(http://www.zaiseijoho.com/deco/deco_t-14.html)によると、
 (おそらくは景気対策のために)大型の単独事業に対して許可された地方債で、その元利償還金に対して交付税措置されるのが特徴。まずは建設した年度の事業費の一定割合(例えば15%)が基準財政需要額に加算され、後年の元利償還金に対しても財政力に応じて30%~50%が基準財政需要額に加算されるとのこと。

 通常記事であるようなスポーツ施設や文化施設を単独事業で作った場合、経常収支的にみると
  ①作った年はプラスマイナス0(臨時的な歳出なので)
  ②それ以降の年は維持管理費及び公債費の分、悪化の方向 となります。
   (基準財政需要額は±0なので、よくなることはありません。)
 となりますが、この制度を使うと、
  ①作った年は±0又はプラス(!)
   (交付税措置が普通交付税の場合はプラス。特別交付税の場合は±0)
  ②それ以降の年は悪化の方向だが、交付税が増えるので通常よりは影響が少ない。
   ということになります。

  よくよく考えれば、例え「お金を借りていいよ」といわれても返すのは自分自身。交付税措置をしてくれるといっても、そもそもの交付税が年々減らされる方向にあるので、思ったほどは措置されないというのが実態ではないでしょうか。
 その上に維持管理費もかかることを考えると、まさに「甘いわな」といえるでしょう。
 日野市がこの制度を使ったかどうかは不明ですが、この制度を使うメリットがそもそもない(交付税措置されても不交付団体なので入るお金はぜんぜん増えない)ので使っていないのではと推測しています。

2009年8月8日土曜日

国税局 税の学習コーナー

今日紹介するのは国税税の学習コーナー
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/gakushu/kyousitu.htm
 いろいろコンテンツがあります。
 ゲーム : 忍たまワールドはプレイ時間がちょっと長い。カニ博士の方がてきぱきしていて好き(ゲームというよりクイズだが)。
  ちなみに「税金で作られた施設」を選ぶゲームがあったのだが、最初に出てきたのが観覧車・・・。
  そういえば夕張で作ってたなと思いながら選んだら「×」、税金で作ってはいけないものだったのでしょうか。
 学習や教育用教材は大人が見ても参考になる。
 ビデオライブラリーや紙芝居もある。ビデオは出演者が豪華、だけど内容としては紙芝居の方がお勧め。
 ちなみに各国税局でも学習用教材を作っています。
  名古屋国税局
  熊本国税局
 熊本国税局では各県が納めている国税と県のお金の使い道についても書いています。
 ところで。  税金の大切さを訴えるとなぜか公共サービスの大切さ、に話が変わってしまっているように思われます
 実際には税金がない国もあったり、いわゆる官が供給するのではない公共サービスというのもあるので、小学生まではともかく、高校生以上についてはもう一段踏み込んだ説明が必要なのではないかなと感じたりします。
 その点では上記のページの中では教育用教材(中学生以上)と紙芝居がビデオ教材よりもお勧め。
 ところで財務省でも同じようなページがあります。
 http://www.mof.go.jp/kids.htm
  キッズコーナーは一つはゲームコーナー、一つは税金の大切さ・・・って国税庁とかぶってるんですが。
  ゲームコーナーは解説が小学生にはちょっと難しい。 というか国税庁のキッズコーナーへのリンクを張ればよいのでは?という感じ。
 むしろ大人向けの映像資料の方がお勧め。財務省が作っているので、財政赤字や財政危機が後半強調されていますが、財政全般についてもわかりやすく説明してあります。
  http://www.mof.go.jp/zaisei/con_08.html

 今後財政を考える会として取り組む財政白書の動画化の参考にしていきたいと思います。

2009年8月7日金曜日

東京・日野市、資源ごみ回収に奨励金

東京・日野市、資源ごみ回収に奨励金 スーパーなど対象
 日経新聞 7/27

「東京都日野市は2010年度から、ペットボトルや発泡トレーなど家庭から出る資源ごみの回収やごみ減量に積極的なスーパーなどに奨励金を払う。市による収集の頻度を半減させるのに伴い、民間での回収を促す形だ。資源ごみを購入した小売店などに持ち込むよう住民に求め、市の処理費用を削減する。専門家は「事業者に奨励金を払うのは全国的に珍しい」と注目している。  日野市は10年度から月に2回だったペットボトルやトレーの収集回数を1回に減らす方針だ。一方で、資源ごみの回収に協力的でレジ袋の無料配布を取りやめたスーパーに資源ごみの回収量1キログラムあたり数円の奨励金を支給する計画だ。」

当初、レジ袋の無償化を検討していたのですが、市内スーパーで離脱するところが出たため頓挫。この方向になったようです。
 http://www.city.hino.lg.jp/index.cfm/1,35040,170,1643,html
 「レジ袋無料配布中止に向けた共同会議」の内容はこちら。議事録は臨場感がありなかなかすごいです。

 ちなみに、平成19年度の資源物回収委託費は約3.24億円。
 2週に5回ある資源物の回収のうち1回がプラとすると、単純計算では3.24億/5=約6480万円がプラ収集の費用となります。プラスチックの市の収集量は約555t。従って1tあたり収集費用は1kgあたり116円!
 回収1kgあたり数円払っても(委託費が減らせれば)はるかにお得ということになります。
 逆にスーパーにとってお得なのか?は不明。ただ現在お金を払って処理しているようであれば、お得なのかもしれません。

 

2009年8月6日木曜日

ブックレビュー 資本主義の未来

リーマンショック以来 「アメリカ型資本主義の終わり」をセンセーショナルに書いている資本主義本がいろいろと出ていますが、今日紹介するのは1996年、今から12年以上前に出版された
 レスター・C・サロー著 資本主義の未来(The future of Capitalism)

 たぶん絶版していると思いますが、大きな書店ならあるかも(アマゾンなら中古で買える)。図書館で借りても読む価値あり。
 10年以上前に書かれたものですが、内容は古さを感じさせず、むしろ10年経ったいまだからこそリアリティが感じられます。表層的なところをセンセーショナルに書き綴っている書も多い中で、変化の底流をしっかりと見据えています。
とても一回では紹介しきれないので何回かに分けて紹介します。
 今日は第1章から第2章にかけて紹介。内容で気になったところを抜き出しました。

○世界各地で広がる不平等(下記は主にアメリカでの話だが、現在と今後の日本を思わせる)
 ・アメリカの一人当たりのGDPは73年から95年まで36%増えたが、一般労働者の時間当たり賃金は14%減っている。
 ・80年代に所得の上位20%だけが勤労所得が増え、増えた所得の64%が上位1%に集中。
 ・勤労所得以外で見ると所得増の90%が上位1%に集中。
 ・1973年から実質賃金の減少が始まり、90年代にはあらゆる職業、学歴、年齢層で減少。
 ・若年層の実質賃金は最近20年で25%減。
  →自分の親の代より、よくなる見込みがない。
 ・国は金持ちのために運営されていると答えた人が92年には80%。
 ・ダウンサイジングにより非正規労働者が増加(250万人が80年代後半から90年代初めにかけて解雇)。
 ・アメリカでは賃金の減少、ヨーロッパでは失業の増加(解雇が難しい)
  →ヨーロッパは若年層が失業。学校を出た60%が職に就けない国も。
    失業保険に多額の税金を費やす形で所得を分け合っている。
 ・日本は大量の社内失業者が発生している(とこの時点では評価されているが、現在はアメリカに近づいているのでは)
  →収益性がないので、これはいつまでも続けられない。
 ・中間層をターゲットにした企業は経営が苦しくなり、高級店や安売り店が業績が好調。
 ・ただし所得の低い層の所得はさらに落ちていくので安売りもうかうかしていられない。
 ・経済的に勝利をつかんだのは高齢者。経済システムを動かしていくのは高齢者になると予言。
 ・不均衡がさらに拡大していけば、システムは崩壊する。
○資本主義の競争相手
 ・資本主義の敵(共産主義やファシズム)が消えると同時に資本主義の優位性が消えてしまったように見える。
  資本主義は競争の重要さを訴えているが、資本主義自体に競争相手がいない
○変化を引き起こす底流
 ・われわれは地震や噴火などの目に見える異変が現れるまで地下での動きには気がつかないが、それらは着実に動いている。
 ・5つの誰にも止められない底流
  ①共産主義の終わり ②頭脳産業の時代 ③人口移動と高齢化 ④グローバル経済 ⑤覇権国家がない
 ・これらがさまざまな目に見える変化をおこしている。

 次回から5つの大きな動きを紹介していきます。興味が沸いた方は図書館かアマゾンで探そう。